更新日:2024年07月25日

メーカーの担当者に聞いた
「中古の厨房機器選び
どこに気をつけるべき?」

開業費用を抑えるために、厨房機器は中古でそろえよう-。このように考えて中古機器の購入を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。中古の厨房機器選びでは、どのような点に気をつけ、どのような故障リスクを想定しておけばよいのでしょうか。また、「機器を移動させると故障しやすい」という話は本当でしょうか。日常のメンテナンスのご参考にもなる情報を含め、中古機器についてのご相談を受けることの多いfujimakの営業担当者に聞いた内容をご紹介します。

中古の厨房機器で人気が高いのは、どのような製品でしょうか。

特別な工事が不要で、コンセントを挿せば使えるような機器は一般的に人気が高いです。冷蔵庫や冷凍庫が典型です。逆に、食器洗浄機は、給排水や、排気フードなど、付帯工事が必要となりますので中古での購入には十分な検討が必要です。「機器の本体を安く買ってきたのはいいけれど、いざ設置しようとしたら、配管が届かない。電気の容量も足りない」では泣くに泣けませんよね。

「本体を買ったら終わり」ではなく、その後の施工まで考えておくべきということですね。

fujimakは厨房機器を直販しており、厨房の設計・施工もお受けしていますので、弊社製品をお使いいただいているお客様から、「友達が中古で厨房機器をそろえたのだけれど、困っているので相談に乗ってほしい」といったご依頼を受けることがあります。機器同士の高さが合わないので使いにくい、機器に給排水の配管をうまく回せないなど、さまざまなお困りごとがあります。

「この金額の範囲内で一式をそろえてほしい」といった希望を伝え、機器の選定を施工会社やコンサルタントに任せるオーナーさんもいらっしゃると思います。その際は、価格面を含めてユーザーファーストの視点があるかどうか、そして業務用厨房の施工実績が豊富かどうかを十分検討し、見極めておくことをお薦めします。

フィルターの目詰まりが冷蔵庫の故障につながる

当社コンビオーブンのスケール発生例

中古機器を検討する際の注意点について、もう少し話を聞かせてください。一概に、「中古だから故障しやすい」とは言えないと考えてよいですか。

10年、20年といったスパンでみると、業務用厨房機器の品質は大きく向上していますので、全般的に故障は少なくなっています。ただ、中古の機器はどこかの厨房に設置されて、一定期間、使われたものです。しかも、どのような使われ方をしたかというコンディションが分かりづらいのが悩ましいです。

例えば、スチームコンベクションオーブンは、店によって稼働時間が異なります。1日1時間程度しか使わない店舗がある一方で、24時間近く稼働させている店舗もあります。スチームコンベクションオーブンは蒸気を発生させます。蒸気の発生装置にマグネシウムなどによる「スケール」が沈殿し、固着しがちです。固着が進むと蒸気発生装置やヒーターの故障につながります。24時間近く稼働させている店舗では必要な洗浄の時間を確保しづらいので、故障が発生するリスクは相対的に高まります。なお、fujimakのコンビオーブンは、スケールの除去に有効な専用タブレットを使用する自動洗浄モードが搭載されていますので、適切に自動洗浄を実施すれば故障リスクは少なくなります。

中古機器の中で需要が多い冷蔵庫の場合、故障リスクはどのような部分にありますか。

冷蔵庫は、フィルター清掃を適切に行っていないと、吸気フィルターが目詰まりを起こし、必要な量の空気を吸えなくなります。すると、冷媒を圧縮するコンプレッサーに負担をかけながら、高温・高圧での運転を続けることになります。自動車に例えると、高回転でエンジンが回り続けるようなイメージです。一般的に冷蔵庫のコンプレッサーの寿命は10年〜15年といわれています。適切にフィルター清掃をしてきた製品に比べて、コンプレッサーの故障リスクは高まります。

熱源による故障のしやすさの違いはありますか。

ガス式の加熱機器は、燃焼をさせるために空気を吸い込みます。厨房の空気は一般的に油分を含んでいますので、ノズルの穴が狭くなったり、詰まったりして火力が弱くなりやすい点に注意が必要です。ただ、ノズルが詰まっているかどうかは目視で確認可能な機器が多く、気を付けてメンテナンスをしていればトラブルを回避できます。熱源が電気の場合はヒーターで加熱します。先ほどご説明したスケールの発生に気を付けていただきたいと思います。ガス式にしろ、電気式にしろ、その主要部品には耐用年数があります。メンテナンスを適切に行うことが重要な点に変わりはありません。

設置場所を変えると故障しやすくなる?

「運搬をしたり、店内で設置場所を動かしたりすると、厨房機器は故障しやすくなる」という話を聞きます。これは本当でしょうか。

運搬の仕方によります。電子部品を使った機器が振動に弱いのは事実です。また、基本的に、機器を傾けるのは好ましくありません。冷蔵庫の場合、コンプレッサーは、ピストンとオイル(潤滑油)で構成されており、運搬時に機器を傾けると、オイルが本来あるべきではない場所に移動したり、逆にオイルが必要なピストン部分のオイル量が不足したりして、故障につながります。冷蔵庫の置き場所を変えたときに、「数時間、できれば1日はスイッチを入れないでください」などと言われた経験のある方は多いと思います。これは、オイルが本来の場所にゆっくりと戻っていくために必要な時間です。

fujimakは中古で購入した厨房機器の修理依頼も受け付けているのでしょうか。

中古であっても、fujimak製品を選び、ご愛顧いただいているのですから、製品を世に送り出したメーカーとしてはありがたいことだと考えています。fujimak製品を安全にご使用いただき、必要な能力を回復させるために必要な修理は、基本的にお受けしています。修理の際はご相談ください。「厨房機器を含めて店舗を居抜きで購入した」などの理由で販売店さんが不明の場合は、修理代金のお支払い条件などをご案内し、ご納得いただけた場合に修理対応をしています。

中古機器の修理がきっかけで弊社とのお付き合いが始まり、設備更新や新店舗の際にお取り引きをいただくお客様も多くいらっしゃいます。厨房機器の選定時には、弊社にお声がけだけでもいただければ、お役に立てることがあるのではないでしょうか。お客様の立場でアドバイスやご提案をするよう心がけております。ものを大切にし、捨てるものを減らすことは、時代から求められていることであり、弊社でも展示会等に出展したリユース機器や、アウトレット機器の販売もしています。お困りの際にも、是非お声がけください。

提供 (株)フジマック 無断転載を禁じます。