現場の力
世界最高水準の安全を目指す
安全への思い
2013年7月に原子力発電所の新しい規制基準が
施行されました。各原子力発電所では、
この新規制基準に適合するのはもとより、
より多く
の知見を取り入れながら、
世界最高水準の安全性を目指して様々な対策に取り組んでいます。
また、
万一の事態に備え、
設備面の対策に加えて、
事故の発生防止や抑制と地域住民の安全確保を図るため、
日々、
様々な訓練を積み重ねています。
同時に大切に考えているのは、
地域や社会からの声や思い。
決して技術偏重に陥らず、
謙虚に受け止めてまいります。
今後も、
原子力を扱う者と
しての自覚と責任を心に留め、
国の発展に不可欠なエネルギーの安定供給という使命を
果たすとともに、
福島第一原子力発電所のような
重大な事故をふたたび起こさないという強い決意で
安全対策に取り組んでいきます。
02 03
津波対策
水密扉
重要機器への浸水を防止
防潮堤・防波壁
最大規模の津波を想定して
必要に応じて設置
緊急時対策所
重大事故の発生時に指
揮を執る
格納容器の破損防止
格納容器の圧力を下げるた
め、
フィルタ・ベントなどを設置(加圧水型は5年以内)
直流電源設備の強化 地震対策
活断層や地下構造を調査
原子炉への注水制御などに
使用する直流電源を長時間
供給できるよう設備を強化
原子炉の冷却対策
原子炉を継続して冷やせる
ように十分な水源や注水
設備
(電源車・ポンプ車)を確保
自然災害への対策
山火事や火山の噴火、
竜巻
などによる影響を評価し、防護策を実施
複数電源の確保
独立した2系統以上のルー
トを確保し、
事故時の電源
喪失を防止
原子炉建屋
原子炉建屋
ボーリング
調査
ボーリング
調査
地下構造
調査
地下構造
調査
トレンチ
調査
トレンチ
調査
タービン建屋
タービン建屋
貯水タンク
貯水タンク
消防車・ポンプ車
消防車・ポンプ車
電源車
電源車
貯水池
貯水池
開閉所
開閉所
新規制基準で
何が変わっ
たか
2013年7月に施行された原子力発電所の新たな規制基準では、
福島第一原子力発電所の事故の教訓を反映するとともに、
海外の知見を取り入れ、
厳格な規制が設けられています。
これまでの基準の強化と、
事業者の自主的な取り組みとして実施されてきた
シビアアクシデント
(重大事故)
対策の義務化が主な特徴です。
新規制基準のポイント原子力発電所の取り組み
しかく 
新規制基準への対応に向けた主な取り組み(イメージ図)
Point 想定を超えるシビアアクシデント
(重大事故)
も対象に、
複数の機器が故障
する場合も考慮した炉心損傷防止対策、
格納容器破損防止対策のほか、
周辺環境への影響を極小化する対策など、
多重の対策を求めています。
シビアア
クシデン
ト対策の義務化
これまでの技術基準を強化。例えば、
過去の事例や多角的な調査から導き
出した、
将来起こりうる最大規模の地震や津波を
「基準地震動」
「基準津波」
として策定。それにも対応できるように設備や機能の強化を求めています。
これまでの基準の強化
Point
過去の事例や多角的な調査
に基づき、将来起こりうる最
大規模の地震や津波を策定。
これにも対応できる設備や機
能の強化を図っ
ています。
電源や冷却機能の多重化
・多
様化に取り組むとともに、原
子炉や格納容器の破損防止
対策、
水素爆発防止対策など
に取り組んでいます。
総合防災訓練をはじめ、
電源
喪失時の電源供給訓練、原
子炉を冷却するための給水訓
練などを行っ
ています。
原子力発電所での緊急事態
を支援する拠点として、2013年に福井県敦賀市に
「原子力
緊急事態支援センター」
が設
置されました。
地震と津波への
対策
重大事故を
防ぐ対策
重大事故に
対応した訓練
緊急時に備える
新規制基準のイ
メージ
[従 来] [新規制基準]シビアアクシデント対策放射性物質の拡散抑制対策
意図的な航空機衝突への対応
格納容器破損防止対策
炉心損傷防止対策
(複数の機器の故障を想定)
内部溢水に対する考慮
自然現象に対する考慮
