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第26次消防審議会
(第6回)
日時:平成24年3月16日
場所:主婦会館プラザエフ 1第26次消防審議会(第6回)
平成24年3月16日
【課長補佐】 定刻となりましたので、ただいまから、消防審議会を開催させていただき
ます。
最初に、説明としまして、配布資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御覧
ください。表紙を1枚おめくりいただきまして、まず資料1、第26次消防審議会の審議事
項、1枚ものでございます。資料2-1、市町村の消防の広域化について、進捗状況等に
ついて、3枚ものでございます。資料2-2、その広域化について、参考資料でございま
して、4枚ものでございます。資料3、適切な救急搬送のあり方、実施基準に基づく救急
搬送の現状と課題について、3枚ものでございます。資料4、消防法の一部を改正する法
律案の概要、2枚ものでございます。資料5、平成24年度消防庁予算(案)の概要、1枚
ものでございます。
資料6-1、
第26次消防審議会答申を踏まえた消防庁の対応について、
1枚ものでございまして、6-2から6-8にかけましては、検討会の概要を1枚ずつつ
けさせていただいておるものでございます。最後に資料7、防災対策推進検討会議の中間
報告で、A3の1枚ものをつけさせてございます。恐縮でございますが、不足等ございま
したら、事務局までお知らせいただければと思っております。
また、
傍聴席の報道関係の皆様方にお願いがございまして、
一般の取材につきましては、
審議会終了まで行っていただいて結構でございますが、撮影については諮問文の手交まで
とさせていただきたいと思っておりますので、御了承いただきたいと思っております。
審議に先立ち、消防庁長官から挨拶をさせていただきたいと思ってございます。長官、
よろしくお願いいたします。
【長官】 おはようございます。
消防審議会の開催に当たり、
一言御挨拶を申し上げます。
去る3月11日、東日本大震災から1年を経過いたしました。東日本大震災は、これまで
私どもも経験したことのない大地震と巨大津波により、各地に甚大な被害をもたらしまし
た。当消防審議会においては、昨年の夏から東日本大震災を鑑みて、どのように消防防災
体制を充実・強化させていくのかといった、いろんな観点から御議論をいただきました。
津波対策を充実・強化すべきであるとか、緊急消防援助隊の活動を検証して、今からの
課題はこうだといった、
多くの事柄について御議論いただきまして、
先般、
吉井会長から、 2東日本大震災を踏まえた今後の消防防災対制のあり方に関する答申をいただきました。
心から感謝申し上げる次第でございます。いただきました答申を踏まえて、私ども、消
防防災体制の整備に努めて参ろうと思っておりますが、その経過、状況につきましては、
この審議会で御報告をさせていただき、また皆様方に検証していただこうと思っておりま
す。
さて、後ほど、新たな諮問をさせていただこうと思っておりますが、今回からは、東日
本大震災に関係しますことは当然のことでございますけれども、迫りくる首都直下型地震
であるとか、東海、東南海、南海地震であるといったように、いろいろと言われておりま
すけれども、地震だけではなく、昨年の夏も、新潟、福島で起きましたけれども、集中豪
雨であるとか、あるいは昨年は台風12号、15号、これもかなり大きな台風でございました
けれども、そういった集中豪雨、台風の被害、火山、また、今も雪崩が心配でございます
けれども、雪害といった、大規模、多様化する災害に対して、消防としてどうやってこれ
らに対処していくのかということ、そして、その時に、消防の体制というのはどうあるべ
きかということを御議論していただこうと思っております。
言いかえますと、消防がこういった災害に対して、いかに対応していったらいいのかと
いうことであろうと思いますけれども、また、後ほど諮問させていただこうと思っており
ます。
終わりになりますけれども、委員の皆様方の御健勝と私どもに対する議論を通じて、い
ろいろと御示唆を賜りますように心からお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただき
ます。ありがとうございます。
【課長補佐】 本日は、山本委員、国崎委員は若干遅れていらっしゃるという御連絡を頂
戴しております。また、小出委員、ほか6名の方の御都合がつかず、御欠席となっている
ところでございます。
それでは、以後の議事進行につきまして、吉井会長、よろしくお願いいたします。
【吉井会長】 それでは早速、本日の議事に入りたいと思います。本日の議事ですが、最
初に、先ほど長官からお話がありましたように、新たな諮問ということで、
「消防の広域的
な対応のあり方について」という諮問をいただきます。それを受けまして、審議事項のほ
うにあります、この第26次消防審議会の審議事項(案)等について、それから市町村の消
防の広域化について御説明をいただき、審議をいただきたいと思っております。で、3と
して、
「その他」というのがありまして、適切な救急搬送のあり方についてなど、消防庁の 3ほうから、事務局のほうから御報告をいただく予定になっております。
それでは、具体的な議事に入る前に、諮問について、久保長官のほうからお願いをした
いと思っております。
【長官】 それでは諮問文を読み上げさせていただきます。
「東日本大震災をはじめとした
大規模・多様化する災害等への消防の広域的な対応のあり方について、
意見を示されたい」。よろしくお願い申し上げます。
(諮問文 手交)
【吉井会長】 東日本大震災を踏まえた諮問を受けて、1月30日にたしか答申をしたと思
いますけれど、矢継ぎ早の諮問でございまして、委員の皆さん、次々に諮問を受けるので
大変かと思いますけれど、一つよろしくお願いしたいと思います。
では、具体的に、ただいまの諮問事項を踏まえまして、議事に入りたいと思います。ま
ず一番目の、第26次消防審議会の審議事項(案)等、それからもう一つ、2番目の、市町
村の消防の広域化について、原次長さんから、御説明をお願いしたいと思います。
【次長】 おはようございます。私のほうから、その2点について説明させていただきま
す。
まず初めに資料1、
「第26次消防審議会審議事項(案)等」についてでございます。審議
事項としてお願いしたいのが、2点ございます。1つが、前回いただきました答申につい
てのフォローアップということで、後ほど、資料6以下で説明させていただきます。
今まで、その答申を受けて講じたこと、あるいは答申と前後しながらやっていたことに
ついて、御報告申し上げます。そして、これからも随時、その答申を受けて、とった対策
を、それを取りまとめた段階、講じた段階におきまして、この審議会で御説明をさせてい
ただき、ご議論、御指摘、検証等をいただければと思っております。
もう一つが、
「諮問に係る審議事項」
ということでございます。
消防の広域化の今後のあ
り方ということで、後ほど、広域化の現状等について御説明申し上げますが、これを御議
論いただきたいということ。
そして、
「その他」
という形で、
適切な救急搬送のあり方とか、
緊急消防援助隊をはじめとした広域応援体制をどう考えていくのか、そして、先ほど長官
の挨拶の中にもございましたけれども、地震、豪雪、集中豪雨、あるいは火山など、大規
模、多様化する災害に対して、消防機関としてどう対応すべきなのか、あるいは体制はど
うあるべきなのか等について御審議いただければと思っております。
当面のスケジュールは、今日、第6回で御議論いただきます。そして、第7回を5月な 4いし6月ごろに予定させていただきまして、今日御議論いただいた論点を整理して、また
御議論いただきます。そして、何回か開催し、必要に応じて中間答申、さらには最終的な
答申ということで、進めていっていただければと考えております。
引き続き、資料2-1と資料2-2に基づきまして、市町村の消防の広域化について御
説明申し上げます。初めての方もいらっしゃるということで、若干詳しく説明させていた
だきたいと思います。
まず、消防を取り巻く環境の変化ということで、災害の多様化、大規模化、あるいは救
急に対する住民ニーズの変化、また少子高齢社会、人口減少時代に突入をしております。
資料に書いてございますが、平成22年、高齢化率が23%、これは、前から比べればもち
ろん上がっておりますけれども、20年後の平成42年には、それが31.6%、さらに平成72年
には40%近くになるというふうな人口推計が出ております。
こうした社会情勢の変化等々を受けて、消防としてどのように的確な対応をとる必要が
あるのかということで、やはり広域化が必要になるのではなかろうかという考え方でござ
います。
それに対して、現在の消防本部の現状はどうなっておるかということでございます。従
前、平成6年以降、この広域化の推進に努めてきたところでございます。そして市町村合
併が進むとともに、消防本部の数は一定数減少、逆に言うと、消防本部そのものは大きく
なったということが言えるわけでございます。
平成6年、931の消防本部があったのが、平成23年には798まで減ってきているというこ
とでございます。ただ一方で、管轄人口10万人未満の、小規模な消防本部が多数存在して
おるということがございます。そこの円グラフにございますように、10万人未満の消防本
部が482ございます。全体の61%を占めておるということでございます。
この小規模消防本部の課題ということで、資料の右下に、一般的なものを例示しており
ますけれども、出動要員に余裕がないということで、初動対応にしても最小限、また、2
次出動以降についても十分ではないとか、予防等の分野で、専門的な人材がなかなか育ち
にくい、確保しづらい、また人事を回していく場合、ローテーションもなかなかうまくい
かない。職務経験も不足するし、年齢構成もいびつになりがちであるということでござい
ます。こうした観点から、やはり消防の広域化が必要ではなかろうかということで、それ
に取り組んできております。
ちょっと詳しく説明したいので、
資料2-2の参考資料、
「市町村の消防の広域化につい 5て(参考資料)
」を御覧いただきたいと思います。ここに、ざっと申し上げた経緯を、もう
少し時系列的に整理をしております。この広域化の推進の取組ということで、平成6年に
長官通知を出しております。その後、ここに書いてございませんが、平成12年から平成16
年にかけまして、市町村合併がどんどん進められるということがあったものでございます
から、その市町村合併の推進と整合性をとる形で、消防の広域化というのも進めてきたわ
けでございます。そして、その後も合併は続きますが、一つの節目ということで、平成17
年の時に、
「今後の消防体制のあり方に関する調査検討会」
というものを開催いたしまして、
合併は一段落したものの、まだ消防の広域化が十分に進んだとは言いがたい状況であると
いうことで、今後どうしていくかということで、今までは長官通知等々で対応してきたわ
けでございますが、法制化が必要ではなかろうかということで、平成18年2月、消防審議
会の答申をいただき、平成18年6月に消防組織法の改正を行ったところでございます。
そして、その組織法を受けて、消防庁告示という形で基本指針をつくり、各都道府県に
推進計画を作っていただき、それを受けて、実際に広域化の検討を市町村でやっていただ
くといった流れにしたわけでございます。
この現在の法律の前提になったものが、次の3ページ以下、消防審議会の答申でござい
ます。これも大変細かい字で恐縮でございますが、ポイントをかいつまんで御説明させて
いただきます。第1の、消防行政における国、都道府県、市町村の役割の部分でございま
すが、2の結論のところで、
「今後の消防体制を構築するに当たっては、まず市町村消防の
原則を基本としつつ、消防庁は全国的見地から、国として消防体制のあり方の方向性を示
す」
と。
また、
「都道府県においても、
この広域的な役割をより明確にしていく必要がある」
としております。
そして、第2として、その広域化の推進に当たっては、その都道府県の役割を明確化、
そして消防本部、あるいは市町村など、関係者が広域化について検討・議論をする枠組み
を作っていくということ。
それが、
4ページと書いてありますが、
その次のページでございます。
上半分の部分の、
ちょうど真ん中あたりでございます。
「広域化の現状と課題 (2)広域化の課題」という
見出しの、大体真ん中あたりに、
「広域化を進めるに当たって、都道府県においては、さら
なる広域化の推進に当たって都道府県の役割の明確化や、消防本部、市町村など、関係者
が消防の広域化について検討、議論をする枠組みが必要である」というふうにしておりま
す。 6そして、その下に、その広域化の目標をどう考えるかというのが3でございます。
「広域
化の目標となる消防本部の規模」ということで、5ページと振ってあるところの、上から
6行目からでございますが、
「以上の各般の検討を踏まえると、
従来から広域化の目安とし
ていた管轄人口10万人規模と比して、より高い目標とはなるが、管轄人口30万人規模以上
とすることを目標として設定すべきである」というふうに、答申で書かれております。
ただ、
なお書きといたしまして、
地理的条件には十分配慮することとか、
広域化に当たっ
て消防の対応力が低下することのないようにすべきであるということも、
言っております。
そして第3、
「市町村の消防の広域化の推進方策」ということでございますけれども、そ
の消防体制の整備確立のために、これは不断に取り組んでいかなければならない課題では
ありますが、
やはり、
一定の期限を区切って取り組むことが必要ではないかということで、
