E T E R N I T Y
こ の 美 し い 地 球 を 明 日 へ と つ な ぐ 。
ほ しMinis t『 y of the
Environment 朋舎判序翁洵合匁%東京メトロ丸ノ内線「霞ヶ関駅」
晨和吠
泰省 ロ
環境省〒100‐8975東京都千代田区霞が関1‐2‐2中央合同庁舎5
号館電話: 03‐3581‐3351(代表) http://www.env.go.jp
東京メトロ丸ノ内線「霞ヶ関駅」 B3出口
東京メトロ日比谷線「霞ヶ関駅」 B3、Cl
出口
東京メトロ千代田線「霞ヶ関駅」 Cl出口令環 境 省http://www.env.go.jp/guide/saiyo/
M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t
0 2 M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t 0 3
2021年。
環境省は、
前身の環境庁の設立から50周年を迎えます。
この節目の年に当たり、
これからの環境省を背負う若手職員に環境行政
への想いを語ってもらいました。
5 0 周 年 記 念 企 画
これからの環境省を背負う
若手職員からのメッセージ
弱い立場のいのちに寄り添う人と自然が
共に生きるための架け橋に
綺麗な環境をずっと先にも見られるように
一つ一つやれることを!より良い環境社会
を創造していくイノ
ベーションを
加速化する社会変革担当省!全て
の命が輝ける 未来創造省
人々
の環境によりよい未来を!地球の2つとない宝物みたい
な環境を
守っていく!
生命と未来を育む
地球を守る砦
環境省の原点である
公害問題に引き続き
真摯に向き合う
2050年カーボンニュートラルの実現人と
自然の共生を
いつまでもFuture in 50 years
M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t
50th Anniversary
メッセージ
〜環境省を目指す君たちへ〜
環境省の歩み
環境省の組織
環境省のミッション
[mission1] 気候変動対策
国内外の気候変動対策を牽引せよ!
[mission2] 海洋プラスチックごみ対策
プラスチックによる海洋汚染を阻止せよ!
[mission3] 生物多様性保全と国立公園
生物多様性の損失を止め
自然と共生する社会を実現せよ!
[mission4] 福島の復興再生と未来
震災から10年
住民とタッグを組み復興を後押しせよ!
[mission5] 環境で地域を元気にする取組
資源を最大限に活用し
持続可能な地域づくりを通じて
環境で地方を元気にせよ!
国際機関への赴任
地方環境事務所/出向実績
採用担当官対談
ワークライフバランス対談
省内外の人材育成制度/留学制度
採用職種0406081012162024283234363840421985年入省。
大蔵省入省後、
主計局主査
(農林水産係)や富山県庁への出向、
主計局主計官
(農林水産省担当)
などを
経て、
東日本大震災後の異動で環境省に。
廃棄物・リサイクル
対策部長、
総合環境政策統括官などを経て、
2020年7月か
ら環境事務次官。
環境事務次官
中井 徳太郎
C O N T E N T S
M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t
0 4 M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t 0 5
m e s s a g e 〜環 境 省 を目 指 す 君 た ち へ〜
私たちは現在、コロナ危機の真っただ中にあり、先行
きが不透明な中、生活をしています。加えて近年、深刻
な気象災害が世界中を襲い、
「気候変動」が「気候危機」
へ移行したと言われています。
人間は、化石燃料や地下資源に依存して大量生産、大
量消費、大量廃棄を繰り返し、二酸化炭素を吸って酸素
を供給してくれる自然のメカニズムを破壊してきました。
この状況を改善して、悲鳴をあげている地球を救い、次
の世代につないでいくためには、経済や社会の根本的な
スキームを変えなければなりません。私たちはまさに、
大変責任の重いステージに立っているのです。
そうした中、環境省の職員は、
「経済、社会、人々のラ
イフスタイルのすべてがサステナブルでレジリエントな
形に変わらなければいけない」
「環境省こそがその旗振り
役になる」という思いで、日々挑戦しています。
高度成長期、大量生産・大量消費で産業が勃興してい
くにつれて経済的に発展しましたが、その代償として公
害問題が起きました。環境と経済が対立する構図です。
しかし今や、環境と経済を同軸とみなし、その好循環を
作り上げることが目指されるようになってきました。国
民のみなさん、経済界、産業界、各自治体とともに、少
しでも早く 2050 年のカーボンニュートラルに近づける
ように日本を、そして世界を先導していく。それが、私
たち環境省の目指す環境政策なのです。
コロナ危機、気候危機に追い込まれ、崖っぷちまで来
ている状況のなかで、これから環境省を目指されるみな
さんには、地球と人類の未来を切り開くべく、みなぎる
パワーを全面的に開放していただきたい。そして、この
危機的状況をいっしょに切り開いていきたいと思ってい
ます。
責任重大な課題ですが、
やりがいは大いにあります。
みなさんのご活躍を、大いに期待しております。
「気候変動」から「気候危機」へ
かつてない危機を打開するパワーを
高度経済成長の陰で日本各地
にて深刻となった公害問題。
その対処を議論したいわゆる
公害国会の後、公害問題に加
えて、自然環境保護という環
境行政を一元的につかさどる
役所として1971年に環境庁
は発足しました。
「外部不経済である環境問題を
内在化する」という環境庁の
ミッションには「資源循環」と
いう観点も必要不可欠でした。
日本政府全体のスリム化・合理
化を目指した省庁再編の中に
あっても、廃棄物行政が統合さ
れ、唯一 庁 から 省 への格
上げとなった環境省は行政改革
の目玉の一つでした。
東日本大震災による大量のがれきの処理、また東京電
力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の一
般環境への放出など、発災当時からその困難な課題に
環境省は真正面から立ち向かっています。また、陸中
海岸国立公園などの既存の自然公園を再編成して「三
陸復興国立公園」を創設し、範囲を青森県・岩手県・
宮城県の3県に拡げ、森里川海の連環を強めるなど、
複層的な復興の支援も推進しています。
M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t
0 6 M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t 0 71957自然公園法制定
1950〜60年代
激甚な公害問題・自然破壊の発生1967公害対策基本法制定1968大気汚染防止法制定1970水質汚濁防止法制定
廃棄物処理法制定1972自然環境
保全法制定1973公害健康被害
補償法制定1988オゾン層保護法制定
1971 20011971環境庁発足
環境庁発足 環境省発足
東京電力福島原子力発電所事故の教訓に基づき、「原子力
に対する確かな規制を通じて、人と環境を守ること」を使
命として、科学的・技術的な見地から、独立して意思決定
を行う規制機関として設置されました。原子力発電所の規
制に関する事務はもちろん、放射線モニタリング、放射性
同位元素の使用等の規制、原子力災害対策、これらに関す
る安全研究などを行っています。2012原子力規制委員会設置2001環境省発足
2011 東日本大震災20122000
循環型社会形成推進
基本法制定2001PCB廃棄物処理特措法制定1992種の保存法制定
リオ・サミット開催
気候変動枠組条約採択
生物多様性条約採択1993環境基本法制定1997京都議定書採択
環境影響評価法制定1998地球温暖化対策
推進法制定2004外来生物法制定2008生物多様性基本法制定2015パリ協定採択
1950's 1960's 1970's 1980's 1990's 2000's 2010's
原子力規制委員会設置
環境省の歩み
環境省は、
公害、
廃棄物問題、
地球環境問題など、
その時代時代に社会が抱える困難な課題に真正面
から立ち向かってきました。
その精神の下、
東日本大震災以降、
津波ガレキの処理、
放射性物質の除
染、
原子力の規制などを一手に引き受けました。
