消 防 予 第 1 9 3 号
消 防 危 第 1 6 0 号
令和元年 10 月 10 日
各都道府県消防防災主管部長殿東京消防庁・各指定都市消防長
消 防 庁 予 防 課 長
消防庁危険物保安室長
(公 印 省 略)
台風第 19 号に伴う防火対策等の徹底について
現在、日本列島に接近している台風第 19 号の影響により、広範囲にわたる長時間
停電の発生が懸念されるところです。長時間停電の発生により、停電からの再通電時
における電気機器又は電気配線からの火災発生のおそれや、
消防用設備等の非常電源
として蓄電池設備や非常電源専用受電設備等を用いている場合において、
消防用設備
等が有効に機能しなくなることにより防火対策に支障が出るおそれ、また、風水害発
生時の危険物施設の安全性に関するおそれが生じます。
貴職におかれましては、下記を参考に、地域住民、防火対象物の関係者及び危険物
施設の関係者に対して防火対策等の周知をお願いいたします。
各都道府県消防防災主管部長におかれては、貴都道府県内の市町村(消防の事務を
処理する一部事務組合等を含む。)に対しても、この旨周知していただきますようお
願いいたします。記1 停電からの再通電時における火災予防に関する事項
(1)風水害により停電が発生した場合は、以下の対応を図るよう、地域住民及び
防火対象物の関係者に対し周知すること。
ア 停電中は電気機器のスイッチを切るとともに、電源プラグをコンセントか
ら離脱すること。
イ 停電中に自宅等を離れる際はブレーカーを落とすこと。
ウ 再通電時には、漏水等により電気機器等が破損していないか、配線やコード
が損傷していないか、燃えやすいものが近くにないかなど、十分に安全を確認
してから電気機器を使用すること。
エ 建物や電気機器に外見上の損傷がなくとも、壁内配線の損傷や電気機器内部
の故障により、再通電から長時間経過した後、火災に至る場合があるため、煙
の発生等の異常を発見した際は直ちにブレーカーを落とし、消防機関に連絡す
ること。
(2)地域住民及び防火対象物の関係者への周知については、ホームページ、SNS
等のインターネット媒体による注意喚起、防災行政無線による広報、消防車両等
による巡回広報、被害確認のための戸別訪問時における注意喚起等、停電に伴う
情報アクセスの困難性も考慮し、有効な手段を選択することにより、確実に地域
住民及び防火対象物の関係者に伝達できるよう配意すること。
2 防火対象物に設置されている消防用設備等に関する事項
(1)消防用設備等の非常電源として蓄電池設備や非常電源専用受電設備等を用い
ている場合にあっては、長時間停電することにより消防用設備等が作動しない
場合に備えて、以下の対応を図ること。
ア 消火設備
消火器、簡易消火用具等の設置場所及び使用方法を再確認すること。不活
性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備などの自動消火設備については、手動
による放出操作手順を再確認すること。
イ 警報設備
防火対象物の関係者等による巡回等によりこんろその他火気使用設備・器
具の火元の警戒を入念に行う等、火災の早期発見を図るとともに、警報設備の
設置範囲内への連絡及び周知体制を確保すること。
ウ 避難設備
防火対象物の関係者等による避難誘導体制及び避難経路を再確認すること。
(2)消防用設備等の非常電源として自家発電設備を用いている場合にあっては、
自家発電設備について、必要な燃料の確保等に努めるとともに、常用電源復旧
後、直ちに運転を停止(常用電源復旧時、自動的に運転を停止するものを除
く。
)し、燃料の補給等により、火災時の機能に支障のないように措置するこ
と。特に、燃料が空となった後に燃料を補給した場合に再び適切に作動するた
めには、当該自家発電設備のエンジン部分の空気抜きが必要なものがあること
から、留意すること。
(3)自動火災報知設備の中には、長時間停電することに伴い予備電源の容量が低
下すること等により異常警報を発するものがあることから、これらの警報音が
作動した場合における対処方法(警報音の停止方法、復電時における点検方法
等)について点検事業者等に確認すること。
3 危険物施設に関する事項
(1)河川の氾濫、高潮等による浸水が想定される危険物施設では、禁水性物質や金
属の溶融高熱物など、水と触れると危険な物品について、浸水の影響のない高所
へ移動する、水密性のある区画で保管する、金属の溶融高熱物の加熱をあらかじ
め停止して十分温度を下げる等の措置を講じること。また、油の貯槽、計装制御
装置、冷却装置、ポンプ機器等で、危険物の取扱い上重要な機器については、必
要に応じ、浸水の防止や被害が生じた場合の応急措置を講じること。このほか、
「風水害発生時における危険物保安上の留意事項及び危険物施設の被害状況調査
について」
(平成 30 年9月 27 日付け消防危第 179 号)を参考として、危険物保安
上必要な措置を講じること。
(2)プラント等において、停電により計装制御系統の機能停止、冷却機能の停止に
伴う反応制御不能等により、
異常反応、
異常重合、
異常分解等から爆発を誘発し、
他の施設も停止する危険がある場合には、非常用の電源及び当該電源に必要な燃
料等を確保すること。
(3)被災地域における円滑な燃料供給等のため、危険物の仮貯蔵・仮取扱いや、
給油取扱所等における臨時的な危険物の貯蔵・取扱いを行う場合には、「震災時
等における危険物の仮貯蔵・仮取扱い等の安全対策及び手続きについて」(平成
25年10月3日付け消防災第364号・消防危第171号)を踏まえ、消防機関における
円滑な運用を図られたいこと。
<参考:想定される危険物の貯蔵・取扱いの形態の例>
しろまる ドラム缶等による燃料の貯蔵及び取扱い
しろまる 移動タンク貯蔵所等による軽油の給油・注油等
しろまる 移動電源車や非常用発電機等による燃料の取扱い
しろまる 移動タンク貯蔵所と可搬式給油設備を用いた取扱い(平成30年12月18日
付け消防危第226号に基づく仮取扱い)
しろまる 給油取扱所における手動機器や外部電源の可搬式給油設備等を活用した
給油・注油等
(4)浸水、土砂流入や強風の揺れ等により危険物施設に破損等の被害が生じたた
め、施設の再稼働に向けた復旧作業に伴い、変更許可等の手続きが必要となる
場合、当該許可申請に係る審査等については、できる限り迅速に対応されたい
こと。
4 その他の一般事項
(1)火気管理の徹底
地域住民等は、火気の使用は十分に注意して行う等、火災の発生防止に努める
ほか、防火対象物の関係者は在館者や利用者等に対して周知を図ること。
(2)119番通報体制の確保
地域住民等は、IP電話やFAX機能付き電話等の一部の電話機では、停電に
より使用不能となっているものがあるので、予め確認し確実な119番通報体制
を確保すること。
(3)避難経路等の確保
停電により、電気錠が設けられた扉及び自動ドア等が機能を失って通行不能と
なっているおそれがあることから、防火対象物の関係者は、避難経路又は消防隊
進入経路を確認し、通行ができるよう対策を講じること。
(4)停電時におけるエレベーターや遊具等の使用制限
防火対象物の関係者は、
停電時に停止する電気を動力とするエレベーターや遊
具等については、
停電が発生する可能性が高い場合には予め使用を制限すること。
連絡先
消防庁予防課 島村、吉田
塩谷、田中(2に関する事項)
電 話:03-5253-7523 FAX:03-5253-7533
消防庁危険物保安室 竹本、羽田野、小島(3に関する事項)
電 話:03-5253-7524 FAX:03-5253-7534

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