それを国の基本方針の中で入れてはどうかということでございます。それが第3の(4)
の「スケジュール」というところに記述をしております。
次のページで、
「広域化に当たっての重要な事項」という形で整理をしております。その
一番上の部分、
2行目のところでございますが、
「広域化に当たっては、
広域化後の消防体
制のあり方、また消防本部と市町村長の一体性、防災・国民保護部局や消防団との連携」
など、留意すべき事項がありますと。そして、消防庁では、基本指針において、こうした
事項について方向性を示すことが必要と。また、この指針を踏まえて、都道府県、市町村
においても、推進計画あるいは運営計画に、同様にそのあり方を示すことが重要であると
しておるところでございます。
この答申を受けまして、消防組織法の改正がなされたわけであります。7ページに概要
を示しておりますけれども、
もともと今申し上げたように、
期限を区切るということもあっ
たものですから、時限立法でやるべきではないかという議論もありました。
しかし、なかなか法律事項が見つけにくいということもあり、法制局審査、法制局との
やりとりの中で、消防組織法の一部改正ということで、いわば、広域化の理念及び定義が
恒久的に規定をされたところであります。
そして、消防庁長官のほうは、その目標となる本部の規模、推進機関、財政措置等の基
本的な事項を、基本指針という形で定めるということになっております。その上で、市町
村の自主的な広域化を推進すると。
そして、
都道府県にも一定の役割、
積極的な役割を担っ
てもらおうという趣旨で、
都道府県が推進計画を作るということにしたわけでございます。
その推進計画の中では、広域化対象の市町村の組み合わせ等について、記述をしてもら 7うということであります。これに基づいて検討して、消防の広域化を進めていくというこ
とであります。
その広域化対象になりました市町村におきましては、広域消防運営計画というものを定
めて、広域化後の消防の円滑な運営を確保していくということであります。そして、そう
いうふうなものに対して財政的な支援措置を行うというのが、この消防組織法の一部改正
の中身でございます。
参考までに、次の8ページでございますが、この消防組織法の一部改正の審議の過程に
おきまして、もちろんいろんな御議論があったわけでございますが、衆参両院から附帯決
議がつけられております。市町村消防の原則を維持して、自主性を損なわないように配慮
すること。また、消防署の統廃合、あるいは職員の削減につながることのないように、き
ちんと広域化の趣旨を徹底すること。あるいは防災部局、消防団との連携強化を図る、ま
た、市町村の十分な財政的措置を講ずる等々について、この附帯決議で指摘がなされてお
ります。
基本指針については、その下に書いてございますが、大体、消防審議会の答申を反映さ
せたものでございますので、説明を省かせていただきます。
また、本資料に戻っていただければと思いますが、資料2-1でございますけれども、
それをめくっていただいた2ページ目で、県が策定いたします推進計画の状況でございま
す。新潟と鳥取を除く45の都道府県で推進計画がつくられておりまして、その対象となる
消防本部の数は、合計で280ということでございます。
そして、この推進計画が実際に実現をいたしますと、現在、この時点では非常備が、全
国で37町村あったわけでございますけれども、
これができることで、
31町村が解消されて、
そこに書いてございますが、東京都の利島村、新島村、神津島等々についてのみ、解消さ
れないまま残るということでございます。
こういうふうなことで、広域化を進めるために消防庁がやってきたことが3ページ、5
の、広域化の推進に係る消防庁の取組状況です。広域化セミナーを開催する、また、推進
運動を実施する、また、アドバイザーを派遣する等々を行い、また、実態調査等を行いま
して、この推進計画の策定を促したりしてきたわけでございます。
また、財政支援措置ということで、次のページでございますけれど、6、消防の広域化
に対する財政支援措置ということで、市町村分では、運営計画をつくった時の作成経費と
か、広域化に伴い必要となる経費について、特別交付税の措置、あるいは起債等による財 8政支援措置等々を講じておるところであります。
そして、これまでの広域化の実績ということで、この消防組織法改正後に広域化を実現
した消防本部は、
6消防本部ございます。
また、
非常備の町村の解消ということで3町村、
米印に書いてございますけれども、昨年、平成23年11月及び12月で、3つの町村が事務委
託という形で、近接の消防本部に事務委託をすることで非常備を解消しているということ
でございます。
それから参考ということで、
事務の共同処理をしておるわけではございませんけれども、
指令業務の共同運用実施団体ということで、9地域、26の消防本部で共同運用がなされて
おるというのがございます。
それから6ページでございますけれども、現在、推進計画がどんな状況になっているか
というと、
推進計画で広域化が計画されているブロックは144ございますけれども、
その中
で協議会を立ち上げたり、あるいは準備組織を設けたりというのが、合わせて41。勉強会
レベルが53。はっきり言ってほとんど何もされていないというのが、50という現状になっ
ております。言ってみれば、なかなか広域化が進まないという状況にあるわけでございま
すけれども、その広域化に当たっての課題ということで、市町村長等の広域化への消極的
な見解というのを、そこに掲げております。
見解の一つとして、大きなところとか中規模なところは、十分、一定の消防力体制を有
しているから、特段困っていないという意見。また、広域化の本来の趣旨を誤解している
という見解もございます。そして3番目として、消防を組合化することによって、構成市
町村とか消防団、住民との距離が遠くなって、かえってよくないのではないか、関係が希
薄になってしまうのではないかという見解がございます。
ちょっと広域化の定義を申し落としてしまったので、申し訳ございませんが1ページに
戻っていただきます。
現行の消防広域化の推進スキームの、広域化の趣旨は、今申し上げたことでございます
が、広域化の定義ということで、2以上の市町村が消防事務を共同して処理すること。や
り方としては、一部事務組合、あるいは広域連合という形になろうかと思います。
または、市町村が、ほかの市町村に消防事務を委託すること。事務委託という形になる
わけでございます。これを広域化の定義としておりまして、これを進めていこうと。広域
化というのは、そういう形で進めていくことを意味するものであります。
そういうことでございまして、先ほど申し上げた見解、その3で、消防を組合化するこ 9と。要するに、一部事務組合になることで、
「おらが町の市の消防」という意識が薄れてく
るのではないかという批判でございます。
広域化の検討が進んでいるブロックを具体的に記述したのが、8ページであります。平
成24年2月現在での調べですが、平成24年度末まで、5年間の一定の期間として置いてお
るわけでございますが、これが21ブロックございます。それから、期間を過ぎてはしまう
のですが、広域化の可能性のあるブロックが11ブロックあります。そして、これを踏まえ
た、
今後の消防本部はどうなっていくかというのが、
9ページでありますけれども、
現在、
先ほど来、申し上げておりますように、消防本部は798ありますが、平成25年4月には、そ
れが750になり、平成25年以降の見込みまでは、698になると。それから、管轄人口10万人
未満の消防本部が、現在482ありますが、それが最終的に400まで行くというものでござい
ます。
そして、今後のスケジュールとして、私どもが考えておりますのは、基本指針で定めて
おります広域化の推進期限が平成24年度末、すなわち平成25年3月に参るものですから、
その後、どうしていくかということにつきまして、それまでに御議論をいただき、方向性
についてお考えを答申いただければと考えておるところでございます。
今日、1回目の御議論をいただき、私どもとして、都道府県のヒアリングとか、実態調
査を春に行い、それをこの審議会にお示しして、御議論いただければと思っております。
どういうふうに考えていくかということで、我々の問題意識を若干申し上げさせていた
だきますと、
現在、
推進計画に基づいて144ブロックになっておるわけでございますけれど
も、その進度状況、進め方の状況には大変大きな差がございます。
したがって、この広域化に取り組む意向のあるブロックの再整理をして、広域化に取り
組む意向のあるブロックについて、どういうふうに考えていくかということがあろうかと
思います。逆に、そうではないところはどうしていくかということも考えていかなきゃい
けない。
それから、広域化になじむ事務というのが、あるのではなかろうかと。例えば、指令の
共同運用とか、救急業務等でございます。こういうものについては、消防事務全体を広域
化するというのにこだわるのではなくて、一部でも、共同処理の実現に取り組んでいくと
いうことも考えていいのではないか。それから、広域化とか共同処理を望んでいるのです
けれども、なかなか周辺の理解を得られない、合意が得られない小規模な消防本部をどう
していくか。そして、そもそも、そういった意向を持っていない、参加する意思のない小 10規模な消防本部をどうしていくのか、そのあたりについて、これから御議論をしていただ
ければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
ちょっと早くなりましたけれども、駆け足になりましたが、私のほうからは、以上でご
ざいます。
【吉井会長】 ありがとうございました。それでは早速議論に入りたいと思いますけれど
も、多分最初の方もいらっしゃるかと思いますので、用語、その他、進捗状況の御説明に
ついて、御質問があれば、最初にできるだけ御質問いただいて、その後、意見交換という
ふうにしたいと思いますが、いかがでございますか。よろしいでしょうか。
御意見でどなたからでも結構ですけれども、いただきたいと思いますが。いかがでござ
いましょうか。
【石井委員】 消防本部が広域化をし、統廃合をしていくということは、よくわかったん
ですが、ここにも書かれていますように、そうしますと、例えば東北地方で、30万人以上
の都市というのは2つしかないわけで、仙台といわきなので、残りは全部、その広域化と
か、いろんなことをやらなきゃいけないわけですね。その時に考えなきゃいけないのは、
1つは、消防団と消防の本部との位置関係、それがどういう形で次のビジョンが出てくる
のか、
それがないと、
それぞれが遠い関係になりはしないかなと。
それから、
横の連携で、
助け合うという形がとれる可能性はあると思いますが、ただ、大が小を助けるという形、
今までの災害は、医療でも何でも、全部そういう形になりました。問題なのは、統合して
一番大きいところがクラッシュした時に、どのぐらい周りから今度持ってこられるかと。
だから、そこをあまり中央化してしまうと、対応力が減っていくという、ポテンシャル
が減るという可能性があると思います。
もう一つは、
地元で医師会としてちょっと考えてみると、
890ぐらいの郡市区医師会と呼
ばれる区割りがあるわけです。医師会の中の、3段階のうち一番小さな単位ですね。それ
と、実際の消防との連携といった場合に、今かなり複雑化してきているのですが、もっと
複雑化するのかなというところを、小まめに拾っていかないと、またいろんな問題が生じ
得るなということは、聞きながら感じました。以上です。
【吉井会長】 ありがとうございます。3点、御質問というか、疑問というか......。
【石井委員】 最後は、コメントです。
【吉井会長】 事務局のほうで何かございますか。その3点について。消防団との関係、
それから広域化したら、災害時に本当に今よりうまくやれるのかという話と、病院とかお 11医者さんとの関係が複雑にならないかという、3点、御質問。
【次長】 まず、消防団との関係についてでありますけれども、先ほどの説明資料の中、
資料2-1の7ページのところでございますが、どうしても、やはり距離が遠くなる。消
防団は引き続き、市町村単位で設けていくという大前提にしておりますが、常設の消防機
関が、一部事務組合なり、広域連合、あるいは他の市町村に事務を委託するという形にな
ると、そういうことはあると思います。
ですから、この広域化の推進に当たっては、そのあたりに十分、意を用いるようにとい
うお話はされておりますし、実際にそのあたり、どうなっていくのかというのは、きちっ
と検証すべきであろうかと思います。
確かに、一部事務組合になっている消防機関、消防本部の場合には、まず市町村長が、
こう言っちゃあれなのですけれど、
「おらが消防」という感じを持ったのですが、やや、人
ごと的なものがないわけではないと。そのあたりをどういうふうにしていくかという問題
は、確かにあろうかと思います。
それから広域化することで、災害対応力が落ちるかどうかというお話でございますけれ
ども、基本的に市町村消防の原則で、広域化することによって、その消防機関の力は強く
なるだろうという前提に立っております。
少なくとも、対応力はかなり上がるのではなかろうかと。ただ、地域が広がるために、
手薄になるのではなかろうかという御懸念かと思います。その場合には、いろんなところ
からの相互応援、広域応援、そして最後は緊急消防援助隊が出ていくということで、全国
的にお互いを補完し合い、助け合っていくというシステムで対応すべきではなかろうかと
思います。
それと、医師会との関係というお話でございますけれども、医療機関、救急搬送の世界
になってこようかと思います。それをどういうふうにやるのがいいのかというのは、いろ
んなパターンがあるのかなと。例えば、2次医療圏の単位で共同運用をしたほうが、救急