火災に対する考慮
電源の信頼性
その他の設備の性能
耐震・耐津波性能
炉心損傷は
想定せず、
単一故障のみを
想定など従来の内容を強化 新 設
事業者の
自主保安
従来の
安全基準設計基準
規制対象としてシビアアクシ
デントに備え、
海外の知見を
もとにテロ対策も強化
地震・津波などの自然災害や
火災対策を充実し、
電源・冷
却設備を強化
複数の故障も想定
設計基準の強化
新 設
.... p06 .... p08 .... p10 .... p12
04 05
福島第一原子力発電所の事故を受け、
原子力発電所では地震や津波に対するより厳重な
対策を行っています。原子力発電所ごとに、
過去の事例や多角的な調査から導き出した、
将来起こりうる最大規模の地震や津波を想定。それにも対応できるように設備や機能の
強化を図っています。
地震と
津波への
対策
必要に応じて原子力発電所内への浸
水を防止する防潮堤や防波壁を新た
に設置しています。島根原子力発電
所では想定される最大規模の津波を
上回る海抜15メートルの防波壁を建
設しました
(上)
。浜岡原子力発電所
では海抜 22メートルの防波壁を設置
します
(左)。想定される最大規模を超えた津波が到来しても、
原子炉建屋の中への浸水
を防止する対策を施し
ています。例えば、
中国電力・
島根原子力発電所
(島根)
3号機原子炉建物内部
(左上)、1号機タービン建物外側出入口の水密扉を
設置
(右上)
。大飯発電所3号機の原子炉建屋、
制御建屋入口に設置された
水密扉の例
(右)。防潮堤・防波壁
断層に活動性がないか確認するために、
巨大な溝を掘っ
て地層
を露出させて調べる
「トレンチ調査」
や、
地下を円筒状に掘って
地層を採取する
「ボーリング調査」
など地下構造の調査を実施。
関西電力・大飯発電所
(福井)
では深さ約40メートルのトレンチ
を掘って(左)
地下に活断層がないことを証明しました。
また、以前から耐震性を
確実に保てるように建屋
内の配管へのサポート改
造工事
(右、
中部電力・浜
岡原子力発電所
(静岡))などを実施してきました。
Before
After
水密扉
地震への備え
耐震強化
06 07
万一、
すべての電源を喪失しても、
原子炉を冷却する機能を維持するため、
多様な電源を配
備しています。高台に非常用のガスタービン発電機
(左、
島根原子力発電所)、高圧発電機車
(右、
大飯発電所)
を配備した上で、
それに燃料を補給するタンクローリーも確保しています。
非常用電源の強化 格納容器の破損防止・水素爆発防止
原子炉
蒸気発生器
原子炉格納容器
気体の流れ
排気筒など
排気
フィルタ
放射性物質を捕捉•低減
すべての電源が失われた場合には、
原子炉に
注水して冷却する手段を多重に用意していま
す。送水車
(右上2つ、
島根原子力発電所)や格納容器に注水する代替スプレイポンプ、浸水により原子炉の冷却に必要な海水ポンプが
故障した場合に備えて、
そのモータ予備品の
確保
(左下、
大飯発電所)、可搬型の給水ポンプ(右下、
大飯発電所)
などを設置しています。
冷却機能
の確保
福島第一原子力発電所の事故のような重大事故を想定し、
冷却機能
の確保、
非常用電源の強化、
格納容器の破損防止・水素爆発防止と
いう3つの対策を強化しました。
重大事故を防ぐ対策
格納容器の圧力が異常に上昇した場合に、
格納容器の圧力を低下させるために放射性物質を
低減して排気する手段としてフィルタ・ベント
(下の図)
を、
また、
水素と酸素を結合させて水蒸
気として取り除く水素再結合装置
(右、
大飯発電所)
を設置します。
(注記)PWR
【加圧水型軽水炉】
の事例
原子炉容器
可搬型注水
ポンプ車
酸素と結合さ
せて
水蒸気に
して水素を取り除く
燃料取替
用水タ
ンク
可搬型送水
ポンプ車
代替屋外
給水タ
ンク
代替格納容器スプレイポンプ
スプレイノズルフィ
ルタ・ベント排気
加圧器
制御棒
蒸気
発生器
高圧注入ポンプ
余熱除去ポンプ
格納容器スプレイポンプ
