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慶應義塾大学は、近代という時代の中での人間や社会の在り方を、広い視野から問い続けてきたように思います。特に文学部は、人間や社会に正面から向き合い、17専攻において多様な研究を展開しています。

その中にあって日本史学専攻では、文献史料を主な手がかりとし、日本の歴史に即して研究が進められています。専攻スタッフは、古代・中世・近世・近代の各時代やキリシタン時代を専門とします。

「宗教社会史」の視点から

私の専門は、日本近世史です。安土桃山時代から江戸時代までの、およそ300年間を扱っています。この時代は独自の身分制社会であり、私たちの生きる近代社会の前提をなす、いわば伝統社会でもあると考えられます。

私は、これまで必ずしも注目されてこなかった近世の仏教を切り口として、この時代の人間や社会の在り方を考えています。「宗教社会史」と銘打って、取り組んでいるところです。

出発点は、地域で生活を営む民衆(被支配身分の人々)と、仏教の救済思想との関係を問うことでした。最近では、仏教教団と幕藩領主との関係、言い換えれば近世の政教関係を検討しています。また、神仏をめぐる秩序にも関心を持っています。各地に残る史料を読み解くことで、新しい歴史像の構築を目指します。

近代社会の中で

高校までの歴史の学習では、沢山の人名・語句・年代などを暗記する必要に迫られます。ですが、大学での歴史の学習は違ってきます。これまでの成果に学びつつも、改めて根拠となる史料にさかのぼって検討します。そして、自分なりの新しい知見を獲得し、他者との議論を通じてよりよい歴史像を共有していきます。その過程で、自分もまた近代社会を生きる歴史的な存在であることが、再認識されることでしょう。

一つ一つの根拠を探って質の高い情報を読み取り、それをもとに人間や社会のあゆみを論理的に構築する能力は、社会人として生きていく上でも有効なはずです。こうした思いは、私を含め、専攻スタッフに共有されています。


(注記)所属・職名等は取材時のものです。

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