令 和 4 年 1 2 月 8 日
消 防 庁
「危険物輸送の動向等を踏まえた安全対策の調査検討報告書」の公表
危険物の輸送に関わる業界団体や全国消防長会危険物委員会から、物流の効率化、危
険物情報の伝達、新たな輸送形態の取扱い、危険物輸送に関する課題や要望が示されて
おり、また、消毒用アルコールの需要の増加により、高濃度アルコールの運搬容器につ
いて柔軟な取扱いを求める声もあがっています。
このような状況を踏まえ、
消防庁では、
危険物輸送を安全かつ円滑に行うために、
「危険物輸送の動向等を踏まえた安全対策の
検討会」を開催し、調査・検討を行ってきました。
この度、検討の結果を報告書として取りまとめましたので公表します。
【主な結果】(詳細は別紙を参照)
1 国際輸送用コンテナに係る消防法上の手続きの簡素化
(1) 交換タンクコンテナの追加に係る資料提出の見直しについて
移動タンク貯蔵所のタンクコンテナの追加については、従前から事前の資料提出により軽微
な変更工事に該当するか否かを確認していたが、この資料提出について簡素化を図るため、
電子申請システムや電子メール等による事前の資料提出の受付を推進する。
(2) 仮貯蔵の繰り返し承認申請について
「タンクコンテナによる危険物の仮貯蔵における技術上の基準等に係る指針」(平成4年6月
18 日付け消防危第 52 号、別紙)に掲げる対策が講じられているものについては、タンクコンテ
ナの仮貯蔵の繰り返し承認を認める条件に、天候悪化による船の遅延だけではなく、例えば、
「感染症等の影響により、船員や港湾労働者の確保ができないなど、港湾の稼働状況が悪化
した結果による船舶の遅延」などの事業者の責によらないやむを得ない事情によることを認め
る。
また、ドライコンテナについてもタンクコンテナ同様に仮貯蔵を適用していることから、同様に
繰り返し承認を認める。
(3) 屋外貯蔵所での危険物容器を収納したドライコンテナによる貯蔵について
輸送行程上の制限から安易に解錠できないドライコンテナについては、容器とドライコンテナ
により二重になっていることから安全性については問題ないため、ドライコンテナの外側の見
やすい位置に、収納されている危険物に関する情報を表示した場合については、屋外貯蔵所
等へドライコンテナを用いて貯蔵することができることとする。
2 コンテナに混載されている荷物に係る危険物情報の適切な伝達方法
荷物の危険物情報を把握する立場にある荷主で構成される業界団体へ以下の2点を依頼
し、関係事業者間における危険物情報の共有を図る。
(1) 輸送を担当する事業者がイエローカードの携行を徹底できるよう、荷主から当該事業者に
対して荷物の危険物情報を適切に伝達すること。
(2) 輸送前後(輸送過程の途中)で危険物の貯蔵・取扱いを行う事業者において適切な貯蔵・
取扱いが徹底されるよう、荷主から当該事業者に対しても荷物の危険物情報を適切に伝
達すること。
3 大規模物流倉庫や高層ラック式倉庫における危険物の貯蔵に係る留意事項のあり方
「堅固な基礎に固定する」と同等以上とみなす場合を整理し、その運用方法を示す。
例えば、「移動式架台の上部にガイドレールを通して容易に転倒しない構造とする方法」や
「移動式架台同士を結合して一体的に固定する方法」、「移動式架台の車輪にストッパーを設
ける方法」などが考えられるが、今後さらに有効な手段が出現することも考えられるので、その
際には改めて検討する。
なお、移動式架台についても、従前から活用されている「危険物施設の消火設備、屋外タン
ク貯蔵所の歩廊橋及び屋内貯蔵所の耐震対策に係る運用について(平成8年 10 月 15 日付け
消防危第 125 号)」における屋内貯蔵所の架台の耐震対策を講じる必要がある。
4 海外製の特殊な容器、国連規格や機械器具等における危険物の運搬、消毒用アルコールに
