第 28 次消防審議会
(第3回)
日時:平成 28 年 11 月 22 日
場所:主婦会館プラザエフ 1第28次消防審議会(第3回)
【事務局】 傍聴席の報道関係の皆様にお願いいたします。一般の取材については審議
会終了まで行っていただいて結構ですが、撮影につきましては冒頭の事例紹介が始まる前
までとさせていただいておりますので、ご了承願います。
開会に先立ちまして、本日の配付資料のご確認をさせていただきます。第28次消防審
議会(第3回)議事次第、議事次第に記載の資料、配席図、本日11月22日現在の消防
審議会委員及び幹事名簿を配付しております。
配付漏れの資料はございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、定刻となりましたので、ただいまから第28次消防審議会の第3回会議を開
催させていただきます。本日は大変お忙しい中、ご出席を賜り、誠にありがとうございま
す。
まず委員の交代がございましたので、ご紹介させていただきます。平成28年6月25
日付で公益社団法人 日本医師会 常任理事 石井正三氏が日本医師会常任理事をご退任さ
れたため、
同日付で当審議会委員につきましてもご退任されました。
後任につきましては、
公益社団法人 日本医師会 常任理事にご就任されました松本吉郎氏にご就任いただいてお
ります。
【松本委員】 ご紹介いただきました日本医師会常任理事の松本吉郎と申します。6月
より役員改選となりまして、消防関係の担当になることになりました。どうぞよろしくお
願いいたします。
【事務局】 ありがとうございました。また、平成28年7月25日付で青山繁晴氏が
当審議会委員をご退任されました。
なお、本日は奥山委員、片田委員、辻委員、秋本専門委員、山本専門委員が所用により
ご欠席でございます。また、青山委員、小川委員、和合委員につきましては途中からのご
参加となります。
それでは、議事に入ります前に、前回第2回会議以降、消防庁長官の交代がございまし
たのでご紹介申し上げます。6月30日より前任の佐々木にかわりまして、青木信之が着
任しております。ここで青木長官からご挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。
【長官】 青木でございます。消防審議会の委員の皆様方には、消防防災行政全般にわ
たりお世話になっております。この場をかりまして御礼を申し上げます。 2この1年に限っても、
4月の熊本の地震、
8月末の台風10号と一連の大雨による災害、
そして10月には鳥取中部の地震、本日も津波警報がまだ出ている状況でございまして、
消防庁としてもそれなりの体制を今しいて情報収集に努めているという状況でございます
が、やはり災害がなかなか多いなという実感をしております。
そういう中で、人口も減っていく、高齢化も進んでいく、財政的にも厳しい状況が相当
続くだろう。しかし、国民の命は守っていかなければいけない。その意味で、消防防災体
制をしっかり我々は確保していかなければいけないわけでございます。当審議会におきま
しては、この人口減少や災害の多様化等社会環境の変化に対応し、必要となる消防力を維
持していくための消防体制のあり方等についてご尽力いただいているところでございます
が、本日は広域化、あるいは消防の連携・協力に関する議論をお願いできればと思ってお
ります。あわせまして、先ほど申し上げました台風10号に係る対応状況、地域の防災体
制等についてもご報告させていただければと思っております。
本日のご審議、よろしくお願いいたします。
【事務局】 続きまして、前回会議以降に就任いたしました消防庁の新任幹部職員をご
紹介申し上げます。消防大学校長 横山忠弘でございます。
【消防大学校長】 横山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 総務課長 米澤健でございます。
【総務課長】 米澤でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 以上でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと存じます。以後の進行につきましては田中会長にお願いし
たいと存じます。よろしくお願いします。
【田中会長】 田中でございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
本日は開催されるのかどうか、若干どきどきしながら参りました。我が社も岩手県に大
津波警報が出ますと災対本部ということになっていますので、どうなるかひやひやしなが
ら見ておりましたけれども、まだ何とかなっているような状況ということでございます。
それでは、本日は、次第にありますとおり、審議事項が2つございます。いずれも今日
中に結論を出すという審議ではなくて、ご議論をいただき、次回以降にまた議論をいただ
くということの案件になってまいります。
初めに、消防の連携・協力に係る取り組み事例ということで、現場のいろいろと工夫、
アイデア、あるいは課題というのを教えていただければということで、愛媛県の松山市消 3防局から発表をいただき、その後、質疑応答をさせていただければと思っております。
2番目が、消防の広域化及び連携・協力に関する答申素案ということで、長官から付託
をされました諮問の内容につきましてと答申の素案が出てきておりますので、それについ
てご議論をいただければということでございます。
あと、先ほど長官のほうからもございましたが、台風第10号に係る対応状況及び地域
の防災体制の再点検というところで、やや北側に台風が直撃するという、非常に新たなフ
ェーズを迎えたような状況について、ご説明をいただければと思っております。
それでは、まず最初に、松山市の取り組み事例につきまして、松山市消防局からお願い
をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【松山市消防局】 松山市消防局の芳野でございます。どうぞよろしくお願い申し上げ
ます。
今日は朝の地震で関東の地震の怖さを十二分に味あわせていただきました。13階に泊
まっていたんですけど、目覚めからほんとうにびっくりしました。
そういう中で、愛媛県、あるいは松山市の取り組みを少し説明させていただきたいと思
います。着座でお願いいたします。失礼いたします。
松山市でございますけれども、四国4県、愛媛、香川、徳島、高知でございます。西側
に位置していまして、もともと70の市町村がございました。これが平成14年から17
年の市町合併で、今20に減りました。実は、この減少率というのが、広島、新潟県に次
いで3番目に減少しているということで、減少率が、広島が73、新潟が72、逆だった
かもしれませんが、その次に愛媛県が今20の市町になっている。もともと消防は、16
の消防本部がございました。それが市町合併に伴いまして、今14の消防本部になってい
るという状況でございます。
歴史的に見れば4藩で、この愛媛県に大体8つの藩があったそうでございますが、それ
が今のを大きく分けますと、
例えばこの中の四国中央であるとか、
新居浜市、
西条、
今治、
このあたりが愛媛県の中の東予、伊予の予の東側ということで東予と呼んでいます。そし
て、松山、東温、久万、伊予市、このあたりが中予でございます。そして、それより南側
が南予というふうに、大きく大体3つの生活圏といいますか、一つの住民になじんだ分け
方がございます。
それで、人口的には138万人なんですけれども、東予のほうは、例えば大王製紙であ
るとか、住友であるとか、今治造船とか、タオルの町であるとかということで、基本的に 4は工業製品を生み出すような場所でございます。中予圏になりますと、工業面で言えば帝
人さんとか東レさんの主力工場がある。井関、三浦のボイラーあたりの工場が中予にある
ということでございます。南予は、どちらかというと一次産業といいますか、水産業が盛
んなところでございます。人口的に138万の構成といいますと、例えば中予圏に大体そ
の半分くらいがいる。県内の人口の半分くらいが中予圏にいる。3割が東予にいて、あと
の2割が南予にいるという、大きく分けますとそういうふうな形の分け方になろうかと思
います。
消防本部の概要としましては、松山市のお話を少しさせていただきますと、この70か
ら20への市町合併の折に、松山の北側にあった北条市という消防本部、人口3万くらい
の市でございましたが、そこの市の消防本部もいわゆる広域化をした。そして、常備化し
ていない中島町という島嶼部があるんですけれども、この図で言う左上の6つの島が中島
町で、当時7,000人くらいいました。ここは非常備消防団の体制しかなかった。これも
含めて松山市に広域化をしたということでございます。
今、
松山市は約51万5,000人
くらいの人口であるということでございます。
消防の広域化というのは、少しこの市町の広域化とは別のタイミングで、ちょっとおく
れて入ってまいりまして、今まで全県を1つの消防本部にしようというプランと、先ほど
申しました東予、
中予、
南予、
この3つに分けた消防本部をつくろうと。
3つに分ければ、
大体30万以上のブロックの消防本部ができ上がるということで、それも1つのプランと
して持っていました。もう一つ、5つプランというのもあったんですが、これはほとんど
議論されていないという状況でございまして、基本的には全県1でスタートをしました。
これで2年くらいかけてやったんですけれども、実際、私も当事者としてその場にいた
わけでございまして、現実的に、最初のスタートが全県1となりますと、いわゆる大風呂
敷を広げ過ぎてしまったのかなというところがございまして、実際にどうするのという具
体的な話になるときに、とりあえず、それでは松山市が中心になって全県の消防体制、署
であるとか、組織であるとか、分署にしたり、出張所にするのかみたいな基本的なプラン
をつくったわけでございますが、現実的には、例えばそれまでは消防の本署だったものが
分署になったり、あるいは出張所になったり、あるいはほんとうに小規模な季節的に運用
しているような救急の出張所なんかはもう廃止しないといけないですよねみたいなプラン
にしていました。
そうすると、非常に反発が個々に出てまいりまして、それともう一つ、実際に消防職員 5は毎日勤務、いわゆる昼夜の勤務をする隔日勤務。消防隊の勤務、救急隊の勤務、救助隊
の勤務というのがあるんですけれども、
毎日勤務に充てている消防本部が非常に少なくて、
大体は小規模な消防本部は兼務をしています。総務の事務の仕事をしながら、あるいは予
防の立入検査をしながら、実際に火事になると出ていく。そういうような問題もありまし
て、実際に毎日勤務者をうまく全県的にばらまくと、結果的に松山市の毎日勤務者が少な
くなるというようなこともございまして、その他いろいろ理由はあるんですけれども、全
県1ブロックは進まなかったという状況でございます。
こういう中で、ちょっとトピック的なお話でございますが、今年は全国の救助大会を松
山でやらせていただきました。それと、11月のゆるキャラグランプリでございますが、
これも実は消防のキャラクターが松山の代表として出まして、投票は全国で14番目で、
14位ということでございました。あと、松山としては、来年、国体が愛媛県で行われま
す。道後温泉は来年の国体が終わったら耐震改修に入るということで、少なくとも5年程
度かかるのではなかろうかというような想定がされておるようでございます。できました
ら、お早く入りに来ていただいたらと思っております。
それで、私どもは、広域化は少し落ちついてきたと。実際70が20になったときに、
市町の温度としては、ちょっと落ちついた感がございまして、松山としても隣の本部をほ
ぼ吸収するような形で、あるいは非常備の島の消防を抱えるようになった。現実的には、
松山からその島嶼部に行く救急体制って基本的になかったんですが、合併後4年ほどして
から消防救急艇を購入しまして、
船に救急車を載せて時速50キロ以上で走れるような船。
特殊な船を買いまして、今それが年間300件ぐらいの島の救急対応をしているというよ
うな状況でございまして、市町合併しても、例えば5年とか10年ぐらいの間は落ちつく
までに相当な努力が必要になると。それに実は消防も入っていたということでございまし
て、一定その対応が大変だったなということで、広域化の熱というのは若干弱いというの
が正直なところでございました。
そうこうしながら、例えば松山市の財政というのは、一般会計ベースで言うと、歳出で
