令和5年5月 29 日
消 防 庁
「令和4年中の石油コンビナート等特別防災区域の特定事業所における
事故概要」の公表
1 事故の発生状況及び被害状況
令和4年中の事故件数は 359 件(前年比 57 件増)で、地震によらない一般事故が
349 件(前年比 56 件増)
、地震による事故が 10 件(前年比1件増)でした。一般事故
の件数は、平成元年以降、最も多い発生件数となりました。
一般事故種別の件数(割合)を見ると、漏えい事故 203 件(58.2%)
、火災事故 129
件(37.0%)
、爆発事故7件(2.0%)
、その他が 10 件(2.9%)でした。
また、一般事故による死者は1人(前年同数)
、負傷者は 33 人(前年比4人減)で
した。
なお、
地震による事故の死傷者は発生していません。
損害額につきましては 9.4
億円(前年比 5.4 億円増)となりました。
2 一般事故の発生原因
一般事故の発生要因は配管等の腐食疲労等劣化などの物的要因が 213 件(61%)、維持管理不十分などの人的要因が 118 件(34%)となっています。
消防庁では、
毎年、
石油コンビナート等特別防災区域内の特定事業所における事故の概要
を取りまとめています。今般、令和4年中の事故概要を取りまとめたので公表します。
(連絡先)消防庁特殊災害室
担 当 脇坂、髙����、佐々木
電 話 03-5253-7528(直通)
石 油 コ ン ビ ナ ー ト 等 特 別 防 災 区 域 の
特 定 事 業 所 に お け る 事 故 概 要
( 令 和 4 年 中 )
消 防 庁特 殊災 害 室
こ の 概 要 は 、 令 和 4 年 1 月 1 日 か ら 令 和 4 年 12月 31日 ま で の 間 に 全 国 の
石 油 コ ン ビ ナ ー ト 等 特 別 防 災 区 域 の 特 定 事 業 所 に お い て 発 生 し た 事 故 に つ
い て 、 関 係 都 道 府 県 か ら 提 出 さ れ た 「 定 期 事 故 報 告 」 を も と に と り ま と め
た も の で あ る 。
目 次
1 概 況 ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ 1
2 一 般事 故 の発 生 状 況 ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 3
( 1) 特別 防 災区 域 別 の一 般 事故 発 生状 況 ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 3
( 2) 特定 事 業所 の 業 態別 の 一般 事 故発 生 状 況 ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 7
( 3) 施設 区 分別 の 一 般事 故 発生 状 況 ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 8
( 4) 月別 、 時間 帯 別 の一 般 事故 発 生状 況 ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 9
( 5) 運転 状 況別 の 一 般事 故 発生 状 況 ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 10
( 6) 主原 因 別の 一 般 事故 発 生状 況 ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 11
3 一 般事 故 の被 害 状 況 ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 13
( 1 ) 死 傷 者数 の 発生 状 況 ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ 13
( 2 ) 損 害 額の 状 況 ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ 14
4 一 般事 故 発生 時 の 通報 状 況 ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 15
5 令 和4 年 中の 主 な 事故 ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 16
《 図 表 目 次 》
図 1 平 成元 年 以降 の 事 故発 生 件数 ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 1
表 1 過 去 10 年の 地 震 事故 発 生状 況 ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ 1
図 2 平 成 元年 以 降の 一 般 事故 発 生件 数 (事 故 種 別ご と の推 移 ) ・ ・・ 2
図 3 過 去 10 年の 一 般 事故 種 別の 割 合 ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ 2
表 2 各 都道 府 県・ 特 別 防災 区 域に お ける 特 定 事業 所 数及 び 事業 所 種 別毎
の 一般 事 故件 数 ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 3
表 3 業 態別 の 一般 事 故 発生 状 況一 覧 ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 7
表 4 施 設 区分 別 の一 般 事 故発 生 状況 ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ 8
図 4 危 険 物製 造 所等 ( 危 険物 施 設・ 高 危混 在 施 設) 別 の一 般 事故 発 生 状