係る緊急的な危険物輸送
第3回検討会(令和4年2月 25 日)において結論が得られ、「危険物輸送の動向等を踏まえ
た安全対策の調査検討報告書(令和3年度中間まとめ)」で公表済み(令和4年4月 19 日)
5 その他
本検討会の報告書及び検討経過は、消防庁ホームページをご確認ください。
(注記)消防庁ホームページ(URL:http://www.fdma.go.jp/)
<問い合わせ先>
総務省消防庁危険物保安室
岡田課長補佐、合庭課長補佐、北中係長、佐藤係長、昆事務官
TEL:03-5253-7524(直通)/FAX:03-5253-7534
危険物の輸送に関わる労働者団体や全国消防長会危険物委員会から、物流の効率化、危険物情報の伝達、新たな輸送形態の扱い、危険物輸送に関す
る課題や要望が示されているところ。
このため、有識者等から構成される検討会を開催し、安全かつ円滑な危険物輸送の検討を行った。
また、消毒用アルコールの需要の増加により、高濃度アルコールの運搬容器について平時と異なる取扱いを求める声があったことを踏まえ、消毒用
アルコールを安全かつ円滑に危険物輸送が行えることも併せて検討した。
危険物輸送の動向等を踏まえた安全対策の検討会 概要
検討スケジュール
1国際輸送用コンテナ 2危険物の情報 4海外製の特殊な容器、消毒用アルコールの容器
消防法の手続きの
簡素化の検討
消防機関への
情報伝達の検討 容器の安全性を検討
3屋内貯蔵所の移動式架台
設置の際の
留意事項を検討
所属名 氏名
委員長 東京理科大学 研究推進機構 総合研究院 教授 小林 恭一
委 員 東京理科大学 研究推進機構 総合研究院 教授 松原 美之
委 員 東京消防庁 予防部 危険物課長 江口 真
委 員 川崎市消防局 予防部 危険物課長
金子 正和
(村上 治三郎)
委 員 危険物保安技術協会 業務部長 髙橋 典之
委 員 日本危険物物流団体連絡協議会 事務局長 田中 弘人
委 員 一般社団法人 日本化学工業協会 環境安全部長
髙橋 文夫
(八木 伊知郎)
委 員
一般社団法人 日本化学品輸出入協会
化学物質安全・環境部長
徳重 諭
委 員
公益財団法人 日本包装技術協会 包装技術研究所 包装材料
研究室長
平田 成
委 員 一般財団法人 日本舶用品検定協会 顧問 田口 昭門
検討会委員(10名)
検討会の概要
【第3回検討会】(令和4年2月25日開催予定)
・報告書(案)について(4のみ結論が得られた)【第2回検討会】(令和3年12月15日)
・調査及び分析結果について
【第1回検討会】(令和3年8月3日)
・本検討の背景及び進め方について
【第4回検討会】(令和4年10月17日)
・報告書(案)について(1、2、3)1別紙
(1) 交換タンクコンテナの追加に係る資料提出の見直しについて2移動タンク貯蔵所のタンクコンテナの追加については、従前から事前の資料提出により軽微な変更工事に該当するか否か確認していたが、
この資料提出について簡素化を図るため、電子申請システムや電子メール等による事前の資料提出の受付を推進することとする。
検討の背景
危険物貨物を取り扱う物流団体から、移動タンク貯蔵所(被牽引車形式(積載式))に係る消防法上の手続き(移動タンク貯蔵所のタンク
コンテナの追加)を簡素化してほしいという要望がある。
また、消防本部からも当該事務量が非常に多い上に、紙データの保管が膨大になり管理が難しいなどの要望がある。
【参考】タンクコンテナの追加に係る現行の手続き
・既に設置の許可を受けている移動タンク貯蔵所に、新たに別のタンクコンテナを追加することは変更工事となるが、当該タンクコンテナが既に許可を受けているタ
ンクコンテナと同型の場合は、工事の内容が軽微であることから軽微な変更工事に該当し、事前に市町村長等へ資料を提出させることで変更許可を要しないものとす