搬送はうまくいくのではないだろうかという話もありますし、
さらに大胆なことを言うと、
3次医療圏で考えれば、県で1つの共同運用みたいな形もあり得るかなと。かえって、細
分化しちゃうことによって、一番適切な医療機関に救急患者を搬送できなくなる、しづら
くなるということも一方であるのではないかと。
【長官】 諮問した立場で、まさに今、石井先生がおっしゃったことも、一体、久保は何
を聞かせてもらおうと思っているのかということに関わるものですから、最初の御挨拶で 12も形式ばった話に終始しましたし、諮問文も、極めて抽象的な書き方をしております。
私の気持ちなども含めて、補足してお話しさせていただきますと、災害が大規模になっ
ておりまして、阪神淡路、そして今度の東日本大震災、そして地震関係で言いますと、先
ほど言いましたように、首都直下とか東海とか南海とか、いろんな規模で、大きな規模で
災害が起きる。
一方、これは昨年も申し上げたと思うんですけれども、雪だとか火山だとか、あるいは
鳥インフルとか、原発事故もそうかもしれませんけれども、消防として、どう関わるべき
かという、そういった複雑な災害というのもございますし、いずれにしても、それに対応
して、市町村消防では当然限界があるものですから、消防防災事務というのは、広域的に
対応していかなきゃいけないということは、これは言を俟たないと思うんです。
そして、広域的に対応していかなきゃいけないという、その対応のあり方が、いろんな
あり方があると思いまして、真っ先に次長が説明しましたのは、ある意味では小さな広域
化といいますか......。大きい広域化というのは、今言ったようなことで、そして小さな広
域化というのは、これは平成18年に法律改正をしまして、消防組織法の中で消防本部の単
位を広げていくということが書いてありまして、で、これは一部、事務組合化、あるいは
事務委託で、消防本部の単位を広げていこうということがあって、その指針というのを、
5年の期限で作っておりまして、これが今年度で終わる。ですから、今狭い意味での広域
化といいますか、
消防本部の単位を広げるという考え方、
この指針が切れるものですから、
次のステージにどう持っていくのかというのが1つございます。
そして、果たしてそういった形で、一部事務組合で事務委託をどんどん広げていくのが
いいのか、どうなのかという御議論も、大いにしていただきたいと思います。
また、それだけではいずれにしても、いろんな意味で限界があるのだろうと。その限界
という意味は、まさに石井先生が御質問された、消防団との関係はどうなるのだとか、市
町村長の統制がきかなくなるのではないか、つまり、住民の統制がきかなくなってくるの
ではないかという危惧もあると思うのです。
これは、秋本大先輩から叱られたことがあるのですが、以前、市町村合併をどんどん推
進した、旗振り役でございまして、その時に、市町村合併をやっていく時にも、実は深刻
な問題といいますか、あの時に言いましたのは、この消防の広域化と全く違うことを言っ
ていたのです。
つまり、一部事務組合とか連合というのは、だめだと言ってきたのです。一部事務組合 13や連合みたいなことだと、意思決定に時間がかかるし、責任の所在が不明確になるという
ことを言って、合併でなきゃだめなのだと言って、やってきたわけですね。一方、これは
まさに、一部事務組合や事務委託をするということですから、そういったことの問題点を
内包したまま行くということでございますので、5年経ちましたので、そのあたりをどう
考えるかという、これが、ある意味では狭い意味での広域化の指針の期限が来るので、そ
れがどうあるべきかというのを御議論していただきたいということ。
それと、
何も、
一部事務組合とか事務委託をしなくても、
広域的な対応のやり方っていっ
ぱいあるわけでございまして、その典型的な例が、緊急消防援助隊だろうと思います。
例えば消防団も、岩手県なんかでは今回、県内で被災地の応援をしてもらったりしてお
ります。ですから、広い意味で広域的な対応というか、これはまさに救急医療とも関係し
てくる分野で、まさに県に入ってもらったりしていますし、だからこのあたりを実は2つ
御議論していただきたいと、欲張りな諮問をしているということを、まず補足的にお話し
させていただきました。
【吉井会長】 ありがとうございます。だんだん諮問内容がはっきりしてきたと思います
けれど、秋本委員、どうぞ。
【秋本専門委員】 私も、かつて広域化ということが必要だということを、皆さんに申し
上げました。その時、思っていたのは、阪神淡路の直後だったものですから、まず緊急消
防援助隊をつくる、全国的な応援体制をつくるということにして、だけど、結局、その応
援体制を、仕組みを作っても、応援に行くのはそれぞれの消防本部で、消防本部の体制が
これでいいのかと。
で、阪神の時の経験の中で、今まであんまりやっていなかったような救助関係だとか、
同時多発火災だとか、
今までの消防体制の中では、
これは非常に難しい。
あるいは片方で、
火災原因調査といったような地道なこともやっていかなきゃいけなくなる。そうすると、
個々の消防本部の体制をもっと強化しておかなければ、緊急消防援助隊の仕組みを作って
も、本当にうまくいくのかということが心配で、それで、その時、私はその消防、実際の
現場のことはよく知らない部分がありますので、皆さんにいろいろ相談する中で、消防本
部の職員数が100人以下というところが、
当時、
全体の消防本部の中で半数ありました。100人以下でレベルを高める、高度な、専門的な機能も持っていくような部隊というのが、本
当にできるだろうかというようなことから考えると、やっぱり200、300人ぐらいはいない
と、思うようにいかないなというのが皆さんの御意見でもあって、そういう意味では、そ 14れだけの組織にしようと思ったら、区域としては広域化という形になってくるということ
で、
これはみんなで考えましょうよということを、
私は、
かつて言ったことがありました。
その時に、気をつけなければいけない問題を、石井委員はすごく指摘をされたと思いま
す。消防団との関係、地域との関係は一番注意しなきゃいけないこととで、この広域化を
進める時も、そういう話があって、今ずっと説明があったように、市町村との連携をどう
するかと。
例えば、大きな消防本部になった場合は、その消防本部の職員を構成市町村の職員と兼
務させるというような形にでもしておいて、市町村長との連絡を密にすることを忘れない
ようにしたらどうかと。これは法律事項ではありませんので、法律には書いてありません
が、そんなことも運用の中では考えながら、地域と連携を密にしていくということを、気
をつけなきゃいかんということを、片方でやってきました。
だから広域化という時に、全国的な、広域的な応援体制を組んでも、結局はそれぞれの
消防本部が動く。その消防本部の体制をきっちりしておかなければ、広域応援といったっ
て、実際はうまくいかない。そういう意味では、ある程度の規模が必要だということで、
皆さんに、呼びかけました。ただ、この推進計画の中で、さっき御説明の資料の中に、1
県1本部というのが、13県あるのですね。こういうスタイルというのは、実は私どもの頭
の中にはあまりイメージがありませんでした。これが全く、どうしてこうなったんだろう
かなと思ったり、これで本当にうまくいくのかなと思ったりしまして、これから進めてい
く過程の中で、こういったことについて具体的な、何かが出てくるかもしれませんので、
そういう時にどう対応していくかというのは、今の石井委員の指摘の延長線上の問題にな
るような気がいたします。
【吉井会長】 どうぞ。
【片田専門委員】 私、群馬大学の片田でございますが、全県1本部を、いち早く出した
のは群馬県でして、その検討会の委員長をやっておりまして、その時の背景等をお話しし
たいと思います。群馬県における消防は、今11消防本部がありまして、これを1本部化し
ようという、その最大の動機づけはどこにあったかというと、救命率の違いです。
群馬県の場合、高崎、前橋あたりは高度医療施設が固まっておりまして、その一方で、
草津、水上だとか、かなり地方のほうに行きますと、医療機関もなくて、救命率が全然違
うという状況の中で、県民の中で、救命率がこんなに違うということを放置していいのか
と、これは看過できないのではないのかというのが、一番の、消防広域化の動機づけにな 15りました。
初めは、30万という数字でくくろうと思いますと、高崎とか前橋ぐらいは、それは満た
しております。
うちは、
これでオーケーでございますと。
うちにとっては、
これでいいと、
こういうことを言う。そうすると、地方の消防本部からは、あんたらは、いいと。そこに
大学病院もあれば、大きな病院がいっぱいあって、それでよかろうと。だけど、国や県の
施設というのがそこにあって、あなた方だけがメリットを享受して、周りはそうではない
という状況を、それは自分勝手ではないのかと、こういうことですね。
そうしますと、それを突かれると困るものですから、そうはいっても自治消防だという
ようなことで、抵抗はあったんですけれど、人の命が救われるのに、これほどの差があっ
ていいのかという議論は、やはり間違いであると。そこが推進要因になりまして、1消防
本部という形をとりました。
イメージしているのは、警察組織のように、警察本部というのは、どこも県警って1本
ですよね。というような動きの中でできないのかと。指令なんかも、医療に関わるところ
のリソースを広域的に使う、その配分ができるということの中で、この話が進みました。
一方、抵抗要因を申し上げますと、やはり病院を抱えた側の消防本部が、抱え込みたく
ないと。
地方を抱え込みたくないという話と、
もう一つ、
現場の声をたくさん聞きました。
現場の消防隊員の話、そして管理者の話、両方聞きましたが、現場の方々の懸念というの
は、すごく現実的です。まず、大きな都市の消防本部の給料と、地方の消防本部の給与格
差が著しく大きいということ。それは、出動手当が違うというところもあって、差が出て
くるというのが現実的な問題でした。それから、ポストが減る。これも重要な、現場の方
からの懸念材料です。
それからもう一つは、消防に入ったのは、地元に就職したつもりであると。これを人事
異動で、全然知らないところへぽんと飛ばされたのでは、田んぼができないというような
話が、出て参りますね。
これをどういうふうに考えたかというと、給料なんかは、一応1テーブルにはなるんだ
けれども、出動手当で差をつければ現状反映できるのではないのかと、第1のステップは
そんな形でどうだみたいなことで、議論したことを思い出します。あとは、これは消防職
員の個人的な事情ではなくて、一本化した時の大きな課題というのは、地元のことがやっ
ぱり分かっていないというのが大きいものですから、そういう懸念も出ておりました。
それから首長単位で言いますと、それこそ、おらが部下をコントロールできなくなると 16いうか、
寂しさを覚えるみたいな、
そんな話も、
正直なところあるんだよなんて話を、
ちょ
ろっと聞いたというのも実態でした。
そんな中で、なぜ全県1本部にしたかというと、一番大きな理由は救急救命の部分の、
救命率の違いということを、大きく取り上げました。御報告というか。
ただ、勢いよくスタートしたのですけれども、なかなか一本化にまだ至っていないとい
う、とにかくこれは、救命率が違うというのが本当に大きい問題だということで、これは
コンセンサスが得やすい話であることは事実ですね。以上、御報告です。
【吉井会長】 関連して、
進まない要因のほうも、
少し......。
1県1消防本部にしたけど、
計画としてはなったけれども、なかなか進まないというのは。
【片田専門委員】 そうですね、進んではおります。ゆっくりですけれども。ただ、一足
飛びに、1ブロック......。これは資料2-1の、8ページのところに、平成25年度以降に
広域化の可能性があるブロックというところに、群馬県が一応入っておりまして、止まっ
てはおりません。あれだけの議論を......。
【吉井会長】 そうすると、
先ほどおっしゃられた課題を、
1つずつクリアしていこうと。
【片田専門委員】 ええ、するべく、1つずつ詰めていって。
【吉井会長】 一応、協議会はあるんですか。
【片田専門委員】 はい。あって、そこで私は、こういう方向でまとめたということなん
ですけれども、
ただ、
具体の手続になってくると、
さすがに、
11を1つにということになっ
てくると、選挙で、この前までオーケーと言っていた首長さんがいなくなったとか、現実
的な問題がありまして、頑張って動いておりますという。
【吉井会長】 どちらかというと、大きなところは、もういいからと、嫌だと言って、小
さなところは、お願いしますと。
【片田専門委員】 そんなのずるいではないかと。おたくは大学病院もあるし、いいんだ
けれどもという......。あちこち、管内でたらい回しにして、分かっているのに、初めから
連れて行きたいのに、連れて行けないのだと。こういう問題で、小さなところ、山間部の
ほうの消防本部は、強く合併を希望している。
そして、
やはり進まない一番大きな要因のところだけを、
先ほどピックアップしました。
要は、現場の意見とすれば、こんなに給与格差があるのに、向こうに刷り合わされちゃか
なわんという話が、現場の抵抗要因としてすごく大きいということ。それから、首長にす
れば、現在のサービスレベルで全然問題ないというところが、一番大きな抵抗要因になっ 17ています。
【吉井会長】 大きなところのモチベーションというか、インセンティブが働かないとい
うことが一番大きいということですね。山根さん、どうぞ。
【山根専門委員】 山根でございます。先ほどから聞いていまして、広域化の概念のとこ
ろは、事務の効率化というんですかね、この観点からの部分がかなり大きいと思います。
むしろ、対処力でどのように工夫していくか、それがどのように効率的に救急・救助活動