環境影響評価(通称「環境アセスメント」)とは、激甚な公害
被害等の歴史を背景に、開発事業によって環境が破壊された後
に対策を行うのではなく、未然防止の観点から、事業の環境影
響の調査、予測、評価を行うものです。アメリカでは1969年
に導入され、日本でも導入に尽力したものの、そのプロセスは
挫折の連続でした。環境アセス法制定を睨み、政府内調整を進
めること9年、1993年の環境基本法制定が転換点となり、遂
に1997年には環境影響評価法の制定にこぎつけました。
環境ア
セスメントPickUp 2011
東日本大震災
PickUp
環境省定員 2,130 名(令和 2 年度末定員)
(注記)訓令室を除く
組織の能力を最大限に発揮するため、
内部部局は7つのグループに編成されています。
サイバーセキュリティ・情報化審議官
審議官
会計課
政策立案総括審議官 総合政策課
企画評価・政策
プロモーション室
環境研究技術室
環境教育推進室
環境計画課
計画官
地域循環共生圏
推進室
環境経済課
環境影響評価課
環境影響審査室
調査官
総務課
脱炭素化イノベー
ション研究調査室
気候変動適応室
地球温暖化対策課
事業監理官
地球温暖化対策事業室
脱炭素ビジネス推進室
市場メカニズム室
フロン対策室
国際連携課
国際協力・
環境インフラ戦略室
参事官
脱炭素社会移行推進室
自然環境計画課
生物多様性戦略推進室
生物多様性センター
国立公園課
国立公園利用推進室
自然環境整備課
野生生物課
鳥獣保護管理室
希少種保全推進室
調査官
次長
浄化槽推進室
放射性物質汚染
廃棄物対策室
廃棄物適正処理推進課
廃棄物規制課
参事官
企画官
総務課
大気環境課
大気生活環境室
自動車環境対策課
水環境課
閉鎖性海域対策室
海洋環境室
土壌環境課
農薬環境管理室
地下水
・地盤環境室
保健業務室
特殊疾病対策室
石綿健康被害対策室
化学物質審査室
環境安全課
環境リスク評価室
参事官
環境保健企画管理課
秘書課
調査官
地方環境室
〔施設等機関〕
環境調査研修所
所長
次長
国立水俣病総合研究センター
所長
次長
総務課
広報室
〔地方支分部局〕
北海道、
東北、
福島、
関東、
中部、
近畿、
中国四国、
九州
地方環境事務所
(8カ所)
〔審議会等〕
中央環境審議会
公害健康被害補償不服審査会
臨時水俣病認定審査会
有明海・
八代海等総合調査評価委員会
環境省国立研究開発法人審議会
〔独立行政法人〕
〔国立研究開発法人〕
〔特別の機関〕
〔特殊会社〕
中間貯蔵・環境安全事業株式会社
環境再生保全機構
国立環境研究所
公害対策会議
M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t
0 8 M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t 0 9
環境省の組織
環境大臣
環境副大臣
環境大臣政務官
環境事務次官
地球環境審議官
大臣官房
総合環境政策
統括官グループ
環境保健部 地球環境局 水・大気環境局 自然環境局
環境再生・資源循環局
総合環境政策統括官 地球環境局 水
・大気環境局 自然環境局 環境再生
・資源循環局
環境保健部
大臣官房
調査官
(管理事務所等)
国民公園管理事務所
(3カ所)
千鳥ケ淵戦没者墓苑
管理事務所
総務課
循環型社会推進室
リサイクル推進室
総務課
環境省のミッション
1971年の環境庁設置から始まり、環境省の取り組むべきミッションは広がり続けています。 私達と共に無限の可能性を秘める環境行政のフィールドに挑戦してみませんか?
M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t
1 0 M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t 1 1
mission
気候変動対策
mission
近年、顕著な降水や高温が観測される事例が国内外で増加しており、さまざまな被害を
もたらしています。
気候変動は、今や「気候危機」とも言われるほどの全人類共通の喫緊の課題になって
いますが、この「気候危機」への対応は、政府だけの取組では実現せず、地方自治体や
民間企業、
国民一人一人と手を取り合い、
オールジャパンで進めていかなければなりません。
環境省では、
「気候危機」への対応という難しいミッションに真正面から取り組んでいま
す。1P.12
Ministry of the Environment
mission
東日本大震災からの復興・再生は、これまでもこれからも、環境省の最重要課題です。
福島では今日も一歩ずつ、地域の皆様のご理解・ご協力のもと、除染や中間貯蔵、放
射性物質に汚染された廃棄物の処理などの環境再生に向けた事業が進んでいます。また、
脱炭素まちづくりなど、環境省と福島県は未来志向の環境施策にも取り組み、復興の歩
みを進めていきます。
福島の環境再生、そして、共に未来へ進む――。この強い思いを持ち、環境省は今日
も現場の最前線に立ち続けています。4福島の復興再生と未来P.24mission
私たちの暮らしは、自然が生み出すさまざまな恵みによって支えられていますが、その
基盤となる生物多様性は急速に失われています。次の世代もこの恵みを享受することがで
きるよう、自然と共生する社会の実現に向けて、日々挑戦しています。
特に、
地域経済の活性化と自然環境の保全の好循環を生み出し、
環境政策による環境・
経済・社会課題を同時解決することが必要と考え、地域社会の宝でもある国立公園の魅
力向上を図るための取組を進めています。3生物多様性保全と国立公園P.20P.16
海洋プラスチックごみ対策
mission 「気候危機」と並ぶグローバルな課題として、最近耳にする機会が増えた「海洋プラス
チックごみ問題」
。このままでは、2050年には魚よりも海洋プラスチックごみが多い海に
なるとも言われています。
環境省は、2019年6月のG20大阪サミットで合意された「2050年までに海洋プラス
チックごみによる新たな汚染をゼロにまで削減する」ことを目指すビジョンの達成に向け
て、国内外の海洋プラスチックごみ対策をリードする施策を打ち出しています。
2 mission
2015年に国連で採択された世界共通の目標、SDGs(持続可能な開発目標)
。この目
標を達成し、国全体で持続可能な社会を構築するためには、個々の地域の取組の積み重
ねが必要です。
地域特有の素晴らしい資源を最大限活用しながら、
地域からSDGsを達成していく――。
環境省はその可能性を信じ、
「環境」という視点で地域を元気にしていくための施策を展
開しています。5環境で地域を元気にする取組P.28 植物由来の新素材を採用した
環境に優しい自動車です
脱炭素社会の実現の目標のために
各種のイ
ノベーショ
ンに挑戦
国内外の
気候変動対策を
牽引せよ!タイル変革、企業の脱炭素経営の促進など、幅広
い施策に取り組んでいます。
日本は、2014年以降5年連続で温室効果ガ
スの排出削減を実現(G7の中では英国と日本の
み)するなど、これまでも「気候危機」への対応
に貢献してきましたが、「今世紀後半の脱炭素社
会の実現」という野心的な目標の達成のために
は、さらなる「非連続のイノベーション」が必要
だと言われています。環境省では、関係省庁はも
ちろん、地方自治体や企業などの「ノンステート
アクター」(非政府主体)と協力しながら、水
素、CCUS(二酸化炭素の回収・有効利用・貯留)
等の脱炭素技術の開発・実証を通じて、こうした
イノベーションを一早く社会実装させるため、
日々挑戦しています。また、こうした優れた取組
を世界にも発信し、世界全体の気候変動対策にも
積極的に貢献しています。
「気候危機」への対応は、政府だけでなく、ノ
ンステートアクターや国民の皆さん一人一人とと
もにチームを組んでオールジャパンで進めていか
なければならない課題です。環境省はこうした方々
と力を合わせ、
「気候危機」
という喫緊の課題に対
して、これからも真正面から挑戦していきます。
世界の年平均気温は、工業化以前と比較して約
1°C上昇していると言われています。近年、国内
外で豪雨や高温等の異常気象が頻発しています
が、国内外で観測されているこうした現象の増加
傾向は、長期的な地球温暖化の傾向と関係してい
るという見解も示されています。気候変動は、国
際的には今や「気候危機」とも言われるほどの喫
緊の課題として認識されており、脱炭素社会の実
現に向けた機運は明らかに高まってきています。
2015年、国際社会は「パリ協定」という1