ることができる。
軽微な変更工事
(許可を要しない)
許可を要する変更工事
(変更許可)
基準の内容と関係が生じ
ない、又は、保安上の問
題を生じさせない。
確認を要する変更工事
変 更工事YesYesNoNo
「製造所等において行われる工事に係る変更許可等の取扱いについて」(平成14年3月29日付け消防危第49号通知)(抜粋)
工事の内容が軽微であるものについては、変更の内容も軽微であると考えられることから、軽微な変更工事については、
その形態に応じ事前に資料を提出させ、又はこれを提出させないで変更許可を要しないものとすることができる。
明白に危険物施設の技術上の基準の
内容と関係が生じない、又は、保安
上の問題を生じさせない。
タンクコンテナの追加については変更工事となる
が、追加されるタンクコンテナによっては保安上
問題を生じさせないとは限らないので、どのよう
なタンクコンテナが追加されるのか事前に資料で
確認する必要がある。
事前に提出された書類を確認した結果、同型のタンク
コンテナであれば、既に設置の許可の時点で技術上の
基準に合致していることは確認済であることから、保
安上の問題を生じさせないため、軽微な変更工事(許
可を要しない)に該当することとなる。
検討結果
1 国際輸送用コンテナに係る消防法上の手続きの簡素化
【参考】「タンクコンテナによる危険物の仮貯蔵について」(平成4年6月18日付け消防危第52号)
原則として、仮貯蔵期間を過ぎて同一場所で仮貯蔵を繰り返すことはできないこと。ただし、台風、地震等の自然災害、事故等による船舶の
入出港の遅れ、鉄道の不通等のやむを得ない事由により、仮貯蔵承認期間を過ぎても同一の場所で仮貯蔵を継続する必要が生じた場合は、繰
り返して同一場所での仮貯蔵を承認できるものであること
(2) 仮貯蔵の繰り返し承認申請について3遅延
遅延
「タンクコンテナによる危険物の仮貯蔵における技術上の基準等に係る指針」(平成4年6月18日付け消防危第52号、
別紙)に掲げる対策が講じられているものについては、仮貯蔵の繰り返し承認を認める条件に、天候悪化による船の遅延
だけではなく、例えば、「感染症等の影響により、船員や港湾労働者の確保ができないなど、港湾の稼働状況が悪化した
結果による船舶の遅延」などの事業者の責によらないやむを得ない事情によることを認めることとする。
また、ドライコンテナについてもタンクコンテナ同様に仮貯蔵を適用していることから、同様に繰り返し承認を認める
こととする。
検討結果
1 国際輸送用コンテナに係る消防法上の手続きの簡素化
検討の背景
危険物貨物を取り扱う物流団体から、輸出品について、新型コロナウイルスの感染拡大により船員の確保ができない等、船舶側の不測の事
由により仮貯蔵・仮取扱い承認期間(10日間)を超過した際、繰り返して同一場所で仮貯蔵を継続したいという要望がある。
例:新型コロナウイルス感染症の流行により、海外港湾の稼働
状況が急激に悪化。船舶の航海日程に大幅な遅れが発生した。
(3) 屋外貯蔵所での危険物容器を収納したドライコンテナによる貯蔵について4ふ頭等の危険物を収納したドライコンテナに関しては、輸送行程上の制限から安易にドライコンテナを解錠することができ
ないため中で人が作業をすることはないものの、ドライコンテナの外側からその危険物情報を把握することは困難であった。
これを踏まえ、輸送行程上の制限から安易に解錠できないドライコンテナについては、容器とドライコンテナにより二重に
なっていることから安全性については問題ないため、ドライコンテナの外側の見やすい位置に、収納されている危険物に関す
る情報を表示した場合については、屋外貯蔵所等へドライコンテナを用いて貯蔵することができるようにする。
検討結果
検討の背景
港湾地区を管轄する消防本部から、「ドライコンテナに、危険物を収納した容器を収納した状態で、屋外貯蔵所に貯蔵することはできない