況 ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ 8
図 5 月 別の 一 般事 故 発 生状 況 ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 9
図 6 時 間帯 別 の一 般 事 故発 生 状況 ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 9
表 5 運 転 状況 別 の一 般 事 故発 生 状況 ・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ 10
表 6 主 原 因別 の 一般 事 故 発生 状 況 ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ 11
図 7 過 去5 年 にお け る 主原 因 別一 般 事故 件 数 の推 移 ・ ・・ ・ ・ ・・ 11
図 8 令 和 4年 中 にお け る 一般 事 故の 発 生要 因 ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ 12
図 9 過 去 10 年 の 一 般 事 故 に お け る 要 因 別 発 生 件 数 の 推 移・ ・ ・・ ・ ・ 12
図 10 過 去 10 年の 一般 事 故 発生 件 数と 被 害状 況 ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・ 13
図 11 過 去 10 年 の一 般事 故 死 傷者 発 生状 況 ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 13
表 7 事 故別 損 害額 ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ 14
図 12 損害 額 の推 移 ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ 14
図 13 損害 額 の状 況 ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ 15
図 14 発見 か ら通 報 まで の 時 間の 状 況 ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ 15
・ 損 害 額等 に つい て は、 調 査 中の も のが あ り、 変 動 する こ とが あ る。
・ 合 計 欄の 値 が四 捨 五入 に よ り各 値 の合 計 と一 致 し ない 場 合が あ る。
- 1 -
1 概 況
令和4年中の事故件数は 359 件
(前年比 57 件増)
で、
地震によらない事故
(以下
「一般事故」
という。
)は 349 件、地震による事故(以下「地震事故」という。
)は 10 件であった。一般事故
の件数にあっては、過去最多となっている。また、事故による死者は1人(前年同数)
、負傷者
は 33 人(前年比4人減)で、地震事故による死傷者は発生していない。このほか、事故件数に
は計上していないが、10 リットル未満の陸上における漏えい事故は 11 件であった。
一般事故の件数は、平成元年以降は徐々に増加傾向にあり、平成 30 年から令和4年の直近5
年にあっては 300 件前後の高い水準で推移している。事故種別をみると、特に火災及び漏えい
の増加が顕著である。発生要因として、物的要因では腐食疲労等劣化、人的要因では維持管理
不十分によるものが多く見られる。
地震事故は、3月 16 日に福島県沖を震源とする地震により、10 件発生している。
事故の内訳
は、漏えい事故9件及び破損事故1件である。
(注記) しろいしかく内の数字は、地震事故件数を示す。
【図1 平成元年以降の事故発生件数】
【表1 過去 10 年の地震事故発生状況】
発生年 原因となった地震 事故件数
平成 25 年 福島県浜松通りの地震 1件
平成 27 年 東京湾を震源とする地震 1件
平成 28 年 熊本地震 2件
平成 30 年 平成 30 年北海道胆東部地震 84 件
令和3年
福島県沖を震源とする地震 6件
宮城県沖を震源とする地震 1件
千葉県北西部を震源とする地震 2件
令和4年 福島県沖を震源とする地震 10 件
* 平成 23 年の東日本大震災では、285 件(地震 140 件、津波 145 件)の地震事故が発生している。4663 56 53 45
61 679376 74
91 82 84121133150142236243207177231213248228253234250252314284267293349546389228
2 1 12931 1 284910050100150200250300350400450H1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 R1 2 3 4(件)(年)
一般事故 地震事故
- 2 -
【図2 平成元年以降の一般事故発生件数(事故種別ごとの推移)】【図3 過去 10 年の一般事故種別の割合】
H1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 R1 2 3 4
火災 17 27 26 24 27 35 34 42 36 38 45 47 48 60 66 84 69 110 91 76 62 93 84 99 82 104 107 120 130 146 112 98 106 129
爆発 8 8 10 4 1 3 6 17 9 6 5 1 0 7 5 3 4 18 6 9 5 7 7 6 5 6 7 6 1 6 7 3 3 7
漏えい 15 21 17 21 11 19 22 25 24 25 37 30 34 49 56 54 63 97 129 110 99 123 113 131 132 135 117 119 115 155 154 155 179 203
