第 28 次消防審議会
(第1回)
日時:平成 28 年5月 23 日
場所:主婦会館プラザエフ 1第28次消防審議会(第1回)
【事務局】 開会に先立ちまして、報道関係の皆様にお願いいたします。一般の取材に
つきましては審議会終了まで行っていただいて結構ですが、撮影につきましては諮問文手
交までとさせていただきますのでご了承願います。
それでは続いて本日の配付資料の確認をさせていただきます。配席図、それからクリッ
プどめをしております議事次第、消防審議会委員名簿、専門委員名簿、幹事名簿、及び議
事次第に記載の各資料、資料1、資料2、資料3-1、資料3-2、資料4、参考資料1
でございます。配付漏れの資料がございましたらお知らせください。よろしゅうございま
すか。
それでは、定刻となりましたので、ただいまから第28次消防審議会の第1回会議を開
催させていただきます。本日は大変お忙しい中、ご出席を賜りまことにありがとうござい
ます。冒頭しばらくの間、事務局で進行させていただきますのでよろしくお願い申し上げ
ます。
初めに、佐々木消防庁長官からご挨拶を申し上げます。
【長官】 皆さん、おはようございます。消防庁長官の佐々木でございます。本日は第
28次の消防審議会開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
まずもって、皆様大変お忙しいところでございますが、この消防審議会の委員あるいは
専門委員にご就任をご快諾いただきましたことを御礼を申し上げます。そしてまた、本日
は第1回目、若干おくれる方もおられますが、ほとんど全ての方に万障お繰り合わせの上
ご出席をいただいておりますこと、本当にありがとうございます。
初めに、4月14日に熊本の地震、そして16日にも引き続いて震度7の地震というこ
とで、引き続く地震が発生いたしました。お亡くなりになられました方々のご冥福をお祈
り申し上げますとともに、被災をされた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。
ご報告でございますが、この熊本地震で地元の消防本部、消防団も大変ご活躍をいただ
きました。それに加えまして、20の都府県から緊急消防援助隊を派遣いたしまして、延
べ1万6,000人の隊員の方々が活動を行っていただいたところでございます。
さて、このたびの28次の消防審議会では、諮問内容として、人口減少や災害の多様化
等社会環境の変化に対応し、必要となる消防力を維持していくための消防体制のあり方等
についてご議論をお願いしたいということでございます。皆様方ご承知のとおり、人口減
少、特に人口の低密度化、そして一方では高齢化といった社会環境の変化は、この消防防 2災の分野でも大変大きな影響を与えるわけでございます。
そして一方で、ただいまご報告申し上げました熊本地震や、昨年は鬼怒川の決壊による
水害、またまたその前は火山の噴火など、本当に災害も多様化しており、今後は大規模な
地震というものにも備えておかなければならないといった大事な状況にあるわけでござい
ます。
こういった状況の中で、実は27次の消防審議会におきましては、地域の防災力、消防
団を中心とした地域の防災力についてご審議をいただき、答申をいただき、私どももその
充実に向けて努力をしているわけでございますが、この28次では、常備の消防を中心と
いたしました消防本部、これを人口減少社会、あるいは先ほど申し上げました環境の変化
の中で、どうやってこれから維持していくのかといったことが大きな課題になってござい
ます。
私どもはこれまでも、専門的な消防力を維持していくために、なかなか小規模な消防本
部だけでは難しいということで、消防の広域化ということを進めてまいりました。もちろ
ん、この消防の広域化もさらに進めてまいらなければならないと思っておりますが、今後
さらに、それ以外にもいろいろな知恵を出していかなければ、なかなかこの難局を切り抜
けていけないのではないかと。
例えば、こういった広域化に加えて、消防機関同士でいろいろな連携・協力をさらに図
っていくとか、そしてその中で、なかなか人口減少で地域が維持が難しくなっていくよう
なところでの消防本部が、フルスペックの消防力を、専門的能力を全て維持するというの
が難しくなってきたときに、一方で中核的な消防本部に一定の役割を担っていただくとい
うことも大事なのではないか。こういった論点もあるわけでございます。
こういったさまざまな論点につきまして、ぜひ皆様方にご議論をお願いしたいと考えて
いるところでございます。ぜひ忌憚のないご意見をいただきますことをお願い申し上げま
して、私のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【事務局】 次に、第1回目でございますので、委員及び専門委員の皆様方をご紹介さ
せていただきます。
まず委員の皆様を五十音順でご紹介させていただきます。
相川康子委員でございます。
【相川委員】 相川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 青山佳世委員でございます。
【青山(佳)委員】 青山佳世でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 3【事務局】 青山繁晴委員でございます。
【青山(繁)委員】 27次に続きましてよろしくお願いします。
【事務局】 石井正三委員でございます。
【石井委員】 よろしくどうぞお願いします。
【事務局】 奥山恵美子委員でございます。
【奥山委員】 奥山でございます。今回からお世話になります。よろしくお願いいたし
ます。
【事務局】 片田敏孝委員でございます。
【片田委員】 片田でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 重川希志依委員でございます。
【重川委員】 どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 高橋淳委員でございます。
【高橋委員】 高橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 田中淳委員でございます。
【田中委員】 田中でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 千葉とき子委員でございます。
【千葉委員】 千葉と申します。よろしくお願いします。
【事務局】 辻琢也委員でございます。
【辻委員】 辻です。よろしくお願いします。
【事務局】 和合アヤ子委員でございます。
【和合委員】 和合でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 沖山仁委員におかれましては、後ほどご出席になる予定でございます。
次に、後ほど改めてお諮りすることとなりますが、専門委員の皆様方を五十音順でご紹
介させていただきます。
秋本敏文専門委員でございます。
【秋本専門委員】 よろしくお願いいたします。
【事務局】 小川和久専門委員でございます。
【小川専門委員】 どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 浜本憲一専門委員でございます。
【浜本専門委員】 浜本です。どうぞよろしくお願いをいたします。
【事務局】 山本保博専門委員でございます。 4【山本専門委員】 山本でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 なお、関澤愛専門委員は本日はご欠席でございます。
最後に、消防庁から、長官以外の主な幹部職員をご紹介申し上げます。
西藤公司次長でございます。
【次長】 西藤です。よろしくお願いします。
【事務局】 横田真二国民保護・防災部長でございます。
【国民保護・防災部長】 横田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 熊埜御堂武敬審議官でございます。
【審議官】 熊埜御堂です。よろしくお願いいたします。
【事務局】 木幡浩消防大学校長でございます。
【消防大学校長】 木幡でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 山田常圭消防大学校消防研究センター所長でございます。
【消防研究センター所長】 山田でございます。よろしくお願いします。
【事務局】 以上でございます。よろしくお願いいたします。
次に、会長につきましては、消防審議会令第3条第1項の規定により、委員の互選によ
り定めることとされております。事務局といたしましては、さきの第27次消防審議会で
会長代理をしていただきました田中淳委員にお願いしたいと存じますが、いかがでござい
ましょうか。(「異議なし」の声あり)
【事務局】 ありがとうございます。ご異議等がございませんので、田中委員に第28
次消防審議会会長をお願いさせていただきます。
田中会長、会長席へお願いいたします。
ここで田中会長からご挨拶を頂戴したいと存じます。
【田中会長】 ただいま会長ということで重責を拝命いたしました、東京大学の田中と
申します。
前会長の室﨑先生は火災の専門家でいらっしゃいますし、それに比べると私は全く専門
の違う分野でございますが、ぜひ皆様方のご支援をいただければと思っています。
恐らく、消防ということを考えますと、完全にとは言いがたいかもしれませんが、封じ
込めることができてきております。ただ、その中でも、1つ目には、今回のテーマにもな
っておりますが、社会が構造変化をしてしまってきている。その中で、どうやって社会全
体を支えていくのかということは、やはり消防、救急においても大変大きな課題を、これ 5から多分もたらしていくことになると思います。そしてまた、冒頭、熊本地震のお話もご
ざいましたが、東日本大震災という大災害を受けたわけですが、まだまだこれから、我々
の国土というものは大災害の危険性に常に直面しているというところでございます。
そういう面での防災、あるいは消防、救急という非常に広い分野を含めて、やはり先取
りをするような形で、今後どうしていくのかという議論がぜひ必要だというふうに思って
おります。私は基本的に司会進行に努めさせていただこうと思いますので、皆様のご活発
なご意見をぜひいただきながら、また諸先輩もいっぱいいらっしゃいますので、ぜひご指
導のもと、何とか28期を務めさせていただければと思います。よろしくお願いいたしま
す。
【事務局】 田中会長、ありがとうございました。
続きまして諮問書の手交を行いたいと存じます。田中会長、佐々木長官、よろしくお願
いいたします。
【長官】 消防の当面の問題として、次のとおり諮問する。
記。人口減少や災害の多様化等社会環境の変化に対応し、必要となる消防力を維持して
いくための消防体制のあり方等について、意見を示されたい。
よろしくお願いいたします。
【田中会長】 よろしくご指導のほどお願いいたします。
(諮問書手交)
【事務局】 それでは、
以降の進行につきましては田中会長にお願いしたいと存じます。
よろしくお願いいたします。
【田中会長】 それでは、以下、議事のほうを進行させていただければと思います。