との見解が示されているが、ドライコンテナの多くは輸送行程の途中で解錠できないため、コンテナに危険物容器を収納した状態での貯蔵が
必要となる。屋外貯蔵所において危険物容器を収納したドライコンテナによる貯蔵を認められないか。」との要望がある。
1 国際輸送用コンテナに係る消防法上の手続きの簡素化
危険物
屋外貯蔵所
ギヤ油
200l×ばつ80
酢酸
200l×ばつ50
重油
200l×ばつ40
200l×ばつ35
火気厳禁
第4類第2石油類 14,000l
第4類第2石油類 10,000l
第4類第3石油類 8,000l
第4類第4石油類 16,000l
指定数量の倍数 23.7倍
容器に貼付されて
いる情報を掲示
表示
表示
【今後の屋外貯蔵所等での危険物容器を収納したドライコンテナによる貯蔵のイメージ】
品 名:第2石油類
危険等級:危険等級III
化 学 名:軽油・灯油
数 量:計2,000L(×ばつ10缶)
注意事項:火気厳禁
<表示の例>
2 コンテナに混載されている荷物に係る危険物情報の適切な伝達方法
検討の背景
・危険物貨物を取り扱う労働団体から、ドライコンテナ内の危険物情報を発注者(荷主)が港湾労働者等に対し適切に共有するよう申し入れが
されている。(令和3年3月)
・令和2年2月には、消防隊へのドライコンテナ内の危険物情報の伝達が遅れた事故も発生している。(東京都品川区)
消防庁では、令和2年2月に東京都品川区で発生したコンテナトレー
ラー内のドラム缶に収納された危険物が流出する事故で、事故対応時
に当該物品の詳細な危険物情報がなく消防活動が遅延したことを踏ま
え、輸送者に相当する事業者団体((注記))宛てに「港湾地区での危険物
輸送時における関係事業者間での情報共有について」の依頼文を令和
2年3月に発出。
(注記)輸送を担当する事業者団体
日本危険物物流団体連絡協議会、日本危険物コンテナ協会、
日本危険物倉庫協会、日本タンクターミナル協会
【実態調査】令和3年10月、日本化学工業協会及び日本化学品輸出入協会に加入す
る企業40社に対し実施
・荷物の危険物情報を把握する発注者(荷主)から通関手続業者へはほぼ確実に危
険物情報が伝達されているものの、その他の関係者事業者への伝達は必ずしも十
分に行われていない状況が分かった。
・危険物情報に関するラベル貼付やイエローカード、報告の求め等の推奨事例が得
られた。
【事故事例の検証】(危険物に係る事故事例(平成20年から令和2年まで))
・過去の事故事例からも関係事業者間における危険物情報の共有が重要であること
が確認された。
これまでの消防庁の取り組み 実態調査・事故事例の検証の結果
荷物の危険物情報を把握する立場にある荷主で構成される業界団体へ以下の2点を依頼し、関係事業者間における危険物情報の共有を図る。
1輸送を担当する事業者がイエローカードの携行を徹底できるよう、荷主から当該事業者に対して荷物の危険物情報を適切に伝達すること。
2輸送前後(輸送過程の途中)で危険物の貯蔵・取扱いを行う事業者において適切な貯蔵・取扱いが徹底されるよう、荷主から当該事業者に対
して荷物の危険物情報を適切に伝達すること。
検討結果5イエローカード
・イエローカードとは、平成7年に社団法人日本化学工業協会(現:一般社団法人日本化学工業協会)が制定したカードで、当協会が推進する「物流安全管
理指針」の中に位置付けられている。
・危険物等(注記)1の輸送中における事故時に、乗務員が初期対応及び消防機関等への情報提供が適切に行えるような緊急応急措置の情報(注記)2が記載されている。
なお、イエローカードは日本国内で運用されている。
・化学物質を製造・輸入する事業者が作成し、輸送の際に乗務員は製品別のイエローカードを常時携帯する。
