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ここが変わる! 公益通報者保護法

ラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子「日曜まなびより」」

今回のテーマは「ここが変わる! 公益通報者保護法」。
勤め先の会社やお店で不正に気付いた場合、あなたならどうしますか? 「誰かに通報したら自分が不利になるかも…」と多くのかたが不安を抱くのではないでしょうか。そんな時、味方になってくれるのが「公益通報者保護法」です。勤め先の違法行為の通報を理由に、不利益な取扱いを受けないよう通報者を守るこの法律は、今年(2025年)6月に改正。これにより保護対象が、業務委託関係にあるフリーランスなどにまで拡大するほか、公益通報を理由に通報者を解雇・懲戒した会社に対して“罰則”が設けられるなど、通報者の立場がより守られるよう強化されます。
番組では、来年(2026年)12月までの施行に向けて、会社と従業員を守る制度でもある「公益通報者保護法」の基本から、今回改正のポイントまでを学んでいきます。

[画像:2025年9月28日3ショット(公益通報者保護法)]

ゲスト
消費者庁 参事官(公益通報・協働担当)付 企画官
榊原さかきばら 佳寿よしひさ

ストリーミング(音声で聴く)

放送日
令和7年(2025年)9月28日
再生時間
17分52秒
配信終了予定日
令和9年(2027年)3月31日

文字で読む

杉浦
今日のテーマは「ここが変わる! 公益通報者保護法」です。
村上
難しそうなテーマですね。
杉浦
「公益通報」っていうのは、従業員さんが「勤めている企業の違法行為を通報すること」なんだけど、ここで佳菜子ちゃんに質問です。仮に佳菜子ちゃんがスーパーマーケットの従業員だとします。そのスーパーで海外産の牛肉を国内産と偽って販売していることに気付きました。さあ、どうしましょう?
村上
まずは「間違えてますよ!」って言ってみる。それで強気に来られたら、すぐ通報します!(笑)
杉浦
まあ、でも全員が全員、佳菜子ちゃんのようにできないかもね。きっと多くの人は、少なからず悩むと思うんだよね。店に抗議したら面倒なことになりそうだし、場合によっては、自分が辞めさせられてしまうかもしれないという、その怖さもあるし。
村上
そのままにしていたら、消費者がずっとだまされてしまうってことですもんね。
杉浦
そう。消費者ばかりが損をするって深刻な問題でしょ。同じように、例えば、自動車メーカーが製品に欠陥があると分かっていながら、それを報告せず隠すといった不正をしたら、消費者がけがをするとかさ、命に関わる可能性だってあるよね。
村上
確かに。不正の内容によっては、被害が大きく違いますよね。怖いです。
杉浦
でも「通報することが怖い」っていうのもあるじゃん。難しいよね。だから、従業員が勤務先の違法行為を通報しやすいように、公益通報者を守る「公益通報者保護法」という法律が2006年に施行されたんです。今日は、この法律が今年(2025年)6月に改正されることが決まったので、改めて公益通報者保護法の基本的なことから、今回改正されるポイントを講師のかたに教えてもらいましょう! 消費者庁で公益通報者保護法を担当している、榊原 佳寿さんです。
村上
榊原さん、まずは、公益通報者保護法はどういう法律なのか、基本的なことを教えてください。
榊原
はい。公益通報者保護法は、従業員が勤め先の違法行為を通報したことを理由に、解雇や降格、減給など、勤め先から不利益な取扱いを受けないよう、通報者が守られるための条件などを定めた法律です。
杉浦
この法律で守られる従業員は正社員だけじゃなくて、派遣社員、アルバイト、パートタイマー、業務委託先の従業員や派遣社員、その他にも役員や公務員、さらに、退職して1年以内の従業員などが含まれるんですが、榊原さん、今回の改正によりこの範囲が拡大するんですよね。
榊原
はい。「事業者と業務委託関係にあるフリーランスのかた」、また「業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスのかた」も、保護の対象に含まれることになりました。
村上
フリーランスのかたでも、業務委託を受ける先の違法行為に気付く可能性は十分にありますもんね。そうしたかたも安心して通報できれば、不正が早く発覚して被害が大きくなるのを防げるようになりますね。
榊原
そうですね。公益通報の制度は、企業内の不正を早期に発見・是正することで企業と従業員を守るために設けられたものですから、まずは、是非、制度を知っていただきたいですね。
杉浦
それから、誰のどんな通報でも守られるというわけではないんですよね。公益通報者保護法で保護されるには、どんな内容で、どこに通報するかなど、一定の条件があるんですよね。
村上
そうなんですね。では、どのような内容の通報なら保護されるんですか?
榊原
はい。それは、例えば食品衛生法をはじめ「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律」に規定する「犯罪行為など」、または「それらにつながる行為」です。
杉浦
該当する法律はおよそ500本なんですが、分かりやすい例を挙げますと、「上司が会社のお金を横領している」「会社が残業代を払わない」とかね。
榊原
他にも「無許可で産業廃棄物の処分をする行為」「産地を偽装して販売する行為」などです。
村上
確かに、どれも従業員や消費者が不利益を被る違法行為ですよね。こうした違法行為であれば、公益通報者保護法の対象となり保護されるっていうことですね。では通報先についても、どんなところがあるのか教えてください。
榊原
通報者を守るため、通報先は三種類ありまして、一つは「お勤め先の内部通報窓口や上司など」、二つ目は「行政機関」、三つ目は「報道機関など」です。