原子炉格納容器
海水
フィルタ・ベントの設置
水素再結合装置の設置
可搬型注水・送水ポンプ車の配備
代替格納容器
スプレイポンプの設置
燃料
炉心
ポンプが使用できなくなった状態を示します
(注記)
図はPWR
【加圧水型軽水炉】
の事例
高圧発電機車
燃料を補給
ガスタービン発電機
しかく 原子炉や格納容器の破損を
防ぐ対策の概要
高圧発電機車や
ガスタービン発電機の設置
燃料タンク
タンクローリー
08 09
原子力発電所では、
平時から有事に備えた訓練を重ねています。重
大事故が発生したという想定の下、
緊急時対策本部を設置して所
内全員が参加し
て行う総合防災訓練や、
外部電源喪失時に代替電
源にケーブルを接続する電源供給訓練、
原子炉に直接水を送り込
む給水訓練など、
実情に即した訓練を実施し
ています。
重大事故に対応した訓練
外部電源や既設の非常用電源を喪失した場合の対応訓練です。代替
電源である高圧電源車にケーブルを接続して所内の電源を確保したり
(右:九州電力・川内原子力発電所
(鹿児島))、
電気を供給する訓練な
どを行っ
ています。
所内すべての交流電源が喪失する
厳しい事態を想定した訓練では、
薄暗い照明の下、
運転操作を試み
ます。シミュレータ室内にアラーム
音が鳴り響き、
赤や緑のランプが
点滅。運転員は危機に臨んでも落
ち着いて事態を安全に収束できる
よう訓練に励んでいます。
電源供給訓練
電源喪失時運転操作訓練
原子炉を冷却するため、
代替注水ポンプ設備や
消防車などによる給水訓練を実施しています。大
飯発電所では、
海水をいったん貯留するプールを
組み立て、
いくつものパイプを手動で接続して原
子炉に海水を送り込む訓練を行っ
ています。
給水訓練
緊急事態に対応する訓練では、
重大事故が発生したという想定の下、
緊急時対策本部を設置し、
様々
な場合に対応した総合防災訓練を行っ
ています。例えば、
島根原子力発電所では、
復旧班や救護班な
ど各班に分かれた報告訓練をはじめ、
国や自治体への通報連絡訓練や、
原子炉の監視データなどをも
とに班長が対応を協議する指揮命令訓練などを行っ
ています。
総合防災訓練
四国電力
・伊方発電所
(愛媛)
の高圧電源車
伊方発電所3号機のシミュレータ
10 11
原子力発電所で事故が発生した際の緊急事態を支援する
拠点として、
2013年に福井県敦賀市に
「原子力緊急事態
支援センター」
が設置されました。放射線量が高い場所で
も人に代わって作業できる遠隔操作ロボッ
トを配備し、全国から操作要員を受け入れ、
訓練を行うほか、
事故が発
生した事業者に必要な資機材を運ぶ機能を担っています。
原子力緊急事態支援センターには、
全国の電力会社から所員が操作訓練のた
めに訪れています。ロボッ
トの操作方法を学び、
万一の災害に備えて即座に対
応できるようスキルを習得・維持するのが目的です。
万一、
原子力発電所で事故が発生した場合には、
過酷な
状況での作業が求められます。それを支援するための様々
な機材を保管しています。
事業者
(電力会社)
から支援の要請があ
ると、偵察用ロボットや除染用機材な
ど、
支援センターに保管してある資機材
を専用トラックに積み込んで出発。陸路
(場合によっては空路)
を利用して、
あら
かじめ定められた支援拠点まで輸送して
資機材を引き渡します。
1.支援センターの倉庫に保管されている
資機材 2.作業員の除染用シャワーテン
ト 3. 放射線測定資機材 4. 車両など
の洗浄
(除染)
用高圧洗浄機33221144
操作要員の訓練
緊急時に
備える支援資機材の保管
支援資機材の
提供・運搬
1.遠隔操作による走行が可能な障害物の撤去用ロボッ
ト 2.放射線測定や
映像撮影などの機能を備えた偵察用ロボッ
ト 3.福井県敦賀市にある原子
力緊急事態支援センター
(日本原電敦賀総合研修センター内)
4.全国の原
子力発電所から操作要員を受け入れ、
ロボッ
トの遠隔操作の訓練を実施
12 13
1 支援センターに緊急時に
必要となる資機材を保管 2 支援センター車両に