(注記)1:消防法の危険物の他、毒物、劇物、火薬類、高圧ガスが該当
(注記)2:品名、国連番号、規制法規、危険特性、事故発生時の応急措置、緊急通報要領、緊急連絡先、災害拡大防止措置
3 大規模物流倉庫や高層ラック式倉庫における危険物の貯蔵に係る留意事項のあり方6検討の背景
屋内貯蔵所に設ける架台の設置基準については、固定式のものが定められているが、令和元年度全国消防長会危険物委員会にて、屋内貯蔵所
における移動式架台の設置に係る留意事項について、見解を示してほしいとの要望があった。
「堅固な基礎に固定する」と同等以上とみなす場合を整理し、その運用方法を示すこととする。
例えば、「移動式架台の上部にガイドレールを通して容易に転倒しない構造とする方法」や「移動式架台同士を結合して一体
的に固定する方法」、「移動式架台の車輪にストッパーを設ける方法」などが考えられるが、今後さらに有効な手段が出現す
ることも考えられるので、その際には改めて検討することとする。
なお、移動式架台についても、従前から活用されている「危険物施設の消火設備、屋外タンク貯蔵所の歩廊橋及び屋内貯蔵
所の耐震対策に係る運用について(平成8年10月15日付け消防危第125号)」における屋内貯蔵所の架台の耐震対策を講じる必
要がある。
検討結果
【参考】危険物の規制に関する規則第16条の2の2 令第10条第1項第11号の2の規定による架台の構造及び設備は、次のとおりとする。
一 架台は、不燃材料で造るとともに、堅固な基礎に固定すること。
(以下、省略)
ガイドレールの設置例 固定することと同等以上であるとみなす場合の例
移動式架台
令和元年度全国消防長会危険物委員会において、海外製の「給油機器(ポンプ・ホース等)
と一体になった構造の運搬容器」(容積200l・300l・450l)に対する規制について見解を示
してほしいとの要望があった。
給油機器と一体となった構造の運搬容器
令和元年度全国消防長会危険物委員会において、海外製の「ガソリン用プラスチック製運搬容器」(最大容積
10l )について一般車両(専ら乗用の用に供する車両:ステーションワゴン、ライトバン、乗用車等)で運搬が
可能か見解を示してほしいとの要望があった。
ガソリン用プラスチック製運搬容器
令和元年度全国消防長会危険物委員会において、海外製の「FRP(注記)製の変圧器」の規制について見解を示して
ほしいとの要望があった。
(注記):FRPとは繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)のことをいう。
FRP製の変圧器
給油機器
➀ 給油機器と一体になった構造の運搬容器
➂ ガソリン入りの最大容量10リットルのプラスチック製運搬容器を専ら乗用の用に供する車両で運搬することについて
2 FRP製の変圧器
4 海外製の特殊な容器、国連規格や機械器具等における危険物の運搬、消毒用アルコールに係る緊急的な危険物輸送【参考資料】
検討の背景 令和3年度検討会において結論が得られた項目
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による消毒用アルコール((注記)アルコール濃度60%以上は危険物第四類アルコール類に該
当)の需要急増に伴い、「プラスチックフィルム袋」(最大容積1リットル)の使用に係る問い合わせが増加。この状況を踏ま
え、現在認められていない「プラスチックフィルム袋」を高濃度アルコールの運搬容器として使用することについて検討。
4 消毒用アルコールに係る緊急的な危険物輸送
プラスチックフィルム袋 7
給油機器(給油ノズル及び給油ホース収納状況)
UNマーク
吊り下げ金具取付け部分
フォークリフト
ポケット
検討会における議論
・調査の結果、容器に表示されているUNマーク「 31H2」から硬質プラスチック製の機械により荷役する構造を有する運搬容器であることが判明。