に寄与できるかという観点からの区分分け、グループ分けというか、それをお考えになっ
たほうがいいかなと思いました。
事務効率化という概念は、これで多分進んでいると思いますので、その中の問題点の多
くは、対処能力にあるんですよね。小規模の場合と大規模の場合の対処能力が一致しない
というところに問題があると思います。
それをどのように効率的に実施するかというのは、
広域化した場合には、機動距離、時間、言ってみれば現場に到達できる時間・距離が問題
です。それには機動力を保有するということが、1つの条件であるわけです。それから、
先ほど来、出ています、対処のための、市町村ごとに違う給与体系、そういうことは、広
域化した場合に、一定の保障ができるという――即ちもし広域で行動した場合に、保障等
に関する問題は処理をするということを協定に入れておく必要がある。
このような場合は、
災害の規模によって、ラダーを分けて、その対処力に必要なものを広域化するという概念
も必要なんですよね。それが運用上、纏まって結果的に対応力が必要なために、広域化す
る。
言ってみれば組織的には、県に1つで広域化されておりますけれども、実際の行動は、
小規模の場合は、市町村が直接動いて、そのままで済んでいるはずなんですよ。それがど
んどん規模が大きくなりますと、すぐ市町村、あるいは県単位、今度は県を越える。そし
て今度は広域に協定した近隣の県や緊急消防援助隊等が動くという具合になっている。こ
ういうような、オペレーション上のラダーがあるんですね。そのラダーに応じた広域化と
いう概念を取り入れることによって、事務の効率化と対応力の効果向上の2つがワンセッ
トになる。今考えられている事務処理の広域化による効率化の範囲の中での効果的な救助
活動が可能になるということです。今は後者のほうが、ちょっと抜けている、少ないとい
う考え方があると、私は受けました。
それを、私は、10年ぐらい前になりますけれども、カリフォルニアに行きました時の話
を前回もいたしましたけれど、OESといって、Office of Emergency Serviceという、そ 18こはまさに、運用上の観点からの対応能力の拡大をやるところです。それを参考にされた
ほうがいいかなと思います。これは、あくまでも市町村消防で立ち上がるんですね。とこ
ろが、市町村消防が能力がありませんと。自分のところの装備とか人員とかで対処能力が
ありませんといった場合には、
次はカウンティー
(County)
に上げるんですね。
カウンティー
(郡)に上げた場合に、そこも対処能力がないとなった場合は、州に上げるんですよ。州
が州兵を動かしてやります。そういう、規模、能力に応ずる広域運用が必要です。こうし
た災害の事態に応じて必要な部隊を適時に集中して運用する概念で広がっていくというや
り方を併用されれば、この問題は減っていくだろうなと思います。以上です。
【吉井会長】 ありがとうございます。
【北村委員】 よろしいですか。
【吉井会長】 どうぞ。
【北村委員】 私のほうは、全国消防長会、今798本部がありますので、その現状の話を少
しさせていただいて、当時者の消防長ですから、その辺の話をさせていただきたいと思い
ます。
まず、非常にやりやすい部分で言えば、市町村合併を前提としている部分の広域化とい
うのは、非常にやりやすいだろうということが言えると思うのですね。これは御存じのよ
うに、市町村それぞれ合併した中で、当然その時に出てくる話が、先ほど来、出ておりま
す、消防団との関係などがありまして、なかなか今まで、東京なんかもそうなんですけれ
ど、市町村合併をしてきまして、いきなり消防団を定数削減するというのは、なかなか現
実としては難しい状態であります。そうすると、例えば合併をしても、消防団組織は、や
はり従来から、例えば2団あるのでしたら、2団というものを、そこに時間をかけて、組
織、人員をどうするかというのは、全体の――先ほど来、出ているかと思いますが――消
防力全体の基準というのがありまして、その基準と照らし合わせて、最終的に常備消防と
非常備消防との兼ね合いの中で組織を考えていくのが通例の話でありますから、そこに委
ねていけばいい話だろうと思うのです。
ただ、例えば広域消防全体で、住民委託方式もそうなのですが、そうすると消防団組織
そのものは、
これは御存じのように首長さんの直轄のものでございますので、
それはちょっ
と市町村合併とは違う話の中で、当然、首長さんの部分で、いろいろこの間から話が出て
いるような、多岐的な活動というのもございますから、そこは実情に応じてやるしかない
というのが実態なのかなということであります。 19しかしながら、ここで1つ、誤解をしないでいただきたいと思っているのですが、それ
があったからといって、例えば災害現状における指揮活動に齟齬が出てくるというのは、
それは直接には影響ありません。なぜかと申しますと、それはそれぞれの、例えば広域消
防で一番トップのメンバーがいたとしても、その地域のところで、例えば消防署長がいれ
ば、当然消防署長の災害活動における指揮下に入っているわけです。消防団というのは。
したがいまして、当然そこの中で対応していく形になりますし、例えば広域消防の部分の
中でルールを作れば、本来消防団というのは管轄主義でありますから、その管轄をしてい
るところを前提としていくという話でありますので、当然そこをリンクせざるを得ないと
いうことですから、それを逸脱する話はないということであります。
その中で、応援という問題がありましたら、その地域の中でルール化をしていけばいい
だろうということになるわけですね。
そういう面では、ある程度、時間がかかっているというのも事実なんですね。それで、
先ほど、片田先生からお話がありましたように、私どもも実は、35年ぶりに、東久留米市
の事務委託をしていただいたんですが、まず、本題から申しますと、首長さんと議会が納
得しないと、絶対できないんです。
それは、やはり歴史的な部分もございまして、かつて東久留米のほうも、私どもの委託
をしたいという話がございましたけれども、最終的には、その地域住民の方たちの意向に
なってくるわけでありまして、そこで、35年ぶりに時間をかけたわけなのですが、何が変
わったかということで、先ほど来、お話ししました、片田先生にもお話しありましたよう
に、医療圏が広域的になるわけですね。そうすると、市で独自でやってきた病院の1つの
テリトリーから、東京消防庁管内の全ての2次医療、3次医療に、搬送の枠が広がるわけ
です。そうしますと、今それぞれに、今日、山本先生が来ていらっしゃいますけれども、
都道府県単位に、メディカルコントロール協議会という、救急がありまして、その中に、
全部、救急の場合、組み入れられます。それで、先ほどお話がありました、石井先生のよ
うに、それぞれの地域の中で医師会が当然あります。その辺を全部リンクしながら、例え
ば東京であれば、地区協議会というのがありまして、あるブロックごとで、そういう1つ
のエリアもできたわけですから、そういう仕組みをつくりながらやれば、その辺の受け入
れの問題も可能になってくるわけでありますから、そういうところに対する内容として、
一番何がメリットであるかというのは、いろんな病院の選択肢が増えるという形の中で、
特に東久留米の市民の方たちも言っているのですが、いろんな形で、必要に応じた病院に 20搬送できるということになるわけですね。これは非常に大きいです。
ただ、先ほど来、出ていましたように、水面下の話をさせていただければ、給料はどう
なるのとか、処遇改善の問題というのは非常に大きな問題でございまして、先生はちょっ
とあれですけど、群馬県の場合、先ほど話をしていますが、必ずしも、大都市だから給料
が高いというわけではないのですね。いわゆる小さいところが、逆に処遇がいいところも
あるのです。そうすると、給料の処遇、これは全部、組合処遇もそうなのですが、各首長
さんが集まって、東京消防庁もそうなのですが、そういう処遇の問題とか、全部協議する
ことになっているわけですね。そこの中で、正直言って、全国の中で一律給料が同じでは
なくて、1つの連合を組んでいるようなところもあるのです。
だから、先ほどから話がありましたように、国のほうからも御説明ありましたように、
どういう選択をしていくかについては、何をその地域に応じたベストとして選択していく
かという余地があってもいいのだろうと思いますね。
そういうところで、やはり給料の差があるところが一番問題なわけで、給料の差がある
と、うちのお母ちゃんにどう説明すればいいのかという、現実論になりますね。そういう
面でも処遇の改善を、何かそのところを手当てする1つの仕組みができればいいのではな
いかというのが、あるかなと思いますね。そういうことも、1つあります。
それから、私のほうからぜひ言いたいのは、例えば鳥取県は、今3つの本部でできてい
るのですね。3つの消防本部で、全部エリアになっているわけです。したがいまして、鳥
取県は非常にその辺が先駆的でありまして、人口はそんなに多くはないですけれど、既に
3つの消防本部で、全部できているのですよ。こういう地域のところの話を、まずしっか
り、
実態調査を、
先ほど来、
ありますので、
そういうところの話をまず聞いていただいて、
何がよかったのかというところ、今、県で1つというところも計画で出ているようでござ
いますけれど、現実にある、この3つぐらいに集約された県の御意見を、きちっと聞いて
いただいて、よかった点、悪かった点もあると思いますけれども、そういうところをぜひ
国に調査をしていただきたいということが、切なる願いであります。
それと、緊急消防援助隊のほうで、かなり今回、東日本大震災、出動させていただいた
のですが、
100人未満の消防本部でも、
結構出ているのですね。
今回の場合につきましては。
そういう、本当に小規模のところを中心とするような、まだまだ小さいところの都道府
県もあると思うのですけれども、そういうところで何が問題になるのかとか、決して給料
だけの問題ではないと思いますので、併せて、いろいろ御意見を聞いていただいて、どう 21いうところに隘路があるのかなとか、あるいはどういうふうにすればいいのかということ
も併せて、実態調査の中で分析していただきたいなと。それをもってお話をしたほうが、
ここに御提示されているところが、より明らかになってくるのだろうと思いますので、そ
の辺をぜひお願いしたいと思います。
それから、いろんな方式があるということで、御理解いただきたいのですが、東京はも
ともと、私は消防総監なんて言っておりますけれど、23区の消防長なのですね。そこに多
摩地区の市町村が事務委託をしていまして、事務委託といっても、消防業務を全部してい
るわけではないのですよ。
例えば、消防団業務は、市町村にそのままあります。それから消防整備の業務も、市町
村にあるというところがありまして、
ですから、
内容的に全てがというところではなくて、
それぞれの特徴がございますから、そういう事例を引きながら整理していただくと、ある
程度、現状の分析ができるのと、それをどういうふうに地域の中で補整をしていくかとい
う部分が見えてくると思いますので、そういう形の御調査を、ぜひ、この機会を通じてお
願いしたいと思います。以上でございます。
【吉井会長】 ありがとうございました。多分、次回ぐらいに用意していただけると思い
ますけれども、もともとの消防の広域化のメリットの体系的な整理と、デメリット、隘路
になっていること、これは多分、デメリットのほうも、いろんな解決方法がありますし、
一時的に問題が起きるという、そういうたぐいのものもあると思うのですね。
だからメリット、デメリット、具体的には鳥取とか、多分長野もあると思いますけれど
も、そういうところの成功例というか、そういうところでどういうメリットを訴えて、デ
メリットのほうはどう解決していったのかという、
そういう例も紹介していただきながら、
議論を深めていったほうがいいという御意見だったと思います。次回以降は、その辺を、
資料を整理させていただきたいと思います。
【秋本専門委員】 いいですか。
【吉井会長】 どうぞ。
【秋本専門委員】 私はさっき、個別の対応能力の向上ということで申し上げましたが、
さっき山根さんがおっしゃった、戦力の運用という面で言いますと、広域化して大きくな
ることによるメリット、あるいは個別の消防本部で応援協定を結んでいるからそれでいい
ではないかというのと、それをどう考えるかなと思っていたのですが、東京都、北村さん
のところは、日本で一番広域化が進んでいるところだと思うんです。で、応援協定でやっ 22ているのと、広域組織が1本になっているのと、どう違うかというのを、いろいろ話を聞
いて、
思うのは、
戦力の段階的な投入、
あるいは集中的な投入というのが1つの組織になっ
ておるということは、非常にやりやすいのではないかと。
だから応援だけだと、ごく一部、戦力は出すけれど、地元の体制は守っておかなきゃい
けないから、
思い切り出せない。
1つの組織になっていると、
応援に思い切って出しても、
その後に後詰の部隊を持ってくることもできる。だから広域化というのは、個別の能力を
高めると同時に、戦力の段階的、集中的、計画的運用が可能になるという面でのメリット
があるなということを、まず......。
それで、アメリカの場合、私は前から気になって、カリフォルニアなんか行って見てき
たんですけれども、日本とアメリカの一番の違いは、アメリカの場合はFEMAというの
が、職員が2,000、3,000人の規模があって、全米に10カ所、基地を持っていて、大きな災
害が起こったら、職員を倍増するぐらいできる、そういう用意があるわけです。それから
カリフォルニアの場合は、州が直属の部隊を持っている。で、職員が3,800人ですよ。航空
機やヘリコプターまで含めると、
約50機。
で、
専用の航空基地を持っている。
それ以外に、
重機が大体100台ぐらいあるのです。したがって、市町村から、手に負えないぞと言ってき
