消 防 情 第 9 6 号
平成 28 年4月1日
各都道府県消防防災主管部長 殿
消防庁国民保護・防災部防災情報室長
( 公 印 省 略 )
災害時の住民への情報伝達体制の更なる強化について
昨今の水害や土砂災害においては、避難勧告等や防災気象情報が、住民に対し十分に伝達
できていない、大雨の際には屋外からの音声が聞こえにくいなどの課題が挙げられており、
迅速かつ確実な情報伝達のための取組が一層求められています。
市町村防災行政無線(同報系)については、緊急時において住民に情報伝達できる重要な
設備でありますが、財政的理由等により、市町村防災行政無線(同報系)を早期に整備する
ことが困難な場合には、MCA陸上移動通信システム又は市町村デジタル移動通信システム
(以下「MCA陸上移動通信システム等」という。
)に屋外拡声機能を設けることにより市町
村防災行政無線(同報系)の代替として利用することも可能となっています。
今般、新たな情報伝達手段の開発等に伴い、280MHz 帯電気通信業務用ページャー、FM 放送
又は V-Low マルチメディア放送(以下「280MHz 帯電気通信業務用ページャー等」という。)を活用した情報伝達手段についても、市町村防災行政無線(同報系)を早期に整備すること
が困難な場合には、一定の要件を満たし、市町村防災行政無線(同報系)と同等の機能を有
するときは、MCA陸上移動通信システム等と同様に、市町村防災行政無線(同報系)を代
替するものとして利用することも可能となることから、下記の事項に留意するとともに、地
域の実情に応じ、これらの手段も活用して災害時の情報伝達体制の更なる強化を図っていた
だきますようお願いいたします。
なお、本通知は、消防組織法(昭和 22 年法律第 226 号)第 37 条の規定に基づく助言とし
て発出するものであることを申し添えます。記1 280MHz 帯電気通信業務用ページャーを活用した情報伝達手段
(1) 仕組み
電気通信業務用ページャー(いわゆるポケットベル)を活用して、市町村から防災情
報を送信し、屋内受信機(防災情報を受信すると自動起動するもの。以下同じ。
)や屋外
拡声装置から音声や文字により情報伝達する仕組み
(2) 留意点
ア 当該仕組みを利用するためには、市町村から無線を運用する電気通信事業者までの情
報伝達設備、
280MHz 帯の電波を送出する送信局、
屋内受信機及び屋外拡声装置を整備し、1 送信局を電気通信事業者に貸し付けるとともに電気通信事業者とあらかじめ契約等を締
結する必要があること。なお、既に電気通信事業者において送信局を整備している地域
においては、当該設備の整備は要しない。
イ 電気通信事業者の設備を利用するため、
契約等に基づき利用料の負担があり得ること。
ウ 電気通信事業者との契約等においては、設備の維持管理が適正に行われること及び長
期的に契約等が運用されることを確認しておくこと。
2 FM 放送を活用した情報伝達手段
(1) 仕組み
FM 放送を用いて、市町村から防災情報を送信し、割り込み放送を行って、屋内受信機
や屋外拡声装置から音声により情報伝達する仕組み
(2) 留意点
ア 当該仕組みを利用するためには、市町村から放送事業者までの情報伝達設備(緊急時
に割り込み放送するためのもの。以下同じ。)、屋内受信機及び屋外拡声装置を整備し、
放送事業者とあらかじめ契約等を締結する必要があること。
イ 放送事業者が計画的に整備する送信局だけでは必ずしも市町村の全域をカバーしてい
ない場合もあることから、カバーエリアを事前に確認する必要があること。また、放送
事業者の送信局のカバーエリア外において利用するためには、
放送事業者との協議の上、
市町村が送信局(中継局)を整備し、放送事業者に貸し付ける必要があること。
ウ 放送事業者の設備を利用するため、契約等に基づき利用料の負担があり得ること。
エ 放送事業者との契約等においては、設備の維持管理が適正に行われること及び長期的
に契約等が運用されることを確認しておくこと。
3 V-Low マルチメディア放送を活用した情報伝達手段
(1) 仕組み
V-Low マルチメディア放送を用いて、
市町村から防災情報を送信し、
割り込み放送を行
って、屋内受信機や屋外拡声装置から音声や文字等により情報伝達する仕組み
(2) 留意点
ア 当該仕組みを利用するためには、市町村から放送事業者までの情報伝達設備、屋内受
信機及び屋外拡声装置を整備し、放送事業者とあらかじめ契約等を締結する必要がある
