消 防 予 第 3 6 1 号
平成 30 年 5 月 11 日
各 都 道 府 県 消 防 防 災 主 管 部 長
東京消防庁・各指定都市消防長
消 防 庁 予 防 課 長
( 公 印 省 略 )
スプリンクラー設備等の耐震措置に関するガイドラインの策定について(通知)
平成 23 年東北地方太平洋沖地震や平成 28 年熊本地震等の過去に発生した大規模地震に
おいて、地震の揺れにより消防用設備等の被害が報告されていることを踏まえ、消防庁で
は、これらの地震時における被害事例を調査するとともに、大規模地震に対応した消防用
設備等のあり方について検討を行ってきたところです。
このたび、当該検討の結果等を踏まえ、スプリンクラー設備及びパッケージ型自動消火
設備I型(以下「スプリンクラー設備等」という。
)を対象に、別添のとおり「スプリン
クラー設備等の耐震措置に関するガイドライン」
(以下「ガイドライン」という。
)を作成
しましたので、通知します。
貴職におかれましては、下記事項に留意の上、その運用に十分配慮されるとともに、各
都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県内の市町村(消防の事務を処理
する一部事務組合等を含む。
)に対し、この旨周知していただきますようお願いします。
なお、本通知は、消防組織法(昭和 22 年法律第 226 号)第 37 条の規定に基づく助言と
して発出するものであることを申し添えます。記1 ガイドラインは、消防法施行規則(昭和 36 年自治省令第6号)第 12 条第1項第9号
に規定する「地震による震動等に耐えるための有効な措置」として望ましいものの一例
を示したものであること。
2 ガイドラインに基づく措置は、原則として、新築の防火対象物を対象に指導するこ
と。ただし、既存の防火対象物についても、建築物の大規模改修時等の機会を捉え、ガ
イドラインに基づく措置をできる限り講ずるよう指導することが望ましいこと。
3 消防同意の事前相談時等のできる限り早い時期に、建築物の設計者を通じて、ガイド
ラインに基づく措置を講ずるように指導を行うことが望ましいこと。なお、ガイドライ
ンに基づく措置が講じられる場合は、例えば、特記仕様書等に「スプリンクラー設備に
ついては、総務省消防庁が作成した『スプリンクラー設備等の耐震措置に関するガイド殿 ライン』に基づき施工すること。
」と明記させることが考えられること。
4 ガイドラインに基づく措置が実施されているか否かにかかわらず、万が一、スプリン
クラー設備等が地震により損傷した場合に備え、消防訓練や消防用設備等の定期点検時
等の機会を捉え、定期的に、誤放水時の停止方法やスプリンクラー設備等が機能しない
場合の対策等を確認、計画するよう指導することが望ましいこと。
消防庁予防課設備係
担当:四維、馬場
電話:03-5253-7523
F A X:03-5253-7533 1スプリンクラー設備等の耐震措置に関するガイドライン
1 趣旨・目的
スプリンクラー設備(消防法施行令第 12 条第2項第3号の2に定める特定
施設水道連結型スプリンクラー設備を除く。以下同じ。
)は、過去に発生した
地震における被害が他の消防用設備等と比較して多く、また、火災を自動で
感知して、放水する設備であるため、地震により適切に機能しなかった場合
に火災予防上の影響が大きいと考えられる。
このことから、本ガイドラインでは、地震時において求められるスプリン
クラー設備の耐震性能を整理し、特に被害の発生が懸念される箇所を対象に
有効な耐震措置をとりまとめた。
また、消防法施行令第 29 条の4に基づき、スプリンクラー設備と同等以上
の防火安全性能を有することから、一部の防火対象物においては、スプリン
クラー設備に代えて「パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技
術上の基準を定める件」
(平成 16 年消防庁告示第 13 号)第2第1号に規定す