つの目標に合意し、今世紀後半の脱炭素社会の実
現に向けて力を合わせて取り組むことにしていま
す。これを受けて、日本でも2019年に「長期
戦略」を策定し、2030年度26%、2050年
80%削減という中長期目標を立てるとともに、
「環境と成長の好循環」という考え方を打ち出し
ました。環境問題に対する取組が経済成長を促
し、その経済成長をさらなる環境問題への取組に
つなげていく―。こうした「好循環」を生み出し
ていくことを政府全体の目標として、環境省で
も、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた取
組、省エネルギーの徹底的な推進、革新的新素材
の開発、クールビズなどを通じた国民のライフス
mission
Ministry of the Environment1気候変動対策
E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
1 2 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 1 3
E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
1 4 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 1 5地球環境局地球温暖化対策課課長補佐岸 雅明地球環境局地球温暖化対策課脱炭素ライフスタイル推進室係員加藤未優2005年入省/I種法律
環境省入省後、
リサイクル推進室、
地球温
暖化対策課市場メカニズム室、
大臣官房総
務課、
米国留学、
資源エネルギー庁再生可
能エネルギー推進室
(出向)、環境保健企
画管理課、
環境再生事業担当参事官室(除染チーム)
などを経て、
2018年から地球温
暖化対策課にて国内対策の総括を担当。
2016年入省/一般職行政
環境省入省後、
自然環境局総務
課に配属となり局内の庶務業務
を行う。
その後、
大臣官房秘書
課で人事・新卒採用業務を経験
し、
現在は、
COOL CHOICEを
はじめとする地球温暖化対策の
普及啓発を担当。
――どんなお仕事をしているのですか。
岸:地球温暖化対策課では、人間活動
による地球温暖化を防止し、私た
ちの生活に悪影響が生じないよう
にすることをミッションとしてい
ます。そこで私は、国内の企業や
家庭などから排出される温室効果
ガスの削減に向けて、経済や社会
を脱炭素型へと切り替えていく政
策の立案を担当しています。具体
的には、企業や家庭への省エネル
ギーや再生可能エネルギーの普及
や、新たな温室効果ガス削減技術
の開発支援などを行っています。
加えて、政府自身の率先実行も担
当しており、環境省が管理する全
国の施設の使用電力を 2030 年ま
加藤:
でに全て再生可能エネルギーに切
り替えるプロジェクトも進めてい
ます。最近では、菅総理が、2050
年までのカーボンニュートラルの
実現を目指すと宣言されたことを
受け、脱炭素化の機運が急速に高
まる中、果たすべき役割・責任の
大きさを改めて実感しています。
私は脱炭素ライフスタイル推進室
で、家庭部門の気候変動対策を担
当しています。2030 年までに温
室効果ガスを 26%削減する、さら
に、2050 年のカーボンニュート
ラル実現にむけて、国民1人ひと
りが気候変動問題に対する危機意
識を高め、ライフスタイルを脱炭
素型へと転換していくことが必要
で す。そ こ で、
「COOL CHOICE
(クールチョイス)
」という旗印を
掲げて、国民の皆さまに対して、
脱炭素社会づくりに貢献する製品
の買い換えや、サービスの選択な
ど地球温暖化対策に資するあらゆ
る賢い選択をしていただくための
普及啓発活動を行っています。
COOL CHOICE の例をあげると、
もう日本にすっかり浸透している
COOL BIZ(ク ー ル ビ ズ)や
WARM BIZ
(ウォームビズ)
があり、
服装などさまざまな工夫をして、
冷暖房を適切に使用しましょう、
ということを呼びかけています。
これ以外にも、家庭の省エネル
ギ ー 対 策 と し て 住 宅 の 断 熱 リ岸:フォームや省エネ家電への買換え
促進など、人々の生活に身近なと
ころにアプローチしています。
地球温暖化の防止は世界的な重要
課題であり、その解決は、今を生
きる私たちの行動にかかっていま
す。地球温暖化による私たちの生
活への悪影響が取り返しのつかな
いものになってしまわないため
に、今世紀後半までに人為的な温
室効果ガスの排出と吸収を均衡さ
せなければなりません。こうした、
今取り組まなければならない地球
規模の重要課題に携わっていると
いうこと自体、非常に大きなやり
がいを感じます。
また、温室効果ガスはあらゆる主
体の活動から排出されており、特
定の業種にとらわれない横断的な
政策の企画立案ができることや、
法案の提出を含めた新たなルール
の整備による新たな社会や経済へ
の変革という、国家公務員ならで
はの仕事ができることもやりがい
につながっていると思います。さ
らに、フラットな組織であり、職員
一人ひとりのアイデアが政策に直結
加藤:岸:しやすい環境にもあると思います。
家庭部門の対策を担当している
と、自分の仕事が比較的国民の皆
さまにダイレクトに届くことが多
く、それに対して反響をいただけ
ることがやりがいになるかなと思
います。
担当している事業のなかでは、国
民の皆さまが気候変動問題を自分
ごととしてとらえ、行動につなげ
てもらえるように、動画や冊子な
どのコンテンツを制作して公開し
たり、自治体やメディアの方にも
提供したりしています。それらが
多くの方の目に触れ、いい反響を
いただけると、私が制作に関わっ
たものによって、気候変動問題に
関心を持っていただけたことを実
感できてうれしく思います。
やりがいとの裏表の関係になりま
すが、スケールが大きな仕事です
ので、国際的な動きに目配りしな
がら国内の政策を考えていくこと
が必要で、視野の広さとスピード
感が求められます。また、横断的
な政策の企画立案をしようとする
と、特定の応援団を得ることが難
しく、幅広い関係者にこれまでの
経済や社会での行動を変えていた
だく必要が出てくるため、合意形
成が一筋縄ではいかないことが多
いと感じます。
さらに、温室効果ガスの削減の必
要性自体はご理解いただきやすい
のですが、スケールが大きすぎて、
実際に企業や個人などの「自分ご
と」としていただくことが難しい
と感じます。地球温暖化防止の取
組が、単なる地球環境問題という
ことだけでなく、いかに企業価値
の向上、地域社会の課題解決、暮
らしの改善につながるかというこ
とを示しながら、取組に共感して
いただきながら行動変容を促して
いくことが必要ですね。
普及啓発活動は、成果として見え
づ ら い 部 分 が あ る こ と で す。
COOL CHOICE を 促 進 し た り、
危機意識を醸成したりするための
動画を作ったからといって、実際
にどれだけの人の行動が変わっ
て、温室効果ガスの削減にどれく
らい寄与したのかと言われると、
なかなか数値などで明確に出しづ
らいんです。そこが難しいところ
だなと日々感じています。
加藤:
――どんなときに、やりがいを感じますか。
――今後の課題はありますか。職員インタビュー1気候変動対策
2100 年までの世界の年平均気温上昇の分布
国際交渉やデータの蓄積で世界を牽引
国内ではライフスタイル変革を促す
か、現状を把握することが対策の第一歩です。日
本は汚染状況を把握するための海洋ごみのモニタ
リングで世界をリードすることを宣言し、ガイド
ラインの作成や、海洋ごみに関する世界的なモニ
タリングデータの共有システムの整備の提案など
を行っています。
気候変動と同じく、海洋プラスチックごみ問題
も、一人一人が自分事として考えていかなければ
ならない課題の一つです。2020年7月から開
始したレジ袋有料化をはじめ、環境省では、ライ
フスタイルの変革を通じて、プラスチックごみの
削減を自分事として考えていただくための施策に
取り組んでいます。「プラスチック・スマート」
キャンペーンでは、自治体・NGO・企業などの
幅広い主体によるプラスチックとの賢い付き合い
方を発信し、協働を促しています。
環境省は「大阪ブルー・オーシャン・ビジョ
ン」の実現に向け、これからも各国や関係主体と
協調しながら、国内外の海洋プラスチックごみ対
策を牽引していきます。
海洋プラスチックごみは、生態系を含めた海洋