その他 6 7 3 4 6 4 5 9 7 5 4 4 2 5 6 9 6 11 17 12 11 8 9 12 9 8 3 5 6 7 11 11 5 10020406080100120140160180200220(件)火災 爆発 漏えい その他
36.0%
41.1%
45.7%
48.0%
51.6%
46.5%
39.4%
36.7%
36.2%
37.0%2.2%2.4%3.0%2.4%0.4%1.9%2.5%1.1%1.0%2.0%
57.9%
53.3%
50.0%
47.6%
45.6%
49.4%
54.2%
58.1%
61.1%
58.2%3.9%3.2%1.3%2.0%2.4%2.2%3.9%4.1%1.7%2.9%
0 50 100 150 200 250 300 350 400H25H26H27H28H29H30R1R2R3R4
(件数)
(年)
火災 爆発 漏えい その他
- 3 -
2 一般事故の発生状況
(1)特別防災区域別の一般事故発生状況
特別防災区域別の一般事故発生状況は、表2のとおりである。
一般事故の発生件数が最も多いのは京浜臨海(神奈川県)の 57 件、次いで、京葉臨海中部
(千葉県)の 53 件である。
また、事業所種別毎にみると、レイアウト事業所における事故が最も多く、一般事故総数
の約7割を占めている。
【表2 各都道府県・特別防災区域における特定事業所数及び事業所種別毎の一般事故件数】
都道府県・特別防災区域
特定事業所数 事業所種別毎の一般事故件数 一事業所あたりの
一般事故発生件数
レイアウト 第一種 第二種 合計 レイアウト 第一種 第二種 合計
北海道 5 13 12 30 3 4 2 9 0.30
釧路 3 1 4 1 1 0.25
苫小牧 3 6 4 13 2 2 1 5 0.38
石狩 1 2 3
室蘭 2 5 7 1 1 2 0.29
北斗 2 2
知内 1 1 1 1 1.00
青森県 7 5 12 1 1 0.08
むつ小川原 2 2
青森 1 1
八戸 4 5 9 1 1 0.11
岩手県 1 1
久慈 1 1
宮城県 2 5 4 11 5 5 0.45
塩釜 1 4 5
仙台 1 1 4 6 5 5 0.83
秋田県 7 4 11 1 1 0.09
男鹿 2 2 1 1 0.50
秋田 5 4 9
山形県 1 2 3
酒田 1 2 3
福島県 1 7 11 19 1 1 2 0.11
広野 1 1 2 1 1 0.50
いわき 1 6 10 17 1 1 0.06
茨城県 11 3 18 32 18 1 6 25 0.78
鹿島臨海 11 3 18 32 18 1 6 25 0.78
千葉県 22 12 36 70 39 7 11 57 0.81
京葉臨海北部 5 1 6 1 1 0.17
京葉臨海中部 21 7 33 61 36 6 11 53 0.87
京葉臨海南部 1 2 3 3 3 1.00
- 4 -
都道府県・特別防災区域
特定事業所数 事業所種別毎の一般事故件数 一事業所あたりの
一般事故発生件数
レイアウト 第一種 第二種 合計 レイアウト 第一種 第二種 合計
東京都 1 1
東京国際空港 1 1
神奈川県 18 15 44 77 60 7 11 78 1.01
京浜臨海 16 14 39 69 39 7 11 57 0.83
根岸臨海 2 1 5 8 21 21 2.63
新潟県 4 12 10 26 8 5 13 0.50
新潟東港 2 9 3 14 1 1 0.07
新潟西港 1 2 5 8 8 4 12 1.50
直江津 1 1 2 4
富山県 1 5 2 8 1 1 0.13
富山 2 2 4
婦中 1 1 1 1 1.00
新湊 1 1
伏木 2 2
石川県 5 4 9
七尾港三室 1 1
金沢港北 4 4 8
福井県 4 4 1 1 0.25
福井臨海 4 4 1 1 0.25
静岡県 3 9 12
清水 3 9 12
愛知県 7 15 28 50 11 2 8 21 0.42
渥美 1 1
衣浦 2 1 7 10 1 1 4 6 0.60
名古屋港臨海 5 13 21 39 10 1 4 15 0.38
三重県 10 5 19 34 5 2 1 8 0.24
四日市臨海 10 5 19 34 5 8 0.24
大阪府 5 11 34 50 11 3 5 19 0.38
大阪北港 2 12 14 1 3 4 0.29
堺泉北臨海 5 8 22 35 11 2 2 15 0.43
関西国際空港 1 1
兵庫県 9 7 19 35 14 8 22 0.63
神戸 1 4 3 8 4 4 0.50
東播磨 3 1 8 12 5 3 8 0.67
姫路臨海 5 1 8 14 9 1 10 0.71
赤穂 1 1
- 5 -
都道府県・特別防災区域
特定事業所数 事業所種別毎の一般事故件数 一事業所あたりの
一般事故発生件数
レイアウト 第一種 第二種 合計 レイアウト 第一種 第二種 合計
和歌山県 4 3 1 8 7 7 0.88
和歌山北部臨海北部 2 1 3 1 1 0.33
和歌山北部臨海中部 1 1 2 4 4 2.00
和歌山北部臨海南部 1 1 2 1 1 0.50
御坊 1 1 1 1 1.00
岡山県 9 4 11 24 15 1 16 0.67
水島臨海 9 4 11 24 15 1 16 0.67
岡山県・広島県 1 1 1 3 1 1 0.33
福山・笠岡 1 1 1 3 1 1 0.33
広島県 2 2
江田島 1 1
能美 1 1
広島県・山口県 4 1 5 9 14 4 3 21 2.33
岩国・大竹 4 1 5 9 14 4 3 21 2.33
山口県 14 3 15 32 13 6 19 0.59
下松 1 1 2 2 2 1.00
周南 8 2 7 17 6 1 7 0.41
宇部・小野田 5 7 12 7 3 10 0.83
六連島 1 1
徳島県 1 1 2
阿南 1 1 2
