PCB廃棄物処理事業評価検討会〜中間とりまとめ〜


PCB廃棄物処理事業評価検討会
〜中間とりまとめ〜
平成15年3月
PCB廃棄物処理事業評価検討会
はじめに
PCB廃棄物は、長年の間、その処理をほとんど実施することができず、多くの事
業者において保管が続けられてきたが、年月が経過するにつれ、不明・紛失が発生し
ており、このまま、処理の目途なく保管を継続することによって、将来の世代にわた
り、及び地球規模に及ぶPCBによる環境汚染が進行することが懸念される。
このようなPCBをはじめとする残留性有機汚染物質による環境汚染は、国際的に
対応が求められる課題となっており、平成13年5月に「残留性有機汚染物質による
ストックホルム条約」が採択されている。
我が国においては、PCB廃棄物の早期の処理を目指し、平成13年6月にPCB
特別措置法及び改正環境事業団法が制定され、これらの法律に基づき、平成28年7
月までに処理を終えなければならないとする義務をPCB廃棄物の保管事業者に課し
た上で、全国的な処理体制を構築するため、国が環境事業団を活用して拠点的な広域
処理施設を整備し、処理を行うことができることとされた。
円滑に処理を進めるためには、中小企業である保管事業者の処理費用負担を軽減す
ることが必要となることから、環境事業団の処理施設整備及び処理の実施に当たって
は、国庫補助及びPCB廃棄物処理基金を通じた公費助成を行うこととしている。こ
のように中小企業の負担軽減のため税金を投入する事業であることから、環境事業団
の行うPCB廃棄物処理事業については、環境省が事業の必要性、効率性、有効性な
どを的確に評価し、国民に対して説明する責任を有しているが、国民的視点からは、
こうした評価を客観的かつ厳格に実施することが求められる。
PCB廃棄物処理事業評価検討会は、環境省が行うPCB廃棄物処理事業の評価に
ついて、多様な意見を反映し、客観的かつ厳格な実施を確保するため、評価の考え方
や方法等について、国民的な視点に立って多角的に検討することを目的とする。この
中間とりまとめにおいては、評価の考え方や方法等のとりまとめの第一段階として、
評価の基本的な方法を提示し、現在得られている知見から評価を行ったところである
が、さらに十全な評価としていくための課題の整理を行うとともに、PCB廃棄物処
理事業について、処理の必要性を含め、国民の理解を得ていくという視点から、評価
の考え方及び国民への説明のあり方について検討を行った。
今後、本中間とりまとめをもとに、評価の方法等について検討を深めていく。
PCB廃棄物処理事業検討会 委員名簿
(50音順)
〔氏 名〕 〔所 属〕
岡 敏弘 福井県立大学大学院経済・経営学研究科教授
北野 大 淑徳大学国際コミュニケーション学部教授
栗山 浩一 早稲田大学政治経済学部助教授
酒井 伸一 国立環境研究所
循環型社会形成推進・廃棄物研究センター長
崎田 裕子 ジャーナリスト、環境カウンセラー
佐藤 泉 弁護士
竹内 憲司 神戸大学大学院経済学研究科助教授
田辺 信介 愛媛大学沿岸環境科学研究センター教授
座長 永田 勝也 早稲田大学理工学部機械工学科教授
目 次11.検討の目的と進め方11.1 検討の目的21.2 検討の進め方32.PCB廃棄物処理の経緯と課題32.1 PCB廃棄物問題の現状
(1)PCB問題の経緯
(2)PCB廃棄物の保管等の現状
(3)我が国におけるPCB廃棄物処理の状況
(4)PCB特別措置法及び環境事業団法に基づく対策172.2 海外におけるPCB廃棄物処理の動向
(1)PCB及びPCBを含む油の処理基準
(2)海外調査212.3 PCB廃棄物対策の課題223. PCB廃棄物処理事業の評価について223.1 本章の構成243.2 評価の基本的考え方
(1)事業の必要性
(2)事業の効果と効率性
(3)公共関与・公費投入の評価
(4)その他の視点での評価の考え方273.3 ダイオキシン対策としての既存事業との比較による効率性評価
(1)効率性評価の基本的考え方
(2)PCB廃棄物処理事業におけるダイオキシン削減効果の定量化と効率性の検討
(3)PCB廃棄物処理事業による環境への放出量の低減効果及び人への暴露量の低
減効果の定量化の試算
(4)PCB廃棄物処理事業による環境への放出量の低減効果及び人への暴露量の低
減効果に基づく効率性の評価
(5)ダイオキシン対策としての既存事業との比較による効率性評価の課題423.4 その他の方法による効率性の評価の方向性と課題
(1)生命の価値による費用便益分析
(2)代替的費用との比較による効率性の評価
(3)保管継続による環境中への漏洩等による被害額での評価443.5 その他の視点からの評価に関する課題
(1)緊急性又は計画的な処理に関する検討
(2)公平性の評価454. 国民に対する説明のあり方454.1 基本的方向性 464.2 方向性と課題
(1)国民全体への情報公開とコミュニケーションのあり方
(2)立地地域住民を中心としたリスクコミュニケーションに関する方向性と課題495. まとめと今後の課題495.1 検討のまとめ505.2 今後の課題
(1)効率性の評価に関する課題
(2)リスク評価に関する課題
(3)その他の課題52参考文献

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