るI型(以下「パッケージ型自動消火設備I型」という。
)の設置が認められ
ている。このことから、本ガイドラインでは、パッケージ型自動消火設備I
型についても、同様に耐震性能を整理し、特に被害の発生が懸念される箇所
を対象に有効な耐震措置をとりまとめた。
2 適用範囲
本ガイドラインは、スプリンクラー設備の配管(加圧送水装置に接続する
吸水管を除く。以下同じ。
)及びスプリンクラーヘッド並びにパッケージ型自
動消火設備I型の放出導管(消火薬剤を消火薬剤貯蔵容器等から放出口へ導
く管をいう。以下同じ。
)を適用範囲とする。
3 要求する耐震性能
スプリンクラー設備及びパッケージ型自動消火設備I型は、地震時におい
て、建築物の構造体等が健全な状態である場合に、これらの設備の機能が維
持されることを目標とし、建築基準法に基づき求められる耐震基準の考え方
を参考に、次のとおり耐震性能を求めることとする。
(1) 建築物の存在期間中に数度遭遇することを考慮すべき稀に発生する地震動
(気象庁震度階級:震度5強程度)に対して、損傷が生ずるおそれがない
こと。
(2) 建築物の存在期間中に1度は遭遇することを考慮すべき極めて稀に発生す
る地震動(気象庁震度階級:震度6強〜7)に対して、重大な損傷が生ず
るおそれがないこと。
別添 24 用語の定義
本ガイドラインで扱う用語の定義は次のとおりとする。
(1) 立上り配管
立上り配管とは、
スプリンクラー設備の配管又はパッケージ型自動消火設
備I型の放出導管のうち、垂直に敷設するものをいう。
(2) 横引き配管
横引き配管とは、
スプリンクラー設備の配管又はパッケージ型自動消火設
備I型の放出導管のうち、水平に敷設するものをいう。
(3) 枝配管
枝配管とは、横引き配管のうち、巻き出し管に直接接続するものをいう。
(4) 巻き出し管
巻き出し管とは、スプリンクラー設備の配管のうち、スプリンクラーヘッ
ドに直接接続するもの又はパッケージ型自動消火設備I型の放出導管のう
ち、放出口に直接接続するものをいう。
(5) 感熱部
感熱部とは、
閉鎖型スプリンクラーヘッドにおけるヒュージブルリンク又
はグラスバルブの感熱体等によって構成され、
火災による熱を感知する部分
をいう。
(6) 耐震支持
耐震支持とは、
地震時にスプリンクラー設備の配管及びパッケージ型自動
消火設備I型の放出導管に作用する力に対して、
上記3の性能が確保される
ように配管や放出導管を建築物の構造躯体等に固定し、
地震時の変位を抑制
することをいう。
(7) 層間変位
層間変位とは、建築物が地震を受けて変形する時、上下の階に生ずる水平
方向の相対的な変位をいう。
5 立上り配管
(1) 立上り配管は、地震による管軸直角方向の過大な変形を抑制し、かつ、
建築物の層間変位に追従することができるように、耐震支持を設ける。
(2) 立上り配管は、地震時に他の建築設備や機器等と接触・衝突しないよう
に、周囲に空間を確保する。
6 横引き配管
(1) 管径が 40A を超える横引き配管は、地震による管軸直角方向の過大な変
位が生じないように、適当な間隔で耐震支持を設ける。 3(2) 横引き配管(枝配管を除く。
)の末端部には、地震による管軸直角方向の
過大な変位が生じないように耐震支持を設ける。
(3) 長さが 25m を超える横引き配管は、地震による管軸方向の過大な変位が
生じないように、適当な間隔で耐震支持を設ける。
(4) 横引き配管は、
地震時に他の建築設備や機器等と接触・衝突しないように、
周囲に空間を確保する。
7 巻き出し管
(1) フレキシブル巻き出し管は、天井下地材に固定されたスプリンクラーヘ
ッドと枝配管の地震時の揺れ方の違いによる相対変位を吸収できるよう
に、余裕のある長さのものを使用する。
(2) ステンレス製のフレキシブル巻き出し管は、地震による過大な変位が生
じないように、適切な長さのものを使用する。
(3) 巻き出し管は、地震時に他の建築設備や機器等と接触・衝突しないよう