香川県 2 1 2 5 2 1 3 0.60
番の州 2 1 2 5 2 1 3 0.60
愛媛県 6 1 8 15 6 6 0.40
新居浜 3 4 7 4 4 0.57
波方 1 1
菊間 1 1 2 2 2 1.00
松山 1 4 5
福岡県 4 9 15 28 1 3 4 0.14
北九州 4 3 9 16 1 3 4 0.25
白島 1 1
福岡 5 6 11
長崎県 1 1 2
福島 1 1
上五島 1 1
- 6 -
都道府県・特別防災区域
特定事業所数 事業所種別毎の一般事故件数 一事業所あたりの
一般事故発生件数
レイアウト 第一種 第二種 合計 レイアウト 第一種 第二種 合計
熊本県 2 1 3
八代 2 1 3
大分県 5 2 5 12 7 1 8 0.67
大分 5 2 5 12 7 1 8 0.67
鹿児島県 1 5 6 1 1 0.17
串木野 1 1
鹿児島 3 3
喜入 1 1 1 1 1.00
志布志 1 1
沖縄県 2 2 4
平安座 1 2 3
小那覇 1 1
合計 148 177 325 650 242 33 74 349 0.54
注)特定事業所数は、令和4年4月1日現在のものである。
(次表以降同じ)
- 7 -
(2)特定事業所の業態別の一般事故発生状況
特定事業所の業態別の一般事故発生状況は、表3のとおりである。
業態別の一般事故発生件数の比較では、
「石油製品・石炭製品製造業関係」、「化学工業関係」、「鉄鋼業関係」の順に事故が多く、一事業所あたりの事故発生件数については、
「石油製品・
石炭製品製造業関係」が高い数値となっている。
また、危険物、毒劇物、高圧ガスを扱うことが多い「化学工業関係」、「石油製品・石炭製品
製造業関係」では漏えいが、製鉄における熱源の利用が多い「鉄鋼業関係」では火災が、それ
ぞれ多く発生していることが特徴的である。
【表3 業態別の一般事故発生状況一覧】
業 態
内 容 件 数 業態別事故発生件数火災爆発漏えいその他小計
事故の件数
に対する割合(%)業態別
事業所数一事業所あ
たりの事故
発生件数
食料品製造業関係 1 3 4 1.1 13 0.31
パルプ・紙・紙加工製造業関係 3 3 0.9 3 1.00
化学工業関係 40 5 61 2 108 30.9 220 0.49
石油製品・石炭製品製造業関係 29 110 2 141 40.4 44 3.20
窯業・土石製品製造業関係 3 1 4 1.1 10 0.40
鉄鋼業関係 34 2 8 3 47 13.5 29 1.62
非鉄金属製造業関係 2 2 0.6 6 0.33
機械器具製造業関係 3 1 4 1.1 8 0.50
電気業関係 7 10 17 4.9 57 0.30
ガス業関係 2 4 2 8 2.3 29 0.28
倉庫業関係 3 5 1 9 2.6 216 0.04
廃棄物処理業関係 7 0.00
その他 2 2 0.6 8 0.25
合 計 129 7 203 10 349 100.0 650 0.54
- 8 -
(3)施設区分別の一般事故発生状況
施設区分別の一般事故発生状況は、表4及び図4のとおりである。
「危険物施設」では漏えいが、
「その他の施設」では火災が、それぞれ多く発生しているこ
とが特徴的である。また、危険物製造所等をさらに細分化し、過去 10 年平均で見てみると、
製造所、一般取扱所において、事故が多く発生している。
【表4 施設区分別の一般事故発生状況】
施 設
事 故
危険物製造所等
高圧ガス
施 設
その他の
施 設
合 計
危 険 物
施 設
高 危
混在施設
火 災 40 5 1 83 129
爆 発 1 1 5 7
漏えい 125 27 8 43 203
その他 5 1 4 10
合 計 171 33 10 135 349
注)その他の施設には、作業場、車両、空地、毒劇物施設等がある。
(次表以降同じ)
注)移動タンク貯蔵所3件は含めていない。
【図4 危険物製造所等(危険物施設・高危混在施設)別の一般事故発生状況】174 1231155377581410102030405060708090
製造所 屋外タンク貯蔵所 移送取扱所 一般取扱所件数(合計)
その他
漏えい
爆発
火災
過去10年平均(74)(83)(8)(45)
- 9 -
(4)月別、時間帯別の一般事故発生状況
月別及び時間帯別の一般事故発生状況は図5及び図6のとおりである。
なお、一般事故 349 件のうち、発生日時不明の 35 件を除いた 314 件を集計した。
【図5 月別の一般事故発生状況】
【図6 時間帯別の一般事故発生状況】712 11314
11 10718138 101 111 1281610132217
11 2014181313112111105101520253035404550
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月件数(合計)
その他
漏えい
爆発
火災
過去10年平均(16)(29)(38)(18)(22)(29)(22)(34)(32)(27)
(23) (24)2 151 24 318138 8311125 5285 63 2611112 122165512510181311914169 9446 53 512312051015202530350 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23件数(合計)
その他
漏えい
爆発
火災
過去10年平均(8)(7)(6)(3)(4)(29)(22)(22)(31)(18)(6)(16)(11)(12)(6)(14)(14)(14)(29)(7)(7)(6)(11)(11)
時間帯(時台)
- 10 -
(5)運転状況別の一般事故発生状況
運転状況別の一般事故発生状況は表5のとおりである。
「定常運転中」に次いで、
「停止中」、「スタートアップ中」、「貯蔵・保管中」の順に件数
が多くなっている。
【表5 運転状況別の一般事故発生状況】
火災 爆発 漏えい その他 計 割合(%)