たら、すぐ、御希望どおりに出すというわけですね。日本の場合には、そういう体制は全
くないですね。
カリフォルニアに行った時に、市町村が応援してくれといった場合、あちこちから言っ
てきたら、どういうふうに割り振るのだと言ったら、そういうことが全く議論にならない
のですね。言ってきたとおり、出してやると。それだけの余裕を持っているのですね。
ですから、日本の場合とアメリカの場合とは、どうも違っていて、今の戦力の運用とい
うのはものすごく大事なテーマだと思うのですが、日本の場合は消防の中で考えるしかな
い。そうすると、さっき申しましたのが、個別の能力と言いましたけれど、全体としての
運用という面でメリットがある。ただ、全県1本というのは全く考えていなかったと、申
し上げたのですが、消防の広域化というのは、比較的早く実績を上げたのが、長野県の松
本だったと思うのですね。松本で広域化して、あの辺全体を1つにして、何のメリットが
あった、よかったといったら、まさに救急なんですよね。今までは町村で、救急車といっ
たって、なかなか来てくれなかったけれども、1本になったことによって救急車がすぐ来
てくれるようになったと。これはものすごくいいと、言うのですが、ただ、どうしても私
どもの場合、気になるのは、消防は救急だけやっているわけではないというのが、非常に 23気になるのですね。
それで本当に大丈夫なのだろうか。救急だけではなくて、火災、水害、それから今度み
たいなのがあると、何から何まで全部やって、避難所の運営についてまで、関わってきて
いる。
それが市町村長、市町村行政と一体になっていないと、非常にやりにくいのではないか
という気がするのですけれど、そういうふうにトータルでしてみた時と、それから個別の
行政の機能で考えてみた時と、
それをどんなふうに調整をしていくかということを考えて、
腹を決めなきゃいけないだろうなという気がしまして、で、現実問題として、片田先生、
北村さんからありましたが、何をやっても、いろんな具体の問題は必ずあります。あるん
ですが、一番根っこの問題として、消防行政の組織として、どういう形がいいのか、それ
をトータルでどう判断するかということを、どうするかなというのが、気になるところで
あります。
【吉井会長】 ありがとうございます。どうぞ。
【長官】 また補足をさせていただきますと、北村総監は言いにくいので、言わなかった
のだと思います。まず、地方制度の根幹に触れることで、大阪でも議論が起きているので
すけれども、東京は、先ほど秋本委員がおっしゃったように、日本で一番広域化が進んで
いるところだと思います。ただ、東京は特殊な立場で、都政をとっているものですから、
委託をしたところも、みな都知事を選挙で選んでいるということが、東京が極めてうまく
いっている1つのことだろうと。八王子の市民も東京都民である、で、消防総監も、都知
事が認定しているということですね。これは他のところと違う。
今、大阪で、そのことがまさに議論になっていると思うのですけれども、うまくいくの
は、いく理由が東京にはあるではないかという、私が個人的に思っていることを、つけ加
えさせていただきました。
【吉井会長】 ありがとうございます。あ、どうぞ。いいですよ。
【棚橋委員】 JXエネルギーの棚橋でございます。少子高齢化、人口減少という点で、
1つコメントさせていただきたいと思います。
1999年に、
石油の需要というのが2億5,000
万キロリットルございまして、
それが2010年では2億キロを切りまして、
1億9,000万キロ
と、それぐらい需要というのは減っております。その傾向は、どんどん、2020年まで減っ
ていくだろうという推定でございます。
現在、JXエネルギーで、製油所は10カ所あるのですけれども、1999年には7社でござ 24いました。で、7人の社長が、今1人の社長になったということで、その理由は、需要減
少による、経済の減速で、競争が激しくなって、生きていく為にということで、
1社になったわけでございます。ただ、消防の広域化というのは、消防力の拡充というこ
とで、ちょっと別な論点だろうという御指摘もあるかもしれませんけれど、ふっと、先ほ
ど考えてみましたら、合併して1社になって、非常によかったことがあると。
先の大震災で、当社の仙台製油所が破綻したわけですけれども、一斉に、各製油所から
資機材、オイルフェンスをすぐ運びまして、軍手、防寒具もですね、非常に仙台の人間は
助かりました。あと、秋田の国家備蓄には、大容量泡放水もありました。鹿島にあるやつ
は、まだ鹿島が危ないので、出せないところで、秋田から出そうかという議論も出てきま
したし、あと、3点セットですね。消防車は9台があったのですけれど、全滅いたしまし
て、水没いたしまして、それも一斉に、各製油所から出そうとしましたけれど、余裕がな
いものですから、何をしてくれたかというと、同じコンビナートの、各社に全部頼んでく
れまして、今、余分の消防車はありませんかと、一生懸命頼んでくれまして、そのうち、
4車ぐらい集まりました。
あと、掛川市からも寄贈も受けましたけれども、そういう意味で非常に広域化するとい
う部分で、
会社でいうと合併みたいなものでございますけれども、
非常に全国津々浦々に、
我々のネットがあることによって、被災しないところから一斉に必要なものを送れたとい
う意味で、相反するような話を先ほどしましたけれど、結果的には統合してよかったなと
いう実体験でございます。
【吉井会長】 ありがとうございます。
国によっては、
消防も、
かなり国に近いというか、
台湾なんか、1つの消防になっていますから、そういうところもあって、ここでの議論は
そこまではいかないわけですけれど、広域化のメリットもお話しいただきました。茂木委
員、どうぞ。
【茂木委員】 ただいままでのところで、専門の先生方からの、実際に取り組まれたとこ
ろの結果や問題点をお聞きしましたので、少しずつ頭の中が晴れて、見えて参りましたと
ころですが、事前にいただいた資料の、事例を拝見している限りでは、例えば、資料2-
1の7ページの、見解として、
「誤解をしていると思われる見解」と、ありますが、これは
必ずしも誤解ではなくて、なかなかいろいろな状況が重なっていて、進められないという
こともあったのではないかなと。誤解と言い切っていいのかなと思いながら拝見いたしま
した。 25この事例を見ましても、進めてよかったということもありますし、合意形成に時間がか
かるということもあったりしていますので、ちょうど総監のほうから、これから事例を集
めたところで、また議論の参考にしていただきたいというお話がありましたので、非常に
安心したところです。ですので、一市民として、なかなか勉強不足の部分があって、大変
申しわけありませんですが、これからしっかりといろいろな角度から勉強しながら、御意
見を伺いながら、よりよい方向に声を出していかれたらいいなと、思ったところでござい
ます。
すみません、このように力がないのですが、先ほどもお聞きしながら、疑問だったとこ
ろは、都政の場合はということで、長官からお話がございました。県と市町村、都道府県
と市町村という表現をされていますが、例えば私、神奈川におりますけれども、神奈川で
すと、政令都市が幾つも入っております。その場合は、どのようになるのかと思いながら
読み返しましたが、政令都市については触れておりませんで、既に法律もそのように決め
られ、進んできているようですが、このところが気になりながらも調べる時間がなくて、
ここに来てしまったのが申しわけありませんでした。そのあたりの事例もお聴きできれば
ありがたいです。
【吉井会長】 その辺の、政令市の消防が広域化にどうかかわっているかということも含
めて、事例として紹介していただくということで。
ほかに、御発言のまだない方、いかがでございましょうか。消防団の、山本委員のほう
から、先に。
【山本(忠)委員】 愛媛県の山本でございますが、先ほど総監のほうから、団との絡み
等々の話をしていただいたのですけれど、御指摘のとおり、実際、災害が起きますと、消
防長の配下につくというのが団の仕組みでございますので、広域化といったことの組織を
充実されても、今の状態でも、何ら問題はないというような考えであります。しかし、先
ほど委員長の話の中でございましたように、私、愛媛なのですけれど、消防長、あるいは
首長さん方のお話を聞いていますと、先ほど、茂木委員のほうからお話がございました、
市町村長等の広域化への消極的な見解というのが、これは本当の生の声だと感じておりま
す。ですからメリット、デメリットを細かく吸い上げて、協議をしていただければ、いい
体制づくりになるのではないかと、このように思います。
なお、今、事務組合というような、消防の体制づくりで、各地方において組織化が今な
されております。そういったことで、都会においては相当のメリットがあるのではないか 26と思いますが、しかしながら、田舎においては、ここにうたわれておりますように、デメ
リットのほうが多いんではないかなというような、この資料を見せていただいて、私が感
じたことは、以上のことでございます。
【吉井会長】 ありがとうございます。永坂委員、どうぞ。
【永坂委員】 私、いろいろ聞いておりまして、私が住んでいるところは、広域化されて
いる中に、クラブ員としておりますけれど、その時に、合同になる時に、皆さんが給料の
ことを言われまして、先ほど言われました、
「地域のほうに就職したのに、よその市に行っ
て、で、給料はうちのほうがいいのに、あちらがあって」ということを私たちにこぼされ
まして、で、その場はそれで済んだのですが、今度、私たちの事務を受け取る方たちが、
自分のところにクラブ員がないという人たちがあって、
「何で、おたくのところばかり、こ
んな真剣にやらないといけないのか」という意見は聞きました。だからその、クラブ員と
して、今ここで皆さんの話を聞いていると、私たちも事務だってやったっていいではない
のかなとか、小さいことを消防署員の人にお願いしなくて、やってもいいではないかなと
思っていましたけれど、最初にここに来た時に、東日本大震災の言葉を聞いて、ほかのこ
とを考えてきた時に、ああ、消防クラブっていうのは、もっとしっかりしなきゃいけない
んだなということがわかってきたところへ、今日の広域で、ああ、給料だ、どうだ、こう
だとなってくると、私たちはボランティアでやっていますので、給料に対してのことは、
あまり頭の中にはないのですが......。
【吉井会長】 確かに。
【永坂委員】 でも、
働いてもらうのには、
消防の方たちに働いてもらって、
一生懸命やっ
て、それのお手伝いを私たちがやるわけですから、お金のことは言ってなくて、ちゃんと
動かなければいけないなということが、今日きちっとわかりましたので、また、各部署に
帰って、
いろいろなことを、
皆さん、
こうやって言っていますけど、
私たちは私たちでしっ
かりやりましょうよということを伝えたいと思います。すいません。
【吉井会長】 ありがとうございました。山本先生、どうぞ。
【山本(保)委員】 ありがとうございます。私、アメリカと日本の違いというところも
重要視して、いつも考えるところでございますけれども、やはりアメリカというのは大統
領制であって、FEMAの長官も、私、実は行って、ディスカッションしたことがありま
すが、大統領の名のもとにいろんな命を出しているわけでございまして、日本のような地
方自治、あるいは首相制のところとは、僕は全く違うのではないのかなという気がしてお 27ります。
それからもう一つ、
アメリカの救急というのは民間救急でございまして、
有料なわけで、
そこのところが、長距離搬送、お金がいっぱい取れるのですから、当然どんどんやります
よ。その辺のところの違いもすごくあると、私は思って聞いておりました。
もう一つ、大きな広域の消防本部と、小さいところの違いですけれども、私は、大きい
ところも大きいなりに、もちろん、東京・大阪・名古屋の皆さんと話をすると、選定困難
事例というのがたくさんあるんです。
どんどん、
大都市も、
病着までの時間が増えている。
その1つは、大きいところの問題点というのは、
「遠慮断り」というようなものがありまし
て、私のところもそうですけれども、この患者さんは、もっといい適応がある病院が、ま
だたくさんあるよという時に、いや、あっちの病院のほうがいいのではないのですかとい
う、そういう断りというのが、実は現実的にはあるのです。我々、よくわかっていますの
で、そういう、よりよい適応の病院があるのではないかというための、断りというのは、
実際には、あります。
今、2次救急病院は、処置困難という理由で断るのが一番多い。そうなってくると、3
次の病院というのは、そのしわ寄せが来て、救命センター等は、ベッドが満床で断るとい
うのが非常に多いです。そこのところで、小さい消防本部のところは、基幹病院は1つし
かないですから、
遠慮もへったくれもない。
そこに来ざるを得ないので、
そちらのほうが、
救命率の高いところも実際にはあるのですよというところを、現場の声として、お話を申
し上げたい。まあ、いろいろ、小さいところは問題があるし、大きいところも本当はある
のですよと、言うべきです。ありがとうございました。
【吉井会長】 ありがとうございました。国崎委員、どうぞ。
【国崎委員】 事前に、この資料をいただいてから、広域化のメリットについていろいろ
考えましたけれども、
やはり私も、
広域化していかざるを得ないだろうと思っております。
といいますのは、
少子高齢社会、
人口減少を考えれば、
多分今の状況では、
消防力を保っ
ていくのも難しくなっていくだろうといった時に、人事異動が広域でできるという、1つ
のメリットかなと思うのです。
先ほどの社会的背景に加えまして、
これから災害の頻発化、
そしてその災害の一つ一つが巨大化していく傾向を鑑みれば、人事異動を通じて、例えば