1,800から2,000億ぐらいの間で推移するんですけれども、ここ2年ぐらいの決算
を見ますと130億ぐらい伸びています。地方交付税は少し減りますが、地方消費税分で
上がったり、
若干のプラスマイナスがあって、
上がった分だけ事業は増えているんですが、
その伸びた130億のうちの100億ぐらいは民生費で伸びていると。正直、消防になか
なかお金が回ってこないというような見通しがこれから十分考えられるなというところで 6ございまして、私自身は、3年くらい前から、県内の共同でいろいろ連携してやることは
どんどんやっていこうじゃないかという考え方は持っていました。
特にそういうところはこれから少しお話をさせていただきますが、他の消防本部との連
携の部分になってまいりますけれども、
これまで緊急消防援助隊というのが、
松山も阪神・
淡路も実際は出たんですが、そのときは体制としては緊急消防援助隊じゃなかったんです
が、阪神・淡路、東日本大震災、そして広島市の土砂災害、熊本の地震、こういうふうな
緊急消防援助隊で全国に出ていって、そこで活動するという経験が10年以上、20年近
くにわたって今ノウハウができてきたというのがありまして、これだったら当然県内は愛
媛県の消防相互応援協定、あるいは先ほどの中予圏では中予の消防応援協定がある。それ
がベースであるのだから、
どこに行ってもいいよという感覚は職員の間に根づいています。
そういう前提で、これからは少し県内の連携を深めていこうというふうに考えていた矢
先に、いわゆるまち・ひと・しごと創生法ができましたということになりました。ですか
ら、広域化というベースで物を進めるというのは一段落しているんですけれども、新たな
切り口で、連携中枢都市圏というところで進めていこうじゃないかというのが松山市の発
想でございます。
これは、特に変な悪いことを考えているわけじゃなくて、ある程度松山市が中心となっ
て仕切りができた上で、善意的に広域連携を図っていく。そういう主になれる立場で話が
進められるという利点はあるのかなと思っております。今年の7月に連携中枢都市宣言を
しまして、その中で2点、連携するプランを掲げております。これは事前に周囲の2市3
町、消防本部で言えば3消防本部に照会をかけて、話をして、議会で議決をいただいて、
いわゆる連携中枢都市宣言をした上で連携協約を締結しているという、その中のプランが
2つございます。
1つは、消防の活動拠点を少し高機能なものにして、中予圏で使える、簡単に言えば3
市3町で使える消防署をつくろうじゃないかというのが1つのプランです。この件に関し
ましては、あくまでもタイトルに調査研究というのがついていますけれども、これをする
ための調査と研究をしていこうじゃないですかということでございます。これを必ずやり
ますよという意味ではございません。ただ、こういう研究をする中で、おそらく細かい問
題というのは解決していって、より効率的な体制ができた上で、将来的な広域化につなが
る素地になるんじゃなかろうかと思っております。
その中に、例えば広域化に一番大事な条件というのは、おそらく私は通信指令の共同化 7というのがまず必要になってくると思います。そういうものも中予圏でコントロールでき
るようなものにしましょう。もっと言えば、愛媛県全体の機能を果たすような機能をとり
あえず今度共同でつくりませんかという研究。それと、消防活動もヘリコプターが離着陸
するような施設が必要でしょうし、緊急消防援助隊の拠点とする必要もある。そういう機
能も必要なのではないかなと。
それと、備蓄機能であったり、防災センターであったりするんですけれども、松山市は
観光の町でございまして、観光交流人口で言えば年間で600万人近くになっています。
道後温泉も2,000とか3,000とかいう数字で毎日宿泊客がいるというような状況で
ございまして、道後温泉の旅館組合も、実は愛媛県と松山市と一緒になって、旅館のお客
さんを震災時にどういうふうにまとめて、どういうふうに家へ帰してあげるかというよう
なプラン立てを、計画をつくりまして、今、公表しているところでございます。
例えば、そういう旅行者が一時的に避難できる部分というのも必要ですよねみたいな話
で、そういった避難所としての機能、あるいは消防活動上で言えば愛媛県の指揮隊車、こ
れは国から配備されているものなんですけれども、全県的に愛媛県の消防隊を引っ張る立
場の車両、部隊、あるいは拠点機能形成車。これも緊急消防援助隊で使う車両です。全県
的に使えます。全国的に展開します。それと海水利用型の遠距離大量送水システムという
スーパーポンパーというのがございますが、
福島原発で冷却に使った車両だと思いますが、
これも配備を受けています。
このセットを今、
松山としては国から配備いただきまして、
1つの車庫に入れています。
特別につくりまして。そういう発想から見れば、やはり全県的に、全国的に動く部隊とい
うのは、別に施設ごとつくってもいいよねという発想になります。そういった中で、つい
でに、これは従来からあるんですけれども、はしご車でございますが、今、松山で4本あ
ります。中予圏でプラス2本で6本あります。正直、実際に火事で延ばして水を出すとい
うのは年に1回ある、なしぐらいです。そういうところで見たら、例えばこのはしご車を
有効配置すれば、もう少し予算的にも効果的な、効率的な運営ができるんじゃなかろうか
というふうに考えます。はしご車というのは大体2億円弱でございまして、それに3回の
オーバーホールが必要になります。これが20年から23年くらいの間で3回ぐらいのオ
ーバーホールをします。
そこら辺を償却しますと、
大体年間1,000万強が1台に対して
必要だというようなことで、そのあたりを考えますと、職員が2人雇えるみたいな話にな
りますが、そういうような、こういうはしご車も一定道路網の整備等々で考えられるので 8あれば、隣の市あたりと共有してもいいんじゃないのかなというふうに考えております。
こういったのが一つの消防の防災拠点施設として連携中枢都市圏において計画しているも
のでございます。
それともう一つ、昨年、平成27年に救急のワークステーションというのを、三次病院
であります愛媛県立中央病院のすぐ隣につくりました。ここも実は松山市の施設ではあり
ますが、現実的には周辺の救急隊というのは松山のお医者さんに来て研修するというのが
もともとありまして、それならばこれもここを使って常時研修施設兼お医者さんが乗って
救急車で走れる体制というのもあわせてつくっていいんじゃないのかなということで、こ
れも連携中枢都市圏の枠の中でやっていこうと。これは見通しとしてはより現実的な部分
で、おそらくこれはやっていくようなことになるだろうと思っています。
現実的に、今年の4月からの半年間で、例えば救命士の再教育病院実習、これは2年間
で48時間以上必要でございますが、延べで145人も実際やっているということです。
病院の研修も延べで64人、救急救命士の就業前の研修、これも1人当たり160時間と
いう長い期間が必要なんですが、これも三次病院隣接のワークステーションで、どんどん
周りから来ていただいて、病院が受けられる範囲受けていただけると十分な研修の連携が
できるんじゃないかなというふうに考えています。この2つが連携中枢都市圏の枠の中で
進めようとしているところでございます。
あと、そのほかには、これは3年前からやっていますが、県内の消防本部から松山に来
ていただいて、どんどん一緒に仕事をしましょうと。ただし、立場はもとの消防本部の立
場なんですが、どんどん松山でいいこと悪いこと何でもいいから、とにかく一緒にしなが
ら研修してくださいということで門戸を広げております。そういう中で、既に9人が実際
に松山で、期間も半年以内だったらいつでもいいですと。ただし宿舎は自分のところで考
えてくださいということで、マンスリーマンションとかそういったところに入って、松山
市の消防局で研修する。こういったこともやっていまして、非常に派遣した消防長からは
好評をいただいております。こういう連携ができ出すというのも、基本的には消防職員が
市町の消防で、非常に細かいことを言いますと、飯のつくり方とか仮眠の仕方というのは
やっぱり違うんですね。そういう文化が少しずつなじんでくると。広域化にはそういう細
かいことも必要なんじゃなかろうか。あまりギャップがあり過ぎると、精神的に疲れても
う消防をやめてしまうみたいなこともあり得ますので、そういう部分では非常に効果があ
るんじゃないかなと思っています。 9あと、火災原因調査の、これも特殊な機材を消防庁から配備をいただいております。X
線透過装置とか、これは原因調査に科学的なアプローチで原因を究明していくというもの
なんですが、これらに関しましても、もう既に県下の消防本部から38回の依頼を受けて
います。四国内でも2回の依頼を受けていると。当然、松山市消防局としては150回以
上それを使って原因調査をやっているという。これは非常に後々防火の、基本的には火災
予防がベースなんですけれども、消防としての技術を上げていく中では、小さい消防本部
ではなかなかできない部分だから、これも協力してやりましょうと。こういった形で県内
の連携を特に強化をしているというのが今の愛媛県松山市の状況でございます。
ちょっと飛ばしたんですが、こういうような状況でございます。よろしくお願いいたし
ます。
【田中会長】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等をいただければと思いま
す。どなたからでも結構でございますが。これは松山市で研修を受けられていらっしゃる
そうなんですけれども、逆にそれも1人減ると松山からそれを応援に行くということは、
いわゆる人事交流というか、人事交換的にやっていらっしゃるよりは、研修として受け入
れているという形をされているということでしょうか。
【松山市消防局】 本来であれば、そういう形が一番いいと思うんですけれども、当方
の職員も、単純に51万人の市民がいたら、多分ざっと510人ぐらいの消防職員がいた
らいいのかいうところなんですが、460弱なんですね。いろいろうちは、それこそ総務
省消防庁さんに研修でお世話になったり、消防長会さんにお世話になったりというのでそ
れなりに出しているんですけれども、なかなか交換ってできませんよという条件で、それ
でいいのならどんどん来てください、どんな職種でも受けますということです。
【田中会長】 なるほどね。ありがとうございます。はい、どうぞ。
【小川専門委員】 小川でございます。大変すばらしいプレゼンテーション、ありがと
うございました。これは全国の参考になる、先鞭をつけるものとして高く評価しますけれ
ども、細かいところでちょっと伺いたいのです。というのは、いろんなところから研修の
消防職員が来られると。文化の違いなどの問題も認識をして摺り合わせていくということ
なのですが、例えば、私が消防にかかわったときにびっくりしたのは、地域ごとに用語が
違うということですね。例えば東京消防庁は現場に行くのを出場と言います。オリンピッ
ク出場みたいだと言ったら、名古屋市消防局の局長さんが、我々は出動と言います。出場 10なんて軟弱でしょうがないという言い方でした。どうってことないじゃないかと言えばそ
れまでなのですが、緊急の現場では用語を統一せよというのは、実はアメリカの国土安全
保障省でも言っているぐらい、やっぱり問題が発生する可能性がある。だから、用語の統
一などについても、そういった研修の中で取り組んでいらっしゃるかどうか、ちょっとお
伺いしたいと思うわけです。
以上です。
【松山市消防局】 おっしゃるとおり文化の違いというのはそういうところでございま
して、最近、松山でちょっと意識して、特に用語というわけではないんですけれども、救
助隊とか救急隊というのはある程度教育機会を持って、あるいは全国の救助大会なんかも
あって、一定の使う用語とか資機材の名前とかというのはしっかり共通項としてあると。
ただ、
一般の消防隊というのは、
例えば全国にそういうものをお見せする機会もないし、
実力を市民にわかってもらう機会もないということで、3年前から警防訓練会というのを
やっています。これは1つの火事に対して何人かを救助してというのを1つのパターン化
しまして、それを競技にしています。競技にすると、一定その用語も大体共通項として使
うようになってきます。
そういう中で、この警防訓練会というのも来られた職員に体験もしてもらう、あるいは
よその消防本部からの見学もしていただくというようなことで、実施要綱あたりで、そう
