中 防 消 第 1 号
平 成 3 1 年 3 月 1 日
関係都道府県防災会議会長 殿
中央防災会議会長
(内閣総理大臣)
安 倍 晋 三
融雪出水期における防災態勢の強化について
貴殿におかれては、日頃から各般の施策を通じて災害対策の推進に御尽力いただ
いているところである。
今冬の雪害に対する防災態勢の強化については、既に「降積雪期における防災態
勢の強化等について」(平成 30 年 11 月 27 日付け中央防災会議会長(内閣総理大
臣)通知)をもって除雪中の事故防止対策の徹底等についてお願いしたところであ
るが、今後も降雪時期が続くことから、引き続き、警戒体制を確保し、人命の保護
を第一として、その徹底に一層努められたい。
さらに、今後、融雪出水期を迎え、気温上昇に伴う雪崩及び落雪の発生や、大雪
後の融雪に伴う出水による河川の氾濫及び土砂災害が発生することが懸念される。
融雪による河川の氾濫及び土砂災害によって被害が発生するおそれがあること等を
踏まえ、関係機関と緊密な連携の下、特に下記の点に留意して防災態勢の一層の強
化を図られたい。
なお、平成 31 年1月発行の「市町村のための降雪対応の手引き」(内閣府作
成)((注記))の内容を含め、関係機関及び市町村防災会議に対し、周知徹底をお願い
する。
((注記))http://www.bousai.go.jp/taisaku/chihogyoumukeizoku/index.html記1.気象等に関する情報の収集・伝達の徹底
一昨年、栃木県では登山講習会参加中の高校生等が雪崩に巻き込まれ8名の
方が亡くなる等、甚大な人的被害が発生しているため、都道府県は、なだれ注
意報、融雪注意報等の気象に関する情報に注意を払い、現地における融雪の状
況等の迅速な把握に努めるとともに、国に対し適時情報提供すること。気温上
昇に伴う雪崩及び落雪の発生、融雪に伴う出水による河川の氾濫及び土砂災害
の発生のおそれのある場合は、住民、市町村、関係機関等に迅速に伝達し、注
意喚起すること。
また、必要に応じて、インターネット(ホームページ、SNS等)等により
提供された情報を活用すること。
市町村は、住民等の安全確保のため、気象に関する情報や避難勧告等の防災
情報の伝達に当たっては、地域の実情に応じ、防災行政無線、緊急速報メール
を始め、マスメディアとの連携や広報車、ホームページ、SNS、コミュニテ
ィFM、Lアラート(災害情報共有システム)等の多様な情報伝達手段を組み
合わせて活用し、住民等に早い段階から確実に伝達するとともに、雪崩や土砂
災害等の災害時に孤立するおそれのある地域においては、当該地域の住民と双
方向の情報連絡手段の確保について留意すること。
2.警戒避難体制の強化
市町村は、関係機関と緊密な連携の下、災害の発生のおそれのある地域につ
いて、改めて、危険箇所、避難路、指定緊急避難場所等を住民、特に一人暮ら
しの高齢者等要配慮者に周知徹底すること。また、関係機関と連携して情報収
集し、気象情報及び融雪の状況、過去の災害事例等を勘案し、雪崩、河川の氾
濫及び土砂災害により住民の生命、身体に被害が及ぶおそれがあると判断した
ときは、遅滞なく避難勧告等を発令すること。
都道府県は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第61条の2の規定に
基づき、市町村長は、必要であると認めるときは、指定行政機関の長若しくは
指定地方行政機関の長又は都道府県知事に対して、避難勧告等に関する事項に
ついて助言を求めることができることを市町村に対し周知すること。また、助
言を求められた都道府県知事は、その所掌事務に関し、必要な助言をするこ
と。
3.危険箇所等の巡視・点検の実施の徹底
雪崩、河川の氾濫及び土砂災害の発生するおそれのある危険箇所等について
は、既に危険防止の措置を講じた箇所も含めて、地形の特性、降積雪の状況、
雪質の変化、過去の災害事例等を勘案して、重点的に巡視・点検を実施するこ
と。
4.要配慮者等への配慮
平常時より、高齢者等の要配慮者宅や要配慮者が利用する施設等の関連施設
の状況を把握するため、市町村、消防機関、福祉関係機関等が連携して、巡回
等により状況を把握すること。特に、融雪出水期に備え、適切に情報の収集や
提供を行い、必要に応じ、消防機関、自主防災組織、近隣居住者等との連携協
力により、避難誘導を行う体制等の整備・点検及び避難の際の輸送手段の確保
を行い、警戒避難体制の強化に努めること。
なお、引き続き「避難指示(緊急)」、「避難勧告」及び「避難準備・高齢
者等避難開始」の避難情報の理解を深めるよう住民への周知に努めること。
5.災害即応態勢の確立
災害時は、職員の対応能力を大幅に上回る業務が発生するため、災害時にお
いて優先させる業務を絞り込み、その業務の優先順位を明確にし、役割分担を
構築しておくこと。
雪崩、河川の氾濫及び土砂災害による被害が発生した場合には、被害規模に
関する概括的情報等の被害情報を速やかに関係機関で共有し、都道府県及び市
町村は相互に連携するとともに、国及び関係団体等とも連携して対応するこ
と。また、救援等の要請及びその実施を迅速に行うため、あらかじめ関係機関
との間で連絡先の確認及び点検を行うとともに、迅速かつ確実な各組織内部で
の情報共有・伝達方法の徹底や意思決定経路のルール等を定め周知徹底する
等、事前に所要の手続や要件等を確認しておくこと。
以上

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