地域における防災の総合的な計画である地域防災計画については、既に全都道府県とほぼすべての市町村で作成されている。内容的にも、一般の防災計画と区別して特定の災害ごとに作成する団体が増加しており、平成22年4月1日現在、都道府県においては、震災対策は全団体、原子力災害対策は23団体、風水害対策は31団体、火山災害対策は16団体、林野火災対策は19団体、雪害対策は11団体が作成済みである。
地域防災計画については、災害対策基本法において、毎年検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならないこととされている。消防庁は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、情報の収集・伝達体制や応援体制など9項目について大規模災害も想定した地域防災計画の緊急点検を要請した。
また、阪神・淡路大震災以後の防災基本計画の修正に際しても、地域防災計画の見直し及び所要の修正について、適宜要請している。平成20年3月には防災基本計画の修正に伴い、緊急地震速報の導入、企業防災の促進、及び男女共同参画の視点を取り入れた防災体制の確立等に特に留意して地域防災計画の見直しを行うよう要請したところであり、平成21年度中には、都道府県27団体、市町村553団体が、地域防災計画の修正を行っている。
地方公共団体間等の広域防災応援に係る制度としては、消防組織法に基づく消防相互応援のほか、災害対策基本法に基づく地方公共団体の長等相互間の応援、地方防災会議の協議会の設置等がある。また、災害対策基本法においては、地方公共団体は相互応援に関する協定の締結に努めなければならないとされている。
一方、地方公共団体と国の機関等との間の広域防災応援に係る制度としては、災害対策基本法に基づく指定行政機関から地方公共団体に対する職員の派遣、自衛隊法に基づく都道府県知事等から防衛大臣等に対する部隊等の派遣の要請がある。自衛隊の災害派遣についてはこのほか、災害対策基本法に基づき市町村長が都道府県知事に対し、上記の要請をするよう求めることができる。さらに市町村長は、知事に対する要求ができない場合には、防衛大臣等に対して災害の状況等を通知することができる。
災害発生時において、広域防災応援を迅速かつ的確に実施するためには、関係機関とあらかじめ協議し協定を締結することなどにより、応援要請の手続、情報連絡体制、指揮体制等について具体的に定めておく必要がある。>br>
都道府県間の広域防災応援については、阪神・淡路大震災以降、各都道府県で広域防災応援協定の締結又は既存協定の見直しがされた。このほか、個別に締結している災害時の相互応援協定では対策が十分に実施できない大規模災害に備え、全国知事会で、全都道府県による応援協定が締結され、広域防災応援体制が全国レベルで整備されている。
また、市町村でも、県内の統一応援協定や県境を超えた広域的な協定の締結など広域防災応援協定に積極的に取り組む傾向にあり、平成22年4月1日現在、広域防災応援協定を有する市町村数は、1,571団体となっている。
なお、広域防災拠点の整備や広域応援にも対応した物資・資機材等の備蓄を促進するとともに、受入れ体制の整備や広域応援を含む防災訓練の実施等により、実効ある広域応援体制の整備を図っていく必要がある。