まず審議に入ります前に、会長代理の指名を行いたいと思っております。
消防審議会令第3条第3項において、会長に事故あるとき――あまりあってほしくない
のですが、あらかじめその指名する委員がその職務を代理すると定められております。
私から、恐縮でございますが会長代理を指名させていただきたいと思っております。会
長代理は、本当に長く防災をやっていらっしゃいました重川委員にお願いしたいと思いま
すが、ご異議ございませんでしょうか。(「異議なし」の声あり)
【田中会長】 それでは重川委員、よろしくお願いいたします。会長代理席へご移動を
お願いしたいと思います。
それから、先ほど事務局のほうからご案内がございましたが、専門委員についてご紹介 6をいただきました。専門委員は、見ていただいたとおり、専門の方ばかりでございます。
この審議会に専門委員の皆様にご参画いただくことにしたいと思っておりますが、ご異議
ございませんでしょうか。(「異議なし」の声あり)
【田中会長】 ありがとうございました。専門委員の皆様、よろしくご指導のほどお願
いしたいと思います。
それでは、先ほどの諮問事項を踏まえて、審議に移りたいと思います。
皆様のほうにも渡っておりますが、
人口減少、
災害の多様化、
社会環境の変化に対応し、
必要となる消防力を維持していくための消防体制のあり方等についてという諮問を受けて
おりますので、何とかこの重責を果たしていきたいと思っております。まず一括してご説
明を事務局から受けまして、その後、委員の間で意見交換という形で進めさせていただけ
ればと思っております。特にきょうは最初でございますので、幅広いご意見をいろいろな
立場からぜひいただきたいと思いますので、よろしくご協力のほどをお願いしたいと思い
ます。
ではまず、
「第28次消防審議会の審議事項及び当面のスケジュールについて」
というこ
とで、山口総務課長からご説明をお願いしたいと思います。
【総務課長】 総務課長の山口でございます。私のほうから、資料1に基づきましてご
説明をさせていただきます。
審議事項は、先ほど長官から諮問をさせていただいたとおりでございます。
当面のスケジュールでございます。本日が第1回目でございます。本日はこの後、論点
の説明をさせていただきまして、また熊本地震の報告等もさせていただきたいと考えてお
ります。
第2回目は6月24日を予定させていただいております。第1回目の内容を踏まえてさ
らに議論をお願いしたいと思います。その後、できましたら、先生方の日程を調整させて
いただきまして、年内に2回程度は審議会をお願いできないかと考えております。その上
で、場合によって年内に審議内容を踏まえた中間的な取りまとめのようなものをお願いで
きればと考えておりますが、この辺も、1回目、2回目、3回目の審議内容に応じてとい
うことになってくるかと考えております。
私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【田中会長】 ありがとうございました。
では続きまして、人口減少や災害の多様化等社会環境の変化に対応し、必要となる消防 7力を維持していくための消防体制のあり方等についてということで、山越消防・救急課長
からご説明をお願いしたいと思います。
【消防・救急課長】 消防・救急課長の山越でございます。
よろしくお願いいたします。
私のほうからは資料2に基づきましてご説明をいたします。
資料2と、あわせて資料3-1、3-2というものをつけさせていただいております。
こちらはデータ編であったり地図であったりという情報になっておりますので、適宜ご参
照いただければと思います。
まず資料2でございます。
「今後の消防体制のあり方に対する論点
(案)」ということで、
こちらの問題意識なり考え方、考えていることについてご紹介をさせていただきたいと思
います。
1の問題意識でございます。現状・課題等を見ていただきますと、皆様もう十分ご承知
のとおり、既に人口減少局面に入っている我が国において、それぞれの地域で持続可能な
地域社会の形成というのが必要であり、これを支える行政サービスの持続的な提供を確保
することが課題になっている。これは消防に限らず、地方行政全般の課題ということでご
ざいます。
行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供するためには、市町村の資源
を有効に活用することが必要であり、地方公共団体間の連携により提供することを、これ
まで以上に柔軟かつ積極的に進めていく必要があるであろうということでございます。
3つ目のポツでございますが、一方、消防防災分野にあっては、多様化・複雑化する災
害への備えを確実にする必要があるという課題もございます。
以上でございまして、より柔軟な連携を進める必要があることについて、消防行政も例
外ではなく、限られた消防の資源を最大限に有効活用するさまざまな取り組みが求められ
るのではないか。またこうした対策が全国で推進されるように、制度的な検討を行うこと
が必要ではないかということが大きな問題意識でございます。
次に2をごらんいただきますと、これから想定される消防に影響があると思われる社会
情勢の変化についての記述をさせていただいております。
(1)人口減少・高齢社会の進展でございます。繰り返しになりますが、これから40
年間程度で人口減少・高齢化がかつてないスピードで急激に進行するということで、
また、
居住地域の6割以上で人口が半分以下となるなど、人口の低密度化が進行するということ
でございます。これは資料3-1の6ページに、それに関する資料をつけさせていただい
ております。ご参照いただければと思います。 8次に、資料2の2ページに移りますと、それが人口の状態なのですが、消防本部を管轄
人口規模別で、この人口減少について分析をしてみますと、規模が小さい本部ほど、より
人口減少率が大きくなるという傾向にある。差がどんどん開いていくという傾向にござい
ます。
これは資料3-1でいいますと8ページにグラフをつけさせていただいております。
このような状況と、加えまして高齢化の進展というのがもう1つのポイントでございま
すが、高齢者独居世帯の増加というのが当然に予想され、災害時の要援護者の数が増加す
るという課題もございます。
特に、現時点では消防の活動の多くを占める救急需要についての将来予測を見てみます
と、同じ資料3-1の8ページの下の段を見ていただければと思いますが、高齢者の増加
によりまして、全国の救急需要は、人口が減っても2035年ごろまでかなり増加をして
いくということが予想されています。ただ、それを本部ごとに見てみますと、規模別に見
てみますと小さな本部ですと少しピークが早く訪れる傾向にあるということが、このグラ
フでもごらんいただけると思います。
このような人口減少や高齢化の進展に伴いまして人口の低密度化が進む、あるいは要援
護者の増加が進むといったことを踏まえて、消防活動の質の変化への対応が求められるこ
とになるのではないかというのが(1)のところでございます。
続きまして(2)災害の多様化・複雑化でございます。
先ほどお話がありましたとおり、消防が対応する災害というのは火災だけではなく、交
通事故、水難、自然災害からテロ災害などの特殊な災害までを範疇にしております。これ
からおそれがあると言われています首都直下地震や南海トラフ地震などの巨大災害への対
応体制を確保していく必要があるというのもありますし、近年増加している集中豪雨や噴
火災害への対応、テロ災害への対応能力の強化も必要であるということでございまして、
このような多様化・複雑化する災害に適切に対応するために、消防業務の高度化・専門化
についてはさらに進めていくことが必要ではないかということを書かせていただいており
ます。
続きまして、(3)その他の社会環境の変化ということでまとめて書かせていただいてお
りますが、今後の消防需要を展望するに当たって、インフラの老朽化や空き家の増加とい
う、対応が必要な方向での変化もございますし、ICTの発達、建物構造の防火性の向上
等、消防需要というか、少し効率的にできるような部分も出てくるといったようなハード
面の変化、それから地域コミュニティの変化といったソフトでの変化と、いずれにいたし
ましても消防の業務の効率化が図られる要素がある一方で、逆に消防機関に求められる活 9動の拡大であったり、高度化・専門化も想定されるということでございまして、社会環境
の変化に合わせた対応が必要になるのではないかということを(3)で書かせていただい
ております。
以上のような背景をもとに、3は、これまでの施策として、消防庁で消防体制の確立の
ための柱としてやらせていただいてきた、消防の広域化といった施策についてのご説明を
させていただきたいと思います。
資料3-1でいいますと9ページに、大きな流れについて資料をつけさせていただいて
おります。
消防の広域化を消防庁でやり始めましたのが平成6年のタイミングでございます。ここ
で都道府県が策定する計画により進めるといった構成をスタートさせていただきました。
その後、市町村行政全般にわたっての市町村合併を推進するという動きが、平成11年
をスタートにかなり本格化していた中で、消防についてもこれと整合する形で進めなけれ
ばいけませんので、まずは市町村の合併を進めるのを優先させるような形で、消防の広域
化も推進してもらいたいといった流れにさせていただいておりました。
この平成18年までの間に、消防本部の再編がかなりされましたが、その多くが市町村
合併による現象でございます。もともと消防の広域化が進んでいる一方で、市町村合併の
ほうが本格化したことによりまして、その単位で当然に消防も再編されますので、それに
よる本部の再編といったことでございます。
ただ、これの結果でも、なかなか広域化が十分に進んだとは言いがたい状況で、これは
時点が書いていないのですが、管轄人口10万未満の小規模消防本部が全体の63%、こ
れは平成17年4月1日現在の数値でございますが、6割を超えるところで人口10万人
未満の消防本部であったといったことでございます。
人口規模については、目安として幾つかあるのですが、管轄人口10万未満というのが
1つの目安として消防本部の場合は明示をしています。ばらつきはあるのですが、この人
口10万未満であれば、おおむね職員数で100人は超えるようなイメージで考えていた
だければと思います。
次に4ページをごらんいただきますと、その平成17年度までに市町村合併の流れは一
応一段落したこともあり、本格的に消防として広域化を進めるべきだということがありま
して、平成18年に消防組織法を改正して、法律に基づく消防の広域化を推進するという
枠組みができ上がりました。
その推進スキームにつきましては、資料3-1の12ページの上段につけさせていただ 10いております。
消防庁長官が基本指針を定め、都道府県が推進計画を、広域化を推進する必要があると
いう場合には定めます。広域化対象の市町村は、実際に広域化をするために広域消防運営
計画を定めて広域化をしていく。それに対して、財政的なことも含めた国の援助、地方債
の配慮等々の規定がございます。それに合わせて財政措置というのも入っているというこ