環境の悪化や漁業・観光業への影響など、様々な
問題を引き起こしています。このまま対策が取ら
れなければ、2050年までに海洋中のプラス
チックごみが魚の重量を上回ってしまうという予
想も示されています。
海洋プラスチックごみ問題の解決には、海洋へ
の流出量が多いとされている東アジア・東南アジ
ア諸国を含む世界全体で目標を共有し、着実に対
策を実施することが重要です。2019年6月の
G20大阪サミットにおいて、2050年までに海
洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロに
まで削減することを目指す「大阪ブルー・オー
シャン・ビジョン」が共有されました。このビ
ジョンの下、各国が実施する取組を継続的に報告
し、学びあいによって対策を前進させることを目
的とした、「G20海洋プラスチックごみ対策実
施枠組」も構築されました。日本は議長国として
これらを提案し、合意を得ることができました。
またそもそも、海がどれくらい汚染されている
mission
Ministry of the Environment
くろまるプラスチックの生産量が、
毎年5%増加すると仮定
くろまる生産量
(2015年は3.22億トン)
の約3%が海に流出と仮定
【Jambeck 論文等での推計に用いられた仮定】
(出典)
THE NEW PLASTICS ECONOMY(2016), PlasticsEurope(2015), J. R. Jambeck et al.,
Plastic waste inputs from land into the ocean (Science, 13 February 2015)を基に環境省が作成
海洋プラスチック
ごみ対策2E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
1 6 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 1 7
E a f a k l j q g ^ l ` ] = f n a j g f e ] f l1 6プラスチックによる海洋汚染を阻止せよ! E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
1 8 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 1 9水・大気環境局水環境課海洋プラスチック汚染対策室係員鎌倉真奈水・大気環境局水環境課海洋プラスチック汚染対策室室長補佐安陪達哉
2010年入省/I種理工IV
環境省入省後、
2年目から福島
第一原子力発電所事故による
放射性物質汚染対策を担当。その後、
国土交通省へ出向、
環境
アセスメントの制度管理、
気候
変動の長期計画策定の担当を
経て、
現在は、
海洋プラスチック
ごみ問題の国際交渉、
科学的実
態調査を担当。
――どんなお仕事をしているのですか。
安陪:
鎌倉:
私は室長補佐という役職で、海洋
プラスチック汚染対策室全体を総
括しています。私の室は大きく分
けて3つの仕事をしています。1
つ目が「国際交渉・国際協力」で、
海洋プラスチックごみに関する
ルール作りや、東南アジア諸国の
支援を行っています。2つ目が「実
態把握」。 どこからどういったごみ
が出ているのか? どのくらい生
物に影響があるのか? まだ分かっ
ていないことがたくさんあります。
それらを調査して、実態を把握し
ます。3つ目は、
「国内の普及啓発
活動」です。
『プラスチック・スマー
ト』というキャンペーンを展開し、
鎌倉:
安陪:
国民の皆さんに海洋プラスチック
ごみを減らす生活を行っていただ
くための活動を行っています。
私はその仕事が円滑に進むよう
に、他の室員を適宜サポートしな
がら業務を行う立場にあります。
例えば大臣にスピーチいただく際
には、まず私が原稿の素案を用意
します。そのうえで、担当の方に
内容を確認いただき、安陪さんを
含む上司にアドバイスを仰ぎ、最
後に大臣ご本人からコメントをい
ただくという流れで原稿を作成し
ています。
どこからどんなごみが出ているか
といったデータを集めてきて、各
種のマニュアル、ガイドライン、
事例集等を作成するのも仕事の1
つです。自分1人の力だけで環境
問題を解決するのではなくて、日
本全体で解決していくための基盤
を作り、行動の指針を示せること
に、やりがいを感じています。
安陪さん含め、尊敬できる上司か
ら日々いろいろなことを学べるこ
と、また若いうちから国際交渉に
携わる機会をいただけていること
には、非常にやりがいを感じてい
ます。先日は国連の海洋プラス
チックごみに関する専門家会合が
開かれ、別の上司が議長として会
合を取り仕切りました。先ほど安
安陪:
鎌倉:
陪さんからもお話があった通り、
海洋プラスチックごみ問題はまさ
に今、世界で何をすべきかを話し
合っているところです。そうした
ホットトピックに熱い上司と一緒
に関われることは、貴重な経験だ
と感じています。
例えば、新聞でも海洋プラスチッ
クごみに関する記事は増えていま
すし、一般の方からのお問い合わせ
も増えています。体感としても、注
目が高まっていると感じています。
海洋に流出したマイクロプラス
チックが生態系や人の健康に与え 安陪:
る影響も懸念されています。マイ
クロプラスチックは5 mm 以下の
微細なプラスチックを指し、今の
ところ自然環境中で生態系への悪
影響は確認されていません。しか
し、一度流出したマイクロプラス
チックは回収することが難しいた
め、科学的なデータを集めるとと
もに、予防的に流出防止に取り組
むことが必要です。環境省ではそ
の両方に取り組み、特に漂流マイ
クロプラスチックの調査に関して
日本は世界をリードする立場にあ
ります。
難しいと感じているのは、世界全
体での取組の推進です。現在の部
署で各種の国際関係の業務に携
わっていますが、先進国といわゆ
る途上国に、いろいろな立場の方
がいて、それぞれの立場でやりた
いこと、できることが違ってきま
す。この海洋プラスチックごみと
いう1つの大きな問題の解決に向け
て、コンセンサスを得ることは、非
常に難しいことだと感じています。
私は入省して 2 年目ですが、まだ
まだ自分の経験や知識が不十分
で、そのときどきの判断に、上司
の方々と比べて及ばない部分がた
くさんあります。次に活かしたい、
早く成長したいと、悔しさをバネ
に日々頑張っています。
鎌倉:
――プラスチックごみの問題について耳に
する機会が増えたと感じています。
――今後の課題はありますか。職員インタビュー2海洋プラスチック
ごみ対策
《海洋プラスチックごみ対策の取組》
――どんなときに、やりがいを感じますか。
2019年入省/総合職教養
1年目は大臣官房総合政策課にて、
省全体や部局の
窓口業務を経験。
2年目からは海洋プラスチック汚
染対策室にて国際交渉等のサポー
トを行うほか、海洋環境室にて法令改正を担当し、
自動車環境対策課
では電動自動車関連の業務に携わっている。
海洋表層のマイクロ
プラスチックの調査
の様子
マイクロプラスチック
2019 年
TEMM‐NOWPAP
合同ワークショップ
の様子
一丸となって環境保全に取り組み
国立公園を世界水準の旅行目的地に
生物多様性の損失を止め
自然と共生する
社会を実現せよ!種への対応、自然再生などの施策に加え、生物多
様性の世界目標検討への貢献や生物多様性に配慮
したビジネスの推進に日々取り組んでいます。
また、
我が国を代表する傑出した自然の風景地として全国に34の国立公園が指定されています。
日本は
地理的に南北に長く、
流氷が来る亜寒帯からサンゴが
広がる亜熱帯、
火山を有する山岳地帯や入り組んだ海
岸線、
湿原など、
狭い島国の中にさまざまな自然環境
があり動植物も多様です。
国立公園は日本の生物多様
性の屋台骨であると同時に、
自然とのふれあいの場や
地域の観光資源と
しても重要な役割を担っています。
環境省では国立公園の快適な利用環境の創出や魅力
的な体験型コンテンツの充実などに取り組む
「国立公
園満喫プロジェク
ト」
を実施し、
国立公園を世界水準の
ナショナルパークと
して磨き上げ、
世界の人々が訪れ
たいと憧れる旅行目的地にすることを目指しています。
日本の自然はその土地の暮らしや文化と密接に
繋がっており、地域に根ざした環境保全という視
点が欠かせません。このような全国各地の国立公
園や野生生物の保護の現場には環境省の職員とし
てレンジャーが配置され、地域と連携して自然の
保護や利用の推進に取り組んでいます。自然と共