こと。
イ 放送事業者が計画的に整備する送信局だけでは必ずしも市町村の全域をカバーしてい
ない場合もあることから、カバーエリアを事前に確認する必要があること。また、放送
事業者の送信局のカバーエリア外において利用するためには、
放送事業者との協議の上、
市町村が送信局(中継局)を整備し、放送事業者に貸し付ける必要があること。
ウ 放送事業者の設備を利用するため、契約等に基づき利用料の負担があり得ること。
エ 放送事業者との契約等においては、設備の維持管理が適正に行われること及び長期的
に契約等が運用されることを確認しておくこと。2 4 市町村防災行政無線(同報系)の代替として認められる要件
280MHz 帯電気通信業務用ページャー等を活用した情報伝達手段については、次の要件を
満たし、市町村防災行政無線(同報系)と同等の機能を有するときは、市町村防災行政無
線(同報系)を代替するものとして利用することも可能となること。
(1) 市町村防災行政無線
(同報系)
又はその戸別受信機が整備されていない地域において、
280MHz 帯電気通信業務用ページャー等を活用した情報伝達手段を整備する場合であっ
て、当該情報伝達手段の整備経費及び運用経費の合計が市町村防災行政無線(同報系)
の場合よりも安価であること。
(2) 十分な耐災害性を有するよう、地震対策、停電対策及び浸水対策について、別紙1を
参考に所要の措置を講ずること。
5 財政措置
上記4の要件を満たし、市町村防災行政無線(同報系)の代替として認められる 280MHz
帯電気通信業務用ページャー等を活用した情報伝達手段については、別紙2のとおり、緊
急防災・減災事業債(防災対策事業債を含む。以下同じ。
)の対象となる。
なお、MCA陸上移動通信システム等については、従前のとおり、
「MCA陸上移動通信
システム及び市町村デジタル移動通信システムによる地域住民への災害情報等伝達体制の
整備について」
(平成 19 年8月 17 日付け消防情第 193 号消防庁防災情報室長通知)に基づ
き、一定の要件を満たす場合に限り、対象となる。
また、過疎地域自立促進特別措置法(平成 12 年法律第 15 号)により過疎地域に指定さ
れた市町村が過疎地域自立促進市町村計画に基づいて行う事業又は辺地に係る公共的施設
の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律(昭和 37 年法律第 88 号)により辺
地を有する市町村が総合整備計画に基づいて行う事業については、過疎対策事業債又は辺
地対策事業債の対象となる。
6 その他
(1) 280MHz 帯電気通信業務用ページャー等を活用した情報伝達手段は、比較的新しい仕
組みであることから、当面の間、本通知により当該情報伝達手段を整備する場合におい
ては、事前に消防庁に相談されたい。
(2) 全国瞬時警報システム(Jアラート)の受信機及び自動起動装置については、多様な
伝達手段と連携することが可能であるため、280MHz 帯電気通信業務用ページャー等を
活用した情報伝達手段との接続性の確保にも配慮する必要がある。
(連絡先)
消防庁 国民保護・防災部 防災課防災情報室
担当:明田、塚狭、三浦
電話:03-5253-7526
FAX:03-5253-75363 別紙1
必要な地震対策、停電対策及び浸水対策
地震対策
耐震措置
地域防災計画上の災害想定としている地震により機能停
止に陥らない措置を講ずること。
対策例:主要な通信設備や電源設備を設置している庁舎
等の耐震化(建築基準法の新耐震基準等)、設備等の固
定(基礎ボルトやストッパー等)、配線や配管の揺れに
よる破損対策(フレキシブル管や余長確保等)
伝送路が無
線により構成地震動等により通信断とならないよう庁舎から送信局
(親局・中継局)までの主な伝送路が、無線回線及び有
線回線(二重化)又は無線回線で構成されていること。
停電対策
非常用電源を確保すること。
対策例:主要な通信設備が、48 時間以上稼働できる容量
の非常用電源を設置。加えて、最悪の想定も考慮し、迅
速な電源供給や燃料補給等の対策も実施。
浸水対策
洪水、津波、高潮などによる浸水想定区域においては、
主要な通信設備や電源設備が浸水により機能停止に陥ら
ない措置を講ずること。
対策例:想定される浸水高よりも高い位置へ設置又は浸
水防止措置
別紙2
280MHz 帯電気通信業務用ページャーを活用した情報伝達手段