とでございます。
こういうことで進めていったわけですが、消防庁が定めた基本指針につきましては、資
料でいうと3-1の9ページに戻るのですが、まずは平成18年の7月の時点、最初に定
めました基本指針では、広域化後の規模目標をおおむね管轄人口で30万人以上を目指す
ということ、それから平成24年度までにということで期限を定めた中で、消防の広域化
を進めたわけでございます。
ただ、なかなか実際上、順調に進まなかったということもあり、平成25年4月に基本
指針の改正を行っております。
ここで期限を平成30年4月1日までに延長しております。
ですので、今まさにこの指針に基づいて広域化を進めているわけでございますが、規模の
目標についても、
理想としてはおおむね30万人以上というのは掲げ続けているのですが、
ただ、地域の実情を十分考慮するということで、必ずしもこれにこだわらないといった考
え方に変えております。
それから、国・都道府県が重点的に、集中的に支援をするということで、消防広域化重
点地域の枠組みというのをつくりました。その重点地域の考え方は、同じ9ページの資料
につけさせていただいておりますが、都道府県が市町村の消防の現況や将来の見通しをよ
く見ていただいて、市町村の意見やその他の地域の実情を勘案して、知事がその判断でや
ってくださいといったようなことになっています。
そのようなことで、平成30年4月1日までの広域化の実現を目指しているというのが
今の状況でございます。
これまでの消防の広域化の進展状況でございますが、
消防広域化推進計画というものは、
45都道府県において策定をされています。実際にこの法律ができてから消防の広域化が
実施されたのが48地域ございます。消防本部の数で74減少しているということで、先
ほど言いました管轄人口10万未満の比較的小さい消防本部は55本部解消されていると
いう状況でございます。
それから、消防の広域化でさまざまな効果が非常に確認されているということをご紹介
したいと思います。資料3-1でいいますと13ページにつけさせていただいております 11が、大きな効果としては、やはり住民サービスの向上に直結した効果がございます。初動
の消防力が非常に高くなる。一番最初に出動できる部隊の数がふえる、あるいは増隊を順
次していく際の部隊の数もふえるということが一つございますし、あるいは所掌の配置状
況にもよるのですが、境界線でより近いところが駆けつけるといったことができるように
なりますので、現場到着時間の短縮に結びついたところもあります。
それから、人員配備の効率化の充実ということで、消防本部の事務は基本的には重複し
ておりますので、
その方々が現場に回ることになります。
そうしますと、
従来ですと各隊、
兼務兼務でいろいろな車両を対応していたような隊が専従で対応できるようになったり、
あるいは従来ですとなかなか教育・訓練の機会を与えるほど人がいなかったのですが、教
育・訓練の機会を与えることによって専門化・高度化に対応できるようになったりといっ
た効果が出ています。
それから、消防体制の基盤としても、車両であったり、指令センターを中心とするさま
ざまな施設についても、より高度なものを配備することができるようになります。あるい
は、人がふえますので、適切な人事ローテーションにより組織の活性化が生まれるといっ
た効果が、各広域化をした消防本部においてはあらわれているということでございます。
また、管轄人口10万未満の小規模な本部の比率は、人口ベースでいいますと2割弱で
ございますが、平成18年に19.6%でございましたのが、平成28年に17.1%と少
し減っています。
消防本部数ベースでは、
平成18年に60.7%だったのが平成28年に
59.3%ということで、
着実に進んではいるのですが、
十分に進展したとは言いがたい状
況ではないかと思っております。
次に、資料2の5ページの下の段になりますが、都道府県ごとの取り組み状況等でござ
います。これは資料3-2に、地図の形で各県の状況をおつけしているので、それもごら
んいただきたいと思います。
資料3-2の見方ですが、表紙にありますとおり、人口規模別に消防本部の色を塗り分
けております。濃いブルーが30万以上の管轄人口規模の本部、薄いブルーが10万から
30万の規模でございます。
色塗りしていないものが10万未満の消防本部でございます。
それから赤で周りを囲っているところが、法律ができました平成18年以降に広域化を実
施した地域でございます。点線のところはこれからなのですが、これもする予定のもので
す。それから、指令の共同運用、広域化はしていないのですが指令の共同運用をその地域
でしているといったものはオレンジの線で書かせていただいております。これはまた、時
間があるときにご参照いただければと思います。 12都道府県が推進計画を立てると言ったのは、2県を除いて全て推進計画を立てました。
推進計画を達成したのは、滋賀県、佐賀県の2県でございます。また平成18年6月以降
に広域化をした消防本部がない県、1つも自分の都道府県内で広域化が行われなかったと
ころが24都道府県ということで、全体の半分以上になっています。
都道府県別で、管轄人口10万未満の消防本部が存在しないのが、現在奈良県と鳥取県
の2県になっています。比較的少ないのが栃木、滋賀、佐賀の3県という状況でございま
す。
また、先ほど言いました、都道府県がこれから広域化を進めていこうというので指定を
しています消防広域化重点地域の指定を行っているのは9都道府県で、指定地域は全国で
17地域の状況にございます。
6ページをごらんいただきますと、現在の国の指針に基づいて、推進期限が平成30年
4月1日になっているわけですが、これに向けた取り組み方針について都道府県にアンケ
ートをした結果ですが、非常に積極的に推進していく、支援していくと言っている県は9
都道府県にとどまっている状況でございます。一方で、地域の意向を尊重し、助言・情報
提供という形での関与というのが33都道府県でございます。
都道府県のほうが、なかなか消防の広域化が進展しない理由として何を挙げているかと
いいますと、地形的な理由により消防の広域化のメリットが見出しにくいところがあると
か、あるいは人件費の調整の合意が困難であるとか、なかなか地域によっては消防の広域
化の実現になお時間を要する状況も見られるといったようなことでございます。
以上が消防の広域化の施策のこれまでの流れでございます。
次に4でございます。それでは、今後の消防体制のあるべき姿に関することでの論点で
ございます。
繰り返しになりますが、1つ目のところは、社会環境の変化に対し的確に対応し、持続
可能な消防体制を確保するためには、消防資源を最大限に有効活用する工夫が必要になる
のではないか。
2つ目は、具体的には、市町村は市町村消防の原則のもと、引き続き消防の責任を十分
に果たすため、消防の広域化に加えて、他の市町村との連携・協力等の強化など、あらゆ
る対策を積極的に講じることが必要なのではないか。
3つ目です。
消防の広域化は、
消防体制を充実・強化するため極めて有効な手段であり、
今後とも積極的に推進していくべきではないか。
次が、
一方で、
消防の広域化の実現にはなお時間を有する地域があることも現実である。 13そのため、消防の広域化の次善の策として、また消防の広域化へ向けたステップとして、
消防機関間のより柔軟な連携・協力等を進めるべきではないか、といったことになってい
ます。
具体的には、消防業務のうち一部の業務分野ごとに、その業務の性質に応じて具体的な
連携・協力等の手法を選択するといった、より柔軟な形での連携・協力等を進めることが
有効ではないか。
この、より柔軟な連携・協力等の1つの形態として、警防活動については、一定規模以
上の圏域において指令の共同運用による連携・協力等を進めることが、消防力の向上に極
めて有効ではないか。
ここについては、消防の事務は幅広くありますが、特に即応体制が必要な現場の活動、
消火であったり救急であったり救助であったりという警防活動については、災害情報をい
ち早く共有化することによって、連携・協力というものが非常にやりやすくなるといった
ことがありますので、ここに書かせていただいているのは指令の共同運用、119番の受
信と指令の事務について連携・協力を進めることが、警防活動に関してはポイントになる
のではないかという意味で書かせていただいております。
また、より柔軟な連携・協力等を進めていく際には、中核的な消防本部を中心として、
近隣の消防本部との広域的な連携を図ることが必要ではないか。
さらに、中核的な消防本部が果たすべき役割を明確化すべきではないか。その役割に応
じて必要な財政措置についても検討すべきではないか、としております。
最後に5でございます。これらの消防の広域化、より柔軟な連携・協力等の推進に当た
っての国・都道府県の役割をここに書かせていただいております。
持続可能な消防体制をいかに構築していくかが大きな課題となる中、消防業務全体にお
いて国・都道府県が一定の役割を果たすことが必要ではないか。
都道府県の役割といたしましては、都道府県は市町村に対し助言、連絡調整、人的・財
政的な支援をより積極的に行うなど、リーダーシップを発揮することが求められているの
ではないか。また、条件不利地域において何らかの補完機能を果たすことも検討課題にな
るのではないかということでございます。
(2)国の役割でございますが、国は、消防機関間のより柔軟な連携・協力等の推進な
どに係る基本的な指針を定め、必要な支援策を講じることが必要ではないか。
また、市町村・都道府県がより積極的に取り組むよう、国としても課題や体制確立の必
要性について改めて周知・啓発を図るとともに、推進に係る取り組みについて評価・見直 14しを行うことも必要ではないか。
最後に、中核的な消防本部を中心とした連携・協力等の強化を推進するためには、中核
的な消防本部が中心的役割を果たすインセンティブを持たせることが必要ではないかとし
ております。
以上、私からの説明でございます。
【田中会長】 ありがとうございました。
それでは、ここから約1時間弱、皆様方からの意見交換に入りたいと思っております。
それでは、どなたからでも結構でございますが、できればきょうは全委員にご意見をい
ただければと思っております。どうぞ。
【青山(繁)委員】 青山繁晴でございます。きょうは28次の第1回なので、今後の
審議全体のことをお聞きしたいのですが、先ほど、この第28次消防審議会の一番の眼目
審議事項は、人口減少への対応と災害の多様化への対応の2点だということが、長官から
委員長にも明示されたわけですが、先ほど丁寧な説明をいただきまして感謝しつつ、その
上で、今の説明ですと、要は広域化と指令の共同運用という2点だけが提示されたように
も感じました。
普通、人口減少といいますと、例えば日本においては、これは27次でも大事なテーマ
になりましたが、消防団員が当然自然減していくのをどうやって食いとめる、ないしはふ
やすのかということもありますし、それから消防団員自体が仮に人数をある程度確保して
も高齢化して、早い話が水が入った重いホースを持ち切れないと。さらに、男性の団員が
