令和2年4月1日
消 防 庁
消防防災科学技術研究推進制度の
令和2年度研究課題の採択
1 経緯
消防庁では、消防防災行政に係る課題解決や重要施策推進に資するため、競争的資金で
ある「消防防災科学技術研究推進制度」により、研究者等からの優れた提案に対し研究開
発資金を配分しています。
令和2年度新規分については、
AIやICT等を活用した研究開発テーマを設定して公
募を行い(令和元年 10 月 23 日〜12 月 23 日)、35 件の応募がありました。
この度、外部有識者による評価会において審議された結果に基づき、新規研究課題の採
択を行うとともに、平成 30 年度及び令和元年度に採択された研究課題について、継続を
承認しました。
2 主な結果
(1) 令和2年度新規研究課題として、5件採択しました。申請者による研究課題名は次の
とおりです。(別紙1参照)
・寝具類及び衣服類等用途向け後加工防炎薬剤の研究開発
・屋外貯蔵タンクの浮き屋根監視用防爆センサシステムの開発
・救急電話相談事業による緊急度判定が救急搬送患者の予後に与える影響評価
・住宅用火災警報器の維持管理・更新を促進する効果的施策に関する研究
・ジオデモグラフィクスを用いた熱中症による救急搬送の傾向の分析
(2) 平成 30 年度及び令和元年度採択の継続研究課題4件については、
令和2年度の継続
を承認しました。(別紙2参照)
消防庁では、近年の自然災害の増加、少子高齢化、社会資本の老朽化等を踏まえ、消
防防災分野における課題解決や重要施策推進に資するため、消防防災科学技術研究推進
制度(競争的資金)により研究開発を推進しています。
この度、令和2年度の研究課題を採択しましたので、公表します。
<事務局連絡先>
消防庁総務課(消防技術政策担当)
四維・田川
Tel:03-5253-7541 Fax:03-5253-7533
E-mail:gisei2@ml.soumu.go.jp
審査結果 1令和2年度 新規研究課題
別紙 1
寝具類及び衣服類等用途向け後加
工防炎薬剤の研究開発
寝具類及び衣服類など、防炎薬剤を繊維製品に対して後加工に
よって防炎処理する場合、防炎加工の低コスト化、洗濯耐久性及
び化学安全性が求められる。従来の防炎薬剤は低分子量のため
化学安全性及び洗濯耐久性に課題があり、寝具・衣類等への利
用が不可能であった。我々は、マクロモノマー合成でその安全
性、寝具・衣類等へ基材密着性、及び難燃性を両立したスマート
防炎剤を見出し、その実用化の検討を実施する。2年丸菱油化工業
株式会社
小林 淳一 泉大津市消防本部
屋外貯蔵タンクの浮き屋根監視用防
爆センサシステムの開発
屋外貯蔵タンクで使用される浮き屋根の、鋼板溶接箇所で発生
する亀裂や割れ、危険物のにじみや腐食を検出し、その進展を
常時モニタリングすることを目的として、防爆性能を有した無線回
路やバッテリー一体型のフレキシブルセンサシステムを開発す
る。具体的には伸縮性のある材料で構成したリボン状のセンサで
浮き屋根の溶接線すべてを被覆し監視する。得られたデータは
機械学習で解析し、高効率なシステムの運用方法を確立する。2年国立研究開発法人
産業技術総合研究所
山下 崇博 川崎市消防局
救急電話相談事業による緊急度判
定が救急搬送患者の予後に与える
影響評価
「受診機関がわからない」等による救急要請に対して2007年以
降、東京、大阪等で「救急電話相談事業」を実施し、社会のセー
フティネットとして高い信頼を得ている。その反面、継続した事業
実施には、救急需要や医療への効果を、定量的手法により検証
することは急務の課題である。本研究の目的は、救急電話相談事
業が、大阪市における救急需要や医療提供に与える効果を、悉
皆データである「ORION データ」を用いて統計学的に確立するこ
とである。2年国立大学法人
大阪大学
嶋津 岳士 大阪市消防局
住宅用火災警報器の維持管理・更新
を促進する効果的施策に関する研究
住宅用火災警報器は、2006年に新築住宅、2008〜2011年に既
存住宅にも設置が義務付けられ、消防機関の設置促進活動の甲
斐もあり、普及率は全国平均で 82.3 %に達した。しかし、機器の
耐用年数や電池寿命は10年が目安で、最近の作動確認では約
1%が不作動であり、適切な維持管理や更新が求められる。そこ
で、住宅用火災警報器の奏功事例等を分析し、また既存の広報
やキャンペーンを参考に効果的な施策を立案する。1年学校法人
東京理科大学
水野 雅之 東京消防庁
ジオデモグラフィクスを用いた熱中症
による救急搬送の傾向の分析
ジオデモグラフィクスは、町丁・大字単位で住民の社会経済特性
により地区類型を行う地理学の手法であり、エリア・マーケティング
に活用されている。本研究では、大阪市において熱中症(救急医
学)とジオデモグラフィクス(地理学)の学問領域を組み合わせ、
熱中症が多発する地区類型(社会属性)を明らかにする。ジオデ
モグラフィクスは全国レベルで地区分類されているため、本研究
での知見は他の自治体においても適用可能である。1年公立大学法人大阪
大阪市立大学
木村 義成 大阪市消防局
連携消防機関等
研究期間
研究課題名 研究内容 研究代表者
研究機関名
令和2年度 継続研究課題
別紙 2
地震火災時の不完全な覚知火災情
報に基づくリアルタイム避難誘導支
援に関する研究
大地震時の市街地火災を想定し、消防が覚知している火点から
の延焼予測に加え、未覚知の火点や時間遅れで発生する火点に
よる避難経路遮断のリスクを考慮して、安全な避難経路をリアルタ
イムに導出し、その情報をホームページ等へ表示することのでき
るシステムを開発する。
平成30年度3年国立大学法人
筑波大学
糸井川 栄一 東京消防庁
G空間情報とICTを活用した大規模
防火対象物における防火安全対策
の研究開発
大規模防火対象物において、G空間情報(屋内測位システム)や
ICTを活用し、在館者や消防隊員等の屋内位置情報を防災セン
ター等で把握するとともに、スマートマスク(地図情報や赤外線画
像等を表示できる面体)やタブレットにより現場の隊員と情報を共
有し、効率的かつ安全に消防活動を行うためのシステムを開発す
る。
令和元年度2年一般財団法人
日本消防設備安全セ
ンター
木原 正則
さいたま市消防局
千葉市消防局
被服学的機能解析による活動プロト
コルに即した救急隊活動服設計のエ
ンジニアリング
救急隊員は、傷病者の搬送と救命処置を行うため、動きやすさ、
温度調節、耐久性、感染防護等に優れた救急隊活動服を必要と
している。救急隊活動服として求められている標準的な性能を研
究し、デザイン、縫製法、布地等に関する設計指針を提供する。
令和元年度2年国立大学法人
信州大学
若月 薫
相模原市消防局
上田地域広域連合
消防本部
高粘度液体を用いた木造密集市街
地及び伝統的建造物の消防技術の
開発
木造密集市街地等の火災における燃焼抑制や延焼防止のため、
建物に付着しやすく、少ない量でも消火効果の高い高粘度液体
を使用した消火装置の設計・開発を実施する。
令和元年度2年学校法人
工学院大学
後藤 治
長野市消防局
糸魚川市消防本部2研究課題名 連携消防機関等
研究内容
採択年度
研究期間
研究機関名 研究代表者

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