いったところの共通化が図られていくんじゃないかなと思います。ですから、これも消防
職員の受託研修をする中で、少しずつ行われていくんじゃなかろうかと思っております。
以上です。
【小川専門委員】 ありがとうございます。
【田中会長】 ほかいかがでしょうか。どうぞ。
【松本委員】 プレゼンテーション、ありがとうございました。日本医師会の松本でご
ざいます。
9ページに、医師同乗により救急出動というのがございましてご説明いただきましたけ
れども、これは県立中央病院からドクターカーのような形で出て行かれて、例えば現場に
行ったとき、県立中央病院に患者さんを運ぶのか、それとも直近の救急病院に運ぶのかと
か、そういうところの連携体制とかはどんなふうに構築していらっしゃるでしょうか、教
えていただければと思います。
【松山市消防局】 基本的には松山市内ということでございまして、病院の勤務してい 11るお医者さんに、現地の119番の情報を受けて、まずは直近の救急隊がアプローチする
ようになります。同時に、通信指令段階で状況がわかっておれば、例えば鉄道事故とかい
うのはすぐに出ていただくような形なんですが、
最直近の救急隊が出て、
そこで判断して、
これはお医者さんを呼んだほうがいいよということになりますと、その段階で呼ぶという
ことで、現場に2台の場合もございます。状況によっては、PA連携といいまして、ポン
プ車と救急車が一緒に出てという場合もありますので、1つの事故現場、救急現場に3台
とか出るような形になっています。
【松本委員】 ありがとうございます。
【田中会長】 よろしゅうございますか。はい、どうぞ。
【相川委員】 ありがとうございました。NPO政策研究所の相川と申します。
松山市さんの場合は、連携中枢都市構想の枠組みを生かして取り組んでおられるようで
すが、これは従来の、つまり連携中枢都市以外の自治体の連携の仕組みの中ではできなか
ったことなのでしょうか。連携中枢都市の枠組みでしかできなかったことと、それ以外で
もできることとを分けて教えていただけるとありがたいです。。それから、8ページ目のところに、今たくさんの特殊車両をこの枠組みで整備され、今
のところ松山市内の1カ所の車庫に入れておられるということでした。ご本人もはしご車
の効率的な配置に言及されておられましたが、これらを今後、各地域に分けていく、どこ
にどのように配置すればよいいのという計画を進める上で、何がネックになりそうでしょ
うか。この2点について教えてください。
【松山市消防局】 まず広域化で、連携中枢都市圏で物を進めていこうという動機でご
ざいますけれども、基本的に、先ほどご説明させていただいたように、広域化の議論、あ
るいは通常の消防組織法第39条になりますが、市町村は、消防に関してお互い連携する
よう努力しないといけないと書いているので、それはそれでやるんですけれども、現実的
には、広域化の話が出るまで、意外と部隊をよその市町に送るということはほとんどない
んですね。境界の火事に出るということはあるんですけれど。
1つ、広域化の中で処理しようとしていたのが、実は落ちついてしまっていまして、7
0の市町村が20になる。
あるいは、
その20になる段階で既に消防も2本部減っている。
あるいは、今治消防なんかは、しまなみ街道の橋がついた島は今治市がとって、それ以外
の離島は上島町みたいな整理も、実は消防の中で再編がありまして、そういう中で進めて
きていて、
一定落ちつき感がありまして、
それだともう進まないねみたいな見通しもある。 12そうこう言いながら、松山市も非常に財源難が顕著になっている。人口減少は25年後ぐ
らいには7万人、8万人ぐらい、このまま放置すれば減るというふうなことになります。
そうなってきますと、やはりちょっと危機感がありまして、これは連携中枢都市圏で、
松山市が主導になって、少しいろんな問題を解決する努力をしていきましょうと。そうい
う中で、お互い有利なところをつまみ食いしてやっていったらいいじゃないかということ
で、それを研修所と、あるいは松山市が持っている資産をそういうものに活かせるのであ
れば、どうぞというような形で進めていける有利なところがあるということで。
【相川委員】 かなり主導権をとれるということですかね。
【松山市消防局】 そうですね。主導権といいますか、どこかやっぱり広域化するとき
には柱がしっかりないといけないなというのも一つで反省でありまして、松山市のDNA
じゃないんですけれども、市町村合併の基本方針が、松山市の制度、システムに一元化す
るという柱をベースにして、それから具体的な話になっていく。そういうものがあったほ
うがより進みやすいんじゃないかなということで、この方法をとったということでござい
ます。
あと、この消防車両につきましては、今、松山の西消防署、特にコンビナートとか重要
港湾、それと空港とか、他の安全に係る関係機関が集中している地区があります。海上保
安部、警察、入管、空港管理等々です。そういうところを管轄するところに今のところ置
いていると。敷地の状況も影響してくるんですが、これ用の車庫を特別につくって今収納
しているという状況でございます。これからそういう施設をやる、やらないというのも含
めて、
実は松山市の消防局の庁舎も40年以上たっていまして、
そろそろ更新ですという、
そんな見通しも含めて施設ごと考えたらどうか。
そのときに、その研究ですか、消防署所の適正配置とかいう委託をできるんですけれど
も、そういうものを一つ視野に入れながら、専門家のアドバイスをいただきながらやって
もいいのかなというような考えを今持っています。
以上でございます。
【相川委員】 ありがとうございます。
【田中会長】 その前に、誰か連携事業に関して消防庁のほうで補足があれば。そのあ
と関澤委員に。
【消防・救急課長】 連携中枢都市圏につきましては、実は地方交付税と国費、国の補
助金で、地方団体に対して、特に中心の市、松山市に対してかなり手厚い支援ということ 13をしています。それがかなりの力になっております。また、連携協約という、後ほどご説
明しますけれども、地方公共団体間の、いわゆる国と国の条約みたいな形で、お互いの連
携をしていきましょうという制度を、2年ほど前に地方自治法を改正しまして、連携協約
という仕組みをつくりまして、
それを活用していただくことで、
より法的な根拠もあると。
ですから、法的な根拠と財政的な根拠でもって進んでいったということでございます。
【田中会長】 では、関澤委員、どうぞ。
【関澤専門委員】 ちょっとその辺をお聞きしたかった点もあったのですけど、8ペー
ジを読ませていただきますと、今、消防審議会のテーマそのものが、縮小しつつあるこの
社会情勢の中で、広域化をどう進めるかということだったので、そのパイロット的な事業
として、今、松山市が置かれているのでしょうか。
質問のポイントは、1つは国との連携を踏まえて、予算も国からも出て、こういう施設
も含めて、車両も含めて、今、松山市さんが中心になって進めてこられるのか、それとも
愛媛県、あるいは松山市が主導して再編成、中予を中心とした消防本部にしていこうとい
う中での構想のもとでこういうことをされているのか。指令管制の共用とか消防活動施設
というのは、これは新しい消防本部だなと見てすぐそう思うんですけれども、中予、松山
市消防局の名前になるかもしれませんけれども、その下準備をされているのか、その辺を
お聞きしたかったところです。
【松山市消防局】 現時点では、このまち・ひと・しごと創生戦略をベースに松山市で
スタートをしまして、周辺を巻き込んでいるという状況でございまして、特に大きく県が
入っているようなお話ではございませんで、実際にこの話を進めていくときには、実は消
防だけじゃなくて、ほかの民生レベルでもいろいろな業務連携というのがあります。そう
いう大きな動きの中の一つに消防のこれがあるということでございまして、ただ、具体的
にどう進めるのかと言いますと、現実的には、そういう県内の消防長会というのがござい
まして、まず消防長さんに集まっていただいて、松山の意向、考え方をお伝えして、先日
もあったんですが、県下の消防にも実は中予圏でこういう動きをしているんですよという
ようなご説明もさせていただいたということで、基本的には、今の段階では松山で進めて
いるという状況でございます。
【関澤専門委員】 わかりました。
【田中会長】 ほかはいかがでございますでしょうか。では、はい、どうぞ。
【重川委員】 非常に先進的な取り組み、ご紹介ありがとうございました。1点お伺い 14したいんですけれども、平成26年度からの取り組みということで、まだまだ評価するに
至る時間は経ていないんですけれども、そういった取り組みをされている中で、一方で、
まだ県内の消防本部さん、管轄の人口は50万のところから、例えば久万高原なんかです
と山間部で広くて人口8,000人ぐらいと。
依然、
かなり消防本部に大きな差があるんで
すね。それがいい悪いではなく、今やっていらっしゃる連携の体制の中で、消防の側では
なく消防行政のサービスを受ける住民の側の立場に立ったときに、今取り組まれているこ
とをもってすれば、かなり消防本部の格差による、例えば住民の立場でいけば救急とか、
救助とか、警防とか、予防とか、通常の教育訓練を受けるとか、そこら辺の観点で問題点
が解消されるのか。あるいは、それをもってしても住民サービスという立場でいくと、改
善し得ないような問題があるのか。まだそれをお話しいただくのは時期尚早なんですけれ
ども、今感じていらっしゃることでもしあれば教えていただければと思います。
【松山市消防局】 既に、
例えば救急業務になりますと、
大体救急指定病院の二次病院、
三次病院というのは、基本的に愛媛県の中の中予圏に1つあって、そこをベースに消防本
部が4つありますけれども、ほとんどが共用しているような状況でございまして、住民ベ
ースで見れば、それぞれの救急隊さえしっかりできておれば、基本的にはあまり問題がな
いと。
まだこれは研究段階でありますが、
こういう方向に向かっていく過程で、
明らかに、
例えば余分にと言ったらあれなんですが、はしご車なんかは効率的な配置ができればほと
んど変わらないサービスができますというようなこと。
それと、例えば久万高原町は少ないけれども、特殊な災害が起きた場合には、松山の高
度救助隊が行きますよというその安心感でも全然違うんですね。現実的に松山の高度救助
隊が愛媛県の防災航空隊と協力して宇和島に行って、化学災害とかバイオという特殊な災
害に緊急で愛媛県の航空隊と連携してそういう部隊を現地に持っていく。陸隊も当然いる
んですが、そういった訓練を昨年から既に始めています。
そういう中で、実質住民の安心感とともに現実のサービスとしても1つそういうトレー
ニングができていってるんじゃないのかなと。その環境を少しずつつくっていくのが、将
来的な人口減少であるとか、財政難であるとかに対応した平均化されたサービスができる
ようになるんじゃないのかなと思っています。
松山は都市部ですから、都市計画上、住民がある程度固まった部分で住んでいるんです
が、一旦郊外に行きますと、どこにでも田んぼの中に家に建っていまして、例えば防災無
線を1個立てるのも、どこに立てたらいいかわからないんですね。市内だったら、集中し 15ていますから、そこに立てればほぼ1本で効率よくできるんだけど、周辺部に行くとそれ
が3本も4本も要る。あるいは、おらが村は聞こえんから立ててくれみたいな、そういう
のが消防にも多分出てくるんじゃないかなという気がします。
【重川委員】 ありがとうございます。
【田中会長】 それでは、ちょっと時間もまいりましたので、また後ほどの議論の中で
も、多分今日の答申素案にもすこぶる関わることなので、またいろいろとご教授をいただ
ければと思います。
それでは、2番目の議題のほうに入ってまいりたいと思います。冒頭申し上げましたよ
うに、諮問を受けました消防の広域化及び連携・協力に関するということで、答申素案と
いうものを用意していただきました。それに関しまして、資料2から4に基づいて、小宮
消防・救急課長からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【消防・救急課長】 座って失礼させていただきます。
資料2と3で少し状況をご説明させていただきました後に、それを受けて資料4という
形で、
今日初めてごらんいただきますが、
答申のたたき台を見ていただければと思います。
まず、
資料2でございます。
1つが表紙でございますけれども、
広域化が進まない理由・