減っているから女性の方々の活躍が目覚ましいですが、女性の力で従前のような活動が、
消防現場やあるいは災害救助現場でどこまでできるか、あるいは女性の方々に活躍してい
ただくための訓練をどうするのか。
まさしく多岐多様なテーマがあると思うのですが、
今の冒頭のご説明を聞いた限りでは、
28次は広域化と指令の共同運用に絞るのですか。そこをまず明確にしていただきたいと
思います。
【田中会長】 ありがとうございます。
ここはいかがでしょうか。
【総務課長】 ありがとうございます。最初の資料1のところで、私の説明が不十分だ
ったところがございました。資料1で、今回、長官からの諮問事項では、今、青山委員か
らご指摘がございましたように、人口減少や災害の多様化等に対応しての消防のあり方と
いうことで、その中では、第27次でもご議論いただいた消防団の関係、あるいは地域防 15災の関係といったことも当然含まれてくると考えております。
この資料1でお示ししました当面のスケジュールの中で、第1回、第2回、第3回、そ
して第4回で、場合によって中間答申を取りまとめ(ペンディング)としているわけでご
ざいます。本日お示しした、消防・救急課長から説明した論点案については、先ほどの説
明にもございましたが、平成18年に消防組織法を改正いたしまして、この10年間、広
域化、あるいは連携ということをやってきたわけですが、こちらの期限が一応平成30年
4月となっております。この部分に係る論点を中心に、本日はご説明をさせていただいた
わけなのですが、それらについて、場合によって制度改正等が必要になってくるというこ
とが出てくれば、来年の国会等も念頭に置きますと、年内に一定の方向性をとりまとめて
いただく必要があるかなということで、そちらの論点を本日は中心的にご説明させていた
だきました。
一方で、第28次の消防審議会、基本的に委員の任期は2年間ということでお願いをさ
せていただいております。本日は第1回目でございますので、この後、熊本地震に関する
報告も予定させていただいておりますが、私どもが説明した論点以外のことについてもご
発言いただいても当然結構でございますし、今後2回目、3回目の議論を踏まえて、消防
団や地域防災の話、あるいは人材の問題といったことについても議論は当然出てくるかな
と思っております。
その辺の内容については、資料1でも第5回以降のテーマ、日程については追って調整
と書いているわけでございます。事務局としては、広域化とか連携の部分を先にご審議い
ただきたいという要素があったので、きょうはそれらを中心的にご説明したわけでござい
ますが、28次の消防審議会としては、もう少し幅広い観点からご議論を賜ればありがた
いなということで、その辺も、田中会長をはじめ委員の先生方のご意見も踏まえながら進
めさせていただければと考えております。
【青山(繁)委員】 私が今、直接的にお聞きした部分はそれで了解しました。その
上で、今回が広域化と指令の共同運用の説明が中心だったということを踏まえれば、正直
ちょっと、不満という言い方がいいかどうかわかりませんが、資料で足らざるところがあ
るのではないかと思ったのは、メリットが当然ながら強調されていて、広域化したときの
メリットというのは私たち――勝手に「私たち」と言いましたが、普通に考えれば理解で
きるわけです。ただ、当然デメリットがあって、平たく言えば薄まってしまうのではない
かと。広域化の美名のもとに、地域の特性とか、あるいはさらに寝たきりの方々や障害を
持つ方々、そういうディテールについて手薄になるのではないかという懸念も当然あるわ 16けですが、資料のうち、それに触れてあるのは、僕がざっと見た限りでは資料2の6ペー
ジのところに、四角で囲った丸ポツの2つ目に、消防の広域化が進まない場合は、メリッ
トがわかりにくい、あるいは人件費の調整といった細かい事務的なことが難しいというこ
とが触れられているのですが、それだけではなくて、広域化あるいは指令の共同運用と言
うのは簡単だけれど、実際共同運用をするときにそのノウハウがどこまで重視されている
のか。広域化した上で指令を共同運用すると、実はあの地域のことはよくわからない。わ
からないまま指令を出したり、場合によっては道路を含めた土地の事情も十分には従前に
は勘案できないまま、他所の人材がそっちへ向かって云々かんぬん。そういうデメリット
も予想されますから、法に基づいて進めますということであれば余計に、デメリットの資
料提供もより充実していただいたほうが、委員としては審議しやすいのではないかと思い
ます。
以上です。
【田中会長】 この点、何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
これは、今お話しになっていたように、30万というところから10万、実態に合わせ
て柔軟なというので幾つか案を出していただいているかと思います。ある意味で、広域化
というのは手法の1つでしかなくて、その課題に対してその手法をどう組み合わせるのか
とか、
あるいはその手法を進める上で、
やはり実態というのはすごく大事になりますので、
どんな課題がパターンとしてあり得るのかということはきっちりと詰めておくということ
は、多分、各委員とも共通の思いだと思いますので、またぜひその辺を意見交換、あるい
は資料提供をお願いしたいと思います。
どうぞ、秋本委員。
【秋本専門委員】 青山委員のご指摘、
いろいろごもっともな点が多々あると思います。
きょう、私が説明を聞きながら思ったのは、この間まで、人口減少時代の消防体制のあり
方の研究会というのがありました。そこでまとめられたご意見というものを中心にして、
きょうはまずその材料として説明をされたなと思って聞いていたのですが。
ただ、今の広域化についてのデメリットというか、広域化を図ると同時にあわせて考え
ておかなければいけない事項というのは当然いろいろあって、それを含めて全体として最
も望ましい消防体制をつくっていく。そうなると、今お話がありました消防団のこともあ
るし、いろいろなことが出てくるのだろうと思います。だから、そういったものを含めて
の議論は当然していいのではないかと私は伺いながら思っていました。
【田中会長】 どうぞ。 17【浜本専門委員】 浜本でございます。都道府県の部局長でつくっています会長という
ことでこの立場に座らせていただいております。
今のことに関連しまして、私は千葉の部長でございます。資料3-2の7ページをごら
んいただきたいのですが、下に千葉県の絵がございます。
私は全国の会長ですので全体的な話をいたすわけですが、千葉県というのは非常に全国
の縮図的なものがございます。人口620万人。そして広域化については7地区を計画で
はつくって順次進めているのですが、なかなかやはりいろいろな問題があって進まないと
いうことで、共同指令センター方式ということで、この黄色い線で囲ったものがあります
が、大きく県を300万人ずつ、ぱかっと半分ずつに分けました。右側が千葉市を中心と
しまして約310万人の人口。これは全体で13市町の7組合、20団体で310万人を
カバーしております。この共同指令センターは25年4月からスタートいたしました。
青山委員からメリット、デメリットといったところ、あるいは秋本専門委員から同趣旨
のお話がございましたが、まさにそのとおりだと思います。メリットについては非常に、
今、事務局からご説明があったところがございます。そして、導入に当たって、まさに青
山委員からあったような、地域の実情というのがわからなくなるのではないかという議論
が実はありました。ところが、ふたをあけてみますと、そういうことはあまり生じなかっ
たというのも事実でございます。というのは、技術開発の進展、GPSとかいろいろな詳
細の情報がぽんと入ってくる。そんなことで、メリットのほうがかなり上回ったというよ
うな話もございます。共同指令については非常に効果があるのだろうなというのが実感で
ございました。
一方で、地元の消防団というのは地域性が非常に強い団体でございます。そういったと
ころとの連携、常備消防と消防団との関係ですとか、いろいろな問題があると思いますの
で、この中でいろいろなご議論をいただくのはすばらしいことだと思います。
千葉県は25年に、千葉市が中核消防という形で動かしていただいております。実例も
踏まえながら、今後この議論の中で発言をしていきたいと思いますので、よろしくお願い
をいたします。ありがとうございました。
【田中会長】 ありがとうございました。
ほかはいかがでございますでしょうか。どうぞ。
【石井委員】 日本医師会から参りました石井でございます。総論でコメントという話
なので申し上げますが、私も福島県のいわき出身で、地方で、だんだんそれが工業地帯に
なったりいろいろなことがあって、見てきましたが、例えば消防搬送と病院との関係とい 18うことでいえば、1つのまちに1つのちゃんとした病院があって、幾つかの頑張っている
クリニックがあって、それで救急搬送がうまくいっていれば、非常に理想的な状態がつく
れるわけです。
ところが、医療が高度化すると、そのコミュニティがその医療機器を運営したり、医療
チームを複数、それから24時間運営するとなると、交代勤務で1つの部署に3人から5
人用意しなければいけないという形が始まって、だんだん複雑化するわけです。
そうすると、隣のまちとだんだん合併をしていって、いわき市というのは14市町村が
合併してできた、もともと広域都市の先駆けみたいなところがありまして、我々住民から
見ると、電話番号が市内局番になったのだけがよかったという、笑い話みたいな話があり
ますけれど、
それ以外のことでいうと、
やはりいろいろ不便な、
動線が延びる部分があり、
救急搬送時間もだんだんに延びるのです。内容が高度化しますので、また複雑系になって
きます。
そういっても、日本というのはそういう形で戦後の発展とコミュニティの充実と医療の
進歩と、そういうものをのみ込んできたのだと思います。だから、新聞に書いてあるよう
に、搬送時間がちょっと延長したのはとんでもない話だという、あの書き方でこぼれてし
まっている議論のほうが多いのだと私は思っていますが、ただ問題なのは、広域化し、そ
して共同運用だとかいろいろなITを使えということは、全部裏返せば、そういうものが
バグを拾ったりいろいろなことがあれば問題も大きくなるという、そういう社会に我々は
住んでいるという議論から始まらないと、一方向性で電子化したから全てハッピーだとい
う議論に戻るわけにはとてもいかないのだと思います。
市町村の広域化も同じです。私のまちにはまだ、隣の原発から避難してきた方々が、私
のうちの裏にも田んぼを潰して仮設住宅がそのまま残っていますし、行政区も中に入り込
んだ状態で運用されています。ああいう姿を見ると、本当に高度化、複雑化して、この行
政サービスはどこに行ったらいいのかとか、投票のときにどうすればいいのか、子供は教
育をどこで受けられるのか、全部複雑化しているんです。
その中の1つとして、
当然、
消防、
救急、
そういう行政サービスもあるはずなのですが、
そのコストの負担はどこからどういうふうに見るかとか、詳しく見出すとこれは非常に難
しい問題が入っているのだと思います。