生する社会の実現に向けて、生物多様性の保全や
国立公園の魅力向上にこれからも挑戦し続けます。
生物多様性の損失が新興感染症の発生頻度を高
めていると言われています。
2020年、
生物多様性及
び生態系サービスに関する政府間科学‐政策プラットフォーム
(IPBES)
は、
「パンデミックの根本的な原
因は、
生物多様性の損失や気候変動を引き起こす地
球環境の変化と同じ」
であることを示しました。
その
うえで、
例えば、
「土地利用の変化、
農業の拡大と集
約化、
野生生物の取引と消費など」が「野生生物、家畜、
人間のより密接な接触」
を誘引していることを指
摘し、
特に
「新興感染症の3割以上は生物多様性に影
響を与える土地利用の変化により引き起こされて」いるという観点から、
「今後はパンデミックの発生後に
対応するのではなく、
予防を行うアプローチへと抜本
的に移行する」
必要があると警鐘を鳴らしています。
「生物多様性」とは、生きものたちの豊かな個性
とつながりのことをいいます。私たちの暮らしは、
食料や水、気候の安定など、自然が生みだすさま
ざまな恵みによって支えられていますが、世界の
生物多様性は人類史上これまでにないスピードで
損なわれています。次の世代もこの恵みを享受す
ることができるよう、自然と共生する社会の実現に
向けて、国際社会が一丸となって緊急的な行動を
とることが求められており、環境省も絶滅危惧種
の保全、鳥獣の保護・管理、
ヒアリ等の侵略的外来
mission
Ministry of the Environment3生物多様性保全と国立公園
〈奄美大島〉世界自然遺産に向けたIUCNの現地視察 〈佐渡〉
トキのモニタリング(ヒナの足環装着)
〈大台ヶ原〉子供たちとの自然観察会 〈南アルプス〉高山植生保護のための整備
E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
2 0 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 2 1
E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
2 2 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 2 3職員インタビュー
知床国立公園 十和田八幡平国立公園 日光国立公園 伊勢志摩国立公園 阿蘇くじゅう国立公園
旅行博での海外プロモーション支援 利活用促進に向けた地域関係者との意見交換
新たなツアー造成に向けた現地調査
慶良間諸島国立公園
――
「国立公園満喫プロジェクト」の目
的を教えてください。
ひとつは、日本ならではの国立公園の持
つ魅力を活かして、海外や国内の多くの
方々に素晴らしい日本の国立公園に訪れ
ていただき、地域固有の自然・文化・暮
らしを体感して楽しんでもらえるように
すること。もうひとつは、
「自然環境の保
護」と「国立公園の利用」が循環する仕
組みづくりです。国立公園を利用するこ
とが地域の経済にも資するものになって、
地域のなかでも国立公園の価値が再認識
され、環境の保護にもつながっていくこ
とを目指しています。
――どういった背景で、プロジェクトが
できたのですか。
2016 年に「明日の日本を支える観光ビ
ジョン」を政府が策定し、その施策の柱
として、国立公園を観光資源として活用
することが掲げられました。政府は、
「地
方創生」の切り札として観光を基幹産業
しています。私は本省で、プロジェクト
全体の取組の方向性検討や進捗把握、現
地との調整、有識者会議の開催などを担
当していて、現地の意見を聞きながらプ
ロジェクトを進めています。
――プロジェクトの今後の展望やミッ
ションを教えてください。
新型コロナウイルスの影響で、国立公園
等の観光事業者等に大きな影響が出てい
ることを踏まえ、環境省では、民間事業
者の雇用の維持・確保、雇用につながる
ツアーの支援を行い、ワーケーションの
推進や国内の誘客にも力を入れ始めまし
た。国立公園満喫プロジェクトを通じて、
減少した国内外の利用者を復活し、地域
経済の活性化につなげていくことを目指
して、そして、将来にわたって自然が守
られ楽しめる場としていけるよう現地の
職員とともに力を合わせて取り組んでい
きたいと思います。自然環境局国立公園課公園計画専門官滝澤玲子2006年入省/I種農学III
環境省入省後、
本省や地方環境事務所勤務
の後、
阿蘇く
じゅう、
やんばるにおいて、
国立
公園の保護管理を担う自然保護官として勤
務。
その後、
京都大学野生動物研究センター
への出向を経て、
現在は本省国立公園課に
おいて、
国立公園への国内外の誘客や自然
を満喫する上質なツーリズムの実現を目指す「国立公園満喫プロジェク
ト」
を担当。
――
「大山隠岐国立公園満喫プロジェ
クト」の目的を教えてください。
大山隠岐国立公園は、中国地方最高峰の
大山を核とする山々、ユネスコ世界ジオ
パークである隠岐諸島、出雲大社等の神
話にまつわる名所旧跡の多い島根半島海
岸部から成ります。伝統的な神事や祭が
今も数多く執り行われているなど、日本
の原風景といえる暮らしが、山と島と海
の自然風景に溶け込んでいる点が魅力
です。
満喫プロジェクトでは、こうした当公園
ならではの魅力を極めるとともに、新型
コロナウイルスの影響下にある現状で
は、収束後を見据えて国内外からの利用
を回復させることを目的としています。
――レンジャーは、どういったことをす
るのですか。
当公園の満喫プロジェクトは、
1自然と
調和した持続可能な観光の実現、
2感動
を与える体験の提供、
3多様な利用・需
要に応じたサービスの提供、
4安全・安
心の確保と利便性と景観の向上、
5戦略
的な誘客・プロモーションの実施の5つ
を柱として、公園内に限らず周辺地域と
連携しながら、官学民が一体となって展
開しています。各項目の実施事例を挙げ
ると、大山での入山協力金制度導入の検
討や携帯トイレの設置、ユニークな体験
ツアーの造成、グランピング宿泊体験の
提供、廃屋の撤去と商業施設への転換、
国内外のインフルエンサーを招致しての
情報発信など。レンジャーは、プロジェ
クトの全体方針の作成や見直しにおいて
主導的な役割を担うとともに、実施主体
あるいは地域のコーディネーターとして
個々の取組に携わっています。
――やりがいと、今後の展望を教えてく
ださい。
満喫プロジェクトは、傑出した自然を誇
る国立公園を観光資源として捉え、その
資質を損なわせることなく最大限活用す
るものです。前向きな内容で、地域の皆
さんに喜ばれる取組であることにやりが
いを感じています。また、いい意味で領
域がない点が魅力です。今後の展望とし
ては、当公園で、SDGs の達成にも資す
る持続可能な観光の優良事例を積み上げ
ていきたいですね。
中国四国地方環境事務所大山隠岐国立公園管理事務所
所長
辻田 香織
2007年入省/I種農学III
北海道地方環境事務所、
志賀高原自然保護官事務所及び現職で国立公園
の保護管理に携わる。
この前後に配属された自然環境局自然環境計画課、
野生生物課、
出向した外務省地球環境課では自然関連の国際条約等を
担当。
2017年には政策研究のため半年間渡米。
大山山頂付近の携帯トイレブース
三瓶山西の原でのグランピング宿泊体験
国立公園満喫プロジェクトその自然には、
物語がある。
に育てるべく、インバウンド客数や旅行
消費額の倍増目標を掲げています。国立
公園においても、外国人の受け入れ環境
を整え、自然を満喫しながら長く滞在し
ていただけるような、質の高いツーリズ
ムを実現することを目指し、先行的・集
中的に取組を進める8つの公園を中心に
取組を開始しました。
――具体的に、どんな取組をしているの
ですか。
外国人観光客に分かりやすい多言語解説
や自然・文化の魅力を体感できるツアー
コンテンツの充実、ビジターセンターな
どの公共施設への民間サービス導入(カ
フェなど)
、利用者の負担による保全の
仕組みづくり、廃屋撤去と新たな商業施
設の誘致、海外プロモーション等さまざ
まな取組を行っています。
各公園の現地では、レンジャーが事務所
の仲間や自治体、関係省庁、民間企業の
方々と連携しながらこれらの取組を実現
「福島再生・未来志向プロジェクト」
で福島復興の
新たなステージに向けた未来志向の取組を推進
理・保管するため、ご地元の大変重い決断の下、
受入れを容認いただいた施設です。県内に残る
「仮置場」の早期解消に向け、安全を第一に、地
域のご理解を得ながら現在も除去土壌等の輸送な