広域化後の課題と、そうしたことに対する対応。2つ目が連携・協力の例。3つ目が、先
ほど連携協約がございましたけれども、地方自治法上の事務の共同処理等の手法。最後が
消防の広域化と連携・協力の推進方策のたたき台でございます。
おめくりいただきまして、1ページから3ページまで、広域化が進まない理由ですとか
広域化後の課題、それに対する対応ということで、少し細かくございますので、幾つかピ
ックアップしてご紹介させていただきます。まず、広域化が進まない理由で、メリットが
見出せない。地理的な理由でメリットが得られないといった話。これにつきましては、広
域化のメリットはあくまでも警防業務と申しますか、住民サービスの向上というのがメイ
ンなんですけれども、1行目の真ん中に書いてございますように、適切な人事ローテーシ
ョン。つまり、例えば小さな本部で、1本部1署で40人しかおられなくて、40年間ず
っと同じ職場にいると。そういったようなことを解消するような、組織の活性化として、
これはかなり大きな理由ですねということですね。
そして、
その2つ飛ばしまして、
小規模本部では消防力が低下するデメリットばかりだ。
これにつきましては、前回もご紹介させていただいたんですけれども、右側の対応の3行
目、熊本地震で益城町・西原村では、熊本市の消防局に委託をして広域化しておりました 16ことで、かなり対応力が向上した。こうしたような先進事例も踏まえていただきたいとい
うようなこと。
1つ飛ばしまして、今度は逆に大都市本部のほうでデメリットが生じる。自分たちの消
防力が出ていってしまうのは嫌だということ。これにつきましては、その3行目でござい
ますけれども、管内の消防力を直ちに均一にしなければならないわけではなくて、地域の
実情に応じて中長期的に、今の松山市さんのお話のような形で考えていただきたいという
ようなこと。
その次の地域とのつながりが弱まってしまう。これにつきましては、構成市ごとの基幹
消防署に消防団や自主防災組織に関する窓口ですとか、そういったようなことを残すとい
うようなことが考えられませんかということです。
2ページ目の下のほうの調整が困難。さまざまな議論をして調整が困難ですという中の
一番上が、人件費の調整。給与なんですけれども、これにつきましては、処遇、給与水準
を広域化。直ちに全く同じにするというのはなかなか難しいので、他の広域化した事例を
参考にしながら段階的に行っていってはどうかというようなことですとか、2つ飛ばしま
して、本部の所在地。松山市さんのようなところはいいんですけれども、同じような規模
の市が3つぐらい広域化するときに、本部の所在地につきましては、複数の構成市の基幹
消防署に消防団や地域住民の窓口の機能を存置するとか、あるいは本部の機能を1カ所に
集約するのではなくて、例えば警防についてはA市ですけれども、予防についてはB市と
か、そういったような分離することも選択肢ですねということでございます。
おめくりいただきまして、3ページ、今度は広域化をしたことで新たに生まれた課題と
いうことで、構成団体の増加による意思決定の遅延。これは関係の市長さんが3人とか、
下手すると10人ぐらいになりまして、あるいは組合、議会も出てきます。ただ、これは
やむを得ないことなんですけれども、
右の対応に書きましたけれども、
組合の規約の中に、
例えば1で、経費についての構成市町村ごとの負担金の額ですとか、負担割合の基本的な
ルールを定めておくことで、その後の調整が少し緩やかになるのかなというようなこと。
最後に、3番目で、広域化した後もなお存在する課題ということで、職員の処遇の平準
化ですとか、
あるいは消防署所や車両の適正な再配置が行われない。
これにつきましては、
2つ目の四角ですけれども、車両や署所の更新時期に合わせてしっかりと計画をつくって
いただいて、その上で、計画的に再配置をするということで皆さんのご了解を得るといっ
たようなことかなと思いまして、こうしたようなことにつきましては、少し整理をさせて 17いただきましたので、これから全国の消防本部にもこうしたような内容について周知をさ
せていただくことで、さらに広域化に資するようにしたいと考えております。
次の4ページからが連携・協力の例でございます。今、松山市さんから非常に丁寧にわ
かりやすくご説明いただきましたので、参考程度でございますけれども、4点ほど少し例
を考えております。
まず1点目が、指令の共同運用によりゼロ隊運用や直近指令を行うことなどによる相互
応援体制の強化でございます。その下の四角、点線でございますけれども、
「ゼロ隊運用」
と申しますのは、受援、応援を受ける側の消防本部の管轄に出動可能な車両がなくなった
場合に、自動的に応援出動しますということでして、これにつきましては、その下のポン
チ絵を見ていただきますと、A市の消防本部とB市の消防本部がありました。A市の消防
本部で、左側で交通事故、トラックと車がぶつかっていますけれども、これで119番通
報がありまして、指令センターから出動指令で、A消防署から出動で、先ほどPA連携と
ありましたけれども、PとAが出て行きました。そして、消防署の中に待機車両がゼロに
なりました。このときに、すぐ直近でまた、ちょうどA市とB市の市境のA市の中で、お
じいさんが杖ついて倒れていますけれども、これで119番がその後にありましたと言っ
たときに、これは本来はA消防署のエリアですので、A消防署から救急車が行きたいんで
すけれども、救急車がいないものですから、B消防署から出動すると。これは自動的に指
令センターのほうでA署に白い車がいないというのはわかっていますから、自動的にB署
にボタンを押して出動指令をかける。
これは、実はこうしたゼロ隊運用がなされていないケースといいますのは、指令の共同
運用している場合でも実はたまにありまして、つまりA消防署で車がなくなったときに、
A署からB署にあらかじめ電話をするのです。実はうちで今救急車がいなくなったので、
もし今A署内で119番通報があったらおたくの車を出していいですかということをお願
いして、いいですよという電話を受けて、それで119番があれば指令センターがボタン
を押すということになっています。これは時間がかかります。これを、そうした電話のや
りとりをしなくて、自動的に指令センターが車の状況をわかっていますので、ということ
がゼロ隊運用でございます。
「直近指令」は、似た話でございまして、今申し上げました、杖があるおじいさんが倒
れている場所はA市のA消防署の管内なんですけれども、実はB消防署のほうが地理的に
近い、速い場合には、これは直近と申しまして、自動的にこのおじいさんについてはB署 18が出ていくと。これは地図がわかりますから、これもあらかじめ実際のA署、B署の管内
じゃなくて、近いところが出ていくということを、あらかじめ指令センターのほうで指令
できるようにしておくというのが直近指令でございます。
その下でございますけど、その他の例ということで、例えば共同運用する消防指令セン
ターと共同運用していない隣の単独指令の消防本部の間で、今申し上げましたような、お
互いの車両動態を共有することで、ゼロ隊運用的なことができるというようなことを検討
されている例がございます。
その下でございますけれども、これも共同指令していなくても、A市の救急隊がゼロに
なった場合に、B市の本署に救急隊が残っていれば出張所の救急隊は自動的に出してあげ
ますよ、そういったような体制も検討されておられます。
めくっていただきまして、
5ページでございます。
これは車両の共同整備ということで、
今、松山さんのほうでお話がございました。ここに書いてございますのは、近隣のA市と
B市のC市で、はしご車、
特殊災害車、
化学車、それぞれ1億円から2億円します。かつ、
年間の維持費も1,000万、2,000万かかります。10年間1回も出たことありませ
んという話も聞いたことがあります。こうしたような車両を、A市とB市とC市でお互い
が持ち合うというようなことで、
かなりコストが削減されますねということでございます。
そのほか、その下にその他がございますけれども、2つ目の丸ですけれども、例えばこ
うした車だけじゃなくて消防艇ですとか、トンネル火災の排煙車、こういったものも検討
されているところがございます。
6ページをごらんください。これは境界付近における消防署所の共同設置。これは、現
在こういったことをやっておられる例は把握しておりませんけれども、検討されている例
はございます。これはA市とB市の出張所が市境にありまして、これが例えば40年たっ
て更新時期が近いというときには、これを真ん中に1つ建てて、これによって機材も人も
効率化できるというようなものでございます。
例えばその下の例でございますけれども、新興住宅地が両市にまたがって開発されたと
きに、出張所をお互いにつくりましょうと、こういったこともあるかと思います。
最後の例が、7ページが予防業務でございます。これも今、松山市さんがお話でござい
ました。こうしたような例も幾つかされておられます。
次に、8ページからが、先ほど連携協約の例がございました。ちょっとそこだけご説明
いたしますけれども、特徴のところです。連携協約。地方公共団体が、連携して事務を処 19理するに当たっての基本的な方針及び役割分担を定めるための制度。
二者間で協定を締結しますけど、三者以上の地方公共団体間でマルチに締結することも
想定。AとB、AとC、BとC。その際、各協約の内容が異なることも想定ということに
なっています。
これはもう法律にこれしか書いていませんので、こうした形で自治体間が連携をしまし
ょうということを進めるという制度ができまして、これを使った連携中枢都市圏制度に対
して財政支援もしているということで、右の活動実態がございますけれども、松山市さん
に加えて宮崎市も近隣で消防防災について、あそこは南海トラフで津波がだあっと日向灘
は来ますので、そこでみんなで消防車はやろうということで、連携協約の中に、宮崎市の
連携中枢都市圏の中の事業にも入ってございます。
そのほか、協議会ですとかは活用実態がございますけれども、指令の共同運用で協議会
は使われております。
あと、機関の共同設置ですとか、めくっていただきまして9ページに、事務の委託とい
うのと、
その下に事務の代替執行がございます。
事務の委託と申しますのは、
上から2行、
3行を見ていただきますと、事務を受託した側の地方団体がその権限を有することになり
ますので、委託した側、お願いした側は権限がなくなってしまいますので、例えば予防事
務のように権力行政をするときにはあまり好ましくないかもしれませんので、それで下に
書いてございます事務の代替執行という制度を、2年前に自治法を改正しました。これは
今の事務の委託と逆でして、お願いはしたけれども、権限は残っている。ですから、相手
の地方団体は手足として使うだけなんですね。
といったようなことで、これは今申し上げましたような、予防業務のような法的権限の
強いような事務を行う際にも使いやすいですよねということで、こうしたようなことを、
これも整理いたしましたので、こうしたことも広域連携を進めるに当たっての地方団体へ
のアドバイスとして、またこれも各本部にお伝えしたいと思っております。
すみません、
最後のページ、
11ページの前に資料3をごらんいただけますでしょうか。
資料3が、これは実は全国の各消防本部の管轄人口規模ですとか、広域化ですとか、共同
指令の実態を書いたものでございまして、表紙をごらんいただきたいんですけれども、表
紙の中の右に太い赤枠があります。これが平成18年に消防組織法を改正して広域化を進
めた以降の広域化が実現された地域が赤枠なんですけれども、
これが48圏域ございます。
そして、1つ飛ばしまして、オレンジでございます。指令の共同運用の実施地域。ですか 20ら、広域化はしていませんけど、指令だけやっているという地域、オレンジが45ござい
ます。それで、左の下のピンクをごらんいただきたいんですけれども、広域化もしくは指
令の共同運用のいずれも行っていない人口10万人未満の消防本部、または広域化や指令
の共同運用を行っているけれども、なお人口が10万人に達していないというところがピ
ンクでして、これが実は733のうちの336、まだ半分近くございます。これが336
ございます。
ぱあっとめくっていただきまして、北海道はほぼピンクですし、あと九州、四国もピン
クが多いです。この中で表紙の緑が、柔軟な連携・協力を検討しておられる地域が現在十
幾つございまして、ざっと見ていただきますと、2ページ目の北海道南部の札幌市の付近
