令和5年3月 30 日
消 防 庁
消防防災科学技術研究推進制度の
令和5年度研究課題の採択
1 経緯
消防庁では、消防防災行政に係る課題解決や重要施策推進に資するため、競争的研究費
である「消防防災科学技術研究推進制度」により、研究者等からの優れた提案に対し研究
開発資金を配分しています。
令和5年度新規分については、公募を行い(令和4年 10 月 17 日〜12 月 16 日)、25 件
の応募がありました。
この度、外部有識者による評価会において審議された結果に基づき、新規研究課題の採
択を行うとともに、令和4年度に採択された研究課題について、継続を承認しました。
2 主な結果
(1) 令和5年度新規研究課題として、7件採択しました。(別紙1参照)
(2) 令和4年度採択の継続研究課題3件については、令和5年度の継続を承認しました。
(別紙2参照)
消防庁では、消防防災分野における課題解決や重要施策推進に資するため、消防防災
科学技術研究推進制度(競争的研究費)により研究開発を推進しています。
この度、令和5年度の研究課題を採択しましたので、公表します。
<事務局連絡先>
消防庁予防課(消防技術政策担当)
中嶋・羽田野・山本
Tel:03-5253-7541
E-mail:gisei2@ml.soumu.go.jp
採 択 課 題
令和5年度 新規研究課題 別紙1
ICT・IoT技術を活用した石油コンビナート災
害対応システムの開発と社会実装
(フェーズ3)
本研究の目的は、ICT・IoT技術を活用した石油コンビナート災害対応システ
ムの開発と社会実装であり、フェーズ2研究成果に基づき、ICT及びIoT技術を
活用したタンク健全性評価システム及び迅速事故被害予測システムの開発と実
用化を目指す。
システム実装に向けて、事業所でのシステム検証及びフィードバックを通して、さ
らには事業化検討を踏まえ、消防及び事業者等が実際に継続活用できるシステ
ムを開発する。
2年 横浜国立大学 中山 穣
横浜市消防局
市原市消防局
セキュリティを担保したリアルタイム映像伝送シ
ステムの研究開発
(フェーズ2)
救急業務の映像伝送の実証実験で有効性が報告されているが、システムの簡
易化とセキュリティといった課題が残されている。そこで本研究は以下の3点の機能
を持つ、革新的な映像伝送システムを開発することでその課題の解決を目指す。
1市民、消防、医療機関の誰一人取り残さないシームレスなシステム
2救急活動現場の映像と音声データの AI 解析による救急業務の効率化・品
質向上
3電子資格認証による本人確認と個人情報保護
2年 北里大学 服部 潤 相模原市消防局
救急救命士・救急隊員に対する拡張現実を
用いたインタラクティブ学習システムの開発
(フェーズ2)
救急救命士および救急隊員(以下「救急隊員」という。)の病態判断能力を
養うために、救急隊活動をシミュレーション可能な拡張現実(AR)を用いたイン
タラクティブ学習アプリケーションの開発を行う。さらに、協力消防本部の救急隊員
に対し実証実験を行い、学習効果の検証および教材としての実用性評価を行
う。
2年 中央大学 匂坂 量 稲敷広域消防本部
宅内分電盤における電気火災予兆検知技
術の研究開発
(フェーズ2)
電気火災のうち、トラッキングなど進行性の事象に起因するものを対象とした予
兆検知技術の実用化を目指す。今回研究では、研究代表者らが開発した宅内
電力配線の電圧・電流波形モニタリング用IoT デバイスを、研究協力モニタとして
公募した一般家庭の分電盤に設置し、1年以上の期間継続的にデータを収集・
解析することにより、予兆検知技術・デバイスの改良および関連システムを含めた
将来課題を検討する。また、研究中に異常が疑われる波形データを検出した際
は、追加調査を実施し事象を詳細に解析する。2年東京電力パワーグリッド株
式会社
中島 克洋 習志野市消防本部
研究課題名 研究内容 研究期間 研究代表者 連携消防機関等
代表研究機関1 令和5年度 新規研究課題 別紙1
研究課題名 研究内容 研究期間 研究代表者 連携消防機関等
代表研究機関
冷却性・作業性等を向上させる送風機(ファ
ン)を活用した感染防止衣、および救急活
動服の研究開発
(フェーズ2)
救急活動時の冷却性能の向上方法としてファン付き感染防止衣、 救急現場
での作業容易性等を考慮した救急活動服の開発が要望されている。
本研究ではファン付き冷却服を感染防止衣に使用した際の感染リスクや冷却・
作業性等を考慮した救急活動服を検討し、冷却性・作業性等を向上させるファ
ン付き感染防止衣、 救急活動服の研究開発を行う。1年ユニチカトレーディング株式
会社
山田 博夫
松原市消防本部
出雲市消防本部
音場・磁場計測に基づく地震・土砂災害時の
要救助者定位法
(フェーズ1)
本研究の目的は、地震災害や土砂災害時に、瓦礫や土砂に埋没した要救助