「31」・・・「硬質プラスチック」
「H2」・・・「プラスチック材(積み重ねるための構造を備えない)」
また、当該UNマークから危規則第43条の「機械により荷役する構造を有する運搬容器」の構造及び試験基準に合致していることが判明。
給油機器と一体となった構造の運搬容器
➀ 給油機器と一体になった構造の運搬容器
「給油機器と一体になった構造の運搬容器は、UN表示により危規則第43条の「機械により荷役する構造を有する運搬容器」として整理できる。
なお、当該運搬容器が「機械により荷役する構造を有する運搬容器」として認められることを通知済(令和4年7月26日付け消防危第163号、
「危険物規制事務に関する執務資料の送付について」)
検討結果及び対応84 海外製の特殊な容器、国連規格や機械器具等における危険物の運搬、消毒用アルコールに係る緊急的な危険物輸送
法令 条文
危規則
第43条第1項第2号機械により荷役する構造を有する容器 固体の危険物を収納するものにあっては別表第3の3、液体の危険物を収納するものにあっては別表第3の4に定める基準及びイからヘまで
に定める基準に適合すること。ただし、総務大臣が運搬の安全上これらの基準に適合する運搬容器と同等以上であると認めて告示したものについては、この限りでない。
イ 運搬容器は、腐食等の劣化に対して適切に保護されたものであること。
ロ 運搬容器は、収納する危険物の内圧及び取扱い時又は運搬時の荷重によって当該容器に生じる応力に対して安全なものであること。
ハ 運搬容器の附属設備には、収納する危険物が当該附属設備から漏れないように措置が講じられていること。
ニ 容器本体が枠で囲まれた運搬容器は、次の要件に適合すること。
(1) 容器本体は、常に枠内に保たれていること。
(2) 容器本体は、枠との接触により損傷を生ずるおそれがないこと。
(3) 運搬容器は、容器本体又は枠の伸縮等により損傷が生じないものであること。
ホ 下部に排出口を有する運搬容器は、次の要件に適合すること。
(1) 排出口には、閉鎖位置に固定できる弁が設けられていること。
(2) 排出のための配管及び弁には、外部からの衝撃による損傷を防止するための措置が講じられていること。
(3) 閉止板等によって排出口を二重に密閉することができる構造であること。ただし、固体の危険物を収納する運搬容器にあっては、この限りでない。
ヘ イからホまでに規定するもののほか、運搬容器の構造に関し必要な事項は、告示で定める。
危告示
第68条の3の3第2項前項に掲げるもののほか、規則第43条第1項第2号ただし書の規定に基づき、第四類の危険物のうち第三石油類 (引火点が130度以上のものに限る。) 又は第四石油類を収納する変圧
器、リアクトル、コンデンサーその他これらに類する電気機械器具(同号イからホまでに定める基準に適合する金属製又は陶磁器製のものに限る。)は、規則別表第3の4の基準及び同
号イからヘまでの基準に適合する運搬容器と安全上同等以上であると認める。
変圧器等に係る「機械により荷役する構造を有する運搬容器」の特例基準
・金属製又は陶磁器製の変圧器は、運搬容器の試験が適用されず、危規則第43条第1項第2号イからホまでに定める基準に適合するものは、危告示第68条の3の3第2項により機械によ
り荷役する構造を有する運搬容器と安全上同等以上であると認められることから、「FRP(注記)製の変圧器」についても、金属製又は陶磁器製の変圧器と同様に、危告示第68条の3の3第2
項の規定を満たす必要がある。
(注記):FRPとは繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)のことをいう。
・FRP製の変圧器は、収納する危険物に関わる附属設備(例えば安全弁)を有しておらず、枠に囲まれている構造でもなく、排出口も有しないことから、危規則第43条第1項第2号イか