積み込み
3 支援拠点で
資機材引き渡し
結城 私は以前、
電気事業について取
材したことがあるので、
今でもエネル
ギーの問題に興味があります。大平さ
んは、
原子力発電について関心がある
と講演会やブログで話されていますね。
大平 僕は星空を人工的に映し出すプ
ラネタリウムの開発に携わっています。
長い間この仕事を手掛けるうちに、宇宙というスケールで地球と文明を考え
るようになりました。
とくに僕は人類社
会の発展を支えてきた技術文明に興味
があるので、
その先端をいく原子力につ
いても関心が高いのです。原子力をエ
ネルギーとしてどのように活用していく
かは、
人類にとって大きなチャレンジ。
日本では、
福島第一原子力発電所の事
故を機に、
稼働停止を求める声が大きくなり
ましたが、
技術文明の進歩を安易
に止めるべきではないと考えています。
正しい情報をも
とに
エネルギーを選ぶこ
とが大切
結城 今は反対の声が大きいですよね。
あれだけの被害を出したのですからお
気持ちは分かります。その一方で、知識の偏りのために原子力発電所への批
判がことさらに強くなっているのではな
いかと感じるとき
もあり
ます。
大平 正しい情報を発信することはと
ても大切ですね。一方で僕は、
これまで
原子力を扱う電気事業者が原子力は安
全と言ってきたことにも問題があったの
ではないかと思います。人間の作るもの
ですから、
どんなに安全対策を重ねても
100%安全とは言えない。原子力発電
所の建設を優先するあまり、
ベネフィット
(利益)
ばかりが強調されてリスクに
関する説明が後回しにされる風潮があっ
たよう
に思います。
そして、
福島第一原子力発電所の事
故は起きてしまった。今、
原子力発電
所は新しい規制基準に適合するために
対策を進めていますが、
設備面の対策
だけでなく、
社会との対話も進めていく
必要があると思います。そのときにはベ
ネフィットとリスクの両方についてきち
んと情報発信すべきです。その上で、
私たちはこれからどんなエネルギーを選
ぶのかを話し合えばいい。石油などの
化石燃料に戻すのか、
再生可能エネル
ギーにするのか、
原子力を使うのか、みんなで天秤にかけて選択していかなく
てはいけないと思います。
結城 そうですね。冷静になって、
それ
ぞれのエネルギーの長所と短所を見極
めていかなく
てはいけないですね。
大平 僕自身の考えとして、
やっぱり原
子力発電所を止めたままでは困ると思
うんです。稼働しなくても化石燃料に
よる火力発電で電気は足りているじゃ
ないかと言う人もいますが、
その結果何
が起きているでしょ
う。毎年数兆円もの
お金が燃料代と
して余計に海外に流れ
ているんですよ。
日本がたく
さん化石燃
料を使う
ものだから枯渇も早めてしま
う。
環境面の悪影響も深刻です。火力発電
の急増で二酸化炭素の排出量も大幅に
増えてしまっていますから。
結城
「原子力発電は怖い」
と言うだけ
でなく、
停止によるこうしたマイナス影
響も知っておかないと、
現実的な解決
策を探ることはできませんね。
大平 原子力発電に携わる事業者はと
にかく大いに反省して、
世界最高の安
全を目指した対策に取り組んでいただくしかないですね。そうすれば、
いつか
社会からの信頼をもう一度得ることが
できると思います。
電力不安を機に高まる
省エネ意識
結城 ところで震災後の電力不安を機
に、
私たちのエネルギーに対する意識
が変わったとは思いませんか。
今まではエネルギーがあるのが当た
り前。
停電になる
と、
「何で点かないんだ」
とク
レームの声が上がりがちでしたよね。
でも震災以降、
節電や計画停電を経験
して、
「電気って大切なんだね」
と、
みん
なが口にするようになりました。私は照
明や家電製品の省エネについて講演す
ることも多いのですが、
聴いているみな
さんの真剣さが震災前と後とでは大き
く違うのです。震災は社会にとってもの
すごく大きな痛手でしたが、
エネルギー
への意識という点では一歩前に踏み出