者、および二次災害にあった救助隊員を定位する手法を開発することである。固
定した複数の双極子音源および可搬式の音源・磁場源により生成した音場・磁
場を、埋没者のスマートフォンで計測して定位し、bluetoothで探索者に通知す
るシステムを開発する。これにより、金属を含む様々な材質や大きさの瓦礫、およ
び土砂埋没者の迅速な発見を可能にする。
1年 東京大学 奈良 高明 千葉県消防学校
階段移動困難者等が火災避難時に使うエレ
ベーターの円滑な運転、誘導等に係る調査研究(フェーズ1)
前年度の「エレベーター利用避難に関する国内外の事例の調査研究」による事
例、海外の規格、国内関係者の意識等の調査結果を踏まえ、令和5年度は、
階段移動困難者が火災時の避難に自力で利用するエレベーター(以下「ELV」
という。)の運転制御方法、出火階等における円滑な避難誘導方法、円滑に
避難できる階のELV ホール、避難階段の配置等の検討により、避難用ELVに必
要な技術的課題の解決に向けた具体案、考え方等を提示する。
1年 東京電機大学 藤田 聡 千葉市消防局
(注記)フェーズ3:消防防災分野に必要とされるニーズを把握した上での基盤・応用研究が終了しており、社会実装を目指し、消防本部や自治体等への試験的配備や実証実験を
目的とした機器の製作等の研究開発を実施するフェーズ。(社会実装研究)
フェーズ2:消防防災分野に必要とされるニーズをすでに把握しており、要素技術の信頼性、品質の向上、システムの設計・運用に関する研究開発やプロトタイプの作成など、
社会実装化に向けて必要となる基盤・応用研究を実施するフェーズ。(基盤・応用研究)
フェーズ1:消防防災分野におけるニーズ調査や、技術シーズを保有している大学・企業等が当該シーズについて社会実装の可能性調査、基礎研究を実施するフェーズ。(実用可能性調査・基礎研究)2 令和5年度 継続研究課題 別紙2
新型コロナウィルス感染症が救急医療体制並
びに搬送困難例発生に与えた影響評価
(フェーズ2)
我々はこれまでに救急搬送患者レジストリを用いて、「救急搬送困難例の発
生に関係する要因」や「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大が救
急医療体制に与えた影響」について明らかにしてきた。
しかし、COVID−19 の感染拡大期での搬送困難に関係する要因や政策効
果については明らかではない。本研究の目的は、COVID-19 感染拡大期での
搬送困難に影響した要因や様々な政策効果を検証することである。
令和4年度
から2年
大阪大学 織田 順 大阪市消防局
CO ガス(一酸化炭素ガス)による新規火
災検知の有効性に関する実験的研究
(フェーズ2)
逃げ遅れによる火災弱者(高齢者、障害者)の被害を減らすため、より⻑い
避難余裕時間が必要となる。燃焼時に発生するCO ガスは、煙粒子よりも小さ
く、空気とほぼ同じ分子量であるため空気中に短時間で拡散する。本研究で
は、CO ガス濃度を物理量に用いて、既存の感知器との優位性を明確にし、生
活内のCO ガス濃度から誤検知問題及び鳴動させる閾値の提案等を行い、CO
ガスセンサを用いた火災感知器の実用化に向けた開発研究である。
令和4年度
から2年
公立諏訪東京理科大学 上矢 恭子 大阪市消防局
ICTで住宅用火災警報器の機能を拡張し住
宅火災の早期覚知を目指す技術開発と検証(フェーズ2)
消防庁によると、住宅火災の発生は減少傾向にあるが、毎年900人前後が
犠牲となっている。特に過疎地域においては同時に高齢化も進み、火災発生の
覚知と連絡の遅れから多くの犠牲者が発生している。
本提案ではICTを活用し、住宅用火災警報器とスマートスピーカーとを連携す
ることで火災発生を周辺住民にもリアルタイムで伝え、地域一体となって火災防
災に取り組むためのシステム開発と検証を行うものである。
令和4年度
から2年
岩手大学 大坊 真洋 盛岡地区広域消防組合
(注記)フェーズ3:消防防災分野に必要とされるニーズを把握した上での基盤・応用研究が終了しており、社会実装を目指し、消防本部や自治体等への試験的配備や実証実験を
目的とした機器の製作等の研究開発を実施するフェーズ。(社会実装研究)
フェーズ2:消防防災分野に必要とされるニーズをすでに把握しており、要素技術の信頼性、品質の向上、システムの設計・運用に関する研究開発やプロトタイプの作成など、
社会実装化に向けて必要となる基盤・応用研究を実施するフェーズ。(基盤・応用研究)
フェーズ1:消防防災分野におけるニーズ調査や、技術シーズを保有している大学・企業等が当該シーズについて社会実装の可能性調査、基礎研究を実施するフェーズ。(実用可能性調査・基礎研究)
研究課題名 連携消防機関等
研究内容
採択年度
研究期間
代表研究機関 研究代表者

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