定常運転中 66 4 109 2 181 51.9
スタートアップ中 9 14 23 6.6
シャットダウン中 3 1 4 1.1
緊急操作中
停止中 19 20 1 40 11.5
休止中 2 2 0.6
貯蔵・保管中 2 14 4 20 5.7
給油中
受入中 15 1 16 4.6
払出中 6 1 7 2.0
運搬中 3 1 4 1.1
荷積中 1 7 8 2.3
荷卸中 1 3 4 1.1
試運転中 3 1 4 1.1
新規建設中 1 1 0.3
改造中 2 1 3 0.9
廃止解体中 5 1 6 1.7
移送中 2 2 0.6
その他 16 1 7 24 6.9
合 計 129 7 203 10 349 100.0
- 11 -
(6)主原因別の一般事故発生状況
主原因別の一般事故発生状況は表6、図7、図8及び図9のとおりである。
人的要因によるものが 118 件
(34%)、物的要因によるものが 213 件
(61%)
となっており、
「腐食疲労等劣化」、「維持管理不十分」、「操作確認不十分」、「施工不良」
が主な原因である。
施 設 別
事故件数
事故発生原因
危 険 物
施 設
高危混合
施 設
高圧ガス
施 設
その他の
施 設
計 要因
維持管理不十分 18 2 26 46人的要因
誤操作 11 6 17
操作確認不十分 23 1 12 36
操作未実施 9 5 14
監視不十分 3 2 5
(小 計) 64 3 51 118
腐食疲労等劣化 50 19 7 25 101物的要因
設計不良 13 2 13 28
故障 9 1 1 14 25
施工不良 15 7 1 10 33
破損 14 1 11 26
交通事故
(小 計) 101 30 9 73 213
災害 1 1 2その他放火等
不明・調査中 5 1 10 16
(小 計) 6 1 11 18
合 計 171 33 10 135 349
注)1 維持管理不十分とは、当該施設において本来されなければならない維持管理が不十分であったものをい
う。
2 操作確認不十分とは、操作項目、操作手順には問題ないが、確認が不十分であったため、操作の内容等
が不適切であったものをいう。
3 操作未実施とは、本来なされなければならない操作を行わなかったものをいう。
4 災害とは、積雪、落雷、台風等をいう。
【図7 過去5年における主原因別一般事故件数の推移】020406080100120(件)
H30 R1 R2 R3 R4
人的要因 物的要因
【表6 主原因別の一般事故発生状況】
- 12 -
【図8 令和4年中における一般事故の発生要因】
【図9 過去 10 年の一般事故における要因別発生件数の推移】
人的要因
118件34%物的要因
213件61%その他の要因
18件5%維持管理不十分
46件13%誤操作
17件5%操作確認不
十分
36件10%操作未実施
14件4%監視不十分5件1%
腐食疲労等劣化
101件29%設計不良 28件8%故障
25件7%施工不良
33件9%破損 26件7%災害2件1% 不明・調査中
16件5%令和4年
一般事故
発生総数
349件100%9698103 102 101133108
99 101118126140120
137 139
156 1551411742136080100120140160180200220240H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3 R4(件)人的要因 物的要因
- 13 -
3 一般事故の被害状況
死傷者数及び損害額については、図 10 のとおりである。
前年と比較し、損害額は増加している。死傷者数はほぼ横ばいである。
(注記) 1事故あたりの損害額が1万円未満のものについては、0円として処理している。
【図 10 過去 10 年の一般事故発生件数と被害状況】
(1)死傷者数の発生状況
死傷者の発生状況及び死傷者の発生した事故件数については、図 11 のとおりである。
令和4年の一般事故 349 件のうち、死傷者が発生した事故は 25 件で、死者1名、負傷者
33 名が発生している。死者1名が発生した事故については、製鉄所において、炉の設備内
部で爆発が発生し、この爆風に巻き込まれたものである。
(注記) しろいしかく内の数字は、死傷者の発生した事故件数を示す。
【図 11 過去 10 年の一般事故死傷者発生状況】1576
33 321533 49
25 37 33151 111228253234250252314284 2672933497.719.922.6731.717.814.27.44.09.405101520253035050100150200250300350400H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3 R4損害額(億円)死傷者数及び事故発生件数(人、件)
負傷者 死者 一般事故発生件数 損害額1576
33 32153349253733151111111715191027251821250510152025300102030405060708090H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3 R4事故件数(件)死傷者数(人)
負傷者 死者 死傷者の発生した事故件数
- 14 -
(2)損害額の状況
損害額の状況は、表7、図 12 及び図 13 のとおりである。
一般事故 349 件中、損害額が1万円以上の事故は、181 件で、その合計は、9億 3,984 万円
となっている。そのうち、火災による損害が5割以上を占めている。
事故種別 損害額(万円) 割合(%)
火 災 48,841 52.0
爆 発 5,413 5.8
漏えい 32,712 34.8
その他 7,018 7.5
合 計 93,984 100.0
注)損害額は事故によって受けた直接的な損害とし、消火活動等により受けた水損、破損、汚損等の損害は
含めるが、消火等のために要した経費、整理費、り災のための休業による損失等の間接的な損害の額は除く。