どを進めています。
また、福島県は、2050年までに脱炭素社会
の実現を目指す、「福島県2050年カーボン
ニュートラル」を宣言しています。こうした地域
の強みを創造・再発見する復興の新たなステージ
に向けた「未来志向」の取組が被災地では始まっ
ています。環境省は、脱炭素まちづくりへの支
援、自然資源の活用など得意分野のノウハウを最
大限活かした分野横断的な政策パッケージである
「福島再生・未来志向プロジェクト」を戦略的に
展開し、2020年8月には未来志向の環境施策
の推進に向けて福島県と連携協力協定を締結する
など、福島の復興に貢献していきます。
東日本大震災からの復興は、環境省だけでなく
政府全体の最重要課題です。「福島の復興なくし
て東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再
生なし。」環境省は現場の最前線に立ち、復興に
向けた重要な事業を引き続き一歩一歩着実に進め
ていきます。
2011年3月11日午後2時46分、マグニ
チュード9.0という日本周辺での観測史上最大の
地震が発生し、それにより引き起こされた津波に
よって、東北地方の太平洋沿岸を中心に広範かつ
甚大な被害が生じました。また、東京電力福島第
一原子力発電所の事故によって大量の放射性物質
が環境中に放出され、被災した多くの方々が避難
生活を余儀なくされました。この東日本大震災か
ら、2021年で10年です。
この間、環境省では除染、中間貯蔵、放射性物
質に汚染された廃棄物の処理、リスクコミュニ
ケーションなどの取組を進めてきました。2017
年度末までに、福島県を含む8県100市町村の全
て(帰還困難区域(放射線量が高く、長期間帰還
が困難であることが予想される区域)を除く。)
で面的除染が完了しました。また、帰還困難区域
においても、「福島復興再生特別措置法」に基づ
く計画が認定された6町村全てにおいて、家屋等
の解体・除染を実施しています。
こうした取組の成果として、生活環境の放射線
量は大幅に低減され、避難指示の解除も進みまし
た。除染によって生じた土壌・廃棄物(除去土壌
等)は、「仮置場」で一時的に保管され、大熊
町・双葉町の「中間貯蔵施設」へ搬出されます。
この「中間貯蔵施設」は、除去土壌等を福島県
外に最終処分するまでの間、安全に集中的に管
mission
Ministry of the Environment
福島の復興再生と未来4福島地方環境事務所 業務の3本柱
放射線で汚染された地域の土を剥いで仮置場に集める。
除染された土が各地の仮置場から集約されるのが中間貯蔵施設。
土は30年間ここで保管して、
県外で最終処分されることが、
法律で
決められている。
住民が避難をした11市町村の津波がれき、
倒壊した家屋の木材など
を集めて処分する。
1 除 染
2 中間貯蔵施設の整備・運営
3 廃棄物の処理
E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
2 4 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 2 5
E a f a k l j q g ^ l ` ] = f n a j g f e ] f l2 4震災から10年
住民とタッ
グを組み
復興を後押しせよ! E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
2 6 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 2 7福島地方環境事務所中間貯蔵部中間貯蔵総括課土壌再生利用推進室喜久川裕起福島地方環境事務所環境再生・廃棄物対策部調整官小沼信之
2019年入省/総合職経済
地球環境局の総括窓口と
して、
国会対応等を担当。
1年と3か月の本省勤務の後、
福島地方環境事務
所へ異動。
現在は、
除去土壌の再生利用の理解
醸成に向けた広報等を担当している。
2002年入省/
I種化学
東日本大震災直後は、
内閣
官房にて原子力規制委員会
の設立を担当。
その後、約3年間にわたり環境副大臣の
秘書官を務め、
除去土壌等
の中間貯蔵施設の建設や搬
入の調整に関わる。
このほ
か、
気候変動適応法の制定
に貢献するとともに、
廃棄物
管理の国際協力にも尽力。現在、
放射性物質汚染廃棄物
の処理を担当。
――どんなお仕事をしているのですか。 ――どんなときに、やりがいを感じますか。
小沼: 小沼:
喜久川:
福島地方環境事務所(以下、福島
事務所)の業務は、
「除染」
「中間
貯蔵施設の整備・運営」
「廃棄物
の処理」が3本柱です。私は福島
事務所が2度目なのですが、現在
は廃棄物の処理を担当していま
す。住民が避難をした 11 市町村
は、住民が自ら津波がれき、倒壊
した家屋の木材などを廃棄するこ
とができないので、国が直轄で処
理を行っています。可燃物は仮設
焼却施設を建設して処理し、不燃
物は特定廃棄物埋立処分施設に埋
め立てます。
私は土壌再生利用推進室に所属し
ています。中間貯蔵施設には、最
終的に 1400 万立方メートル、東
京ドーム約 11 杯分もの土が運ば
れますが、すべてを県外最終処分
することは難しいんです。
そこで、
除染した土の中でも放射能濃度が
低い土を再生利用する事業が進ん
でいます。現在は飯館村の長泥地
区に汚染が少ない土を運び、放射
線を遮るための土で覆って農地を
造成しています。2020 年に栽培
実験を行ったのですが、その作物
の 放 射 能 濃 度 は 基 準 値(100
ベクレル)を大幅に下回る1〜 2
ベクレル程度でした。この結果を
受けて、来年度から本格的に農地
の造成を行っていく予定です。
私は福島市の出身ということもあ
り、原発事故には特に心を痛めて
いました。そんなとき、環境回復
を担う環境省の出先機関として福
島事務所ができたとき、自ら志願
して配属され、中間貯蔵施設の担
当になったんです。汚染された土
を大量に保管する施設ですので、
大熊町、双葉町に受け入れていた
だくまでのプロセスは困難を極め
ましたが、苦渋の決断として、地
元のご理解を得ることができまし
た。除染をした土をはじめて中間
貯 蔵 施 設 に 運 び 入 れ た 瞬 間 は、
「やっとここまでたどり着いたな」
と感動しましたね。
喜久川:
小沼:
小沼:
そして、大熊町、双葉町にも少し
ずつ復興の拠点ができはじめてい
ることを嬉しく思います。福島の
復興に携われていることが、いち
ばんのやりがいです。
他地域に避難している方々とお会
いすると、みなさんがそれぞれ描
く長泥地区の未来の姿を話してく
ださいます。飯館村の長泥地区は
ま だ 帰 還 困 難 区 域 な の で す が、
元々農業を生業とした方が暮らす
地域でした。ですから、土壌を再
生利用して農作物を収穫する事業
は、長泥地区の避難解除につなが
ります。現場で 1 人ひとりの声を
聞きながら、地道に事業を進めて
いくことができるのは、福島事務
所ならではのやりがいなのかな、
と思っています。
喜久川:
福島事務所では、県内各地の支所
を含めると、約 500 人が働いてい
ます。そのうちの 8 割程度は任期
付きの現地採用職員で、さまざま
な職歴の方がいます。そういった
方にいかに力を発揮していただき、
チーム力を高めるかが課題です。
私は広報も担当しているのです
が、正しい情報をどう伝えるのか、
に頭を悩ませています。風評被害
はいまだに少なくありません。土
壌の再生利用の意義と成果を正確
にわかりやすく伝えるため、広報
誌「ふくしま環境再生」を発行し
たり、
「なすびのギモン」という
広報番組を制作したりと、試行錯
誤をしているところです。
もちろん、福島の復興に関わりた
い、という方は大歓迎です。
環境省の仕事は、海外に出張して
英語で交渉をするようなインター
ナショナルなものから、福島事務
所のように地元密着のローカルな
ものまで、多岐にわたります。そ
れだけ、関わるステークホルダー
も多い。そういった仕事の幅に魅
力を感じてくださる方に、応募し
ていただきたいですね。
私は採用 2 年目ですが、仕事の幅
には同感です。昨年までは温暖化
対策を担当しており、どちらかと
いうとマクロな視点が必要でし
た。一方福島では、1 人ひとりと
向き合うミクロな視点に重きがあ
ります。仕事の振れ幅を糧にして
一緒に成長していける方を、お待
ちしています。
喜久川:
――今後の課題はありますか。
――最後に、学生へのメッセージをお願
いします。職員インタビュー4福島の復興再生と未来