で、指令台の共同運用を考えておられます。
8ページの山形で、酒田と鶴岡、これも指令の共同運用の検討を進めておられます。
14ページをごらんいただきまして、千葉県の左側と申しますか、北西部で、船橋市を
除いて32年から指令の共同運用としております。実は、千葉市の東側は既に人口300
万で、千葉市を中心として共同指令がされています。
32ページ、和歌山県で、田辺市と白浜町が、これも今後の指令台の更新時期で共同運
用を考えておられます。
40ページ、これは愛媛県松山市さんの先ほどの例でございます。
41ページで、高知県の土佐市と須崎市で救急隊のゼロ隊運用的なことと、水難救助隊
のお互いの活用というものでございます。
次が47ページで、宮崎市ですとか、西都市ですとか、東児湯で指令の共同運用を議論
されておられます。
最後に、
沖縄県で、
左側の那覇市と浦添市の消防本部で、
これは珍しいんですけれども、
署所の共同での運用の議論をしようかということでございますし、右のほうでございます
けれども、
沖縄県は4つの本部を除いて既に指令の共同運用をされておられますけれども、
全県1つで将来的には指令の共同運用を考えているということでございます。こうした例
がございます。
すみません、11ページにお戻りいただきますと、今申し上げましたような広域化と連
携・協力という実態を踏まえまして、これからの考え方を整理させていただきますと、左
側が消防の広域化でございまして、これにつきましては、都道府県のところをごらんいた
だきますと、都道府県が推進計画というのを策定しまして、県が広域化の組み合わせの計 21画をつくります。
それが1つ原点になるんですけれども、今回につきましては、今、連携中枢都市圏で松
山市さんのお話がございましたけれども、広域化のほうは法律に基づいて都道府県が市町
村の組み合わせの主導をするというような仕組みが法律上ございますので、これを同じよ
うに都道府県が連携・協力についても計画をつくってということになりますと、どっちを
県としてやるのかなということがございまして、もともとこうした連携・協力については
実際の市町村の現場でお互いにやっていこうということで進めておられますし、あと都道
府県にも少し意見を聞いてみましたら、都道府県は広域化を推進するという法律上の立場
があるので、県が連携・協力の計画をつくるのは、いささか県としてはやりにくいという
ような声がほとんどでございましたので、都道府県のところは、計画はつくらずに、管内
の市町村の連携・協力の取り組みについて、必要な調整を行うということでどうかという
ことでございまして、市町村につきましては、広域化するときにも広域消防運営計画をつ
くりますし、連携・協力を行うときにも実施計画というのをつくっていただいたらどうか
ということでございまして、左側の広域化につきましてはX組合消防本部と書いてござい
ますけれども、一部事務組合などで組織が1つになりますが、右にございますように柔軟
な連携・協力ということですと、組織は統合しないで、連携協約ですとか、代替執行です
とか、
委託ですとか、
協議会という形で、
緩やかな形で連携をするということになります。
ただ、先ほど申しましたけれども、こちらの柔軟な連携・協力のほうは人事が一本化し
ませんので、交流はするんですけれども、結局、人事は一本化しませんので、先ほど申し
ましたように、1本部1署で40人しかいない職員の方が、そのままずっと40年間いる
というような人事上の難しさというのは、この連携・協力の場合には若干残る可能性はあ
るということで、そこが大きく広域化と違う点じゃないかと思います。
最後に、今申し上げましたようなことを踏まえまして、資料4が答申の素案ということ
で整理をさせていただいております。少しはしょりながら簡単にご説明させていただきま
すけれども、1つが消防を取り巻く課題とその対応方策ということで、これは人口減少で
すとか災害の多様化ということでございまして、2つ目の丸が消防の広域化は、そのため
の最も有効な方策であり、より積極的に引き続き進めていく必要がある。
一方で、消防の広域化は、組織の統合に向けた調整が困難であるなど、実現にはなお時
間を要する地域もある。そのような地域においては、消防の広域化に向けたステップとし
て、消防業務の性質に応じて業務の一部について柔軟に連携・協力することを検討の上、 22推進していく必要があるということでございます。
2番で、連携・協力の推進。
(1)連携・協力の推進の必要性ということで、最初の丸は
上の丸とほぼ同じでございまして、2つ目の丸、連携・協力の効果は、災害対応能力の向
上、施設整備、維持管理に係る経費の効率的な配分、人員の効率的な配置、現場要員の増
強、消防本部間の人事交流による職員の能力・職務意欲の向上といった効果があると。
なお、連携・協力をステップとして、消防力の確保・充実の方策としてより有効である
消防の広域化を目指すことが特に重要だということでございます。
(2)連携・協力の推進方策でございますけれども、今申し上げましたように、連携・
協力につきましては、法律に位置づけて広域化と同じように推進することも考えられます
が、消防体制の整備・確立のために広域化を最も有効な手段として今後とも継続して推進
していくべきだということを考えますと、連携・協力の推進につきましては、法律の規定
によることはなく、通知などによって行うことが適当である。
連携・協力を推進するため、連携・協力の実施主体となる市町村、都道府県及び国はそ
れぞれ以下の役割を果たすということでございまして、
(ア)
で、
市町村の役割につきまし
ては、今申し上げました連携・協力を行おうとするときは、
「連携・協力実施計画」をつく
っていただいて、その中で1つ目のポツは基本方針で当たり前なんですけど、2つ目のポ
ツが広域化とは違っていまして、つまり一部の事務を連携・協力するものですから、何を
連携・協力するかという事務の内容と方法、そして連携・協力を行う事務と連携・協力を
行わない事務、これを例えば警防活動は行わないけれども、指令だけ行うとすれば、そこ
をどうやって関連するかというのがあります。そうしたような、どうやって関連するかと
いうことを明確に書く必要があるということ。
(イ)で、都道府県につきましては、都道府県は、組織法に基づき広域化を推進すべき
立場であり、また、市町村の自主的かつ多様な連携・協力を尊重する観点から、連携・協
力について、
組み合わせを示すなどの計画の策定は行わないとすることが適当ではないか。
なお、都道府県が計画策定をしないものとした場合においても、管内の市町村の連携・
協力の取り組みについて、もし市町村から求められたりすれば、必要な調整、アドバイス
を行うなど、広域自治体としての一定の役割が果たされるということだと思います。
最後に、
(ウ)国の役割でございますけど、これは当たり前なこと、基本的な考え方です
とか、推進期間でございますけれども、またのところで、必要な財政措置について検討す
ることが求められると書かせていただきました。これにつきましては、実は自治財政局の 23ほうに、今、広域化につきましてはかなり手厚い地方債、交付税措置がありますので、そ
うしたような形で、例えば指令の共同運用をするときのハード整備などについて、今、財
政局と議論中ですし、そのほかソフト経費、例えば準備経費などについて、国費で支援で
きないかということも、財政当局に要求中でございます。
(3)推進期限でございますけれども、2つ目の丸でございます。いまだ小規模で不十
分な消防力しか備えておらず、
かつ、
広域化の実現が困難である地域が存在することから、
早急な連携・協力の取り組みが必要である一方で、過度に長期の期間を設けますと集中的
な連携・協力の取り組みを阻害するおそれもあることから、期間については、消防の広域
化の推進期限との整合を踏まえる必要があるということで、すみません、括弧書きのほう
を見ていただきますと、下から3行ですけれども、現在、消防の広域化の推進期限が30
年4月1日とされていますので、これは多分広域化がこれからまだ進みますので、これは
5年、5年とやってきていますので、5年延長することが想定されます。仮に5年延長し
た場合には、35年4月1日までですので、そうしますと、今度の4月からちょうど6年
ありますので、それで上に書きましたのは、そうしたことと整合性を踏まえますと29年
4月1日から6年間ではどうかというようなことでございます。
3ページに連携・協力の具体例が書いてございます。これは今の4点ほど、共同運用と
車両と署所の共同設置と予防と、資料でご説明いたしました内容そのものでございます。
最後に、3番でございますけれども、連携・協力実施計画、これは市町村がつくる連携・
協力の実施計画と、広域化推進計画は県がつくる計画です。これの関係ですけれども、連
携・協力については、都道府県は計画を策定せずに、連携・協力を行う市町村の組み合わ
せについて市町村の自主的な判断に基づくこととなるため、都道府県が広域化推進計画に
定める広域化の組み合わせと異なる組み合わせで連携・協力が検討される場合が想定をさ
れます。しかしながら、こうした場合においても、当該連携・協力の実施が直ちに県のつ
くる広域化推進計画に矛盾することとはならないものであるため、都道府県は必ずしも広
域化推進計画を変更する必要はないのではないか。
しかしながら、将来、当該連携・協力の組み合わせで広域化が行われることが確実にな
った場合には、都道府県が広域化推進計画を変更する必要が生じるため、その場合には、
適切に対応する必要がある。少しややこしいんですけれども、幾つか都道府県からのご意
見を踏まえた内容となっています。
すみません、以上です。 24【田中会長】 ありがとうございました。
それでは、以上の説明を踏まえて、質疑及び意見交換に入りたいと思います。冒頭申し
上げましたように、多分今日が一番いろいろ多様な意見を出していただく機会になると思
いますので、あまりとらわれずにいろんな意見をいただければというふうに思っておりま
す。どなたからでも結構でございます。時間も限られておりますので。はい、どうぞ。
【小川専門委員】 小川でございます。どうもありがとうございました。
資料4の3ページの(4)の(イ)です。消防用車両の共同整備。これは車両の購入費・
維持管理費を効率化することができる。これはまことにそのとおりで、進めていただきた
いのですが、消防用車両について、購入について、同じ車両の価格が購入主体によって随
分違う。同じ時期に買っていても。どことは言いませんが、国内の消防機関に納入するの
に1台2億円で売っている。海外に1億円で出している。そういうのを知っているのです
ね、私は。これは出血サービスで出しているのかもしれませんけれども、それぐらい値切
ろうと思ったら値切れるという話なのですよ。それを言い値で買うというのは、購入費、
維持管理費を効率化するということで言うと、建前だけを言っているような感じがあるの
ですよ。
私が最初に気がついたのは、阪神・淡路大震災のときに、消防庁が導入している消防防
災ヘリについて資料を出してもらったときです。滝長官と、次長が篠田さんでした。同じ
ヘリコプターで、同じ装備品をつけていて、同じ時期に買っていて、値段が全然違うので
すね。だから、これはもう売りつけられているか、値切ったところはちょっと安く買って
いるとか、そういう話です。だから、消防車とかそういった装備品についても、相当値段
について幅があるものですから、そういったことまで視野に入れて、何か厳しくやってい
くようなことはできるのじゃないか。その辺をちょっと盛り込んでいただけたらと思いま
す。
ありがとうございます。
【田中会長】 これはちょっと事実確認をして、別途議論いただく話かなという気がい
たします。
ほか、いかがでしょうか。
【小川専門委員】 いや、事実確認って、資料を出してもらいましょうか、消防庁の。
【田中会長】 その他の多分諸般の情報もあると思いますので、そこは議論をいただい
たほうがいいと思います。今の話は重く受けとめていただければと思いますけれども。 25どうぞ。
【相川委員】 すみません、まだ読み込めてないので雑駁な印象でしか申し上げられな
いのですが、従来の広域化計画ではなかなか進まなかったところを、新しい連携・協力実
施計画の枠組みでなんとか前進させようという意気込みは非常によくわかります。ただ、
連携・協力実施計画であっても幾つかの機能を広域化するものですから、市町村の立場で
言うと「通知」で済むかなと思いました。つまり、機能を手放すことも含めた話が議会で