に、周囲に空間を確保する。
8 その他の配管に関する留意事項
(1) エキスパンションジョイント部を通過する配管は、
建築物の間の地震時の
揺れ方の違いによる相対変位を吸収できるように、
フレキシブル配管を用い
る等の措置を講じる。
(2) 屋外から建築物内へ導入する配管は、地盤や外部支持部と建築物の間の
揺れ方の違いによる相対変位を吸収できるように、フレキシブル配管を用
いる等の措置を講じる。
(3) 加圧送水装置、高架水槽等に接続する配管は、これらの機器と建築物の
揺れ方の違いによる相対変位を吸収できるように、フレキシブル管継手を
用いる等の措置を講じる。
9 スプリンクラーヘッド
閉鎖型スプリンクラーヘッド(コンシールド型を除く。
)は、地震時にスプ
リンクラーヘッドの感熱部が天井ボードと接触・衝突しないように、
感熱部を
天井ボードより下方に取り付ける。
消 防 予 第 3 6 1 号
平成 30 年 5 月 11 日
一般財団法人日本消防設備安全センター
理事長 原田 正司 様
消 防 庁 予 防 課 長
( 公 印 省 略 )
スプリンクラー設備等の耐震措置に関するガイドラインの策定について
平素から予防行政に御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
平成 23 年東北地方太平洋沖地震や平成 28 年熊本地震等の過去に発生した大規模地震に
おいて、
地震の揺れにより消防用設備等の被害が報告されていることを踏まえ、
消防庁では、
これらの地震時における被害事例を調査するとともに、
大規模地震に対応した消防用設備等
のあり方について検討を行ってきたところです。
このたび、
当該検討の結果等を踏まえ、スプリンクラー設備及びパッケージ型自動消火設
備I型(以下「スプリンクラー設備等」という。
)を対象に、別添のとおり「スプリンクラ
ー設備等の耐震措置に関するガイドライン」
(以下「ガイドライン」という。
)を作成しまし
た。
ガイドラインは、消防法施行規則(昭和 36 年自治省令第 6 号)第 12 条第 1 項第 9 号に
規定する措置として望ましい措置の一例として示したものですが、
防火対象物の新築時又は
大規模改修時において、
このガイドラインに基づく措置ができる限り講じられることが望ま
しいと考えていることから、
ガイドラインの普及啓発、スプリンクラー設備等の施工事業者
への周知徹底等が必要と考えております。
つきましては、
各種講習会等の機会を捉え、ガイドラインの普及啓発を図っていただくと
ともに、
各都道府県消防設備協会を通じて会員事業者に対しガイドラインの内容について周
知徹底を図っていただきますようお願いします。
消防庁予防課設備係
担当:四維、馬場
電話:03-5253-7523
F A X:03-5253-7533
参 考
消 防 予 第 3 6 1 号
平成 30 年 5 月 11 日
一般社団法人日本消火装置工業会
会長 橋爪 毅 様
消 防 庁 予 防 課 長
( 公 印 省 略 )
スプリンクラー設備等の耐震措置に関するガイドラインの策定について
平素から予防行政に御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
平成 23 年東北地方太平洋沖地震や平成 28 年熊本地震等の過去に発生した大規模地震に
おいて、
地震の揺れにより消防用設備等の被害が報告されていることを踏まえ、
消防庁では、
これらの地震時における被害事例を調査するとともに、
大規模地震に対応した消防用設備等
のあり方について検討を行ってきたところです。
このたび、
当該検討の結果等を踏まえ、スプリンクラー設備及びパッケージ型自動消火設
備I型(以下「スプリンクラー設備等」という。
)を対象に、別添のとおり「スプリンクラ
ー設備等の耐震措置に関するガイドライン」
(以下「ガイドライン」という。
)を作成しまし
た。
ガイドラインは、消防法施行規則(昭和 36 年自治省令第 6 号)第 12 条第 1 項第 9 号に