校庭の表土の削り取りをする様子(飯館村)
《 福島地方環境事務所の取組 》
仮置場の全景(双葉町)
飯舘村での住民説明会の様子
広報誌
「ふくしま環境再生」
持続可能な地域づく
りを担う
人材を育成し
「地域循環共生圏」
の創造を目指す
資源を最大限に活用し
持続可能な地域づくりを通じて
環境で地方を元気にせよ!ルSDGs」)の創造に向けて取り組んでいま
す。持続可能な地域づくりを通じて、環境で地方
を元気にしていく、そして、持続可能な地域づく
りを担う人材育成を行うことを目指すものです。
例えば、地方は再生可能エネルギーの導入ポテ
ンシャルが大きいもののエネルギー需要が少な
く、逆に都市部は、エネルギー需要が大きい一
方、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルは少
ないという特徴があります。このような特徴を活
かし、神奈川県横浜市と東北地方の12市町村は
2019年に連携協定を締結しました。東北地方
から横浜市に再生可能エネルギーを供給するとと
もに、これをきっかけとする住民・企業間の交流
を深め、特産品や人が行き交う仕組みが構築され
ています。電気のつながりから、人のつながり
へ。「地域循環共生圏」の創造を目指し、実際に
様々な取組が各地で行われています。
地域が抱える環境・経済・社会の課題を同時解
決し、地域を、そして日本を元気にしていくた
め、環境省は今日も「地域循環共生圏」の創造に
向けた後押しを続けています。
我が国の環境・経済・社会の課題は相互に関わ
り合っており、それぞれの地域社会に大きな影響
を与えています。例えば気候変動の分野では、近
年の猛暑によって増加している熱中症が毎年の夏
の社会課題になっているほか、豪雨による河川の
氾濫などの被害は、平時からの防災の必要性を強
く意識させる結果につながっています。
2015年、「パリ協定」と同じく世界共通の目
標として、「持続可能な開発目標」(SDGs)が
国連で採択されました。「誰一人取り残さない」
をテーマに、持続可能でよりよい世界を目指す国
際目標であり、途上国だけでなく、日本を含む先
進国も自ら率先して取り組む必要があります。そ
して、国全体で持続可能な社会を構築するために
は、個々の地域の取組の積み重ねが必要です。
地域には、再生可能エネルギーなどのエネル
ギー面はもちろん、豊かな自然や観光資源など、
それぞれに特有の素晴らしい資源が眠っていま
す。こうした地域資源を最大限活用しながら、地
域からSDGsを達成していく――。環境省はそ
の可能性を信じ、「地域循環共生圏」(「ローカ
mission
Ministry of the Environment5環境で地域を元気にする取組
第3回「山の日」記念全国大会 in 鳥取開催記念「大山フォトコンテスト」
一般部門最優秀賞 真砂昇平「大山の恵み」
E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
2 8 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 2 9
――どんなお仕事をしているのですか。
私の所属する課の仕事は、大きく分けて
「脱炭素の推進」
「地域循環共生圏の推進」
の2つがあります。ただ、脱炭素の推進
も、私たちは、その取組を地方に実装し
ていくことがミッションで、
その際に 地
域循環共生圏 という考え方は欠かせま
せん。そういう意味で、2つの仕事は切
り離せないものでもあります。
―― 地域循環共生圏 について教えて
ください。
各地域が美しい自然景観等の地域資源を
最大限活用しながら自立・分散型の社会
を形成しつつ、地域の特性に応じて資源
を補完し支え合うことにより、地域の活
力が最大限に発揮されることを目指す考
え方です。
たとえば、東京に本社があるエネルギー
事業者があって、地域に発電所があると
します。売り上げの多くが域外に流出し
てしまうようなケースもあります。それ
では、自立・分散型の社会になりません。
このようなケースでは、地元の企業を活
用、利益の一部を地元の住民に還元した
りすれば、地域のヒト、モノ、カネがぐ
るぐる動いてきます。また、大都市と農
村の間で人・モノ・金を循環させる取組
が重要です。自分自身、数年前に福井県
庁に出向させていただく機会を頂きまし
たが、
「地方創生」とはこれ、みたいな
定義には驚くほど行き当たりませんでし
たが、地域の目線から様々な経験をさせ
ていただきました。そうした経験も踏ま
えながら、地域における脱炭素の取組が
地域の活性化につながるように取り組ん
でいきたいと考えています。
――脱炭素についても、もう少し教えて
ください。
脱炭素の推進は、実は国ではなく、地方
がリードをしていくことも多いんです。
自治体の担当部署が住民のみなさんと対
話をして、どういう取り組みをすれば、
地域の CO2 が削減できるかを考えて実
践。一昨年の 9 月、日本全体で 2050 年
カーボンニュートラルを宣言している自
治体は 4 つに過ぎませんでしたが、今で
は 200 を超える自治体が宣言し、昨年の
国のカーボンニュートラルへのコミット
メントを後押ししました。自治体が国の
取組をリードした場面だったと思います。
――どんなときに、
やりがいを感じますか。
自動車業界にエコの意識がまだ根づく前
に、エコドライブを周知させるための
DVDを制作したことがありました。
車は、
車種に関わらず、運転の仕方でだいぶ燃
費が違うのですが、当時は車種による実
燃費の違いのみ注目されていました。そ
こで、毎日の家事でエコ意識が高い主婦
の観点も取り入れて、ガソリンがどれだ
け節約できるかを「見える化」した DVD
に仕上げました。結果、その年の大手自
動車メーカー各社のCMの右下に「エコ
ドライブを心がけましょう」
というテロッ
プが一斉に入ることになり、エコドライ
ブの観念が世間に広まる一助となりまし
た。入省 2 年目でしたが、
そのようなチャ
レンジをさせてもらい、認めてもらえた
ことはうれしかったですね。
――今後の課題はありますか。
車の運転もそうですが、通勤、買い物、
ゴミ捨てなどの家事、プラスチックのレ
ジ袋......。日常生活の1つひとつのアク
ションが、 環境 につながっています。
ですが、
「見える化」されていないと感じ
ることがあります。環境省では、さまざ
まなフィールドで「見える化」をうなが
してルールを整備し、新しい取組を提案
することができます。それが、私自身の
ミッションであり、夕方 17 時以降に積
極的に取り組んでいます(笑)
。2 年目
の若輩者でも社会に一石を投じることの
できる役所です。少しでも興味を持たれ
た学生さんに是非私たちの話を聞いてい
ただきたいと思っています。
――どんなお仕事をしているのですか。
私は、
持続可能なまちづくりのための様々
な公民連携プロジェクトに取り組んでい
ます。小田原市では、EV シェアリング
サービスを展開しながら、これらの蓄電
池の充放電を遠隔制御して地域でエネル
ギーを効果的に使う取組が始まっていま
す。
さらに、
このシステムとメガソーラー、
大型蓄電池等を組み合わせて、全国でも
先進的な既存系統線を活用する地域マイ
クログリッド事業にも着手しました。
また、地域ではイノシシ等の獣害が農林
業者を悩ませていますが、首都圏の若者
の狩猟免許取得が盛んになってきている
んです。そこで、両者をマッチングする
サービスの立ち上げを民間鉄道会社と
行っています。そのほか、森林施設での
ワーケーション、空き家・耕作放棄地で
のコワーキングスペースづくり等、地域
の課題を解決する事業創出にも取り組ん
でいます。
――どんなときに、やりがいを感じます
か。また、環境省に戻ったらやりたいこ
とを教えてください。
現場で脱炭素社会といえば、温暖化対策
としてだけでなく、交通・防災・地域活
性化等、さまざまな課題とあわせてどう
解決するかを考えることになります。要
するに、どんな分野ともかかわれるんで
す。その上で、具体的なプロジェクトを
関係者と一緒に作り込めるダイナミック
さには、とてもやりがいを感じます。
現場に出て感じることは、地域課題と地
域外のシーズ、効果的な制度・事業を組
み合わせることの重要性です。これをつ
なぐ人材がいれば、もっとよくなると考
えているので、環境省に戻ってからも楽
しい仕事ができそうです。
――最後に、学生へのメッセージをお願
いします。
いろいろな分野を越境できる視点、まず
飛び込んでみる姿勢があると楽しい仕事
ができそうです。ぜひご一緒に!