(注記) しろいしかく内の数字は、1件あたりの損害額を示す。
【図 12 損害額の推移】7.719.922.6831.717.814.27.44.09.4
339.1
790.3
965.3
280.5
1,258.3
568.4
500.0
277.9
138.0
269.302004006008001,000
1,200
1,40002040H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3 R41件あたりの損害額(万円)損害額(億円)
損害額
1件あたりの損害額
【表7 事故別損害額】
- 15 -
【図 13 損害額の状況】
4 一般事故発生時の通報状況
一般事故における事故発生時の通報状況は図 14 のとおりである。
事故発生時の通報は、比較的早期に実施できている一方で、60 分以上経過している事案も少
なくない。
【図 14 発見から通報までの時間の状況】5216 132365183152020406080100120140
1万円以上〜
百万円未満
百万円以上〜
1千万円未満
1千万円以上
〜1億円未満
1億円以上件数(合計)
その他
漏えい
爆発
火災
過去10年平均
(118)(41)(21)(1)(その他)
(漏えい) (漏えい)
1 (爆発)731195430
14 1247020406080100120
〜9 〜19 〜29 〜39 〜49 〜59 60〜件数
所要時間(分)
一般事故件数
過去10年平均
- 16 -
5 令和4年中の主な事故
令和4年中に発生した事故の内、死傷者が発生した事故、損害額が大きい事故等の主な事故
概要は次のとおりである。
〈事故事例1〉鉄粉工場のイナートガスオーブン炉内での爆発
事故概要
イナートガスオーブン炉において鉄粉を乾燥中、爆発が生じたもの。この事故により、死者が1名、
負傷者が2名発生している。
発生日時 3月7日 14 時 08 分 事業所種別 2種
発見日時 3月7日 14 時 08 分 業 態 鉄鋼業関係
覚知日時 3月7日 14 時 31 分
施設区分 -
処理完了日時 3月7日 14 時 39 分
事故種別 爆発 死傷者 3名(死亡1名、軽症2名)
主原因 不明 損害額 1,214 万円
事故発生原因
炉内に残った残留物の鉄粉を分析した結果、エタノールが含まれていることが判明している。このエ
タノールは別の作業で発生していたものと推測している。発生当時の炉内温度は 70 度から 80 度である
ことから鉄粉に含まれたエタノールの気化が徐々に進行し、爆発下限界に達したことで何らかの発火源
により爆発に至ったと推定する。
再発防止対策
・作業において発生した内容物の管理を徹底する(表示、処置方法、置場管理等)。・由来、含有物不明のものについて取り扱いを禁止する(科学的な分析を行う)。・従業員の安全教育の見直し(危険性の認識)。〈事故事例2〉
次亜塩素酸ナトリウム水溶液製造プラントにおいて、
作業員が樹脂ノズルに接触、
破損させ当該物質が漏えい
事故概要
プラントの床板取替作業中、アセチレンボンベを担いだ作業員が転倒し、その際に貯槽(二次反応槽)
の温度計取付ノズル(樹脂製)に接触、破損させ、低塩次亜塩素酸ナトリウム水溶液が漏えいしたもの。
この事故により、作業員が1名被液し、全身に化学熱傷を負っている。
発生日時 4月6日 16 時 05 分 事業所種別 レイアウト
発見日時 4月6日 16 時 08 分 業 態 化学工業関係
覚知日時 4月6日 16 時 23 分
施設区分 その他施設地区
処理完了日時 4月6日 16 時 43 分
事故種別 流出 死傷者 1名(重症)
主原因 破損 損害額 10 万円
事故発生原因
安全通路(迂回路)を通行せず、約 60 キログラムのボンベを肩に担いだ不安全な状態で最短経路であ
る狭隘な場所を通行し、障害物(ブレース)に気付かず接触したことで、転倒した際に機器を破損させ、
漏えいに至ったもの。
再発防止対策
・危険箇所を明示する。
・通行制限を実施する。
・作業者に対してボンベの運搬方法や安全通路通行の徹底について教育を実施する。
- 17 -
〈事故事例3〉屋外タンクの通気管と接続した除害塔が機能せず、除害されていないアクリ
ル酸メチルガスが大気に流出
事故概要
屋外タンクから排出されるアクリル酸メチルのガスが大気に流出したもの。この事故により、周辺の
事業所の職員3名が体調不良を起こしている。
アクリル酸エステルは臭気閾値が低いことから発災事業所において構内の従業員から臭気の報告があ
った後も低濃度のガスが放出されたものと誤認し、通報等の対応が遅れている。
発生日時 9月 30 日 08 時 30 分 事業所種別 レイアウト
発見日時 9月 30 日 09 時 50 分 業 態 化学工業関係
覚知日時 9月 30 日 11 時 45 分
施設区分 貯蔵施設地区
処理完了日時 9月 30 日 12 時 15 分
事故種別 流出 死傷者 3名(軽症)
主原因 設計不良 損害額 1万円未満
事故発生原因
通常時は屋外タンクから排出されるアクリル酸メチルのガスを除害塔で除去してから大気に放出する
構造であったが、除害塔内の薬剤濃度が低下していたことにより、船舶から受け入れた多量のアクリル
酸メチルから発生した気相分を処理しきれなくなり、除害塔が機能しないままアクリル酸メチルのガス
が大気に放出されたものと考えられる。
事故発生直近日で測定した薬剤濃度は発災事業所で定めている基準内の数値を維持していたが、船舶
からの受入時に必要な薬剤濃度が適正に設定されていなかった。
再発防止対策
・除害塔における薬剤濃度を船舶によるアクリル酸メチルの受入時には通常時と比較し高濃度のものを
使用することとする。
・薬剤について、経時劣化、季節変動、作業状況などを考慮した管理方法に改める。
〈事故事例4〉ゴムライニングタンクの底部から塩酸が多量に流出
事故概要
タンク底部より、貯蔵していた塩酸(濃度 35%)が微量漏えいし、漏えい発見から約 10 時間後に大量