規定する措置として望ましい措置の一例として示したものですが、
防火対象物の新築時又は
大規模改修時において、
このガイドラインに基づく措置ができる限り講じられることが望ま
しいと考えていることから、
ガイドラインの普及啓発、スプリンクラー設備等の施工事業者
への周知徹底等が必要と考えております。
つきましては、
各種講習会等の機会を捉え、ガイドラインの普及啓発を図っていただくと
ともに、
貴工業会の会員事業者に対して、ガイドラインの内容について周知徹底を図ってい
ただきますようお願いします。
消防庁予防課設備係
担当:四維、馬場
電話:03-5253-7523
F A X:03-5253-7533
参 考
事 務 連 絡
平成 30 年 5 月 11 日
国土交通省
大臣官房官庁営繕部設備・環境課 御中
消 防 庁 予 防 課
スプリンクラー設備等の耐震措置に関するガイドラインの周知について
平成 23 年東北地方太平洋沖地震や平成 28 年熊本地震等の過去に発生した大規模地震に
おいて、
地震の揺れにより消防用設備等の被害が報告されていることを踏まえ、
消防庁では、
これらの地震時における被害事例を調査するとともに、
大規模地震に対応した消防用設備等
のあり方について検討を行ってきたところです。
このたび、
当該検討の結果等を踏まえ、スプリンクラー設備及びパッケージ型自動消火設
備I型(以下「スプリンクラー設備等」という。
)を対象に、別添のとおり「スプリンクラ
ー設備等の耐震措置に関するガイドライン」
(以下「ガイドライン」という。
)を作成しまし
た。
ガイドラインは、消防法施行規則(昭和 36 年自治省令第 6 号)第 12 条第 1 項第 9 号に
規定する措置として望ましいものの一例を示したものですが、
防火対象物の新築時又は大規
模改修時において、
このガイドラインに基づく措置ができる限り講じられることが望ましい
と考えていることから、ガイドラインの普及啓発等が必要と考えております。
つきましては、貴省の営繕関係部局に対して、この旨周知していただきますようお願い
します。
消防庁予防課設備係
担当:四維、馬場
電話:03-5253-7523
F A X:03-5253-7533
参 考
事 務 連 絡
平成 30 年 5 月 11 日
国土交通省住宅局建築指導課 御中
消 防 庁 予 防 課
スプリンクラー設備等の耐震措置に関するガイドラインの周知について
平成 23 年東北地方太平洋沖地震や平成 28 年熊本地震等の過去に発生した大規模地震に
おいて、
地震の揺れにより消防用設備等の被害が報告されていることを踏まえ、
消防庁では、
これらの地震時における被害事例を調査するとともに、
大規模地震に対応した消防用設備等
のあり方について検討を行ってきたところです。
このたび、
当該検討の結果等を踏まえ、スプリンクラー設備及びパッケージ型自動消火設
備I型(以下「スプリンクラー設備等」という。
)を対象に、別添のとおり「スプリンクラ
ー設備等の耐震措置に関するガイドライン」
(以下「ガイドライン」という。
)を作成しまし
た。
ガイドラインは、消防法施行規則(昭和 36 年自治省令第 6 号)第 12 条第 1 項第 9 号に
規定する措置として望ましいものの一例を示したものですが、
防火対象物の新築時又は大規
模改修時において、
このガイドラインに基づく措置ができる限り講じられることが望ましい
と考えていることから、
ガイドラインの普及啓発、ガイドラインに基づく措置を講じる場合
の建築物の設計段階における明示等が必要と考えております。
つきましては、
貴省を通じて建築物の設計者団体に対して、
この旨周知していただきます
ようお願いします。
消防庁予防課設備係
担当:四維、馬場
電話:03-5253-7523
F A X:03-5253-7533
参 考

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