消 防 情 第 193号
平 成 19年 8月 17日
各都道府県消防防災主管部長 殿
消防庁防災情報室長
MCA陸上移動通信システム及び市町村デジタル移動通信システム
による地域住民への災害情報等伝達体制の整備について
豪雨や台風、地震、津波、火山噴火等の自然災害が発生した場合、避難勧告等を
迅速かつ的確に住民に伝達することは住民の生命、身体及び財産を災害から保護
するために極めて重要であり、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第56条に
おいて、災害に関する予報若しくは警報の伝達は市町村長の責務とされています。
国民保護の面でも、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する
法律(平成16年法律第112号)第47条第2項において、市町村長は国民保護に係
る警報を受けた際に防災行政無線等により速やかに住民等に伝達するよう努めなけ
ればならないとされているところであり、これまでも各市町村においてこれら警報等の
伝達手段として同報系の市町村防災行政無線(以下、「同報無線」という。)の整備が
図られてきたところです。
また、消防庁においては、本年10月1日から開始される予定の気象庁の緊急地震
速報について、全国瞬時警報システム(J-ALERT)を活用して情報伝達できるよう
準備を進めているところです。
しかしながら、同報無線の整備率は、平成19年3月末現在、全市町村の75.2%
にとどまっており、整備予定を有しない団体も少なくない状況にありますので、これら
同報無線未整備市町村における災害情報等伝達体制の確立は喫緊の課題となって
います。
同報無線は、災害時、緊急時において情報を地域住民に対して迅速かつ確実に伝
達することができる重要な施設ですが、財政的理由等により早期整備が困難である
場合には、MCA陸上移動通信システム又は市町村デジタル移動通信システムを活
用し、屋外拡声機能を設けることにより、地域住民に対して情報伝達を行う同報無線
の代替として利用することも可能となりますので、同報無線未整備市町村においては
災害情報等伝達体制が早期に確立されるよう市町村の取り組みを一層促進すべく、
貴職におかれても市町村への周知等、引き続きご尽力いただきますようお願いします。
なお、移動通信システムを活用して整備を進めるにあたってはその特性を理解する
とともに下記事項に留意されるようお願いします。 記1 MCA陸上移動通信システムによる災害情報伝達体制の確立
(1) 本システムは総務省から認可を受けた事業主体が運用する移動通信系のシ
ステムであることから、無線設備の一部については市町村での整備が不要とな
り比較的廉価に整備することが可能であるが、月額利用料の負担があること。
(2) 一通話あたりの通話時間に制限があるので、これに留意して使用する必要が
あること。
(3) 複数の免許人で複数の周波数を共用する通信システムであるため、通信要
求の集中時にはその要求に応じ得ない場合があるので、利用に際しては事業主
体との間で優先接続利用の取り扱いとする必要があること。
(4) 都市部及び国道等幹線道路沿いを中心に通信可能エリアを設けているため、
防災体制上必要な場所が通信可能エリアに含まれない場合や所要の回線品質
が確保されない場合があるので、通信可能エリアを事前に確認することが必要
であること。
(5) 音声通信を主に行うものであるため、サイレン等に必要な音質が確保されな
い場合があるので、屋外拡声子局の設置に際しては別途音源を設ける等により
所要の音質を確保する必要があること。
(6) 防災を目的としてMCA陸上移動通信システムを活用するものであることから、
停電対策、地震対策、浸水対策等にも十分配慮し、所要の措置を講ずる必要が
あること。
2 市町村デジタル移動通信システムによる災害情報伝達体制の確立
(1) 防災体制上必要な場所が通信可能エリアに含まれない場合や所要の回線品
質が確保されない場合があるので、通信可能エリアを事前に確認することが必
要であること。
(2) 音声通信を主に行うものであるため、サイレン等に必要な音質が確保されな
い場合があるので、屋外拡声子局の設置に際しては別途音源を設ける等により
所要の音質を確保する必要があること。
3 全国瞬時警報システム(J-ALERT)との接続への配慮
人工衛星を経由して同報無線を自動起動し、住民に緊急情報を瞬時に伝達する
J―ALERTについては、消防庁では、平成19年2月から一部の情報の送信を開
始したほか、今年度から市町村へ衛星モデムの配備を開始し、10月1日(予定)か
らは気象庁の緊急地震速報にも対応できるよう取り組んでいるところです。
このため、MCA陸上移動通信システム又は市町村デジタル移動通信システム
を同報無線の代替として整備する場合にも、J―ALERTとの接続性を確保するよ
うお願いします。
4 財政措置
MCA陸上移動通信システム又は市町村デジタル移動通信システムを活用し、
屋外拡声機能を設けることにより地域住民に対して情報伝達を行う同報無線の代
替として利用する場合、防災対策に必要な措置を講じ、同報無線と同等の機能を
有すると認められるときは、防災基盤整備事業の対象とし、同報無線(デジタル方
式)と同様の財政支援措置の対象となります。
(連絡先)
消防庁国民保護・防災部防災課防災情報室
担当: 西岡課長補佐、斎田係長
電話: 03-5253-7526
FAX : 03-5253-7536

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