したがいまして、広域化だからよかったというわけには、そんなに簡単にはいけない。
しかしながら、
広域化しなければ運営できないものもある。
救急車も複数運用し始めたら、
1台だけ1つの市町村で持っているのでは済まなくなりますから、広域化が当然必要にな 19ります。
だから、ちょっと話がくどくなりましたが、医療から見て、結局ターゲットは人の健康
とか命という、そういう、何を中心に考えるかという目標がないと、議論は広がりますし
雑駁化します。ここはやはり、行政サービスの中でも人の命とか健康に直接かかわってい
る部分を一緒に議論するという意味で、今後また進めていってもらえればと思いながら発
言しました。
以上でございます。
【田中会長】 どうぞ。
【小川専門委員】 小川でございます。私は静岡県の危機管理体制の見直しということ
で、もうちょうど4年たつわけでありますが、地方自治と言いながらも、地方自治体に任
せておいては実際にはできないことがたくさんあるということを痛感させられております。
これは和歌山県の仁坂知事と話したことですが、仁坂知事は経済産業省の官僚出身です
から、行政実務をわかっている。東日本大震災の直後に地域防災計画を最もスピーディー
に見直したのは和歌山県なのです。それで仁坂さんに聞いたら、地方自治は最大限尊重し
なければいけないけれども、任せておいては住民の命を守れない。だから、批判があろう
とも、まず手を突っ込んだ、という言い方をしていました。
「手を突っ込む」という言い方
がいいか悪いかというのはあるのですが、私自身の実感でもあるのです。
そこでいうと、この資料2の7ページのところ、一番下の(2)国の役割というところ
で、少し考えていただきたいところがあるのです。それは、例えば静岡県の例でいうと幾
つもあるのですが、防災航空隊を強化しようということで進めておりますが、各市や町か
ら派遣してもらっている消防吏員、これは数が足りないという話なのです。当たり前なの
ですが、消防の組織の枠内で考えるから、そういう話にならざるを得ない。
私は、自衛官のOBで航空科職種の地上職だった人間だったら、かなり安い給料で人数
は幾らでもいるという話をする。そこで今度は、やらないくせに抵抗する声が出てくるの
です。救急救命士の資格を持っている人間は、陸上自衛隊の航空科職種にはいないでしょ
うと。いや、航空科職種ということではないけれど、自衛隊の特殊部隊は全員救急救命士
の資格を持っている。そのOBは幾らでもいる。それを投入する格好で防衛省と話をすれ
ば充当できるだろうと言っております。
ところが消防の枠内ということになると、発想そのものが横に広がらない。これはほか
の問題でも全て出てくるのですが、テロ対策の問題でもそうです。伊勢志摩サミットもあ
れば東京オリンピック・パラリンピックもあるのだけれど、私どもが取り組んできて、2 200年以上前から指摘している問題が、石井先生もいつもおっしゃっている話なのですが、
全然、生物化学兵器のテロに対してできていないのです。まだできていない。厚生労働大
臣に問題提起してもできていない。こんな国があるかという話なのです。
だから、そういったことを念頭に置きながら、国の役割として、これが望ましいのでは
ないかということを、消防庁が中心になって、テーマごとに取り組んでいく。その中で、
ほかの役所などにも協力をしてもらう。
そういったことが一つ必要なのかなということで、
国の役割という点からご議論いただければと思っております。
以上です。
【田中会長】 ありがとうございました。
どうぞ。
【青山(佳)委員】 青山佳世でございます。私もきょうは1回目ということですので
感想めいたお話をさせていただきたいと思います。
冒頭の部分のご議論に関連しているかと思いますが、私も素人ながら前回の広域化とか
その後の消防職員の議論にかかわる中で、この広域化という取り組みにも幾つかいろいろ
な現場でお話を伺ったことがございます。その中で、先ほど議論になったメリットとデメ
リットの部分で、技術的に課題を解決できた部分と、あとはそこで働く消防職員の「人」
「気持ち」であるところの課題も多く見受けられました。
私のような仕事をしていると、転勤とか全国を動くというのは全く問題ないのですが、
消防職員の皆さんたちの中には地元で働きたいという考えを持っている方も多く、広域化
になると、近い距離の中での広域なのですが、それでもいろいろ課題があり、現場では大
変御苦労なさったというお話も伺ったことがございます。いろいろな形で実際に広域化に
取り組事例の、いいところ悪いところ、それはもう既にあるのかもしれませんが、そうい
ったところをきめ細やかにご提示いただき、地元の方たちが選択をしやすい形を、何かこ
の中で示していければいいのかなと感じているところです。
以上です。
【田中会長】 どうもありがとうございます。
どうぞ。
【山本専門委員】 山本でございます。今、広域化あるいは指令の共同運用という流れ
がメーンになっておりますが、もう1つは高齢化社会、高齢者の災害弱者、あるいは救急
弱者をどういうふうに考えるのかというのも、
ことしのテーマの1つであろうと思います。
東日本でも、
あるいは他の災害でも、
何で日本ってあんなに高齢者ばかり亡くなるのと。 21高齢者は台風のときには外に出るな、地震のときにはすぐ逃げろ、もたもたするな、とい
うような流れがあってもいいのではないのかなと思っております。高齢者の要援護者、あ
るいは災害弱者をどういうふうに考えるのかというのも、ぜひお考えをいただきたいとい
うのが1点であります。
それからもう1点は、我々救急の現場にいますと、全国的にはまだまだ消防の職員、そ
して救急業務をしている専従の職員というのは、
特に救急隊というのは少ないわけでして、
きょうは消防の赤い車、あしたは白い車に乗っているのが、実際には6割7割はそうでは
ないのかなと。ラフにはわかりませんので、質問は後でさせていただきますが、そのぐら
いだろうと思います。
その専従化を考えるというのも非常に今、これからの対応としては大事になってくるの
ではないのかなと。それには広域化というのが一つの解決策ではないのかなという気もし
ております。
だからその辺のところも考えながら、ことしのテーマというのは、やはり人的な問題、
そして特に高齢化している災害弱者をどういうふうに考えるのかという、この2つをぜひ
考えていただければありがたいと思います。
以上であります。
【田中会長】 どうもありがとうございました。
どうぞ、辻委員。
【辻委員】
私の専門は行政学で、その中でも地方自治論や公務員行政全般が研究分野です。この観点
から大きく3点、ご指摘したいと思います。
まず第1に、
今回の諮問の中では、
「必要となる消防力を維持していくために」
というこ
となので、改めて人口減少社会の中で消防・救急に係る行政需要がどうやって変化してい
くか、今までの知見も生かしながら、なるべく客観化していくということが重要ではない
かと思います。
今まで、消防・救急行政は他の行政分野に比べると、割と科学的に議論しやすいところ
で、理科系の皆さんにもいろいろご尽力いただいて、客観的な議論がされてきた分野では
ないかと思います。ここのところを今回もしっかりやって、まとめてほしいと思います。
行政需要の効率性は、基本的には人口規模と人口密度によって規定されます。人口規模
が小さくなればなるほど基本的には効率が悪くなるし、人口密度も低くなればなるほど悪
くなっていく。従って、人口が減っているところで合併すると、人口規模を確保して、規 22模の経済性は確保できるのだけれど、人口密度は低いままなので、密度の経済性は得られ
ず、その部分は非効率のまま残り続けることになります。ここら辺のところで、人口減少
と広域化のなかで消防・救急の行政需要がどのように変化しているか、改めて明らかにし
てほしいと思います。
この場合、変数として特に注目してほしいのは、高齢化とインフラの老朽化です。今ま
でも着目して見てきたところだと思うのですが、空き家や高齢単独世帯が増加していくと
いうことは、明らかに消防需要を高めていきます。この辺のところを、田舎だけではなく
て大都市部も含めて、
今後どうなっていくのかというのを客観的に予測していくと同時に、
その効率性を見きわめるというのが重要ではないかというのが1点です。
それから2点目は、大きなネックが勤務条件に係るところだということです。都市部の
ほうが比較的行政需要が多く、やりがいがあるのに対して、田舎のほうになると需要が薄
くなってくる。
さらに給与も低くなる傾向があって、
これが近年、
地域手当が導入されて、
町村部と大都市部の賃金格差がさらに拡大しています。こうした中で人材確保は、条件不
利地の田舎でますます厳しくなってきています。大都市部の消防本部からすると、そうい
うところを抱えていくことに警戒感が強く、
「みんなでまちを守ろう」
といっても、
実際の
広域化が進まないということになります。
こうした中で、今後の消防力を確保していくためには、勤務条件面でどういう工夫が現
実的にできるか、かなり具体的な議論をしていかないと、理念だけとなえてもなかなか難
しいのではないかと思います。
それから3番目に、自治制度全般である程度合併が進んだことを前提に、さらなる広域
化へ、どういう工夫ができるかということです。1つは連携中枢都市です。人口20万以
上の新中核市に、近隣市町村部分の行政需要も担わせるということで、まとまった財政措
置を講じています。この典型は、医療対策や雇用対策ですが、本来なら消防のメニューも
上乗せすべきではないかというのが、1つの考え方です。
もう1つは、独立行政法人です。地方独法についてはもう少し手続を簡略化して、難し
い手続なしに広域業務を、それぞれの市町村長さんの意向で、実動部隊では一体としてや
っていいのではないかという話があります。消防の場合は消防本部なので、地方独法と単
純に同じ話にはなりませんが、今までの事務の委託、一部事務組合、協議会方式といった
広域行政手法をいま一度見直しして、わかりやすく、やりやすくしていく。このこともぜ
ひ検討していただけたらと思いました。
以上です。 23【田中会長】 ありがとうございました。
どうぞ。
【重川会長代理】 ありがとうございます。広域化とか共同指令の話とはちょっとそれ
るかもしれないのですが、今後の消防体制の「今後」が、どれぐらい先を見通して考えて
いけばいいのかというのが、きょうのご説明で、もうちょっと短期なのかなと思い直した
のですが、実は少し長期的に考えていました。
具体的には、将来的に消防というのは警察、自衛隊、消防の中でも唯一日常的に消防防
災業務をされているという組織です。その中で、将来的にやる気があって優秀な若い人が
消防という職を選んでくれる、まさにいい人材の取り合いなわけです。警察、消防、自衛
隊で。その中で、消防にいい人材、特に防災マインドを持った人たちが入りたいと思うよ
うな職場にしていく必要があるのだろうなと思っています。
具体的には、まず定年の話もあると思います。今は60定年ですが、再雇用とか、ある
いは現場を離れても、当然予防とかいろいろな業務で活躍できるスキルを持った人が育っ
ていくわけですから、少し将来的に、どんなキャリアパスがあるのだろうことを含めて、