1つの県であっても、沿岸部と内陸部、山間部というところがあったりして、沿岸部では
そんなに積雪量はないけれども、内陸や山間部に積雪量が多かったりとか、雨量もそうで
すね。このように、それぞれの災害時の地域特性を理解したり、経験を積んだりすること 28ができるという、これは一時的に援助に行きますよという体制とは、また変わってくると
思うのです。
それがひいては、全国の災害に対しても、緊急消防援助隊として動く場合にも、その経
験が生きてくるのではないかと思います。
今回の緊急消防援助隊も、雪が降っているところで難儀があったということもあります
けれど、これも、日ごろからの広域の中で、例えば山間部のところで積雪量が多いという
ような経験を積んでいれば、そういった経験値から、どんなことが起きるのか、どんな準
備をしておけばいいのかなんていうことも、生きてくるのではないかと思います。
こういった視点からも、広域化のメリットという部分を、今後の災害をかんがみながら
も、必要ありということの理解を深めていく必要があるように思います。
【吉井会長】 ありがとうございました。
今日は、
諮問を受けて最初の、
フリーディスカッションに近い議論をしましたけれども、
皆さんの意見で、相当いろいろ議論することがありそうなので、東日本大震災の答申をつ
くった時のように、活発な議論がこれから起きるのではないかというふうに思っておりま
す。
多分、いろんな広域化のスタイルがありそうだということもあって、合併だけではなく
て、指令だけとか、そういうこともありますし、ひょっとしたら相互応援をもっと実体化
するとか、さまざまな形もあるかもしれないという感じもしておりますし、合併の時のい
ろんな問題を、棚橋委員が言われましたけれども、皆さんにとっていいような合併は、多
分進んでいるわけですけれども、どうも、片思いみたいなところも結構あって、その辺を
どうやって進めていけばいいのか、全体にとってはいいのだけれども、ある地域にとって
はあまりメリットもなさそうだというようなところもあるということなので、多様な広域
化の方式も、多分検討の対象になるのではないかという気がいたします。
ぜひ、次回以降、事務局のほうに、そのメリット、デメリット、あるいは、そういう広
域化を妨げている様々な要因について、資料をまとめていただき、かつ、成功例と失敗例
は、あるかどうかわかりませんけれども、なかなか難航しているものを、別に名前は出さ
なくていいので、その辺も御紹介いただきながら、議論を進めていきたいと思っておりま
す。
【石井委員】 ちょっと追加で。すみません。1つ追加しておく必要があると思うのは、
災害事象もそうですが、救急医療がかなり大きなイシューになるという話だったので、そ 29の中で言いますと、実は厚生労働省で、2次医療圏の見直しということを、現在、進めて
いるところなのです。ですから、現場で見ると、この救急医療の2次医療圏の見直しと、
消防の見直しと、この間やった、大合併の後の見直しをしますと、これが全部、一気に現
場に来る可能性があります。ですから、その辺を省庁連携で、ちょっと見えるような状態
にしながら議論を進めていくことが、中身に非常に役に立つ議論になるかと思います。
【吉井会長】 前に、この広域化をちょっと議論したことがあって、その時も、まさに石
井先生がおっしゃったような、医療圏との齟齬というのですか、食い違いが大きな問題だ
という話も出て参りましたので、その辺も含めて事務局から、全般的な資料を作っていた
だきたいと思いますが、特に、この点について。どうぞ。
【秋本専門委員】 あと1回だけ、
発言させてください。
今日のテーマが、
諮問としては、
広域的な対応のあり方ということで、
関連づけての話をさせていただきたいと思いますが、
今日、資料として、大変僭越ですけれども、私ども、日本消防協会で、先日意見をまとめ
たものを出させていただきました。それは広域的な対応ということと同時に、地域的な対
応というか、地域の中をどうするかということをもっぱら書いておりますけれども、組織
の対応とは別に、ちょっと1枚紙の中に、私どもの、日本消防協会の中で、山本委員もそ
のメンバーのお一人なんですけれども、地震等防災対策委員会で、委員長の名前で、全国
の消防協会あてに文書を出しまして、で、これは東日本大震災の時に、消防団はなぜ応援
に行かないのか、
行けないのかという話がいろいろあった時に、
消防団の場合、
仕事を持っ
ている、そして、装備が全くないものですから、長距離、長期間の応援出動は、それは不
可能だと。ただ、短期間の、近距離の応援というのは、ほんとうはできるんだよなという
ことを皆で相談して、で、それが応援に行けるような、応援協定といったような、ルール
を定めておく。それから、応援に行けるような資材を備蓄しておいて、すぐ行けるように
しておく。そうすると、近距離だったら、
日帰りだって、
1泊2日だって、
交代で行けば、
おそらくみんな助かるよという話で、それでこの1枚紙にありますような、消防団長さん
方の仲間同士で、こういうことをもっと考えてみようではないかというようなことの話し
合いができました。
それで、広域的な対応というのは、組織としてどういうふうに広域化するというのはあ
ると思いますが、消防団のような、今まで、あまりこういうことを議論していなかったけ
れども、もう少し――例えば県内でとか、隣接の、すぐ近い隣のところというのは、条件
さえ整えば行ける。そして、土地勘がありますから、案外役に立つというようなことがあ 30るのではないかということで、そういう話をしておりますということを、申し上げさせて
いただきたいと思います。
それから、ついでに、被災地で、婦人消防クラブの皆さんたちが大活躍してくださった
のを、こうやって記録に整理をしましたので、これもお目通しいただけるとありがたいと
思います。以上です。
【吉井会長】 ありがとうございました。ほかに、この広域化に絡んで、どうしてもとい
う方がいらっしゃったら。よろしいですか。次回、たっぷり時間があると思いますので。
それでは、次の議題に入りたいと思います。次に、適切な救急搬送のあり方について、
高倉審議官のほうから御報告をお願いしたいと思います。
【審議官】 それでは、
資料3を御覧いただきたいと存じます。
先ほど来の議論の中でも、
時々出てきておりました、救急搬送、非常に広域的な対応が必要な課題ということで、こ
こについて、この資料3の1ページ目の下側にございますが、平成21年に消防法が改正さ
れ、一定の広域的な取組の仕組みというものができてきておりまして、現在、その運用状
況の検証等を始めているというところでございますので、関連の高い事項ということで、
御報告させていただきたいと存じます。
まず、改正の背景を、さらっと確認して参りたいと思いますが、おめくりいただきまし
て、両面刷りですので、2枚目に3ページということで、救急搬送の現状と参考データが
つけてございます。簡単に申しますと、見てとれるとおり、救急出動件数が大変増加して
きている。一方で、救急隊員の、対応していくほうの伸びは、それに間に合っていないと
いう状況の中で、結果として、現場に到着する時間も延びておりますし、現場から病院に
収容するに至る時間も延びてきているという状況がございます。こういった延びている中
に、実は非常に緊急度が高く、一刻も早くお届けする必要がある方がおそらく含まれてお
り、大変これは問題ではないかという状況がございます。
その下に、それでは地域的にはどうかということを見ます際の、1つの物差しとして、
現場から医療機関に受け入れていただけるかどうかという、照会を行った上で搬送してい
く、
その回数が、
何度もあちこちに照会して、
初めて運んでいけるといったような事例が、
かなり無視できない比率であるというものでございまして、それは先ほど、山本委員の御
紹介の中にもございましたが、地方だけの問題では全くなく、むしろ、大都市部におきま
して照会回数の多い事案の比率が高いということで、先ほどの「遠慮断り」の問題も含め
て、何かしら、医療機関側と救急搬送側との接点のところで、対応を整理していく必要が 31あると。こういう背景があったわけでございます。
なお、最後のページを一言申しますと、救急搬送の件数が増えてきているという動向に
つきましては、これは年齢階級別に、コールの回数を、東京をとりまして、その人口動態
での推計と掛け合せて見てみますと、2030年ぐらいまではまだ増えていくということが予
想されております。したがって、何も対策を講じなければ、ますますこんな事例が増えて
いくのではないか、こういった背景をもとに、1ページ目にお戻りいただきたいと存じま
すが、消防法改正が行われております。
入り口で、上の箱に書いてございますが、消防責任は市町村、そして一方で、救急医療
体制の整備に関しては、これは都道府県が所管ということで、主体が異なっております。
したがって、行き先については、このページの一番左下の図を御覧いただきたいと思いま
すが、都道府県の中における圏域設定、あるいは医療機関の所在についての、模式化した
ものでございます。
右が都道府県という箱で、右側のほうの箱で見ていただきますと、これはある都道府県
に、2次医療保険が2つあった場合の例でございます。その中に、2次救急医療機関、さ
らに高度な対応が可能な3次救急医療機関というものが、この絵の中では、3次は県内に
1カ所しかないと。2次医療機関の分布も偏りがあるということで、それを左側の図で、
市町村単位、あるいは一部事務組合で広域化が既に進んでいる消防本部があった例という
ことで、D組合と表現しておりますけれども、そもそもA市、B町、C町とか、その消防
本部が救急で活動する際には、市町村域を越えるということがむしろ通例であると。こう
いった背景の中で、このページの上の箱に戻りますが、広域的な取組が必要であることか
ら、都道府県さんに実施基準を策定していただくと。
また、ここには細かいことまで書いてございませんが、実施基準を作る際には、消防機
関だけでなく、医療機関、医師会などからなる協議会、先ほどお名前が出たメディカルコ
ントロール協議会等、活用いただいておりますが、その関係者が参加する協議会の場を都
道府県に設定していただくと義務づけて、実施基準をつけていただくという、枠組みをつ
くったわけでございます。で、目的として、選定困難事案の解消。で、結果として、生存
率、社会復帰率の向上に資するというものでございまして、平成23年12月の時点で、全都
道府県が実施基準策定済みでございます。
次のページを御覧いただきたいと思います。すべて基準は揃ったということで、その運
用実態を、実績をフォローアップしていく、PDCAサイクルに乗せていくことが必要と 32いう考え方から、昨年暮れから、今年の初めにかけまして、都道府県等の協力をいただい
て、点検をさせていただいた中から、指摘されていることの例をここに掲げております。
細かくは時間の関係で省略いたしますが、1点目の目標として、選定困難事案の解消に向
けての検討状況ですけれども、上の箱に書いてございますが、47都道府県、全て基準はで
きたわけですが、実際の、ここの調査分析にまで踏み込んでおられるところは、現時点で
はまだ26。さらに、その分析を踏まえた運用改善にまでつながっているところは、まだ9
都道府県にとどまっております。しかし、先駆的にやっていただいております都道府県等
からは、ここに掲げましたような具体的な課題が共有されて、その地方に合った対応の工
夫で改善が図られているということも把握させていただいたところでございます。
下のページには、予後の改善という目的の検証ということで、消防機関が持っている搬
送の情報と、医療機関の側で、それではその方の予後はどうなったのかというところ、こ
こを突合・分析をしていくというところでは、これはまだ取組が少のうございますので、
10都道府県。その中で、改善に至っているのが4都道府県でございましたが、下に掲げて
ございますように、これは、言うはやすく、実際には、関係消防機関側、医療機関側の事
務負担等も軽減しながらやらなければいけないということで、いろんな工夫が必要になっ
て参ります。そういった工夫の事例なども、ここにまとめさせていただいております。
この全体の分野につきましては、山本委員に座長をしていただいております、救急業務
のあり方検討会においても御議論されておりまして、今後とも、フォローアップをきちっ
とやって、PDCAサイクルを回して、改善をしていくべきであると。継続的なフォロー
アップ体制を、まだやっていない都道府県ではちゃんとやってもらう、で、消防庁も引き
続き、全体のフォローアップをやっていくべきといった御意見をいただいております。以
上でございます。
【吉井会長】 ありがとうございました。山本先生、何か補足ありますか。よろしいです
か。
御質問、御意見は、できれば、全部の報告事項を終えてからにしたいと思いますので、
次に、消防法の一部を改正する法律案の概要についてということ、それから、平成24年度
の消防庁予算案についてということで、この点について、原次長のほうから報告をお願い
いたします。
【次長】 まず、
消防法の一部改正、
今の通常国会に既に提出しておるものでございます。
資料4です。簡単に改正概要を御説明します。大きく4つございますが、まず1つが、 33その1ページ目の下です。雑居ビルなどにおきます防火管理の役割分担の明確化というこ
とで、テナントが入っているものはテナントごとに、防火管理者を選任しているわけでご
ざいますが、全体を見ていく人間が、今まで統括防火管理者という形でいるのですが、権
限が非常にあいまいだったということがございます。
しかも、規則で定められていたということもあり、今回それを法律で定め、全体の消防
計画を作るというもの、それから個別の防火管理者に対して指示ができるというもの、こ
の2つを新たに権限として付与し、その役割分担を明確化していくという中身でございま
す。
次、めくっていただきまして、今の説明は、防火管理についてでしたが、大規模・高層
建築物について、今度は防災の観点から、これもテナントごとに防災管理者というのがい
るのですが、全体を見る人間は規則上、統括防災管理者という形でおりますけれど、権限
が不明確。これも権限を明確化していくということであります。
それから、その下が消防機関による火災の原因調査権の拡大ということで、現在、火災
が発生した時の原因調査ということで、消防機関は、その建物等の所有者、あるいは占有
者に対して、
資料を出せという資料提出命令権等があるわけでございますが、
それをつくっ
た製造業者、あるいは、それを輸入した輸入業者に対しては、こういう資料提出命令権等
が課せられない、任意の協力を求めるしかないというのが現状であります。
実際に起きた事案といたしまして、その製品が火災出火の原因と疑われたわけでござい
ますが、任意に資料の提出を求めたところ、その資料を出してもらえなかったと。逆に言
うと、そういうふうなところではコンプライアンスで、法令に書いてあればやるけれど、
書いてないことをやると、かえっておかしくなってしまうということで、協力を得られな
かったという事案がございました。
そこで、法律できちっとそういうものに対しても資料提出命令等をかけられるようにし
ましょうという中身でございます。
それから次のページ、3ページですが、消防用機器は、検定を受けているわけでござい
ますけれども、
その検定を受けていなかったり、
あるいは不正に検定を受けていたりして、
それが流通するという事案が発生いたしました。
そこで、そういうものに対して、総務大臣がリコール、つまり回収を命ずることができ
るようにしましょうと。また、違反をした人に対しては罰則を強化しましょうという中身
の改正であります。 34そして、その下の、検定制度の見直しということでございますけれども、公益法人の事
業仕分けの中で、見直せという話がございました。そこで、まず1つが、そこに書いてい
ます、
「個別検定」の名称を、
「型式適合検定」に変更と書いています。型式検定と個別検
定という、2つあるのですが、ただ、個別検定といっても、それは全数検査をしているの
ではなくて、ロッド単位で抜き取りの、抽出検査をしているということであるものですか
ら、そのふさわしい名前にすべきだということで、型式適合検定という名称にしているわ
けでございます。
これは、日本消防検定協会だけで、事実上やっているわけでございますけれども、ほか
の民間にも参入しやすいようにするため、試験設備につきまして、今まで、持っていない
とだめだと言っていたのを、借りてきても、あればいいというふうなことで、緩和をする
という中身でございます。
それから自主表示の関係でも、検査記録の作成とか、保存の義務づけをするというもの
であります。
それから鑑定ということで、この言葉が、検定と紛らわしくて、分かりにくいというご
指摘がありまして、鑑定というのは、実際に何をしているかというと、
(3)の2に書いて
ございますように、製造業者等からの依頼に応じ、消防用機械器具等の評価を行うことと
いうことで、鑑定という言葉を使わずに、今言った表現に置きかえるというものでござい
ます。なお、政令改正事項では、検定対象品目の見直し等々を行おうとしているところで
ございます。これが、消防法の一部改正です。
続きまして、資料5、平成24年度の消防庁予算(案)について御説明申し上げます。予
算総額が272億2,400万円です。
その内訳として、
IIIに書いています、
東日本大震災の復旧・
復興関係で、148億3,000万です。で、それ以外の通常経費、概算要求枠と、日本再生重点
化措置要望額、合わせまして、123億9,500万という形になっております。前年との対比で
は、トータルでは、伸び率が約倍、106.4%ということになっております。ただ、これは大
部分が、東日本関係の復旧・復興関係の予算が、その増要因ということになります。
で、中身につきましては、1ページの下でございますが、まず、緊急消防援助隊の関係
の補助金ということで、前年同額の48億9,700万。ただ、この中で、消防救急無線のデジタ
ル化の推進が未知数で、20億、含まれております。それから右側で、22億9,000万、これは
緊急消防援助隊の無償対応の関係でございます。
ヘリコプターの導入であります。
左下の、
緊急援助隊の拠点施設に係る調査・検討ということで、2,300万。消防防災施設整備費補助 35金ということで、耐震性貯水槽とか、消防指令センターの関係で、7億2,3000万。その右
側、消防団の関係で、1億9,000万。それから自主防災組織の育成で、2,300万。津波関係
で、2,500万という形でございます。
めくっていただきまして、高齢者、あるいは障害者に適した、ユニバーサルデザインを
踏まえました火災警報装置の調査検討を行うと。実際に、モデル的に設置をしまして、ど
ういうふうに設置するのが一番いいのか、要するに高齢者とか、耳が聞こえない方々を想
定しております。で、警報の音が聞こえないものですから、光でお伝えする、それをどう
いうふうな形でつけるのがいいのかということを、実証実験するという経費であります。
救急救命体制の整備・充実の関係。火災予防。それから石油コンビナート関係で、それ
ぞれ所要の予算を公表しているものであります。
そして、震災復興の関係でございますけれども、消防防災施設につきまして94億9,600
万、整備の関係で48億2,000万というのが予算の概要でございます。
次、引き続いてよろしいですか。
【吉井会長】 お願いします。資料6のほうも、前回、答申をしました、フォローアップ
の関係ですけれども、それも引き続き、次長にお願いしたいと思います。
【次長】 はい。資料6-1で御説明申し上げます。1月30日にいただきました答申を踏
まえた消防庁の対応ということでございまして、まず1点目の、地震・津波対策の推進と
地域総合防災力の充実・強化については、その矢印の下にございます、消防庁の対応とい
うことで、昨年12月27日でございますけれども、地域防災計画を見直す場合の留意点、参
考事例等を地方公共団体あてに通知をしておりまして、引き続き、このフォローアップを
していこうと。それから、防災行政無線の整備促進の関係では、無線機の学校・病院への
緊急配備、あるいはJ-ALERTの整備等々について、通知をしております。
また、消防庁の防災業務計画の見直しも行っているところであります。
それから2点目の、消防職団員の活動のあり方等につきまして、消防庁といたしまして
は、
まず消防団員の安全確保に係る資機材の整備ということで補助金を確保し、
申請があっ
た地方団体へ交付をしているところであります。また、2つ目のポツで、大規模災害時の
消防団活動のあり方検討会、この中間報告を踏まえまして、津波災害時の行動マニュアル
の策定、見直し等を市町村に通知をしております。
また、消防本部のほうの、大規模災害発生時における初動活動のあり方検討会、これに
つきまして、現在、平成24年、今年の4月を目途に、その活動のあり方等について取りま 36とめを予定しておるところでございます。
また救助の関係につきましても、3月下旬を目途に、要領を作成しようとしているとこ
ろでございます。
また、
惨事ストレス対策ということにつきましては、
今年度は当面の措置ということで、
カウンセラー等の派遣等をやったわけでございますけれども、来年度、平成24年度は、検
討会を開催しまして、ストレス対策について基本的な検討を行うと。これは来年、平成25
年3月を目途に取りまとめていきたいと考えております。
2ページ目をめくっていただいて、裏側でございますけれども、緊急消防援助隊の効果
的な運用・施設整備等のあり方についてということで、まず消防庁の対応として、長期に
及ぶ消防応援活動への対応ということで、必要な車両等の整備、あるいは先ほど予算で申
し上げましたけれども、
緊急消防援助隊活動拠点施設に係る調査検討を行うとしています。
また、
(2)の、消防力の確実かつ迅速な被災地への投入ということで、先ほど予算で申
し上げましたけれど、ヘリコプターの整備、あるいは消防救急無線のデジタル化の推進を
進めていく。また併せまして、緊急消防援助隊の出動計画の見直しに合わせて、部隊を航
空機で運んでいく、そんなものについて調査検討をする予定にしております。
4、民間事業者による地震・津波対策ということで、消防庁としては、まず危険物施設
の関係でございますけれども、事業者に対して、その配管の耐震性能などについて再確認
をして欲しいということについて、
通知を出しているところでありますし、
石油コンビナー
ト所在地方団体に対しましては、そのコンビナート施設の地震・津波対策について周知徹
底を3月下旬にしていきたい。
大規模・高層建築物につきましては、先ほど消防法の改正で御説明しましたように、統
括防災管理者の専任等々で対応していくということでございます。
資料6-2は、その中の消防団活動の部分でございますが、この中で特記すべき事項と
して、3の安全確保対策の(2)の部分の2で、下右側です。退避ルールの確立と、津波
災害時の消防団活動の明確化ということで、退避をきちっと優先し、身の安全を守るとい
うことを考えていかなきゃいけないということで、ここで退避ルールを作っております。
いつ津波が来そうだという予報に基づいて、安全を見て、活動時間、退避する時間を差
し引いた、残りの時間で活動していくというものでございまして、時間がない時には自分
の命を第一に考える、そのようなルールの確立であります。
それから資料6-3につきましては、
これは消防本部のほうで先ほど申し上げたように、 373月22日の検討会ということで、取りまとめていきたいというものであります。
それから救急関係が資料6-4、トリアージの関係が資料6-5、救助の高度化等の検
討会ということが資料6-6、それと建築物の防災管理・自衛消防組織に係る運用の関係
が資料6-7、で、緊急消防援助隊の活動拠点に係る検討ということで資料6-8という
ことでございます。ちょっとはしょりまして、申し訳ございません。以上でございます。
【吉井会長】 ありがとうございました。最後の資料がございますので、次に、防災対策
推進検討会議、中間報告について、これは佐々木部長さんのほうから、御報告をお願いし
ます。
【国民保護・防災部長】 私からは、資料7でございます。防災対策推進検討会議という
ものがございます。これは政府の中央防災会議の専門調査会として、昨年10月に設置され
たものでございます。通常、専門調査委員会は学識者等で構成されるのですけれども、こ
の会議につきましては、初めて閣僚も入りまして、官房長官が座長という構成で、総務大
臣も入りまして、検討を進めてこられております。
第6回が終わりまして、
中間報告という形で、
3月7日に決定されたものでございます。
そこにありますように、第1章の最初ですけれども、日本は世界的にも災害が起きやすい
国である。近い将来、懸念される巨大災害、南海トラフ、直下型、火山、大規模水害、あ
るいは日本列島は3.11以降、大きく変化し、他の大規模地震・火山噴火を誘発する恐れが
あると。過去も同様の事例があるという認識に立ちまして、今後どう対応していくかとい
うことを検討しているものでございます。
時間の関係で、飛びまして、一番下の第3章を、簡単に御説明させていただきます。右
側に、発生が危惧される大規模災害に向けた備えというものがあります。南海トラフ、首
都直下、
火山災害、
大規模水害、
複合災害、
先ほど諮問のほうにもございましたけれども、
いろいろな複雑、大規模な災害が、今後予想されるということでございます。
左側ですが、まず災害から生命を守るために、という観点からは、円滑な避難のための
情報伝達システム、避難者の安否情報システムの高度化の検討等々がございます。特に、
プッシュ型というような支援、応援のあり方というものも、論点とされているところでご
ざいます。
その次の、被災地を支える体制づくりという中では、大規模災害時における県や国の調
整による支援の仕組みの強化、あるいは受援計画の明確化、さらには、都道府県が広域避
難に関する指示・調整を行うことのできる仕組みの確立。市町村の機能が著しく低下した 38場合や緊急事態における、都道府県や国の対応のあり方を検討すると。
真ん中のほうに行きまして、避難所の運営の問題。それからスピード感、安心感のある
被災者支援。住まいの再建。復旧・復興をスムーズになし遂げるための仕組み。右側に行
きまして、大災害を生き抜くための日ごろからの備え。最大クラスの地震・津波の想定。
ハード・ソフトが一体となった減災、あるいは自助・共助の明確化の検討。さまざまな組
織・機会での防災教育。教訓の伝承・定着。訓練の推進。多様な主体の連携協働による、
社会の総力を挙げた対策強化。国境を越えた教訓の共有といったような点につきまして、
中間報告ということでまとめられております。
引き続き、
議論をしまして、
今年の夏ぐらいには最終報告をまとめると伺っております。
なお、この中間報告の中におきまして、早急に法制的対応をしたほうがいいというものに
つきましては、災害対策基本法の改正を、一部できるところから改正をしていくというよ
うな取組も、内閣府を中心に、今進められていると伺っております。以上です。
【吉井会長】 ありがとうございました。報告関係を、一括してやっていただきましたけ
れども、御質問、御意見、ございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでござい
ましょうか。
【茂木委員】 2点ばかりあります。1点は質問ですが、一部改正するという、法律案の
概要の資料の、
消防機関による火災の原因調査権の拡大というところですが、
「製品の不具
合等が原因と考えられる火災が相次いで発生している中で」というところですが、私たち