原子力は未来
私た
ちの大切なエネルへの懸け橋
ギーについ
て語ろう結
ゆ う き
城 未
み く
来氏
灯りナビゲーター、
フリー
アナウンサーNHK「生活ほっとモーニング」、TBS
「ニュースの森」
ほか、
多数のテレビ番組の司会やレポーター、
CMなどで活躍する一方、
照明コンサルタントなどの資格を生かして、
照明の大切さを提唱中。
現在、
環境省や経済産業省で節電
・省エネ対策などの発信も行っている。大おおひら
平 貴
たかゆき
之氏
プラネタリウム・
クリエーター、
大平技研代表取締役
ギネスワールドレコーズに認定された投影星数560万個の
『MEGASTAR-II cosmos』、光学式とデジタル式を融合させた新投影方式
『MEGASTAR-FUSION』
などを開発。
2006年、
文部科学大臣表彰受賞。
和歌山大学客員教授、
相模女子大学客員教授。
す契機になったと思います。
大平 同感です。不幸な出来事であっ
ても、
それを教訓と
して社会全体をプラ
スの方向へ持っていく
のは大事なこ
とで
す。原子力発電にしても、
安全神話が
崩れた後、
良い面、
悪い面を白日の下に晒さら
して
「ではどうするか」
を議論するた
めのス
タートライ
ンに立てたと思います。
結城 でも震災から2年以上経った今、
早くも人々の意識が変化してきたみた
いで、
またエネルギーのムダ遣いをして
しまう人が増えているような気がします。
というのも、
震災後、
LED照明が飛
ぶように売れましたが、
消費者にLED
照明の選び方、
使い方に関する正しい
情報が伝わらなかったために、
「LEDを
買ったけど暗かった」
などの不満の声が
多く出てきたんです。
ですから今、
私はもっと賢く、
快適に
エネルギーを使う方法があることをみん
なに早く伝えたい。せっかく芽生えた省
エネ意識が、
震災の記憶とともに薄れ
始めていますから。
1000年先を見据え
エネルギーを守り育てる
大平 僕は科学技術のコミュニケー
ターと
してエネルギーのことを話すとき、
次のような例え話をします。
僕たち人類は、
地球というお母さん
から生まれた赤ん坊で、
化石燃料は母
乳、
原子力は離乳食のようなものである
と。赤ん坊はしばらくは母乳で育ちます
が、
母乳は無尽蔵ではないので、
やがて
離乳食に移行し、
最終的には自力で食
べていかなく
てはなり
ませんよね。
同じように、
人類はしばらく
は化石燃
料に頼っていいけれども、
原子力という
中継ぎのステップを経て、
やがては地球
資源に依存しないエネルギーシステム
を獲得しなく
てはならない。それが核融
合炉なのか、
全地球的な太陽電池ネッ
トワークといったものなのか分かりませ
んが、
恒久的なエネルギーシステムに移
行する必要がある。1000年先にはそう
した時代がやってく
るのです。
原子力は長い進化に向けての1ステッ
プ。大切に技術や社会とのコンセンサ
スを守り育てていかなくてはならないと
思います。
結城 その通りですね。私たちはもっ
と電気を大切にしなくてはいけない。
「灯
り」
という私なりのテーマを通してもっと
多く
の人に伝えたいと思っています。
プラネ
タリウム・クリエーターの大平貴之さんと、
灯りナビゲーター の結城未来さん。フィールドは違うものの、
ともに科学技術の
素晴らしさ、
楽しさを広く社会に伝えるコミュニケーターとし
て活 躍されています。そのお二人に、
身近な問題であるエネルギーに
ついて、
これから私たちはどのように向き合っていけばよいのか、 いろいろな視点から話し合っていただきました。
14 15
〒100-8118 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館
電話:03-5221-1440
(広報部)FAX:
03-6361-9024 2014.1
http://www.fepc.or.jp/
電気事業連合会

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