らホまでのうち、ハ、ニ、ホは適用されず、イとロのみが適用される。
イ 運搬容器は、腐食等の劣化に対して適切に保護されたものであること。
⇒ 調査の結果、FRP製部分(筒体部分)は、材質上腐食等で劣化することはなく、鋼板製部分(天板及び底板部分)はさび止め塗料が塗布されており、適切に保護されていると認
められる。
ロ 運搬容器は、収納する危険物の内圧及び取扱い時又は運搬時の荷重によって当該容器に生じる応力に対して安全なものであること。
⇒ 調査の結果、FRP製部分の厚さは20mmで気密に造られており、収納する危険物の内圧等よって生ずる応力に対して十分な強度を有していると認められる。
検討会における議論
FRP製の変圧器は、危規則第43条第1項第2号イ及びロの基準に適合することから、危告示第68条の3の3第2項に定める金属製及び陶磁器製
の変圧器と運搬の安全上同等以上と考えられるため、危告示第68条の3の3に「繊維強化プラスチック製」を追加する予定。
検討結果及び今後の対応
2 FRP製の変圧器94 海外製の特殊な容器、国連規格や機械器具等における危険物の運搬、消毒用アルコールに係る緊急的な危険物輸送
法令 条文
危規則
第43条 第2項
前項の規定にかかわらず、専ら乗用の用に供する車両(乗用の用に供する車室内に貨物の用に供する部分を有する構造のものを
含む)により引火点が四十度未満の危険物のうち告示で定めるものを運搬する場合の運搬容器の構造及び最大容積の基準は、告示
で定める。
危告示
第68条の4
規則第43条第2項に規定する危険物のうち告示で定めるものは、ガソリン(自動車の燃料の用に供するものに限る。)とする。
2 規則第43条第2項に規定する運搬容器の構造及び最大容積の基準は、次の表のとおりとする。
運搬容器 最大容量(単位 l)
金属製ドラム(天板固定式のもの) 22
金属製容器 22
UNマーク「 3H1」
揺動後の運搬容器の
表面電位計測状況
ガソリン用プラスチック製運搬容器
・文献調査により、海外(米国・英国)では、専ら乗用の用に供する車両でガソリンを運搬する際の運搬容器の構造や最大容積の
基準が無いことを確認。また海外では、国連勧告に基づき各国で定めている運搬容器の構造や試験基準に合致していれば、ガソリ
ン用プラスチック製運搬容器を用いて、専ら乗用の用に供する車両でガソリンを運搬することが可能であることを確認。
・ガソリン用プラスチック製運搬容器に表示されているUNマーク、「 3H1」から「プラスチックジェリカン((注記))」である
ことが判明。また 当該UNマークから危規則第43条の運搬容器の構造及び試験基準に合致していることが判明。((注記)ジェリカン
(英 Jerrycan):ガソリン携行缶)
・専ら乗用の用に供する車両の車室内に入れて運搬することを想定し、揺動等による静電気の影響について、実験を実施。静電気
の計測結果から、危険性が具体的にどういう基準のレベルなのか議論されたが、運搬において十分安全であることを確認。
検討会における議論
専ら乗用の用に供する車両による運搬の基準
専ら乗用の用に供する車両でのガソリンの運搬については、ガソリン用プラスチック製運搬容器(10リットル)について、UNマーク「 3
H1」があるものに限って行えることとし、危告示第68条の4第2項の表に「プラスチック容器」、「10リットル」を追加する予定。
検討結果及び今後の予定
➂ ガソリン入りの最大容量10リットルのプラスチック製運搬容器を専ら乗用の用に供する車両で運搬することについて
・危険物船舶運送及び貯蔵規則等では、プラスチック製運搬容器(プラスチック製ジェリカン)は製造されてから5年で検査の効力を失うと規定されていることから、危規則第43条の
3に同様の規定を追加する予定。