漏えいとなり、貯蔵していた 1,251 トンがタンクから漏えいし、海域には推定 958 トンが流出する事故
が発生したもの。
発生日時 8月 26 日 20 時 50 分 事業所種別 レイアウト
発見日時 8月 26 日 20 時 50 分 業 態 化学工業関係
覚知日時 8月 26 日 21 時 16 分
施設区分 製造施設地区
処理完了日時 8月 28 日 20 時 00 分
事故種別 流出 死傷者 3名(軽症)
主原因 不明 損害額 1,750 万円
事故発生原因
タンクは全面ゴムライニングが1層で施工されており、底部のゴムシート重ね部が剥がれた後、鉄製
の底板を腐食させ外部に漏えいしたと推測する。リング基礎(注記)であったため、漏えい初期段階でタンク
外周部へ漏えいせず早期発見に至らず。底板から漏えいした塩酸が外部に流出せずに基礎のオイルサン
ドに浸透し、底板下に長期間残留したため、底板裏面からの腐食が進行し、腐食により薄くなった底板
が荷重に耐えきれず座屈した。
二次的原因として、防液堤容量がなく、漏えいした塩酸が外部流出した。
(注記)リング基礎とは、リング状コンクリートに、砕石、オイルサンドを敷設したもの。
再発防止対策
底板のゴムライニングを二重貼りにすることでライニング継目の剥がれ、漏えいを抑制する。貯槽の
底部から漏えいした際には、初期の微量漏えい段階で漏えいが検知できる機構を設ける。今後、貯槽を
新設する場合には、ベタ基礎として荷重を均等に受けることができるようにする。また最大タンクの保
有分をカバーする防液堤若しくはピットを設置する。
- 18 -
〈事故事例5〉一般取扱所のガスタービン起動装置軸受から潤滑油が漏えい飛散し、軸受の摩
擦熱で引火したことによる火災事故
事故概要
一般取扱所のガスタービン起動装置付近から潤滑油が噴出し、その後、タービン停止操作中に出火し
たもの。噴出した潤滑油は約 5,200 リットルで施設外に漏えいは生じていない。
発生日時 7月3日 23 時 29 分 事業所種別 2種
発見日時 7月3日 23 時 29 分 業 態 電気業関係
覚知日時 7月3日 23 時 31 分
施設区分 -
処理完了日時 7月4日 00 時 12 分
事故種別 火災 死傷者 -
主原因 破損 損害額 5,349 万円
事故発生原因
トルクコンバーター(起動装置)のボールベアリング(軸受)が経年劣化で破損したことで潤滑油が
漏えいするとともに、内部で金属同士が接触したことにより摩擦熱が発生し、霧状に飛散した潤滑油に
引火したものと推定する。
再発防止対策
・火災発生の起点となったトルクコンバーター(起動装置)のボールベアリング(軸受)については、
近年再生可能エネルギーの導入拡大に伴い起動停止回数が増加したため、長期間使用に伴う経年劣化が
進行したため、使用年数約5年にて破損したものと推定されることからボールベアリングの交換
時期を6年から3年に短縮する。
・ハロン消火設備についての現場での起動方法を掲示し従業員に周知させる。
・全従業員に年1回の防災教育を実施する。
〈事故事例6〉製造所の設備から油分を含む蒸気が、コンビナート地区内外の周辺地域へ漏
えい(飛散)したもの
事故概要
石油コークス製造装置のコークドラムを運転中に、ドラム上部の大気開放弁を誤開放し、内部の炭化
水素ベーパーが大気に放出したもの(800 キログラム)
。誤操作に気づきバルブを閉止したが、約 90 秒間
放出された。
発生日時 8月 13 日 22 時 53 分 事業所種別 レイアウト
発見日時 8月 13 日 23 時 40 分 業 態 石油製品製造業関係
覚知日時 8月 16 日 14 時 10 分
施設区分 製造施設地区
処理完了日時 8月 16 日 17 時 52 分
事故種別 流出 死傷者 -
主原因 誤操作 損害額 2億6万円
事故発生原因
製油所敷地内を確認し、構外には著しい飛散はないと事業所内で判断していたが、市民から油の飛散
があると情報を受け消防機関が調査するとともに、事業所内調査を実施し、当該事象が油の飛散の原因
であることが判明する。主原因は誤操作であるが、その要因として、操作画面に類似機器の操作スイッ
チが隣接して設けられていること、操作画面上でバルブ開閉操作を可能としていたこと、操作確認を怠
っていたこと、コークドラム操作用インターロックのバイパス操作が常態化していたこと、操作に関す
る危険性の教育ができていなかったこと等が挙げられる。
再発防止対策
・基本操作の徹底・コークドラム操作画面上の画面移動スイッチの位置を変更する。
・バルブリスト画面上のバルブ開閉操作スイッチを無効化する。
・コークドラムのインターロックバイパススイッチを無効化する。
・コークドラムのインターロックバイパスの教育及び方法を変更する。
・コークドラムのインターロックを改造する。
・通報判断に関する再教育を実施する。
・リスクアセスメント教育及び訓練を実施する。
・社内全製油所への事故事例情報の展開を実施する。
- 19 -
〈事故事例7〉ポリエチレン製造中における反応槽圧力上昇に伴う破裂板作動事故
事故概要
ポリエチレン製造中に反応槽内の圧力が急激に上昇し、反応槽本体を保護するために取り付けられた
破裂板が破裂したもの。
反応槽内のエチレン及びメタクリル酸の混合ガスが大気に放出
(5,639 キログラ
ム)され、エチレン分解反応により生じた煤が工場外に飛散している。
発生日時 5月9日 05 時 37 分 事業所種別 レイアウト
発見日時 5月9日 05 時 37 分 業 態 石油製品製造業関係
覚知日時 5月9日 05 時 38 分
施設区分 製造施設地区
処理完了日時 5月9日 06 時 24 分
事故種別 破損 死傷者 -
主原因 維持管理不十分 損害額 1,500 万円
事故発生原因
高圧圧縮機吸引フィルター下流に堆積した酸メタルを含むワックスが反応器に流入することで開始剤
が異常分解し、局所的な発熱が起こりエチレン分解が発生したものと推定する。
再発防止対策
・エチレン製造条件である仕込み温度及び反応温度を低下させエチレン分解反応に至るリスク軽減を図
