(統合版)くろまるH29記者発表(筑波・本省)セット版(08.18修正版)


全国活断層帯情報整備(「都市圏活断層図」作成)について
1.都市圏活断層図とは
「2万5千分1都市圏活断層図」は、平成7年1月の阪神・淡路大震災を契機に、政府の地震調査
研究推進施策の一環として、内陸地震の長期評価に必要不可欠な情報である活断層の詳細な位置情報
を表した地図です。
2.施策の位置付け
本施策は、政府の地震調査研究推進本部により平成 21 年4月に策定(平成 24 年9月改訂)された
「新たな地震調査研究の推進について」及び科学技術・学術審議会により平成 25 年 11 月に建議され
た「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画の推進について」において調査の必要性が位
置付けられています。
3.活断層の定義と図の主な内容
この図における「活断層」とは、最近数十万年間に約千年から数万年の間隔で繰り返し活動してき
た跡が地形に明瞭に表れており、今後も活動を繰り返すと考えられるものをいいます。このうち、風
雨による侵食や堆積、また開発の影響などで活断層の位置を明確に表示できない区間は破線で、活動
の跡が土砂の下に埋もれてしまっていると推定される区間は点線で表示しています。
また、活断層の位置の他、活断層の評価に関連する段丘地形・沖積低地・地すべり地形など、数十
万年前から現在に形成された主な地形を併せて表示されています。
4.調査方法と図の体裁
この調査は、大学等の活断層研究者で構成する「全国活断層帯情報整備検討委員会」において、空
中写真を用いた写真判読により活断層を抽出し、併せて既存の調査結果も参考にして、活断層の詳細
な位置を電子地形図 25000 上にまとめ、画像データにしたものです。
5.都市圏活断層図から把握できることの限界等
この調査では、それぞれの活断層が過去にいつ動いたのかは調べていません。従って、それぞれの
活断層が次にいつ動くかは、この図からはわかりません。
また、都市圏活断層図で緑色で示されている地域(扇状地・沖積推、沖積低地、又は埋立地・干拓
地)は、川が運んできた土砂などによって最近数千年間に形成された土地です。この地域では今回の
調査で確認できなかった未知の活断層が埋もれている可能性も残されています。
6.都市圏活断層図の整備・公開状況
全国で東西南北約 20km 四方の図 187 面が都市圏活断層図として印刷図及びウェブページから公開さ
れています。(平成 29 年 8 月現在)
都市圏活断層図のウェブページ
(http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/active_fault.html)
7.用語の説明
・横ずれ:活断層の相対的な水平方向の変位の向き。断層線に向かって手前側に立って向こう側が右
にずれれば右横ずれ断層、左にずれれば左横ずれ断層。本図では、変位の向きを赤い矢印
で表示。
・縦ずれ:活断層の上下方向の変位の向き。本図では、相対的に低下している側に短線を表示。
・活 褶 曲
しゅうきょく
:現在も続いている地殻変動により生じている波状地形。
凸部また凹部を連ねた線で図示。
参考資料2
縦ずれ断層(正断層) 縦ずれ断層
(逆断層) 活撓曲(かつとうきょく)
右横ずれ断層 左横ずれ断層
上盤
下盤
上盤
下盤
・傾 動:地形面が、現在も続いている地殻変動によって傾いている場所。最大傾斜方向で図示。
・雁
がん行こう
:複数の断層が片仮名の「ミ」の字、あるいは「杉」の字のつくりの形に配列すること。前
者を右雁行、後者を左雁行と呼ぶ。
・活撓 曲
とうきょく
:活断層のうち、変位が柔らかい地層内で拡散し、地表には段差ではなくたわみとして表
れたもの。たわみの範囲及び傾斜方向を示す。
図1 空中写真判読
地図を作成するために撮影された 2 枚の空中写真を、実体鏡で立体的に見ながら変位地形を探しま
す。その変位地形の中から断層による変位地形を抽出し、今後も活動を繰り返す可能性があるかなど
を検討して活断層であるかどうかを判定します。
空中写真の中央の町を北西-南東方向に走る崖(図のA-B)が活断層であり、段差を形成してい
ます。形成年代の異なる複数の段丘面(Sg、Tb、Sk、Sh)を切り、上下及び左横ずれ変位を示してい
ることから活断層と判定された例です。
図2 活断層の種類

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