<システム構成イメージ>
<緊急防災・減災事業債の対象範囲>
対象設備 対象範囲
1情報伝達設備(操作端末、サーバー、ネットワーク回
線等)
市町村庁舎等に設置され、防災情報を入力、送信する
ためのもの
対象
2中央配信局(管制設備等)
市町村からの情報を一元的に配信し、システム全体を監
視するもの
電気通信事業者が整備するもので
あるため対象外
3送信局(電波送信アンテナ等)
市町村が整備、電気通信事業者に長期貸与し、
280MHz 帯の電波を送出するもの
対象
4屋内受信機
各世帯等に整備される受信機で、防災情報を受信する
と電源オフの場合でも自動起動するよう機能を付加して
いるもの(1、3又は5と一体で整備する場合に限る)
一部対象
防災機能を付加するための割り増し
の経費が対象
5屋外拡声装置
防災情報を受信し屋外拡声装置から音声放送するもの
対 象
(注記) 過疎地域に指定された市町村が過疎地域自立促進市町村計画に基づいて行う事業
又辺地を有する市町村が総合整備計画に基づいて行う事業の場合には、1、3〜5ま
で全てについて全額が過疎対策事業債又は辺地対策事業債の充当が可能
市町村庁舎
中央配信局(電気通信事業者)
地上回線
衛星回線
3送信局
1情報伝達設備
4屋内受信機
5屋外拡声装置
地上回線
280MHz帯
文字情報
2中央配信局
FM 放送を活用した情報伝達手段
<システム構成イメージ>
<緊急防災・減災事業債の対象範囲>
対象設備 対象範囲
1情報伝達設備(操作端末、サーバー、ネットワーク回線等)市町村庁舎等に設置され、防災情報を入力、送信するた
めのもの
対象
2送信局(親局)(電波送信アンテナ等)
放送事業者が整備し、FM 放送の電波を送信するもの
放送事業者が整備するものであるた
め対象外
3送信局(中継局)(電波を再送信するアンテナ等)
防災情報を地域住民に伝達するため、放送事業者が計画
的に整備する送信局ではカバーできないエリアにおいて、
市町村が整備し、放送事業者に長期貸与するもの
一部対象
1/2の経費が対象
4屋内受信機
各世帯等に整備される受信機で、防災情報を受信すると電
源オフの場合でも自動起動するよう機能を付加しているも
の(1、3又は5と一体で整備する場合に限る)
一部対象
防災機能を付加するための割り増し
の経費が対象
5屋外拡声装置
防災情報を受信し屋外拡声装置から音声放送するもの
対 象
(注記) 過疎地域に指定された市町村が過疎地域自立促進市町村計画に基づいて行う事業又
辺地を有する市町村が総合整備計画に基づいて行う事業の場合には、1、3〜5まで全
てについて全額が過疎対策事業債又は辺地対策事業債の充当が可能
市町村庁舎
4屋内受信機
FM放送事業者
地上回線
無線回線
2送信局(親局)
3送信局(中継局)
1情報伝達設備(放送卓)
5屋外拡声装置
V-Low マルチメディア放送を活用した情報伝達手段
<システム構成イメージ>
<緊急防災・減災事業債の対象範囲>
対象設備 対象範囲
1情報伝達設備(操作端末、サーバー、ネットワーク回線等)市町村庁舎等に設置され、防災情報を入力、送信するた
めのもの
対象
2送信局(親局)(電波送信アンテナ等)
放送事業者が整備し、V-Low 放送の電波を送信するもの
放送事業者が整備するものであるた
め対象外
3送信局(中継局)(電波を再送信するアンテナ等)
防災情報を地域住民に伝達するため、放送事業者が計画
的に整備する送信局ではカバーできないエリアにおいて、
市町村が整備し、放送事業者に長期貸与するもの
一部対象
1/2の経費が対象
4屋内受信機
各世帯等に整備される受信機で、防災情報を受信すると電
源オフの場合でも自動起動するよう機能を付加しているも
の(1、3又は5と一体で整備する場合に限る)
一部対象
防災機能を付加するための割り増し
の経費が対象
5屋外拡声装置
防災情報を受信し屋外拡声装置から音声放送するもの
対 象
(注記) 過疎地域に指定された市町村が過疎地域自立促進市町村計画に基づいて行う事業又
辺地を有する市町村が総合整備計画に基づいて行う事業の場合には、1、3〜5まで全
てについて全額が過疎対策事業債又は辺地対策事業債の充当が可能
市町村庁舎
4屋内受信機
V-LOW放送事業者
地上回線
衛星回線
2送信局(親局)
3送信局(中継局)
1情報伝達設備
5屋外拡声装置

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