災害被害の軽減のためには、普段から実践的な防災訓練を実施し、実際の災害時に地方公共団体の防災担当職員や消防職員、住民等が迅速・的確に行動できるか検証しておくことが有効である。都道府県や市町村においては、台風等風水害や土砂災害を想定した実動訓練、図上訓練、通信訓練などが行われている。
また、被害を最小限にとどめるためには防災機関の活動のみならず、住民自らの災害に対する日常の備えが不可欠であり、地域防災の中核的役割を担う消防団及び自主防災組織が重要な役割を担っている。都道府県や市町村では消防団及び自主防災組織の育成強化の取組が進められており、消防庁としてもこうした取組を推進している(→P.131、P.239)。特に、避難勧告などを発令するに当たっては、川の水位や土砂災害の監視情報など現場の情報を、いかに正確かつ迅速に把握することができるかが重要となるが、市町村の職員のみでは、現場の状況を十分に把握することは難しい。そのため、刻々と変化する現場の状況を、地域に詳しい消防団員等の確認・報告を通じて、的確な避難勧告等の発令につなげるよう、地域ぐるみの防災体制の整備が重要である。
さらに、地域住民に対して、各種広報媒体を活用し、災害の前兆現象や危険性などの知識の普及啓発を進めることが災害被害の軽減に有効である。都道府県や市町村、消防機関等では、防災啓発のためのイベントや講演会などを実施し、台風や大雨の際には不要不急の外出・田畑の見回り等を極力控え、河川や海岸には近付かないことなど、風水害の危険性についての住民への普及啓発に努めており、消防庁においても、啓発資料の作成等により、防災知識の普及啓発に努めている。