それと消防というとどうしてもオレンジの服を着たレスキューとか、あるいは勇ましく警
防、消火活動を行うというイメージが強いのですが、実は日常的には予防業務が非常に重
要ですし、
それから、
やはり限りある資源の中では、
ある意味で専門性は必要なのですが、
もう一方ではオールマイティーな技術と知識を持った職員を育てていくということも、こ
れから限られた人材の中では起きてくるのかなという気がします。
それともう1つは、この資料2の中にも書いているのですが、各市町村の資源を有効に
というときに、公的な公務員という立場で消防も活動するわけですから、そうなったとき
に、例えば建築行政とか、今までとはもっと違う、広い範囲で、消防の中だけでの連携で
はなく一般行政の中で果たしていける役割、一部、防災課へ職員が2年出向するとか、そ
ういうことはあるのですが、もう少し広い意味での安全、安心のところで、一般行政との
連携というものも広げていくと、若い人にとってはもっと、狭い範囲ではなく広い社会貢
献ということで、また違った興味なりやりがいなりを感じてもらえるような職場になるの
ではないかなという気がしています。
以上です。
【田中会長】 どうもありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
【山本専門委員】 もう1つ、管轄区域というのは、今、消防、自衛隊、警察が出てお 24りましたが、消防の中でも救急をやっておりますと、メディカルコントロールと申しまし
ょうか、質の担保というのが非常に重要になってまいります。それには医師会が絡んでき
ます。
そうすると、医師会はどこまでが医師会の管轄区域なのか、そしてどんどん広域になっ
てくると、当然、医師会をはみ出ます。消防はそれでいいのですが、警察もはみ出てしま
います。管轄区域というものが、消防あるいは医師会、あるいは警察と全く違うところが
出てきてしまうわけでして、
それをどういうふうに調整するのか。
それはプロトコル等で、
災害等で、ここはこういうふうにやろうやというA市がいたときに、B市と一緒になった
ときに、それは両方でどうするの、というのが時々議論になっておりますので、その辺も
きめ細かく広域化の中に入れ込んでいくというのも重要ではないのかなと、今思っており
ます。
【田中会長】 ありがとうございます。
どうぞ。
【石井委員】 個別に名前が出ましたのでちょっとだけコメントします。
医師会のこういう組織のエリアレンジと行政区が例えば違っていたり、そういうことが
確かにあります。メディカルコントロール体制、今、日本語で「医療統括体制」と言おう
と私たちは提言しているところなのですが、あくまでこれは、全体として医療の網の中で
やってもらっていますよという、それが一番、地域の方々、患者さんにとって大事なわけ
です。
それを維持するということは、
1つは権限をしっかり移譲する。
フロントラインに、
こういうことでやってくださいと。こういうことをやっていることは大丈夫ですよ、と言
えること。それからもう1つは、エリアとかレンジの話をしますと、もう医療そのものが
多職種連携の場ですから、まして地域では医療・介護の連携とかになりますし、災害時は
飛んできたよその地区の救急車が業務を行うときにどこの指令を受けるべきかという議論
は、東日本大震災の後、しっかり議論しまして、その地区の指令を受けてもよし、例えば
東京消防庁が出かけた場合に、東京からの、遠方からのコントロールでもよしと。これは
お互いに認めましょうというので、
「連携」
というキーワードをもう1つ使って我々はやる
という話をしていますから、これは行政もまたそういうふうにしていただけるといいので
はないかなと思ってコメントします。
以上です。
【田中会長】 どうぞ。奥山委員。
【奥山委員】 まだ委員会は初めてでございますので、あるいは勘違いのことがあるか 25もしれません。
まず、今までもお話をいただきましたが、消防体制として我々の消防は、大きくは3つ
業務を持っていると思います。1つは消火、いわゆる火災に対する対応。それから、今お
話が中心的に出ています救急。そして日常の予防としての予防啓発活動。さらに仙台市の
場合ですと若干化学テロとかそういう高度なものもありますが、比重的にはこの3つが大
きいのではないか。広域化をした場合に、この3つの分野によってメリット、デメリット
の出方が相当違うのではないかという感じで、皆様方のお話を伺ってまいりました。
どちらにしても、広域化するときには、我々行政サイドにおけるメリットをどうつくり
出していくかということと、同時に住民の方々にとってどうメリットがあるかという、こ
れは一緒になればよいのですが、なかなか一緒になりがたい場合がございます。例えば住
民の方にとってメリットが出るようにするためには、行政としてはもっと人を投入しなけ
ればならず、人件費をどうするんだということで、広域ですから自治体も1つでは決めら
れず、いろいろ話が長引くというようなことが普通あるわけでございます。
そういう意味では、この3つの中でどこの部分について、今期における限られた時間の
中で話を集中的に行うのか。それについての住民側から見た場合のメリット、デメリット
の想定されるもの、
そしてまた行政的に見た場合に、
自治体におけるメリットが出るもの、
出ないもの。どちらも出にくいとした場合には、じゃあそれはどういう形でこれをやって
いくのかというようなことを、もう少し、テーマと課題とそのメリット、デメリットを分
けて考えていかないと、先ほどどなたかの委員からもお話があったように、総論としては
賛成だけれど、具体に県におろしたとき、また県からその下に落としたときに話がなかな
か進まないというのは、今申し上げた要素のどこかに相反する要件があるためだろうと思
いますので、それを今回、どういうふうに話を絞っていくかという、その筋道が大事では
ないかと思いながらお話を聞かせていただきました。
事務局には大変ご迷惑をおかけするような話かなと、自分も会議を主催することが多い
ので思いながら、初回ですので述べさせていただきました。
【田中会長】 ありがとうございました。
どうぞ。
【片田委員】 ずっとお話を伺ってきまして、
僕は主に防災をやっているものですから、
先ほどの山本専門委員の災害弱者の話だとか、いろいろなことを考えながら。
まず、消防防災行政を少し整理して考えてみる必要があるかなと思います。広域化する
ということは、その広域によって、例えば専門化している高度な医療にしろ何にしろ、あ 26る程度規模がなければ受け取れないような、維持できないようなものについては、広域化
という方法はどうしても必要な部分というのはあるだろうと。
一方で防災の現場、特に要援護者の問題などを見ると、極めてローカルな問題で、広域
化広域化と言っている一方で、そこの部分は消防団との連携みたいなものがどうしても必
要になってくる。そのローカルな対応というものも、広域化の議論一辺倒ではいけない。
それをメリット、デメリットと捉えるのではなくて、ともに必要なのだと、こう捉えるこ
とが必要なのだろうと思うのです。常備消防というものがそのうち何を担っているのか、
特に広域化の中で担うべきものはより高度なもの、それでなければ、広域化しなければ維
持できないものについては広域化という枠の中で、常備消防の中でしっかり受け取ってい
くという、その方向性は否定するものではないのだろうと思うのです。
一方で、どうやっても、ローカルな部分の話について、消防団との連携という役割分担
ということで明確化するということ、これも必要性を非常に感じました。
もう1つは、防災行政と消防というものの関係を少し考えていただく必要があるかなと
思います。
防災は相変わらず首長防災でこういっているわけで、
避難勧告、
避難指示等々、
首長権限ということになっているわけです。ところが、広域的な防災、災害、災害は特に
最近広域化しているという状況になってくると、そうすると、首長の持っている権限と、
広域化した消防の連携というものはどうあるべきなのか。特に避難体制などは、1つの市
町の中で避難体制が完結しない状況が出てまいります。今の熊本などを見ていてもそうで
すし、もう少し緊急避難のエバキュエーションの、命からがら避難の部分においても、例
えば東京とかのゼロメートル地帯、ここからの避難などということになると、一つ一つの
区では対応できないような問題になってきています。そうすると、広域的な避難体制、防
災というものと、消防の広域化という問題、指揮命令系統はどうなるのだという、この辺
の整理が少しできていないようにも思うのです。
広域化すべきはもう少し広域的な対応にしなければいけない問題もある。そして、広域
化することによって充実していくものもある。広域化することによってできない部分を消
防団でしっかり担うというような、明確な方向性を少し示していく必要が、もうぼちぼち
出てきているのではないかなと思います。
以上です。
【田中会長】 ありがとうございました。
どうぞ。
【相川委員】 新任の相川でございます。以前は神戸新聞で防災復興、それから地方自 27治に関する社説を書いておりまして、今は民間非営利シンクタンクの立場で、人口減少を
見据えて、地域をどう持続可能にしていくのか、官民連携に関する研修や地域自治組織の
制度設計などの仕事をしております。
その観点で3点ほど申し上げます。1点目は、広域化の議論をする際に、本日データと
していただいた管轄人口だけでは不十分ではないか、ということです。面積や人口密度、
出動時の移動距離。それから当該地域の人口構成や高齢化率などをも含めて分析し、さら
に広域化が進まない理由というものを丁寧に聞き取っていかなければ、管轄人口だけでは
なかなか議論しづらいな、というのが1点目でございます。
それから2点目、広域化の人員配置のことなのですが、広域化しやすい業務がある一方
で、土地勘が必要な、ローカルで人材が必要な職種というものがあるかと思います。これ
は一般的な市町村合併の際によく聞いた話ですが、合併後、当面の間は、土地勘のある地
元出身の職員が支所にいてくれたり、地域担当職員が配置されたりで不便を感じないです
むと。しかし、数年経って人事異動で土地勘のない人が来たりすると、一気に住民にとっ
ての疎外感というか、合併のデメリットみたいなものが出てしまうようです。そういうこ
とを考えますと、広域化が済んだ後での人員配置であるとか、採用人事の問題〜例えば少
人数であってもローカル色の強い職種は残していくとか、全員を広域業務にしないで地域
担当職員のような形を残していくとか〜そういうフォローアップも含めて示さないと、市
町村合併で痛手を感じている小規模自治体や住民の方は、消防の広域化に対しても反発が
強いのではないかと思います。
それから3点目ですが、
やはり住民にとってのメリット、
デメリットを示すことですね。
先ほど奥山市長さんもおっしゃいましたが、
「行政としてはこれだけしかできない〜では
住民はどうするのだ」とか「これしかできない中でどういうふうに優先順位をつけていく
か」ということに関するコミュニケーションや合意形成のあり方についても、そろそろ議
論を始めていかないといけないという気がいたします。