・危険物船舶運送及び貯蔵規則等では、運搬容器の試験基準の「水圧試験」について、危告示第68条の5第4項第1号で規定する試験方法(1種類)以外の試験方法(2種類)を定め
ていることから、危告示第68条の5第4項第1号に同様の規定を追加する予定。
検討の過程で判明した別途対応を要する事項104 海外製の特殊な容器、国連規格や機械器具等における危険物の運搬、消毒用アルコールに係る緊急的な危険物輸送
試験機関での落下試験
プラスチックフィル
ム袋
(内装容器)
ファイバ板箱
(外装容器)
組み合わせ容器+危告示 条文
危告示第68条の2の2
(容器の特例)
三 第四類の危険物のうち第三石油類、第四石油類又は動植物油類を収納する最大容
積五リットル以下の耐油性の容器
危告示第68条の3
(運搬容器の特例)
二 前条第三号に掲げる容器を内装容器として木箱、プラスチック箱又はファイバ板
箱の外装容器に収納したもの
現在、危規則では液体の危険物の運搬容器としてプラスチックフィルム袋は認められておらず、危告示において、第四類の第三石油類、第四石油類及び動植物油類については、プラスチックフィルム袋を
内装容器として、木箱、プラスチック箱又はファイバ板箱の外装容器に収納したものは、運搬容器の特例として認められている。
・プラスチックフィルム袋単体では運搬容器の構造及び基準を満たすことが困難であることから、新たな形態として組み合
わせ容器(内装容器:プラスチックフィルム袋、外装容器:ファイバ板箱)で検討。
・試験機関において、当該組み合わせ容器(内装容器:プラスチックフィルム袋、外装容器:ファイバ板箱)を用いて、危
告示第68条の5第2項で定める「落下試験」と、危告示第68条の5第5項で定める「積み重ね試験」を実施し、試験に合格。
・検討会では「自由に設計していい部分(例えばプラスチックフィルム袋の材質や構造)と、ルール化する部分(容器の構
造や梱包方法に違いがある場合には、その都度個別に運搬容器の性能について確認を要する)を明確化すること」について
意見が出された。
検討会における議論
区分 区分 危告示 規定
適用される
試験
落下試験
危告示
第68条の5第2項
しろまる 内容積の98パーセント以上の内容物を満たして、試験を実施すること。
しろまる 1.2メートルの高さから、硬く、弾力性のない平滑な水平面に落下させて試験を行うこと。
しろまる 外装容器及び内装容器からの漏えいがないこと。
しろまる 運搬中の安全性に影響を与えるような損傷がないこと。
積み重ね試験
危告示
第68条の5第5項
しろまる 運搬の際に積み重ねられる同種の容器の全重量と同じ荷重を容器の上部に加えた状態で
24時間存置して試験を行うこと。
しろまる 積み重ね試験における基準は、外装容器からの漏えいがなく、かつ、運搬容器に変形が
ないこと。
試験結果を踏まえ、内装容器(プラスチックフィルム袋)と外装容器(ファイバ板箱)で構成する組み合わせ容器が、落下試験及び積み重ね試験に合格し、運搬容器と
しての性能を有する場合は、第四類アルコール類(高濃度アルコール)を収納できることとし、危告示第68条の2の2に「第四類の危険物のうちアルコール類を収納する
最大容積一リットル以下のプラスチックフィルム製の容器」を、危告示第68条の3に「第四類の危険物のうちアルコール類を収納する最大容積一リットル以下のプラス
チックフィルム製の容器を内装容器としてファイバ板箱の外装容器に収納したもの」を、それぞれ追加する予定。
検討結果及び今後の対応114 消毒用アルコールに係る緊急的な危険物輸送
4 海外製の特殊な容器、国連規格や機械器具等における危険物の運搬、消毒用アルコールに係る緊急的な危険物輸送

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