地方防災会議は、防災関係機関が行う防災活動の総合調整機関であり、近年は、その中に震災対策部会、原子力防災部会等の専門部会が設けられ、機能の強化が図られている。
今後は、その更なる活用等により専門性等を兼ね備えた防災計画の策定に努めるとともに、平常時の活動に加えて、災害時においても防災関係機関相互の連携のとれた円滑な防災対策を推進する必要がある。
また、平成24年の災害対策基本法の改正により、女性、高齢者、障がい者などの多様な主体の視点が反映されるよう、都道府県防災会議の委員として、自主防災組織を構成する者又は学識経験のある者のうちから都道府県知事が任命する者が新たに加えられており(市町村の防災会議については、都道府県の防災会議に準ずることとされている。)、法改正の趣旨を踏まえた災害対策の推進を図っていく必要がある。
地域防災計画については、各地方公共団体の自然的、社会的条件等を十分勘案し、地域の実情に即したものとするとともに、具体的かつ実践的な計画となるよう適宜見直しに取り組むことが求められる。
具体的には、地域防災計画の見直しに当たっては、被害想定、職員の動員配備体制、情報の収集・伝達体制、応援・受援体制(被災者の受入れを含む。)、被災者の収容・物資等の調達、防災に配慮した地域づくりの推進、消防団・自主防災組織の充実強化、災害ボランティアの活動環境の整備、避難行動要支援者対策、防災訓練などの項目に留意する必要がある。
防災基本計画等が修正された場合や訓練等により計画の不十分な点が発見された場合及び災害の発生により防災体制及び対策の見直しが必要とされた場合など、その内容に応じて速やかな見直しを行う必要がある。また、前述のように女性の視点の反映や多様な主体の防災計画策定への参画を進める必要がある。
地域防災計画は、より具体的で内容が充実し、防災に資する施設・設備についてもより高度かつ多様なものが導入されてきているが、災害発生時に、これらが実際に機能し、又は定められたとおりに実施できるかが重要である。また、災害は多種多様で予想できない展開を示すものであり、適切で弾力的な対応を行うことが必要である。
そのため、組織に関しては、危機管理監等の専門スタッフが首長等を補佐し、自然災害のみならず各種の緊急事態発生時も含め地方公共団体の初動体制を指揮し、平常時においては関係部局の調整を図る体制が望ましいと考えられる。平成27年4月1日現在、すべての都道府県において部次長職以上の防災・危機管理専門職が設けられている。
罹災証明書は、災害により被災した住家等について、その被害の程度を市区町村が証明したものである。現在では、被災者生活再建支援金の支給や住宅の応急修理、義援金の配分等の支援措置の適用の判断材料として幅広く活用され、被災者支援の適切かつ円滑な実施を図る上で極めて重要な役割を果たしている。東日本大震災に際して、住家被害調査の実施体制が十分でなかったことから、交付に長期間を要し、結果として被災者支援の実施そのものに遅れを生じた事例も少なくなかった経緯を踏まえ、平成25年6月の災害対策基本法の改正により、罹災証明書を遅滞なく交付することを市町村長の義務として同法に位置付けるとともに、これを実効性あるものとするため、市町村長は住家被害の調査に従事する職員の育成や他の地方公共団体等との連携確保など罹災証明書の交付業務の実施体制の確保に平常時から努めることとされた。
消防庁では、市町村における罹災証明書の交付に関する業務を円滑に処理するため、平成27年2月に罹災証明に関する事例の紹介を行った。