出た時に通知という形で果たして持つかどうか。法的根拠のところを問われるような気が
します。
それから、これは不勉強で申し訳ないのですが、広域化計画は、都道府県の方で定期的
に見直しなどはされておられるのでしょうか。計画がつくられてから現在までの人口減少
などの変化を受けて見直しができているのか・いないのか。それによって、この新設しよ
うとしている連携・協力実施計画の信憑性や位置づけが変わってくると思いますので、そ
の実態について教えていただきたいと思います。
【田中会長】 これは何か。どうぞ。
【消防・救急課長】 網羅的な調査はしておらないので把握はしていないんですけれど
も、私がずっと春、夏、秋と実際の現場を回って都道府県の方にお話をしておりますと、
なかなか適宜見直していくというのをされておられるところは少なくて、一番最初につく
るときに、ものすごく苦労してつくられていますので、それが残った形になって、それを
県として推進をしていきたいと。ただ、そうしたような一番最初に県がつくった計画と少
し実情が違ってきているというような場合で、実際にその広域化がもう間もなくスタート
だということになれば、
そのときには計画を見直してということはされていますけれども、
県としては最初につくった計画を変えるというのはあまりされてないところが多いと思い
ます。
【田中会長】 どうぞ、浜本委員。
【浜本専門委員】 今のに関連しまして。千葉県も広域化計画は平成20年につくりま
した。これを改定するというのは非常に困難だと思います。それで、実際、今回この資料
で、全都道府県の現状を非常にわかりやすくまとめていただいているのですけれども、拝
見して、
これはほんとうに各県いろいろ事情が違うんだなとよくわかりました。
ですので、
広域計画をもう一回見直してやっていくというのは、現実には難しいと思います。やっぱ
りこの柔軟な連携・協力、こういった形でやっていくのがすごくいいのではないかなと思 26います。
それから、今回、広域化が進まない理由、広域化後の課題と対応についても非常によく
調査をしていただいたなというのが実感でございます。我々も千葉県で、各消防本部、う
ちは31あるんですけれども、いろいろ聞いてみましたけれども、やっぱり広域化につい
ては皆さんネガティブです。大きなところというのはもう十分できているから、これ以上
広げる必要はないというご意見。
それから、
小さいところは小さいなりに、
地域に密着し、
頑張っているので、結構現状維持型になってしまう。消防の方って結構保守的ですから、
現状維持なんです。
ですので、
なかなか広域化をがらがらぽんって難しいんだと思います。
うちの県は、ご紹介ありましたけれども、共同指令。これは全国でも非常に先進的にや
っていると自負をしておりますけれども、共同指令をやっているのは非常にいいです。用
語の統一なんかもおのずからなってきますからいいんですけれども、問題点の中でも出て
きましたけれども、人材の問題がございます。消防本部が一緒にならないと、小さなとこ
ろは人材確保が非常に厳しいです。愛媛県さん、松山さんの資料を見せていただきました
けれども、50人以下の消防本部が非常に多いです。これ、はっきり言って運用できてい
るのは、多分各消防本部、赤い車両1台、救急車1台、これが現状だと思います。50人
しかいなかったら、3交代ですから、要するに1台ずつしか運用できていないんですよ。
そんな中で、職員を育成できるかというと、研修に9名来ていただいても、小さなところ
にとっては相当な出血だと思いますね。
ですので、共同指令はいいんですけれども、もっと人材育成という点で、冒頭、会長か
らありましたけれども、人事交流というのをやりながらというのは一つの選択肢だと僕は
思います。
以上、感想のような意見でございます。
【消防・救急課長】 会長、もう1点、法律に位置づけなくていいのか、通知で済むの
かという話でしたけれども。
【相川委員】 それは印象に過ぎないので、今の時点でのお答えは結構ですけど。
【消防・救急課長】 これは資料4の1ページのところの下のほうの2番の(2)の最
初の丸に書かせていただきまして、2行目ですけど、
「しかし、消防体制の整備・確立のた
めに広域化が最も有用な手段として今後も継続して推進していくべきであることを考える
と」
書きましたのは、
法律に連携・協力を書くというのも中で我々は議論したんですけど、
そうしますと、消防組織法の中で広域化と連携・協力を、じゃあ、その関係はどういう関 27係なんですかというのを書かなくてはいけなくなりまして、それが非常に書きにくいとい
うことと、自治体の方にお話を聞いても、特に県の方なんですけれども、法律に連携・協
力を書いてしまうと、広域化のほうをちょっと県としては進めにくくなるというようなお
話がございましたものですから、広域化というのは錦の御旗としておろさないほうがいい
んじゃないかということで。
あと、市町村からすると、財政支援が大きなポイントですので、財政支援は法律に根拠
がなくてもできますので、財政支援をしっかりとやることで、かつ広域化は錦の御旗をお
ろさないということでできないかなというのが、すみません、少し苦肉の策なんですけれ
ども。
【沖山委員】 よろしいですか。
【田中会長】 はい、どうぞ。
【沖山委員】 東京の消防協会の沖山でございます。
先ほどのお話で説明がありましたとおり、
広域化がなかなか進んでいかないという中で、
いろいろと話の議論でメリット、デメリット、こういう問題が入ってこようかと思うんで
すが、実は5ページ、6ページをごらんいただく中に、この連携という形、協力の体制、
ここでA、B、A、Bと6ページに説明が入っておりますが、このA地域、あるいはA行
政、B行政など考えると、合併を将来考えていかれるのか、あるいはA地区の人口、B地
区の人口を統合して、体制を広域という形で将来的に考えていくか、この辺をお伺いした
いと思います。よろしくお願いします。
【消防・救急課長】 先ほども申し上げましたけど、広域化の御旗はおろさないと。資
料4の中にも何カ所か書かせていただきましたけれども、あくまでも連携・協力は広域化
に向けたステップだというような位置づけはしたいと思っていますので、そうしますと、
6ページのような形で消防署所を共同設置した場合に、その後、何年か後には一部事務組
合になって一緒になりましょうかというような形で進んでいかれることを我々としては望
ましい姿なのかなというふうに思っています。
【田中会長】 よろしゅうございますか。
【消防・救急課長】 また、
市町村合併ということになりますと、
消防だけじゃなくて、
福祉から、まちづくりから全部ですから、それはまたさらに次というか、ちょっとどうい
う話ということになるかもしれません。
【沖山委員】 会長、いいですか。 28【田中会長】 どうぞ。
【沖山委員】 一組を、そこから将来的な問題を考えていくということになると、今お
話しされたとおり、消防行政というのは、あらゆる各分野から広がっていこうかと思いま
す。そのことを考えると、そこまでの分野を将来的にまで考えていかれるのであれば、ま
ず中間点に一組をつくっていきながら、将来の消防行政の向上ということを考えていかれ
るのか、そこがいくらか心配になるものですから、どのような考え方かなと思いましてお
伺いしたわけでございますが、ある程度わかりました。結構でございます。
【田中会長】 よろしゅうございますか。
【沖山委員】 はい、結構です。
【田中会長】 では、重川委員で、関澤委員。
【関澤専門委員】 単純な質問です。この中に、
共同処理。一部事務組合は、
これ自体、
広域消防じゃないんですか。
この中に共同処理の中の一つとして書かれていますけれども、
そこら辺はどうなんですか。
【消防・救急課長】 おっしゃられるとおりでございまして、資料2の10ページでし
て、おっしゃられるとおり、一部事務組合は消防組織法で広域の手法として明示していま
すので、この右の適合性のところの全ての消防事務のところに丸を書かせていただいてい
ます。これが広域化という意味です。
それで、10ページの一部事務組合の右側のほうに三角が4つついています。これが、
例えば指令だけ一緒にやりましょうというのを一部事務組合でやりますと。あるいは、警
防だけ、救急車だけ一部事務組合でやって、それ以外の事務は何も共同でしないというよ
うなケースを一部事務組合でやるというのは、いささか違和感がありますが、一応地方自
治法上はできないことはないので、そういう意味で、黒に近い三角ということにさせてい
ただいています。
【関澤専用委員】 これ、丸を入れないほうがよいのではないでしょうか。共同処理の
手法であったら、全ての消防事務、丸は、一部事務組合で広域消防になってしまっている
ので。
【消防・救急課長】 すみません、これも用語なんですけど、地方自治法の共同処理と
いう言葉の中には、一部事務組合で全ての事務を一緒にやるということも共同処理という
概念に入れているものですから、ちょっとわかりにくくてすみません。おっしゃるとおり
です。 29【関澤専門委員】 はい、わかりました。資料を理解するのに、ちょっと混乱があった
のでお聞きしたんです。ありがとうございます。
【田中会長】 なかなか難しいと思いますが。
では、重川委員で、それに千葉委員と。では、重川委員、どうぞ。
【重川委員】 ありがとうございます。
私自身の個人的な解釈なんですけれども、広域化の中には本来、今ここで論じられてい
る組織体制の広域化と、それから業務の広域化、2つの意味があるんじゃないかなという
ふうに思っています。業務の広域化というのは、今日冒頭ご紹介いただいたような連携・
協力体制の中で、かなりいろいろうまく運営して解決していける部分があるなということ
も理解させていただきました。
一方、なかなか進まない広域化の課題のところで、メリット、デメリットの中で、特に
課題の中で出てくるものをちょっと整理してみると、最終的には小さなところの人事の停
滞とか、あるいは一緒になったときの職員処遇の平準化とか、給与体系とか、昇任とか、
同じ階級なのに大きいところと小さいところが一緒になってどっちが上だとか、最終的に
は消防側の言ってみれば人事、職員体制のところに最も大きなネックが存在しているのか
なと。
今回の資料4のタイトルなんですけれども、消防の広域化及び連携・協力に関する答申
とあるんですが、中を拝見すると、広域化については、冒頭、広域化が課題解決の切り札
だとは書いてあるんですが、それ以降は全て連携・協力に関することなんですね。広域化
という基本路線は、問題はあるにしても将来的に進めるべきと思うんですが、そこを進め
るために一番解決しなきゃいけないのは、書きにくいとは思うんですけど、消防の側の意
識ですよね。企業だって吸収合併は必ずそういう痛みが伴うので、それは行政組織だって
当然財政的に問題が出てきて、解決するために広域化が望ましいというのであれば、それ
に適用してうまく滞りなく移行していく責務があると思いますので、その広域化の推進に
ついても、書き方はちょっと難しいかもしれないんですが、広域化を引き続き推進してい
くために見直すべきというか、取り組むべき点というようなことで、少し書き込みを入れ
たほうがいいのではないかなというふうに思いました。
以上です。
【田中会長】 はい、ありがとうございます。
それでは、千葉委員。 30【千葉委員】 すみません、消防は広域で、ほんとうに広範囲で、なかなか今日の議題
というか、資料を理解することができないんですけれども、資料2の4ページ、A市消防
本部、それからB市消防本部という、市町村の中でこういうふうにはできますけれども、
私は県境に住んでおりまして、県境を越えた連携・協力というんですか、消防団は協力協
定というのは結ばれてあるとよく聞きますけれども、連携・協力をどのように考えておら
れるのか。
私の住んでいるところは岩手県の消防、もし救急車を呼ぶとしたら20分かかります。
それから宮城県に連絡した場合、5分で来ます。そんなところに住んでおりまして、ちょ
うど今日の岩手県、宮城県の地図を見ますと、一関市と登米市、気仙沼の間に一関という
ところがありまして、その辺、東日本大震災では大変な思いをした経験がありますけれど
も、県境を越えての連携・協力というのをどういうふうに考えておられるか、お伺いした
いと思います。
それから、ちょっと前に戻りますけれども、愛媛県松山市のすばらしい先進事例を発表
いただきまして、ほんとうにありがとうございました。8ページなんですけれども、備蓄
の倉庫には、機材とか、写真で見る範囲は食料などもあるようですけれども、その中に、
あまり考えたくはないんですけれども、遺体を安置するものというか、安置所というのも
そうでしょうけれども、そういうものも倉庫の中に備蓄されておられるのかなと思いまし
て、東日本大震災では私の経験ですが、私も津波が来たところに遺体が安置されていて、
すごく不自由な思いと混乱をしましたので、その辺、どういうふうな備蓄の倉庫なのか、
中身はどのようなものが備蓄されているものなのかと感じておりますので、よろしくお願
いしたいと思います。
【田中会長】 まず最初に事務局のほうで、次に松山市、お願いいたします。
【消防・救急課長】 ありがとうございました。
私は、宮城県庁と、
あと名取ですとか、
仙台とか亘理ですとかに現場にお伺いしてお話をお聞きしたときに、宮城県の方から、今
おっしゃられたことと全く同じで、岩手と宮城の間の連携というのは非常に重要で、現場
からすると、そちらのほうなんだというふうにおっしゃっておられましたし、あと滋賀に
行ったときも、多分京都との間の山岳のお互いの山の上のほうでの連携というのもおっし
ゃっておられましたので、そうしたことにつきましては非常に重要だと思っていますし、
現場でもされていますので、できれば答申の中に書き込ませていただけるといいのかなと
いうふうに思いました。ありがとうございます。 31【田中会長】 松山市はどうですか。
【松山市消防局】 松山市です。この備蓄倉庫に関しましては、基本的には消防活動上
必要になるようなものをベースに考えています。市の地域防災計画では、葬儀社の協会の
ようなものがありまして、そういうところと協定をしているという形で、ご遺体を収容す
る袋であるとか棺桶であるとかというようなものも、いわゆる協定でこなしていると。現
実的に、そういう葬儀社が準備しているかというと、なかなかそうではないんですね。た
だ、やっぱりその専門業者であれば全国的なネットワークの中からよりやすいんじゃなか
ろうかというふうには考えています。
それと、
ご遺体を置く場所というところなんですが、
現実的にはこれが一番難しいです。
私は前職で市の危機管理をやっていたんですけれども、どこ、ここという指定はできない
んです。ただ、最近ちょっと地方都市では、高齢の方がお亡くなりになるケースが非常に
多くて、
あまり大きな規模ではないんですが、
市内の至るところに葬祭場ができています。
おそらく規模にもよりますけれども、東日本のような状態ではなかなか難しいかもしれま
せんが、例えば航空機の事故であるとか、鉄道事故であるとかいった場合には、そういう
ところへの収容というのも一つお願いをして、
できるのかなというふうには考えています。
【田中会長】 ありがとうございました。
【消防・救急課長】 会長、すいません。先ほど重川委員からお話がありました、広域
化の重要性ですね。人事ですとか、給与ですとか、そうしたことがなかなか難しくて、取
り組む必要があって、そうしたことにつきまして、広域化の重要性ですとか、必要性です
とか、取り組むべき点について、もう少し答申に書いたほうがいいというふうに思います
ので、そのあたりも少し書かせていただきたいと思います。
【田中会長】 ありがとうございます。
どうぞ、青山委員。
【青山委員】 青山でございます。拝見していて、うちの消防の名前が消えるのだけは
嫌だと言っているような消防の人たちも、連携・協力が進められるようないろんな具体策
を検討され、広域化が進まない理由と対応なども検討いただいたということで、良かった
と思います。
1点確認なんですけれども、この連携・協力は広域化のステップだと。広域化を進める
ために、
この連携・協力は強力に進めていくべきものだと考えておられるのか、
それとも、
なかなか広域化は進まないから、連携・協力でもいいからという言い方は変かもしれませ 32んけれど、進めていきたいというニュアンスで受け取るのか教えていただきたいと思いま
す。
というのは、市町村の自主的かつ多様な連携・協力を尊重するということから都道府県
の位置づけもあるわけですが、そうしますと、例えば松山市さんとか千葉とかのように、
非常に熱心にリーダーシップをとって周辺の自治体を取り込んでやっていこうと思ってい
る地域はいいんですけれども、強力にやっていくということを例えば都道府県なりがが進
めていかないと、自主性を重んじながら相談に乗っていくというスタンスでまとまるのか
という印象を持ったものですから。もし広域化を最終的にもっと広げていく、そのステッ
プとして、この連携・協力を進めていくということなのか、ちょっとその辺をもう一度確
認させていただいてよろしいでしょうか。
【消防・救急課長】 ニュアンスの問題でなかなか難しいかもしれませんけれども、広
域化というのを第一番に進めていただきたいというのがありまして、それに向けたステッ
プとして、連携・協力というのを進めていただきたいと。連携・協力も強力に進めていた
だきたいわけですけれども、例えば連携・協力が強力に進み過ぎて広域化が進まないとい
うのは多分困ることなのかと思いますけれども、ただ、連携・協力が進み過ぎることで、
広域化の阻害というか、広域化がストップしちゃうということはあまり考えられないよう
な気はいたします。
あとは、都道府県と連携・協力をどんどん進めていただきたいという気持ちはあります
けれども、先ほども申しましたけど、あくまでも法律の位置づけで都道府県は広域化を推
進する立場にいるものですから、あまり連携・協力も両方一生懸命推進してくださいとは
言いにくいんですが、ただ、現実には、必要な調整とは書いておりますけれども、都道府
県で積極的に連携・協力も広域化への手前の一里塚として進めていただく分には、それは
ありがたいことですし、すばらしいことだとは思っておりますけれども、すみません、答
えになっていないでしょうか。
【青山委員】 都道府県も広域化の一環として連携・協力も積極的に調整役を努めてい
ただきたいと言ってもいいんじゃないかなと思うんですね。よくわかりませんが、それ以
上押しつけてもいけないという感じなんでしょうか。
【田中会長】 逆に言うと、連携を進める主体がよくわからないということで、松山市
さんのように汗をかかれるところがあればいいけれども、そうじゃないと、なかなか見え
ないよねって。それはやっぱり広域化との関係で、都道府県にはなかなか難しいという消 33防庁さんのご判断の中で、まさに青山委員がおっしゃられるように、誰がやるのというと
ころなのかなと整理しました。私があまりしゃべっちゃいけない。
あと、ちょっと司会の不手際で時間が大分迫ってまいりましたので、高橋委員、あるい
は和合委員で、ご発言をもしいただければありがたいですか。
【高橋委員】 当初、
先ほど事務局からもお話があったように、
熊本地震の例を見ても、
やはり広域化のメリットというのは大変大きいのだろうと思います。そういった中で、今
回、広域化を進めていくというのを第一義的に捉えて、なかなかそれでも広域化は進まな
い状況にあって、
それぞれの地域に応じた連携・協力のことを検討していこうというのは、
現実的な整理の仕方だろうと思います。
ただ、そういった中において、ちょっとお願いというか、ありますのは、先ほど先進的
な松山市さんの事例が紹介されましたけれども、そういった連携・協力をしていくという
のは、松山市さんは非常に大都市として、大都市がまとめた連携・協力のやり方をやられ
たのだと思います。
ただ、そういった中で、それぞれの地域の実情がございますので、それほど力、余力の
ある都市というものもないわけでございますので、そういった中核となるような都市が連
携・協力の主体となっていったときに、やはりそこにやっていくんだというようなインセ
ンティブというか、そういったものも必要だろうし、そこに応じた財政的な支援というも
のもお願いしなきゃならないんだろうと思います。
あともう一つは、先ほど松山市さんの例でもありましたけれども、研修なんかは全県受
け入れているというお話ですけど、実際の業務面になると難しい面もある。やはりそれぞ
れの地域性で、非常に広範囲に及んだときに、松山市さんが中心となったときに、非常に
離れたところまでそこで連携・協力の体制を組めるかという問題もあると思います。そう
したときに、
大都市の近くとなるところがないところは、
中小な消防本部だけのところは、
どういうふうな連携・協力ができるのかということもあるんだろうと思います。
そんな中で、中小の中で組んでいくときに、そこでどこがリーダーシップをとるのとい
うこともあるでしょうし、そこにインセンティブもあるでしょうし、財政的な裏づけも必
要なんだろうと思いますので、そこら辺の支援というものをぜひお願いできればなと思い
ます。
以上でございます。
【田中会長】 ありがとうございました。何かコメントはございますでしょうか。 34【消防・救急課長】 特にハード整備につきましては、指令の共同センターですとか、
共同システムですとか、あるいは車ですとか、署所の共同設置などについての支援ができ
ないかというようなことについて、今、財政当局と議論中です。それは中核的な都市なの
か中小の本部なのかということは問わずに、支援をできるようなことで今検討中です。
【田中会長】 和合委員、何かございますか。
【和合委員】 和合でございます。
簡単に申し上げます。2の連携・協力の推進の(1)連携・協力の推進の必要性の丸の3番
目、
「なお、連携・協力をステップとして、消防力の確保・充実の方策としてより有効であ
る消防の広域化を目指すことが特に重要である。」とありますが、
積極的に広域化を進めて
いくことが一番の目的なのかなと私は理解しましたので、最後の「特に重要である」を、
「消防の広域化を進めていく。
」と言ってもよいのかと思っておりました。
以上でございます。
【田中会長】 どうもありがとうございました。
それではあと、実は8分ほどしか残されていないのですが、台風10号の対応の話があ
ります。ただ、とても大事なので、ご発言、あとお一人、二人、この際コメントしたいと
いう方がいらっしゃればお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【重川委員】 1点だけいいですか。
【田中会長】 はい。
【重川委員】 すみません。今、和合委員がおっしゃったところなんですけれども、広
域化と、それから連携・協力って異なるものだと思うんですね。広域化をしたとしても、
必要に応じてお互いがいいところを出し合ったり、助け合ったり、今どうしても消防って
独立心が強いので、本部ごとになかなかなんですけれども、広域化をすることと、それか
ら業務改善とか業務の効率化を目指して、いろんなところが必要なところで連携・協力体
制を柔軟にもっととっていこうよということは相反しなくて、だから、何となく広域化が
終わったら連携・協力を考えなくていいよとか、連携・協力というのは、あくまでも広域
化のための一つの通り道ですよというふうにあまり書き過ぎないほうがいいのかなという
気はちょっとしました。
以上です。
【田中会長】 ありがとうございました。
はい、では、どうぞ。 35【松本委員】 広域化と連携の話はほんとうになかなか難しくて、よく理解しましたけ
れども、先ほど千葉委員さんがおっしゃったとおり、県境を越えた連携・協力というのが
ここにはあまりうたわれてないように思いましたので、その辺について、東京を中心にし
て周囲の県とは非常に消防・救急関係では特に重要な部分でございますので、これは都道
府県内のような形で書き込まれているので、県境を越えた、都県を越えた連携というのを
しっかり研究していただきたいなと思いました。よろしくお願いします。
【田中会長】 それでは、次の報告に移らせていただきたいと思います。ただ、とても
大事な案件でございますので、皆様、もしご意見等あれば事務局のほうにお伝えいただけ
ればと思います。トータルには、やはり柔軟な連携というのは現実的な世界なんだろうと
いうご意見が多かったように思います。その中で、広域化との関係をもう少し整理をして
おいたほうがいいんじゃないか。それが、2つの部分で、制度の部分と業務の部分という
重川委員のようなお立場もありましたし、
それから、
広域化というところから見たときに、
では、柔軟な連携のほうは誰が主体を担うのかとか、あるいは、それを通知という手法で
よいのかとか、そういうようなことも含めて1つ議論があったように思います。ここは少
し整理をしていただいて、このままいくと、広域化が必要だと言っているけれども、もう
ギブアップをして柔軟のほうに移っているようにも見えますし、また逆に、柔軟な連携を
するということで、気がついたら広域化に追い込まれていたという市町村側から見たら疑
念も出てくるかもしれない。
そこは少し整理をしていただければというふうに思いました。
【関澤専門委員】 1つだけ。
【田中会長】 はい。
【関澤専門委員】 私、消防庁の予防行政向上の委員会の座長をしているんですけれど
も、業務によっては、特に予防業務とか、消防本部間の連携・協力がほんとうに必要とし
ている業務があるんですよ。ですから、全体に広域化しなくても、ほんとうに必要な業務
については連携・協力はぜひとも進めてほしいという場面がありますので、そこは広域化
しないと完全じゃないんだという理解は、ちょっとそれだけじゃないということだけは審
議会の皆さんにはご理解いただきたいなと思います。
【田中会長】 若干、重川委員にも近いような発想の感じかもしれません。
あと、県境の問題が出てきて、これはちょっと広域化だとなかなか議論しにくいところ
も一つあり得るのかな。
それから、この広域化との関係がそもそも論だとすると、冒頭に小川委員がおっしゃっ 36ていた部分なんかは、そもそも効率化って何なんだというところもちゃんと押さえてくる
というふうなことだと思います。
なかなか難しい整理をしていただく中で、でも幾つか今出たのは本質的な部分もあると
思いますので、また次回までにぜひご検討を進めていただければと思います。
あとは、残された時間で台風10号に係る対応状況及び地域の防災体制の再点検という
ところでご紹介をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【防災課長】 横置きの資料5をごらんいただければと思います。
1枚めくっていただいて、表紙の裏でございますけれども、台風10号、岩手県岩泉町
の被害状況をまとめました。岩泉町で21名の死者・行方不明者、19名の方が亡くなら
れまして、いまだ2人の方が行方不明という状況でございます。
どういう経過かというのが右側のほうにございますけれども、8月30日、日本の南側
で迷走していました台風10号がいよいよ北上してくるということで、東北地方を太平洋
側から上陸するという日でございました。
その日は朝から岩泉町でも当然警戒をしておりまして、避難準備情報を朝の9時に発令
をしているところでございます。実際に被害が出た岩泉町内の小本川、右下に地図がござ
いますけれども、西から東に太平洋側に流れ込んでいる中小の河川でございまして、県管
理の河川でございます。
この河川では、水位観測所、赤鹿というところが下流側のほうに設けられています。実
際に被害が生じましたのは、真ん中ほどの岩泉町役場周辺で、高齢者グループホームもこ
の役場と観測所のちょうど中間ぐらいにあるところでございます。
河川の水位を左側のほうでごらんいただきますと、しばらく上流側で激しい雨が降った
後、午後5時過ぎから急激に河川の水位が上昇しているという状況でございます。氾濫注
意水位2.5 メートル、黄色のラインがございますけれども、これを町の役場では避難勧告
を出す基準の一つのメルクマールにしていたということでございます。これを超えたのが
5時20分ごろでございまして、
その後、
一気に急激に上昇したということでございます。
次に、2ページ目でございますけれども、役場ですとかグループホームの動きでござい
ます。赤字のところでございますが、14時ごろ、午後になりまして、岩泉町でも町内の
広い範囲でございますけれども、いろいろ水位を見ながら、ここの被害が出たのとは別の
北側でございますが、安家地区、ここには過去の氾濫状況も踏まえまして避難勧告を発令
していたところでございます。小本川付近のところは、この社会福祉施設とも連携をして 37川の水位、ビデオで撮ったりをして確認をしていましたが、この時点ではまだ大丈夫だろ
うと。
16時47分、
気象台のほうから、
大変な大雨ですよという情報が入っています。
また、
17時20分には県の岩泉土木センター、河川の管理者でございますけれども、いよいよ
氾濫注意水位2.5メートルを超えましたという連絡が役場に入っています。
ただ、
残念な
がら、岩泉町では、この発令基準、こうなれば当然満たしているという認識ではございま
したけれども、住民からの電話対応、防災担当の総務課職員、この電話問い合わせに追わ
れまして町長まで伝わらなかったという状況でございます。18時半以降、施設のほうで
もいろいろ対応しましたけれども、結果としてグループホームの避難は間に合わなかった
という状況でございます。
3ページ以降は被害発生後の対応状況でございます。グループホーム以外にも東京23
区よりも広い岩泉町内あちこちで道路が寸断いたしまして、この黄色い丸が集落でござい
ますけれども、安否が確認できない、停電また通信の断絶ということもございまして、実
際に救助部隊等が直接一軒一軒尋ねていくという方策をとらざるを得なかったところでご
ざいます。孤立の数が大変多かったという状況です。
4ページ目をごらんいただきますと、その対応体制でございますが、左下に緊急消防援
助隊がございます。青森、宮城から陸上部隊を出していただきまして、当然ヘリコプター
による上空からの情報収集も行いました。右側のほうに写真がございますけれども、道路
がもう倒木等でふさがれていましたので、当然、建設業者も出ていただきましたが、消防
機関自身の重機でもって道路警戒も行って、徒歩で救助隊員が駆けつけたというような状
況でございます。また、ヘリコプターでのホイスト救助なんかもしています。
1ページ飛ばしまして、6ページ目でございますが、地元密着の消防団、岩泉町の消防
団500名ほどおられますけれども、ここにつきましては、29日から警戒活動をやって
いただきまして、土のう積みですとか、避難の呼びかけなんかも、消防団によって避難さ
れたという方もかなり多かったようでございます。実際に被害が、氾濫がした後について
は、孤立地域の安否確認をフル総出で行っていたという状況でございます。9月6日中に
はゼロになっていますけれども、休みながらの活動をせざるを得ないほどの大変な作業だ
ったというふうに伺っておるところでございます。
このように、発災後の消防機関の懸命な活動を行ったわけでございますけれども、発災
前について、
もう少し何かできなかったかということで、
7ページでございますけれども、 38発災後の9月2日、左側のほうでございますけれども、避難勧告等につきましては、結果
的に岩泉の小本川周辺に出せませんでしたので、ちゅうちょなく空振りを恐れず出しまし
ょうと。住民にも避難勧告が出たらどうしましょうということもしっかり周知しましょう
というお願いを全国に向けて行いました。
また、7ページの右側のほうは検証でございまして、各省庁それぞれの所管分野でいろ
いろな検証作業を行っておりますけれども、赤枠で囲っております消防庁では、各都道府
県、また市町村の防災体制を再点検しようという大臣の指示で、再点検を行っているとこ
ろでございます。
その内容が8ページ目でございます。これにつきましては、今回、東北地方を台風が直
撃するということで、これまであまり警戒されていなかったものに対して、しっかり対応
できるようなものになっているかどうかというのを改めて点検しようというものでござい
ます。
再点検項目で、1番目、避難勧告、速やかに発令できるかどうか。その過程では、都道
府県がしっかり市町村を把握していて、緊急時に助言ができるかどうかということも都道
府県に確認をしているところでございます。市町村については、客観基準をしっかり決め
て、それを満たしたらちゅうちょなく発令するという体制になっているかどうか。
また、2番、3番は住民の避難にかかわるところでございますけれども、どこに逃げた
らいいのか。指定緊急避難場所がしっかり、例えば氾濫に対して、そこから身の安全を守
るところというのがきちんと指定周知がなされているか。また、住民がどういう行動をと
ったらいいのか周知されているか。
また、4番でございますけれども、確実に避難勧告等の警戒情報が伝達されているかと
いったようなことを確認しようということで、現在、都道府県からヒアリングを行ってお
りまして、取りまとめ中でございます。
9ページ、最後でございますけれども、いろいろ今聞いているところでございますが、
都道府県の一つの取り組みとして、まさに緊急時ということではなくて、終わった後とい
うことでございますけれども、北海道では防災対策基本条例というものをつくっておられ
まして、その中で大規模災害の際にはしっかり検証を行おうと。市町村に任せておしまい
ということではなくて、道も道自身が市町村の協力を得て検証しようということで、この
夏の台風災害についても検証が行われると。
これを全道内にフィードバックしていこうと、
こんな取り組みもあるところでございます。 39以上でございます。
【田中会長】 ありがとうございました。何かご質問とかコメントはございますでしょ
うか。
一番中核的な防災部隊が、危機管理部隊が電話対応に追われてしまう。それがことごと
く最近の災害で繰り返されてきているので、そこの抜本的なことを考えないと、岩泉もか
なりちゃんとやっているほうだったと思いますが、厳しいなあというところで、市町村頑
張れという精神論だけではもう済まないような気がいたしますので、ぜひよろしくお願い
したいと思います。はい、どうぞ。
【関澤専門委員】 田中委員長のほうがご専門だと思いますけれども、避難勧告、避難
指示がどうしてもおくれるとか、出すのがおくれるのはもっと問題ですけれども、受けと
める住民の側のほうに問題というか、やっぱりリテラシーというか、わかりにくさがある
と思うんですよね。それは災害対策基本法を改正して、指定緊急避難場所と指定避難所と
分けたけれども、
私は今、
修士課程の学生に、
学生のアンケートもさせているんですけど、
避難所と避難場所の区別がつきますかと言うと、学生でも6割ぐらいの人が間違えます。
それから、避難準備情報というのも、準備さえすればいいんだなという方がいまだに、
皆さんそう思っていて、高齢者とかが避難を開始するタイミングというのが伝わっていな
いわけです。これは消防庁のお仕事じゃないと思って、内閣府のほうかもしれませんけれ
ども、国としても、あるいは東大災害情報研究センターとしても、一般市民にわかりやす
い用語を使わないと、この問題はずっと続くと思いますね。だから、それはぜひとも改善
を働きかけてほしいなというふうに思います。
【防災課長】 避難準備情報の意味がわからないなんていうご議論もございましたので、
内閣府のほうで名称の変更も含めて検討中でございまして、ただ、実際にはそれは浸水想
定地域で、しっかり住民に伝えていただくのが市町村、都道府県の仕事だと思っておりま
して、そこのところも今回の点検の項目に入れているところでございます。私どもといた
しましても、市町村、都道府県がそういう取り組みができるように、今回の点検結果であ
ぶり出されたものに応じて、引き続き要請を行っていきたいと思います。
【田中会長】 ということで、お答えをいただいたことになりますので。
それではよろしゅうございますでしょうか。時間も過ぎてまいりましたが、やはり市町
村、あるいは消防も、防災というのは非常に大きな柱の一つでございますので、またこう
いう情報共有も含めてやらせていただければと思います。 40それでは、これでマイクをお返ししてよろしかったのでしょうか。
それでは、今日の意見交換はこの程度とさせていただければと思います。さまざまな意
見が出されたところでございます。本日いただいたご意見を踏まえ、事務局からの答申の
取りまとめ案を次回ということで示していただければと思います。
先ほどお願いいたしましたように、大事な案件でございますので、こういう視点が欠け
ているとか、こういう部分が若干そこがあるのではないかというようなご指摘を、事務局
のほうにあればお教えいただければと思います。
それでは、これで予定された時間になりましたので、本日の意見交換はここまでとさせ
ていただきたいと思います。
最後に、事務局から事務連絡がございましたらよろしくお願いいたします。
【事務局】 本日は長時間にわたるご審議ありがとうございました。
次回第4回の会議につきましては、また後日、ご連絡させていただきたいと存じます。
事務局からは以上でございます。
【田中会長】 それでは、本日の会議を閉会とさせていただきます。
皆さん、どうもありがとうございました。

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