杉浦
ただし、それぞれ保護されるための条件が異なるんですよね。
榊原
はい。内部通報窓口や上司であれば、証拠などは必要なく「不正があると思うこと」だけで通報しても守られるのですが、外部に通報する場合は通報先によって書面や証拠などが必要です。
村上
こうした条件をクリアしていれば、勤め先などの違法行為を通報したことによって不利益な取扱いを受けても、法律により保護されるっていうことですね。でも、正直、本当に大丈夫かな? って不安になるかたは少なくないような気がします。
杉浦
それはそうだよね。でも、そうした不安を少しでも解消できるように、法律が改正されたんですよね。
榊原
今回の改正で、公益通報したことを理由に通報者が不利益な取扱いを受けないように法律を強化します。具体的には、公益通報を理由として解雇や懲戒をした者に対して、6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金を科します。また、事業者に対してはその100倍の3,000万円以下の罰金を科します。
村上
なるほど。改正により「罰則」が設けられたんですね。罰則があれば公益通報を理由とする解雇や懲戒を未然に防ぐことが期待できますもんね。
榊原
はい。また通報者が、公益通報後に解雇や懲戒処分を受けた場合、これまでは「公益通報をしたことを理由とする解雇や懲戒であること」も通報者が裁判で立証しなければならず、通報者の負担が重くなっていました。そのため今回の法改正で、公益通報後の解雇や懲戒処分のうち、公益通報から1年以内にされたものについて、「公益通報を理由としてされたものと「推定」すること」が規定されたことにより、通報者側の負担軽減につながります。
村上
なるほど。通報者の立場がより守られるというわけですね。他には、どんなことが改正されたんですか?
榊原
はい。「正当な理由もなく、従業員に公益通報をしないように合意を求めること」や「通報者を特定するような行為」についても禁止されます。
杉浦
榊原さん、通報者を特定するような行為って、これまでも禁止されていたんじゃないんですか? 通報者は基本的には自分の身分を明かしたくないものですよね。それなのに通報者探しをされてしまっては、不安で通報なんてできませんよね。
榊原
そうですよね。これまでも、事業者に対して、公益通報者保護法に基づく国が定めた法定指針の中で、「通報者を特定するような行為」を防止する措置を取るよう示していたんです。この点について、今回の改正では公益通報を妨害する行為と合わせて法律にしっかりと禁止行為として明記され、より通報者が守られるようにするんです。
杉浦
そういうことなんですね。これも抑止力となることを期待したいですね。
村上
本当にこのことを多くのかたに知ってもらいたいですね。では、他にはどんなことが変わりますか?
榊原
はい、これまでの法律では、従業員が301人以上の事業者に対して、公益通報の受付や調査などの必要な業務に従事する者を定める義務、いわゆる「従事者指定義務」が規定されています。また、公益通報に適切に対応するための体制を整備することも義務付けられています。具体的には「従業員のために内部通報窓口を設置すること」「通報に対して調査をすること」「通報で発覚した違法行為を是正すること」、といった措置を図ることなどです。
杉浦
ちなみに、従業員が300人以下の中小企業では努力義務ということですか?
榊原
はい。こうした義務に対して違反がある場合は、消費者庁が、助言や指導、勧告などの行政措置を行うことができる旨を定めていますが、今回の法改正では、この消費者庁による行政措置の権限が強化されます。
村上
より厳しくなるってことですね。
榊原
はい。先ほどの「従事者指定義務」について、これまでの助言、指導、勧告などに加えて、勧告に従わない場合の命令権限や、事業者への立入検査などを行う権限も加わります。また、命令に違反した場合や、立入検査に従わない場合、虚偽の報告などに対する30万円以下の罰金という罰則も新しく設けられました。
杉浦
事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備が徹底されるよう、消費者庁の権限の強化と罰則が設けられたということですね。
榊原
はい。また、従業員301人以上の事業者は、従業員などに対して公益通報への対応体制について周知する義務も法律で明記されます。
村上
せっかく体制を整えても、従業員がそういう体制があることを知らなければ意味ないですもんね。
杉浦
そもそも、こうした制度が設けられるのは企業のためでもあるんですよね。
榊原
そうですね。不正が発覚すれば、事業者は消費者や取引先からの信頼を失います。その信頼を回復するには相当の時間が必要ですし、場合によっては経営不振に陥る恐れもあります。でも、事業者が公益通報制度により自ら内部の不正を発見して改めれば信頼を失うこともなく、結果として会社や従業員を守ることになります。
村上
なるほど。先ほどもおっしゃっていたとおり、公益通報者保護法は、通報者を守るだけでなく、会社と従業員を守る制度でもあるっていうことですね。
榊原
まさにそのとおりなんです。公益通報者保護法が改正され通報者の保護が強化されます。本日お話した改正法は、来年(2026年)の12月までに施行される予定です。消費者庁のホームページでは公益通報者保護法の概要が5分で分かる動画を公開しています。またホームページでは改正の内容も公開しています。是非、公益通報者保護法とはどういう制度なのか、理解を深めていただけたら幸いです。
村上
私が今日の話の中で特に注目したのは、「公益通報者保護法が改正されます。」まずは、これを知って欲しいです。
杉浦
僕は「改正により通報者が一層守られます!!」と。

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