消 防 予 第 2 0 4 号
平成17年8月23日
各都道府県消防防災主管部長 殿
東京消防庁・各指定都市消防長 殿
消防庁予防課長
避難器具(緩降機)の点検時等における留意事項について
去る7月13日、愛知県名古屋市内の複合用途防火対象物の6階部分に設置された緩降
機の総合点検(降下点検)に際して、点検者が落下して死亡する事故が発生しました(詳
細については別添参照)。消防用設備等の点検時に死亡事故が発生したことは誠に遺憾で
す。
また、昨年8月5日にも千葉県市川市内において同様に緩降機からの転落事故が発生し
ており、「緩降機の試験及び点検の実施に当たっての留意事項について」(平成16年8
月27日付け消防庁予防課事務連絡)により、周知していただいているところです。
このような状況を踏まえ、類似の事故防止を徹底するために、下記のとおり避難器具(
緩降機)の降下点検時等における留意事項を取りまとめましたので、消防用設備等点検結
果報告時等をとらえ各設備点検業者等へ注意喚起していただくとともに、査察時等には緩
降機の型式失効(着用具(ベルト)に関する規定の整備を行ったもので、平成14年2月
28日にその特例期間が終了したもの)の確認を確実に実施していただきますようお願い
します。
また、各都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県内の市町村に対して
この旨周知していただくようお願いします。
なお、財団法人日本消防設備安全センターを通じ、各都道府県消防設備保守協会へもこ
の旨周知していますので、申し添えます。記1 避難器具(緩降機)の降下点検に当たっては、「消防用設備等の点検要領の全部改正
について」(平成14年6月11日付け消防予第172号)中、「避難器具・総合点検
・緩降機・降下」の点検要領に従って実施する必要があるが、特に事故防止を図るため、
次の事項に十分留意されたいこと。
ア 点検は原則として2人以上で実施するものとし、互いに十分な安全確認を行った上
で降下する必要があること。
イ 着用具は頭からかぶり、必ず胸部にて腕で挟む形で着用すること。
ウ 緩降機のロープの長短の確認は必ず行い、開口部から身を出す時には急激な荷重を
かけることがないよう留意すること。
エ 降下に対しては、体が安定するまで行わず、降下中は腕を上に伸ばすなど不安定な
状態にしないこと。
2 その他の消防用設備等の点検に当たっても事故防止に十分留意されたいこと。
(別添)
◇事故概要◇
1 事故発生日
平成17年7月13日 11時35分頃 2 場所
名古屋市内 耐火造7階建
1階〜3階:事務所
4階〜7階:共同住宅
3 被災者
消防設備士(67歳)
4 事故概要
上記対象物において、6階に設置された緩降機を消防用設備等点検業者が消防法第1
7条の3の3による点検を実施していたところ、地上に落下したもの。
5 緩降機について
松本機工株式会社製ORIRO(降第10〜2号)(平成12年6月19日 型式失
効による取替え済み)消防用設備等点検報告日:平成16年7月16日 異常なし
6 事故調査結果について
緩降機は、名古屋市消防局における降下実験及びメーカー検査の両方において異常は
認められず、被災関係者の聴取においても、緩降機に不具合を確認できる証言は得られ
なかったので、被災者の何らかの過失による事故と判定する。

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