以上、雑駁な感想で申しわけありません。
【田中会長】 ありがとうございます。
それでは、先に高橋委員にお願いしたいと思います。どうぞ。
【高橋委員】 2点ほどお話しさせていただければと思います。
今まで、広域化というのが進んできて、次に指令の共同運用という形で出てきているわ
けですが、広域化というのは消防の全般ということになるでしょうし、指令の共同運用と
いうのはそのうちの活動面の一部分だということだろうと思います。 28それで今度、きょうの議論にありますように、その次に、消防本部からのより柔軟な連
携・協力のあり方を求めていくということになっているわけでございますが、皆さんの議
論を聞いていて、やはり広域化、そして共同運用、その次に出てきた、このより柔軟な連
携・協力というものが、どういう位置づけになるのか。あるいはその結果としてそれに行
った経緯だとか、その位置づけだとか、あるいは柔軟な連携・協力の内容だとか、そこは
よく整理されてくる必要があるのだろうなということが一点あります。
それともう1つは、
今回、
「災害の多様化に対応した消防体制のあり方等」
という、
「等」
もついていて、非常に、人口減少と災害の多様化という幅広いとり方をしている。また、
「消防体制のあり方等」と「等」も入って、非常に広い幅をとったのですが、そこの趣旨
というか、どこまで幅広く、また掘り下げていくのかなといったときに、災害の多様化、
複雑化に応じた体制のあり方等というと、細かい話ですが、そういった消防の装備だとか
資機材だとか、そういったものまで議論が深まっていくのか、あるいは全体の、いろいろ
なもっと大きな話になるのか、そこら辺のイメージというか、そういったものもあるのだ
ろうと思いますので、そこら辺はよく整理していただければと思います。
【田中会長】 ありがとうございます。
では秋本委員、どうですか。
【秋本専門委員】 私は、さっき申し上げましたように、今回の諮問事項というのは非
常に幅の広いテーマでやっておられると思って、素直にそれで受けとめたらいいのではな
いかなと思っております。
したがって、広域化というときに、消防組織としての広域化、消防活動あるいは防災活
動としての広域対応をどうするか。そしてそれと同時に、地域との関係をどうするか、も
うみんなセットになって議論しなければいけないだろうなと思います。
私は、全く個人的には阪神・淡路大震災の直後に消防庁長官という仕事になって、それ
で緊急消防援助隊という全国の応援組織をつくるというめぐり合わせになったのですが、
そのとき、こういうこともやらないかんなと思った。それは、1つは消防活動というのが
ますます高度化、専門化しなければいけない、レベルを高くしなければいけないなという
ときに、消防組織として見ると、100人以下の組織が当時半分あったのですが、これで
は対応し切れないなと思って、広域化というのは地域を広くするというよりも、組織を大
きくするということに主たる狙いがあって、そうすると、目の子でいうと300人ぐらい
いたらいいだろうなと思ったのですが、同時にそうした場合の問題点が、さっきからいろ
いろあるように、これははるかに遠い消防本部になって、そして地域から離れてしまうと 29いうことになると困るなと。だから、片方で地域の体制をしっかりつくらないかんと思っ
て、消防団を中心にして、地域の皆さんが一緒になって何とかしのいでいくような体制を
つくらないかんということを一生懸命言って、神戸市消防局のご協力をいただいて30分
物のビデオをつくって全国に配るみたいなこともしたのですが、なかなかそう思うように
いかなかった。
地域の体制といったときに、
きょうは千葉さんがおられますが、
東日本などのときにも、
女性の皆さんたちが避難所をどう運営するかというようなこと、
あるいは避難するときに、
どういう人がここにいるよといったようなこと、いろいろなことに非常に詳しい人がたく
さんいる。そういう方々が一緒になってというのもあるし、それから消防団自身が、その
中でもやはり中心になって動かなければいけないというのもあるし。そういう地域の体制
をつくらなければいけない。そして、僻地切り捨てみたいなことにならないように、それ
ぞれの地域も大事にするように。常備だけではどうしても限界があると思いますので、そ
ういう体制をあわせてやるということでやってきたのですが、なかなかそう簡単にはいき
ません。
同時に、東日本などの経験から見ると、消防団というのがもっと応援出動、常備消防の
ほうは緊急援助隊ということで全国の応援体制をつくっていますが、消防団というのも本
当はもっと応援出動というのができるといいんじゃないかなと思って、そういうことの協
定を結ぼうだとか、そのために水、食料、燃料、少なくとも3日分ぐらいは持っていかな
いといけないよな、といったことを言ったりとかをやりました。
そういうことをいろいろやってきたのですが、今度、熊本の災害というのが、まだ詳細
のことはよくわかりませんが、この間ちょっと話を聞いていると、いろいろまだあるなと
思いました。
例えば消防団の応援というのに、応援協定というのはできているはずなのですが、しか
し本当に行っていいのかどうなのかということを悩んだ例、あるいは応援に来てもらった
ときに、どういうふうに動いてもらったらいいか、指示をするのにどういうふうにしたら
いいだろうかということで悩むとか、いろいろなことがどうもあるみたいだと。
それから、常備消防だけではさばき切れないというので、例えば木造住宅が地震で倒壊
した、下敷きになっている人がいる。そのときは消防団でも何とか助けられるようにしよ
うじゃないかと思って、救助機材などを全国的にたくさん持てるように進めてきたのです
が、十分ではないという感じがしました。
そうすると、もっとそういう、高度な活動として行う消防組織としては、広域化してレ 30ベルを高める。しかし一方、本当に地域の中で、すぐ目の前で人が困っている、助ける、
という体制にもしなくてはいけない。そうすると、消防団の装備もよくしなければいけな
い。
それから同時に、いろいろなことをやるときに、情報の連携というのが本当にうまくで
きているのか。今回、東日本のときにもつくづくこれが不十分だということを思ったので
すが、そういうような情報の連携というものはうまくできているのか。常備を含めて、消
防関係全体の連携が本当にどうなのか。
だから、なかなか難しいかもしれませんが、せっかくテーマが「災害の多様化等」とな
っていますので、例えば東日本についてはかなりわかっている。熊本についてはまだわか
らないところがいろいろある。こういったことについても情報を収集して、これからの消
防活動のあり方、体制のあり方の参考にというようなことができればいいのではないかな
という気がします。
片田先生からお話ありました、防災と消防とをどうつなぐか。例えば広域消防にする。
ただし、市町村長さんと手が離れてしまうと、一般の防災活動から離れてしまうというこ
とになってはいけない。それでいろいろ工夫をしたらどうかということも、当時、18年
の法律改正のときは議論していたのですが、なかなか簡単にはいっていないかもしれませ
ん。しかし、その問題意識はみんなあると思います。
【田中会長】 ありがとうございます。
熊本地震に振っていただいて、次の議題に進めというご指示のようにも伺いますが、せ
っかくの機会でございますので、東日本を踏まえて、千葉委員、和合委員、何か一言、も
しコメントがあれば。
【和合委員】 和合でございます。私は福島県より参加させていただきました。福島県
は、浜通り、中通り、会津地方と広い地域で、地域の格差があります。きょうはお話も伺
いながら、私は素人なりに、福島県内のそれぞれの地域がどのような広域でまとめられて
いくのが良いのかと思っておりました。本当に良い形で地方にあっても中央と同じような
条件でサービスを受けられるようにするにはどうしたらいいのかと、大きな課題に取り組
んでいかなければと、今、頭の中でいろいろ考えておりました。
今、福島県では、原発被害を除き、津波の被害を受けた浜通り地域ではほとんど防潮堤
工事が進み、私たちが今までに目にしたことのない大防潮堤ができてきております。
また、被災地では大きな備蓄倉庫を建築し、食料品や水、寝具、暖房機器、発電機など多
くの品が備蓄されて防災に備えております。 31今日お話を伺って、
この備蓄倉庫の活用も、
大きな災害に備えた消防の連携協力の下での、
消防の広域化は必要とおもわれました。
これからも議論に参加させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【田中会長】 ありがとうございました。
千葉委員、何かございますか。
【千葉委員】 初めての出席で参加させていただきましたが、よろしくお願いしたいと
思います。
東日本大震災の経験を、私も十分にさせていただきました。特に私は宮城県の県境にお
りまして、気仙沼の近くにおりまして、気仙沼、
それから南三陸町には、
藤沢町、一関市、
全地域を挙げて支援したわけですが、そのときに感じたのですが、やはり岩手と宮城の県
境の垣根があるということをつくづく感じたわけです。
そういう県境を乗り越えて、
今回、
私たち自主防災組織は、特に何の縛りもなかったので活動がしやすかった様に思います。
ただ、消防団に応援を求めたのですが、なかなか消防団は動けなかったようです。やはり
近くの高田、岩手県なので高田のほうに応援に行くと。気仙沼、本吉には、幾ら近くても
動けないという状況にありました。
そんなところを今回、私もこういう会に出席させていただいて、学習をさせていただき
ますと共に皆様の様々なご意見を聞き審議させていただきたいと思いますのでよろしくお
願いいたします。
【田中会長】 ありがとうございました。
沖山委員、何かございますでしょうか。
【沖山委員】 私も初めて参加をさせていただきました、沖山でございます。よろしく
お願いいたします。
私は東京都の消防協会会長をしておりまして、まさに今、消防団員確保ということが大
変悩んでおり、東京の直下地震が来たら、我々消防団として、本当に都民の皆さん方の負
託に応えることができるかということで、この問題について、都議会にしても、また消防
協会にしても、大きな議題としているわけでございます。
ぜひ、ここの問題も、どうしたら私たちの消防団が団員をふやすことができるかという
ことを、ぜひ議題として取り上げていただきたいと考えております。そして、消防署との
連携をどうとっていくかということは、やはり団員確保が必要だということでありますの
で、ひとつご審議をお願いしたいと思います。
以上です。 32【田中会長】 ありがとうございます。
皆様にも一応ご発言をいただきまして、いろいろとまだ多々あると思いますが、第1回
目ということで、次の議題に移らせていただきたいと思います。
あまりにも多岐にわたりましたので、あまりまとめるというのもできないかなというふ
うに伺っておりましたが、共通で出てきたことは、メリット、デメリットということをき
ちんと評価して進める必要があるだろうということです。その中で、瞬間風速的な問題も
ありますし、
「手を突っ込む」
という表現をされていましたが、
あるいはその構造的な問題