る。
・本事故原因等を全社に情報共有する。
・全社員に本事故事例教育を実施する。
・本事故事例及び過去事故事例を含めた安全教育を実施する。
〈事故事例8〉一般取扱所の導管腐食による水素漏えい
事故概要
一般取扱所内で水素添加反応のため他事業所から導管にて水素を受入れている。事故発生当時、1社
からの受入れをもう1社に切り替える作業を行っていた。バルブによる切り換え後、導管内の圧力低下
が見られたため、作業員がガス検知器により作業員が現場を確認したところ、配管表面に腐食箇所があ
る範囲を中心として漏えいが確認された。さらに、詳細に検査したところ、配管表面の4か所から、水
素が微量漏えいしていた。配管内の脱圧及び窒素置換を行い処置を完了した。
発生日時 - 事業所種別 レイアウト
発見日時 11 月9日 15 時 30 分 業 態 化学工業関係
覚知日時 11 月9日 16 時 50 分
施設区分 その他施設地区
処理完了日時 11 月9日 18 時 50 分
事故種別 流出 死傷者 -
主原因 腐食疲労等劣化 損害額 -
事故発生原因
配管塗装の劣化による配管の金属表面が露出し、当該表面に雨水、潮風及び海水の影響による腐食が
進行した。また、塗装が一部剥離した状況が長い期間放置されていたため、配管表面の減肉(外面腐食)
が発生し、開口に至ったものと推測される。
再発防止対策
漏えいが発生した箇所は、運河に近い場所であり、配管塗装の剥離が発生した場合、当該部分は通常
より早い速度で腐食が進行する。したがって、塗装の剥離が認められた場合は、早急に塗装の再施工を
行う一方で、塗装の工事品質の管理強化も重要である。また、配管外面目視等の点検強化が必要になる。
- 20 -
〈事故事例9〉一般取扱所において、移動タンク貯蔵所間の過剰詰替えにより通気口から熱分
解油が流出したもの
事故概要
一般取扱所において、11 キロリットルの移動タンク貯蔵所(国際コンテナ)から 11 キロリットルの
移動タンク貯蔵所(国際コンテナ)へ窒素圧を使用した 10 キロリットルの熱分解油(第4類第2石油類
非水溶性)の詰替え作業を行っていたところ、熱分解油が施設の屋根や当該国際コンテナ周囲に拡散し、
漏えいしたもの(数十リットル程度)。発生日時 12 月 16 日 13 時 50 分 事業所種別 1種
発見日時 12 月 16 日 13 時 50 分 業 態 その他
覚知日時 12 月 16 日 14 時 00 分
施設区分 -
処理完了日時 12 月 17 日 15 時 00 分
事故種別 流出 死傷者 -
主原因 故障 損害額 18 万円
事故発生原因
流量計の誤表示や作業員による国際コンテナ容量の誤認識により熱分解油を過剰に詰め替えたため、
11 キロリットルの国際コンテナ上部の通気口に接続されていた可燃性蒸気排出用のホースが外れ、漏え
いに至ったもの。設置されている流量計は使用する液用に設定する必要があり、一般的な設定では正確
な数量が把握できないことから、通常の作業では荷卸しする途中で一度詰替え作業を中止し、適正量が
入っているかどうかを重量計などを用いて確認していた。しかし、今回は流量計の故障により誤った数
値が表示されていたことから、詰替え作業を停止する前に移送先の国際コンテナから漏えいしたもの。
なお、国際コンテナには液面計や検尺棒が設けられていないため、当該コンテナの容量から詰替え量に
ある程度余裕をもって一度充填作業を停止する必要があったが、近似値まで充填しても問題無いと過信
したことから当初の予定量の近似値まで充填を行った。さらに、重量計算に用いる比重は安全データシ
ートなどから判断するが、事前の情報では危険物は第4類第3石油類(非水溶性)
(比重>0.98)との情
報があったが、実際に国際コンテナに入っていた危険物は同一名称の第4類第2石油類(非水溶性)(比重>0.96)であり、重量に対し液体量が多くなる傾向があった。それに加えて詰替え先の 11 キロリット
ルの国際コンテナに容量が 13 キロリットルであるという誤表示がされており、予定していた 10 キロリ
ットルの詰替え作業に対して十分余裕があると判断しやすい状況が発生していた。
再発防止対策
・国際コンテナ間での詰替え作業については、作業手順が明確にされていなかったため作業マニュアル
を明確に定める。
・国際コンテナには液面計及び検尺棒が設置されていないため、一般取扱所側の設備としてオーバーフ
ローセンサー等のハード面での再発防止策を検討する必要がある。
〈事故事例 10〉メタノール蒸発器からの流出及び火災
事故概要
蒸発器開放作業のため、
作業員がメタノール蒸発器底部配管のフランジのボルトを外していたところ、
メタノールの漏えいを確認した。一旦避難するも流出を停止させるため漏えい場所に戻りボルトを締め
つけたところ、何らかの原因により、引火し従業員1名が火傷したもの。(注記)着火原因:静電気火花
発生日時 6月 25 日 11 時 30 分 事業所種別 1種
発見日時 6月 25 日 11 時 40 分 業 態 化学工業関係
覚知日時 6月 25 日 11 時 47 分
施設区分 -
処理完了日時 6月 25 日 12 時 34 分
事故種別 火災 死傷者 1名(重症)
主原因 操作未実施 損害額 1,108 万円
事故発生原因
施設側が蒸発器の液抜きをして、施設側の従業員立会いの下、作業員が開放作業を行うものとされて
いたが、伝達ミスにより、液抜きが完全ではなかった。また、施設側従業員も別の場所にいたため、立
ち会っていなかった。さらに、作業員の知識不足により、漏えい場所に近づいたため、火災に至った。
再発防止対策
・液抜きの作業手順を作成する。
・開放時は洗浄または N2 パージを行う。
・開放するときは施設側の従業員が必ず立ち会う。
・作業員への教育を徹底する。
・引火の原因が静電気の可能性もあるので、開放時等は帯電防止の衣服を着用する。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /