昭和60年(1985年)11月14日に発生したコロンビア共和国のネバド・デル・ルイス火山の噴火による泥流災害で、死者2万3,000人、負傷者5,000人及び家屋損壊5,000棟に上る被害が発生したことに伴い、外務省から消防庁に対して同国政府の援助要請がある場合の救助隊の派遣について意向打診があり、消防庁は、これに積極的に協力することとして準備を進めた。結果的に、コロンビア共和国政府からの救助隊派遣要請はなかったが、消防庁は、国際協力の一環としてこうした活動に積極的に対応することとし、昭和61年(1986年)に国際消防救助隊(International Rescue Team of Japanese Fire-Service:略称"IRT-JF":愛称"愛ある手")を整備し、同年8月に、カメルーン共和国の有毒ガス噴出災害に対して初めての国際消防救助隊を派遣した。
また、このような動きと前後して、政府は外務省を中心に、海外で大規模災害が発生した場合の国際緊急援助体制の整備を進め、昭和62年(1987年)9月16日、「国際緊急援助隊の派遣に関する法律(昭和62年法律第93号)」が公布、施行された。
法律施行後、国際消防救助隊は、同法に基づく国際緊急援助隊の救助チーム等の一員として派遣されることとなった。以来、同チームの全ての派遣に消防の救助隊員が参加しており、我が国消防が培ってきた高度な救助技術と能力を被災地で発揮し、国際緊急援助に貢献している。