もあるでしょう。その上で、実はそこの議論をする上で、目標というか、そこにかかわる
部分についてのご指摘が幾つかありました。命を預かるとか高齢化社会等がございました
が、大きく分けるとやはり高度化という1つの目標と、それから安全安心、あるいは行政
サービスの質、あるいは地域のつながりという点を指摘いただきました。ある意味価値の
対立があるわけで、そこからきちんと見ておく必要がある。それをする上では、指標の、
もっと具体的にいうと需要の客観化というのをきちんとしておかないと、議論は拡散して
しまうのではないかというご指摘もありました。
そして、多くの方々に共通で出てきましたのが、若干消防というところで、もう少し横
断的な目配りが要るのではないかという点でした。全体的な地域の行政サービスという目
で見ると、恐らく消防と救急と予防でも違うでしょうし、医療圏というまた一つの論理も
ありますし、あるいは防災という部分もございます。
そういう意味で、その3つあたりを少し議論させていただき、その中でどこかに絞って
いくなら絞っていくというのは、また実際の国の消防行政の予算措置等も含めてあると思
いますので、
そこら辺をまたウエートをつけて議論をしていただければと思っております。
それでは、先ほど秋本委員のほうからもご指摘がありましたが、熊本の地震についての
ご紹介を、これは米澤課長から、よろしくお願いいたします。
【防災課長】 それでは、資料4をお開き願いたいと思います。熊本地震の被害状況及
び消防機関の活動についてということで、おめくりいただきまして1ページをごらんいた
だきますと、既にご案内のように、被害の状況、人的被害、死者69名ということで、熊
本県が発表してございます。この中には、災害との関連はこれから確定していく死者20
名の方も含んだ死者数となってございます。また住家被害が非常に甚大でございまして、
そこに記載のとおりの数値でございますが、右の(注記)3にありますように、これ以外にまだ
分類未確定の住家被害4,000棟余がまだ残っているという状況でございます。
下に、消防機関の活動でございます。今回の災害に対しまして、消防機関、警察、自衛 33隊、国交省のテック・フォース、DMAT等と連携した活動を実施してございまして、下
の表にございますように、
緊援隊ですと活動人員数がピーク時で約2,000名。
地元消防
本部が県内応援を含めまして約1,700名。消防団が約9,200名ということで、相当
多数の職員が救助活動等に参加してございます。
2ページをお開きいただきまして、その中でも緊援隊の活動について特に説明したもの
でございます。
今回は出動期間が14日から27日までの14日間ということで非常に長くなってござ
いまして、出動部隊総数約1,400隊、約5,000名とございますが、これは平成16
年の中越地震の際には10日間で約2,000名、
東日本は非常に大きかったわけですが8
8日間で3万名余ということでございますので、中越地震よりもかなり大規模な活動とい
うことになってございます。
そして、14日の前震発生後に、九州地域を中心とした各県消防から10県の出動がご
ざいます。16日の本震発生後に、さらに西日本まで範囲を広げまして、追加で10隊出
動してございます。
活動状況は下に記載のとおりでございますが、特に今回、地震に伴いまして大規模な土
砂崩れなどが発生いたしましたので、それにかかります捜索・救助、それから避難者が非
常に多く発生しましたので、救急車による搬送などに従事してございます。航空部隊も、
ヘリテレ等を活用した情報収集等に当たってございます。
次の3ページに写真がございます。上の段の左側が、死者15名が発生しました南阿蘇
村の高野台地区というところでございまして、こちらだけで6名の方がお亡くなりになっ
た現場でございます。
右側の肩のほうに阿蘇大橋の写真がございます。これも南阿蘇村で、今なお1名の方が
行方不明の状態でございますが、また大規模な土砂崩れが発生いたしまして、国道と橋が
流されてしまったような状況でございます。
下の左が熊本県益城町でございます。この町で死者20名が発生した、かなり住家被害
が大きかったところでございます。
右の写真が緊援隊の活動状況でございまして、中ほどにあります、会議室のようなとこ
ろで会議している写真が、県庁の中で自衛隊、警察、消防等々が連携して会議を行ってい
る様子でございます。
右下にあります、ちょっと広い広場のようなところに緊急車両がいっぱいとまっている
ところ、これは県の消防学校でございまして、緊援隊の進出拠点になったところでござい 34ます。
その隣に、これも室内で会議しているような写真でございますが、これは拠点機能形成
車という、車両の中で会議ができるような機能を持った車両の中での様子などになってご
ざいます。
4ページに移りまして、先ほどもご議論がございました、消防団の活動についてまとめ
たものでございます。
今回の地震でも、各消防団、みずから被災した団員がいたにもかかわらず、震災直後か
ら救助活動、安否確認、避難誘導等に従事をしていただいておりまして、中ほどに書いて
ございますように、熊本県で延べ活動人員約5万9,000名、大分県で約4,700名と
いうことで、多くの方がご活動をいただいているところでございます。
下に主な活動をまとめてございますが、消火活動、倒壊家屋からの救助活動、土砂災害
現場における活動など。それから避難所における給水、炊き出し。それから話題になりま
したエコノミークラス症候群の注意喚起などにも当たっていただいております。
5ページ以降は各消防団における活動でございますので省略をさせていただきますが、
最後の7ページに、他機関との連携状況ということでまとめさせていただいております。
今回も緊援隊、地元消防をはじめ、消防や警察、自衛隊などの部隊と連携して活動して
ございまして、自衛隊もピーク時約2万4,000名、警察も約4,000名の部隊が出て
おりまして、下の写真にありますような、それぞれの地域、あるいは県庁全体での調整を
図りながらの活動になってございます。
当然のことながら、今回の熊本地震に関しましては、関係府省を挙げましてオール政府
で、今なお避難されている方々の救援に当たっているところでございまして、きょう私が
ご説明させていただきましたのは、発災直後の消防機関の活動に限った話でございますの
で、これ以外でも各省の活動は多岐にわたっておりますので、そこはお含みおきをいただ
きたいと思います。
以上でございます。
【田中会長】 ありがとうございました。
この件に関しまして、何かご質問などございますでしょうか。どうぞ。
【小川専門委員】 小川でございます。ちょうど4月14日の地震が起きる4時間前ま
で熊本にいたものですから、
帰ってきて緊急地震速報を見てえらいびっくりしたわけです。
自分の地元でもあり、ショックでした。
その後、関係の人たちといろいろと情報共有などをしてきたのですが、一つやはり、こ 35の消防審議会でもどこか頭の片隅にでも置いておかなければいけないテーマがあるかなと
思ったのは、ある県の現職の部長さん、これは現職ですからあまり名前は挙げられないの
ですが、熊本県の防災について、ずっと教育に行っていたというのですね。熊本県はかな
り積極的に取り組んできた面はあるのです。あれだけ取り組んできたのに、実際起きてみ
ると、自分が合格点を出せるレベルまで動いていない、動けなかった。災害に襲われると
いうのはそういうことなのだなという。
つまり、
「畳の上の水練」
という言葉がここで出て
くるわけであります。その辺を熊本地震の教訓として酌み取りながら、何か取り組みはで
きないだろうかという感じがするのです。
ありがとうございました。
【田中会長】 どうもありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
【片田委員】 今回の熊本の災害対応を見ておりまして、きょうのキーワードでありま
す広域化、災害の広域化ということの顕著な例なのだろうと思います。
毎度毎度、災害のたびに問題視されること、いつの災害においてもほとんど同じような
枠組みの問題ばかりで、また今回もエコノミー症候群だ何だかんだと、前にも言っていた
じゃないかというような話ばかりなわけです。
これを見ていて思ったことは、広域化、災害対応の広域化は非常に重要であるというこ
とをすごく認識させられました。災害が起こって、いまだに余震が続いていて、家屋がか
なり被害を受けていて、避難をしておられる。当座の避難としてのエバキュエーション、
命からがらの避難をし、そして体育館というシェルタリングをやっているのだけれど、実
質そこでもう難民化しているわけです。シェルターという、本当に短期的な、その場しの
ぎの難を逃れる施設で、難民生活で、通常生活のモードでいかなければいけないという、
こういう状況の中で、非常に劣悪な環境の中で、災害で命は助かったのだけれど、避難で
命を落としていくという状況が生じている。
あのときに、僕はいち早く思ったことは、すぐに戻れないわけです。どうやったってあ
のまま難民化することはわかっていた。であるならば、初めから避難のありようとして広
域的な避難ということを検討すべきだったのではないかと。ただ、被災者の方々がその場
を離れたくないという心理は非常に働きますし、家の中にまだ大事なものがいっぱい残っ
ているという状況の中で離れられないという気持ちもわかるのだけれど、でももうにっち
もさっちもいかなくなって命を落とすような状況が出て、そしてもう、どうにもならなく
なって広域避難をするみたいな、こういう、ずっと今までの災害で見てきたことが続いて 36いるわけです。
早目の対応として、こういった事態においては、難民化することがわかっているような
状況においては、少し早目に広域的な避難体制を全体としてバックアップしていくという
ことも必要かなというのを痛切に感じました。
避難のことに関心があるものですから、避難の観点から一言言わせていただきました。
【田中会長】 防災についての広域化という議論が片方で進んでいるということでもあ
ると思います。
ほかはいかがでございますでしょうか。
それでは、まことに恐縮でございますが、時間が参りましたので、この辺で議論を打ち
切らせていただきたいと思います。
それでは、次回以降、本日皆様からいただきました意見を踏まえまして、さらに議論を
深めていければと思います。
最後に事務局から事務連絡がありましたらよろしくお願いいたします。
【事務局】 本日は長時間にわたるご審議をありがとうございました。
次回、第2回につきましては、6月24日金曜日、10時から12時で、部屋は異なり
ますが本日と同じここ主婦会館で予定をいたしております。詳細は後日ご連絡をさせてい
ただきます。
また、第3回、第4回の日程調整に関しまして、近日中にメールにて照会をさせていた
だきますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【田中会長】 ありがとうございました。
それでは、本日の審議会を終了したいと思います。皆様どうも活発なご意見をありがと
うございました。

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