が毎年、調査研究として取り組んでいることのひとつが製品安全についてですが、調査研
究をする上で、さまざまな学習もしておりますが、毎年NITEの方たちのセミナーや学
習会を受けましたり、見学したりということもあります。NITEの方たちが、事例をた
くさん集めたいので情報を届けてください、とよく言われます。時にはテレビで、事故が
あった欠陥製品の事例紹介などもされていますけれども、こういうところと連携して調査
に入ってもらうことはできないのかなというのが、1つ疑問としてございました。横の連
携というところで。
あと1つは、防災対策の推進検討会議の中間報告、7です。そこのA4の大きなところ
ですが、こちらは感想として、ぜひ申し上げたいと思います。第3章のところで、ニーズ
に応じた避難所運営というところの最後のポツになりますが、男女共同参画の視点の重視
というところが盛り込まれまして、とても感激しております。たまたま兵庫の方たちのあ
る団体が調査に入られた際に、
自分の家族、
子どもや高齢の親の介護などを抱えていても、 393度3度の食事の支度を女性だから、ということで役割分担になり、とてもつらかったと
いう声があった、と報告されていましたので、こういう視点からの改善を進めることがと
ても大事なことを改めて学びました。また、
『リオ+20』が、今年6月に開催されますが、
そこに向けての国内準備委員会開催のワークショップでも、この点からも申し上げました
こともありますのでとてもありがたいです。
また、左側の、
「災害から命を守るために」というところで、いろいろ書いていただいて
いるので、とてもありがたく思いました。これまでのところでは、私もちょっと言い及ん
でしまったことですが、長くなってしまう避難所の生活の中で、特に女性が、手をずっと
洗えない状況など、長引く劣悪な環境の中で、女性特有の疾患が多く出てしまって、皆さ
んが大変苦労されたということが、そのアンケート調査に出てきていました。ですので、
そういうところの配慮を視野に入れた体制づくりを盛り込んでいただきたいと思います。
お医者様方は、こういう状況をよく見られているとは思いますが、ほんとうにつらかった
とおっしゃっていたそうです。ですので、特に若い女性を含めて、妊産婦の方、さまざま
な年代でさまざまな病気が出やすいですので、男女共同参画といいましても、性差による
配慮ある運営、ということを入れていただいたらありがたいと思います。健康を守るとい
う視点から申し上げました。よろしくお願いしたいと思います。
【吉井会長】 ありがとうございます。最初のほうの、省庁連携というか、関連するとこ
ろの連携を図る必要があるのではないかという御意見だと思います。いかがでございます
か。
【次長】 まさしくおっしゃるとおりだと思います。私ども、この法律を作っていく中や
法改正をするに当たって、経済産業省ともいろんな議論をして参りましたし、当然情報共
有をしなくてはいけないわけで、そういう方向でやっていくことにしております。もう少
し細かくは、予防課長のほうから答えさせたいと思います。
それと、その後段の部分につきまして、実はこの防災対策推進検討会議、私もずっと出
ておりました。兵庫県の女性の理事の方が出て、彼女がかなりそういうことを主張されて
いました。清原さんですね。
【茂木委員】 ああ、よかった、よかった。
【次長】 御主張されて、それでこういうふうに入ってきていると。だから女性特有の疾
患については、さすがにその場では......。
【茂木委員】 なかなか言いづらいことですね、私も。でも、とても大事なことだなと。 40【次長】 それはそのとおりだと思います。
【茂木委員】 安全・安心な生活の確立には。
【次長】 これ一応、概要版ですので、細かく報告書をまとめられておりますから、それ
を見ていただければと思います。
【吉井会長】 予防課長さん、お願いいたします。
【予防課長】 今の、資料の一番下のところに、矢印でもつけておるんですけれど、資料
4ですね。先生から御指摘のありました、2ページの一番下に、矢印で、2つ丸をつけて
おりますけれど、下の丸のほうで書いておりますように、調査結果について関係機関、消
費者庁、経済産業省、国土交通省等と連携して情報共有し、広く国民に情報発信すること
により、消費者の安全・安心を確保と。経済産業省の具体的な機関として、NITEが実
際には調査を行いますので、そことも連携したいと思っております。これは調査結果と書
いてありますが、調査段階でも当然ながら情報を共有して、例えば事業者に対して過度な
負担にならないように連携をしていくというふうに考えております。以上でございます。
【吉井会長】 どうぞ。
【茂木委員】 今までなかったのかなというのが、本当のところの疑問でした。非常に力
を入れて製品安全にかかわる機関ですし、あらゆる想定をして欠陥がないということを目
指すのが企業であるということも言われていますので、積極的にこのような機関にかか
わっていただきたいと思っていましたので、
「今後」
ということではなくて、
今までなかっ
たのかしらと思いましたので、ぜひ強化した体制につなげてほしいと思います。
【予防課長】 申し上げた説明が不十分で、これまでも、やっておりまして、さらに一層
という意味でございます。
【茂木委員】 あ、そうですか。たびたびすみません。この方向からは、NITEの方に
たびたびお会いしてお話を伺っていますが、こちらもうっかりと、お聞きしていませんで
したので、今後、その面からもお聞きしたいと思っています。よろしくお願いします。あ
りがとうございます。
【吉井会長】 両方に加わられている茂木委員みたいな方が、こうやってどんどん言って
いただくのが一番いいと思います。
ほかに、いかがでございましょうか。ただいまの御報告について、全般に、何かありま
したら。どうぞ。
【石井委員】 資料7のところなのですが、第1章、日本は災害を受けやすい国だという 41ことが、縷々書いてありますが、3月11日に、世界医師会の会長であるとか、アメリカの
災害の専門家に集まってもらってシンポジウムをやったのですが、そこで話題になったこ
とは、実は、世界で安全な場所はないという前提の話になりまして、今、確かに我々は、
こう思いやすいし、日本は本当にひどい目に遭ったという意識の中で、こういう文章にな
りやすいと思いますが、冷静な目で見れば、自然災害を含めて、様々な災害は、世界でむ
しろ都市化現象の進行も含めて、大規模な災害、大規模な被害が出やすくなっていると。
それは統計資料にも出ているということが、まず1つありました。
もう一つは、人災。大きく言えば、原発の問題も、そこに入るかどうかと思いますが、
それ以外にもテロであるとか、様々なものが、あと、大規模感染症のアウトブレークとい
うのも、都市化現象と一緒に起こるものですので、これは日本も含めてそういう状況にあ
ると。したがって、救急、また災害対応の能力、ポテンシャルというのは、我々は、どこ
の場所でも上げていく必要があるという議論になりました。そのためには、必要な訓練で
あるとか、手立てであるとか、ネットワークの構築であるとか、そういうことをそれぞれ
の国の責任でやるべきだと。医療者もそうなのだという議論が、非常に分かりやすいんだ
と思います。
それは、消防のあり方を論じる場合でも同じことが言えると思いまして、効率化とか、
ちょっと前までよく言われた、仕分けとか、いろんなことが言われると思いますが、世界
から見たら、そういう状況にあると。我々は守るべきものがあるのだということを、ぜひ
前提にしていただければと思います。
【吉井会長】 ありがとうございます。
他に、
いかがでございましょうか。
はい、
どうぞ。
【山根専門委員】 いいですか。医療の広域化について語られておりますけれども、広域
化の問題と医療機関というのはワンセットですので、全く同じような概念で検討されたほ
うがいいかなと思っています。特にヘリコプターの場合、関東地区には消防は20機ぐらい
持っているのですよね。それぞれ連携協定を結んでいまして、お互いに援助し合っている
のですけれども、そういうのがうまく機能するようにするには、時間・距離を有効に活用
する運用が必要ですよね。隣接県であっても、最も近いところには、すぐ出るというよう
な協定をうまく結んで、医療機関をベースにして、医療機関に近いところが動くというよ
うなやり方を検討されると、おそらく1番目の問題と2番目の問題は、連携して広域化が
推進できるかなというふうに思いました。
【吉井会長】 ありがとうございます。他に、いかがでございましょう。どうぞ。 42【国崎委員】 資料4の、消防法の一部を改正する法律案の概要なんですけれども、関連
したページが3ページあたりかなと思うんですけれども、消防用機器等の違法な流通を防
止するための措置の拡充ということがあるんですが、
今回、
これではないんですけれども、
東日本大震災ではスプリンクラーの誤作動によって損害が出てきたというところがあった
かと思います。こういった消防設備の耐震性について、今後協議していかなくてはならな
いと思うのですが、ここの出てきた問題に対して、どの時点で解決するのかという部分を
教えていただきたいのと、あと、ここには関係ないのかもしれませんけれども、住宅の火
災報知機が義務化されました。まだ全ての住宅に入っていないという現況はあるのですけ
れども、私はこの火災報知機が義務化されたことは、ほんとうにファーストステップだと
思うのですけれども、今後、日本の消防としては、各家庭においてのスプリンクラーの導
入も推奨していく必要があると思います。
相も変わらず、火災で亡くなる方というのは減らなくて、やっぱり現場の消防職員の方
がおっしゃるには、家庭にスプリンクラーがついていれば、消防職員が着くまでに鎮火し
ているということから、死者も格段に減るんだという話を聞いております。
こういったことから、知らせるだけでは、高齢者も子供も、寝たきりの方も救えないと
いう現状から、家庭におけるスプリンクラーの設置ということも、今後を見据えて、義務
化までできたら理想なのですけれども、どのように住宅にスプリンクラーを配置していく
のか新築、既存ですね。やっていくのかというところの検討会もあっていただければ、ま
さに安全・安心な住まいということにも繋がっていくのかなと思いますし、プラス、耐震
性があれば、揺れによって、それが壊れるだけでなく、2次災害として火災が発生した時
にだけ機能するとか、そういう高精度なスプリンクラーが開発されれば、企業でも、小さ
な事業所でも、設置するというところも出てくるのではないかと思います。以上です。
【吉井会長】 ありがとうございます。スプリンクラーの問題については、前回、御報告
いただいて、かなり耐震性に問題があるというか、破損して、いろいろ問題が起きたとい
うことなので、その耐震対策はどうなのかということで、事務局のほうで、お答えできる
ところがありますか。よろしくお願いします。
【予防課長】 スプリンクラーに関してですが、先ほど消防用機器の欠陥ということでの
お話がありましたけれど、そのものが不良な部品であったということよりも、設備の配管
等が、建物の損傷に伴って壊れたというのが大半であります。当然ながら、建築物として
の耐震性を確保していただくということが大前提でありますけれど、一方で、設備の固定 43の仕方などについて、さらに徹底を図っていただくということも必要と思っております。
ちなみに、昨年の3月に、耐震性について、阪神淡路以降の様々な地震の経験を踏まえ
て、耐震対策をお示ししたところではありまして、その結果、また今回の地震の際に何か
問題があったかどうかということを、今検証しているところであります。その耐震対策に
ついては、改めてそうしたことを周知していくようにしていきたいと思っております。
それから、住宅用のスプリンクラーの件でありますけれど、今、住宅用火災警報器の普
及を義務づけいたしまして、70%までの普及率になってきております。次の段階として、
スプリンクラーということが望ましいという声は大きいのですが、一方で、コストがかか
るものでありますから、そのあたりにつきまして、普及方策も含めた検討を今後検討する
機会を設けて、考えて参りたいと思っております。以上でございます。
【吉井会長】 以前も、この審議会で、ちょっと家庭用のスプリンクラーの問題は指摘が
あって、まさに省庁間連携の問題も含めて、少し検討しなきゃいけないということになっ
ていたのですけれども、そのフォローアップも含めて、次回ぐらいに事務局のほうから、
少し家庭用スプリンクラーの話をまとめていただきたいと思います。
【国崎委員】 スプリンクラーと言うほうがいいのか、自動消火装置と言うほうがいいの
かよくわからないのですが。ぜひお願いします。
【吉井会長】 かなり価格の安いやつもあって、いろんな性能の問題とか、誤作動の問題
があるという話も、あったと思います。
他にいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。この前の経験から、2時間半を
とったのですけれども、2時間半やらなきゃいけないということもないので、今日は、再
開の1回目という感じで、新たな諮問を受けまして、これからどういうふうにしていくか
ということを中心に議論しましたので、この辺で審議のほうは終えまして、事務局のほう
から事務連絡ありましたら、お願いいたします。
【課長補佐】 次回の開催でございますが、6月ごろを予定してございます。日程調整に
つきましては、後日、事務担当者から再度御連絡させていただきますので、よろしくお願
いいたします。以上でございます。
【吉井会長】 ありがとうございます。それでは以上をもちまして、本日の審議会を閉会
とさせていただきます。委員の皆さんも、幹事の皆さんも、どうも御協力ありがとうござ
いました。

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