小田原市環境部
管理監
福井 和樹
2007年入省/I種理工Iこれまで地球温暖化対策事業の立案、
福島第一原発事故からの除染工事の
企画・設計、
パリ協定採択時の国際交渉等を担当。
直近ではG20での海洋プ
ラスチックごみ対策の国際ビジョンづく
りを担当した後、
2019年7月から神
奈川県小田原市役所に出向。
エネルギー・地域資源の循環による持続可能
なまちづく
りに尽力。
E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
3 0 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 3 1大臣官房環境計画課課長補佐黒部 一隆
2003年入省/I種法律
入省後、
自然環境局総務課でエコツーリズムの推進
や生物多様性基本法の策定等に従事、
その後、
九州
地方環境事務所
(熊本市)
や福井県庁への派遣を経
験し、
地域や自治体目線での政策立案を経験。
一方
で、
経産省出向等の経験を通じて、
再生可能エネル
ギーの普及に係る実務を経験。
現在は環境計画課に
おいて、
自治体のゼロカーボンシティの枠組み立ち
上げ、
国と地方による官邸会議などの運営を担当。5環境で地域を元気にする取組職員インタビュー 経済協力開発機構
(OECD)日本政府代表部一等書記官中村祥M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t
3 2 M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t 3 3
国際機関への赴任
気候変動対策や自然保護などの諸問題は国境を超えた対応が求められます。環境省では、
世界中の組織
や活動拠点に職員を派遣し、
各地で任務を遂行しています。
ベトナム天然資源環境省
くろまるアジア開発銀行(フィリピン)
くろまるインドネシア
環境林業省
経済協力開発機構
(OECD)
(フランス)
経済協力開発機構
(OECD)
日本政府代表部
(フランス)
国際連合気候変動枠組条約
(UNFCCC)
事務局
(ドイツ)
くろまる国際連合環境計画技術産業経済局
(スイス)
くろまる在ジュネーブ国際機関日本政府代表部
(スイス)
くろまる国際原子力機関(オーストリア)
くろまる地球環境ファシリティー
(GEF/アメ
リカ)
くろまる国際復興開発銀行
くろまる国際連合経済社会局
(アメ
リカ)
くろまる在アメ
リカ合衆国日本国大使館
くろまる中国環境保護部
くろまる在中華人民共和国日本国大使館
国際復興開発銀行
アフリカ地域技術部門環境・
天然資源管理ユニット(ケニア)
在ケニア日本国大使館
国際連合環境計画・
生物多様性条約事務局
(カナダ)くろまる
アジア工科大学院
(タイ)
アジア太平洋地域資源センター
くろまるイラン環境庁
独立行政法人
国際協力機構
(JICA/サモア)
くろまる在ブラジル
日本国大使館
くろまる在パプアニューギニア
日本国大使館
在タイ日本国大使館
国連大学サステ
ィナビリティ
高等研究所
(UNU‐IAS/東京)
在インド
日本国大使館
くろまる在ドイツ日本国大使館
(注記)過去 10 年間の派遣実績
私は、OECDと日本政府のつなぎ役として、環境
と化学物質管理を担当しています。
環境問題が経済、
社会課題と密接に関連していることをエビデンス
ベースで認識し、日本と世界の両方に有益な道を探
すことができるのは、この仕事の魅力の一つです。
国ごとに、利害だけでなく、政策を進める際の考
え方そのものが違っているということを改めて実感
しています。根本的にはそれぞれの国の社会・文化
に根ざした違いであることも多く、そうした違いを
単に否定するのでなく、互いに尊重しつつ一緒に進
む道を模索することの重要性を感じています。各国
だけでなく、国際機関としてのOECDにも、ある意
味で固有の目的とビジョンがありますので、その点
も意識するようになりました。
環境問題解決には、将来を見越した長期的な視点
と、目の前で起きている問題への速やかな対応とい
う両方の側面が必要で、政策立案を通じて、現在と
未来をつないでよりよい日本になるよう努力してい
ける仕事でもあると思っています。
UNFCCCは、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)を開催したり、
各国による京都議定書やパリ協定等の履行を支援したりしています。私の仕事
は、途上国の気候変動分野の能力向上支援です。国連の立場で世界を俯瞰す
ると、
環境問題は人類共通の課題で、
その解決は人類全体の進歩だと感じます。
昨年、主要国が2050年や2060年までの脱炭素を宣言しましたが、気候変動
をはじめ、公害、自然破壊、廃棄物、放射能汚染などの環境問題は18世紀以
降の工業化の負の側面であり、環境行政とは、この負の側面をゼロにし、プラ
スを生み、より良い未来を創っていく挑戦であるとの思いを強くしました。
環境行政のフロンティアは益々広がっています。一緒により良い未来を創っ
ていきましょう。
入省後、
廃棄物・3R、
海洋環境、
環境アセスメン
ト、
フロン対策と
いった分野で、
国内制度構築と国際協力を一気通貫で繋ぐ仕事
に多く携わり、
現在、
経済協力開発機構
(OECD)
に対する日本
政府の環境・化学物質管理担当のフロン
トとして勤務。
東日本大
震災直後は、
2年にわたり除染を担当。
国際連合気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)
Junior Professional Officer
小俵 大明 2014 年入省/総合職経済
私は、タイの環境改善のため、日・タイ間の環境分野での協力を担当して
います。経済発展を遂げつつあるタイでも、日本では当たり前のように行わ
れていることが完全には行われていません。日本の技術、知見、経験を活か
して目の前の環境問題解決の力になれることがこの仕事の魅力です。一方、
国によって、環境改善のための最適なアプローチが全く異なることに驚きま
した。日本の成功事例をそのままタイに導入するのではなく、状況に応じた
適切な解決策を講じることが重要だと実感しました。途上国の人口・経済が
拡大する中、途上国の環境をよくすることは、地球全体を持続可能にするた
めに非常に重要な課題で、やりがいを感じます。
在タイ日本国大使館
一等書記官
寺井 徹 2008 年入省/I種理工I2008年入省/I種理工III M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t
3 4 M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t 3 5
地方環境事務所/出向実績
環境省では、全国7ブロックおよび福島の地方環境事務所を中心として、地域の実情に応じた機動的
かつきめ細やかな環境施策を展開しています。福島地方環境事務所総務部 部長中原敏正 福島地方環境事務所において、私は、人事・情報公開等の
総務関係業務、広報関係業務、事業の円滑な実施のためのルー
ルの策定等の企画関係業務、経理関係業務の統括・総合調整
を行っています。
全国に設置されている地方環境事務所は、地域の実情を把握
し、その実情に応じた取組を円滑に実施するために設置され、
そうした目的が事務所の魅力であり、環境問題にとどまらない
地域の実情を把握することにより、より地域を理解することが
でき、地域に役立つ取組への意欲が高まると考えます。
これらは地方環境事務所に共通するものですが、福島地方環
境事務所は、これらに加え、政府の最重要課題の一つである東
日本大震災及び原子力発電所の事故により被害を受けた福島県
の環境の再生・復興に大きな役割を担っ
ており、職員はこれに貢
献したいという意思を持っ
て業務を行っ
ています。
環境の保全のための施策を進めていく上で、水俣病等の公害
や原子力発電所の事故による環境の汚染等に対応するために環
境省が行ってきた取組を学ぶことが重要であると考えています。
このため、環境省での勤務を希望される皆様に限らず、環境省
で勤務している職員の皆様にも、こうした取組を学んでいただ
きたいと思います。
南アルプス国立公園の管理、ライチョウやキタダケソウの保
護増殖事業に関する業務を行っています。春〜秋にかけての開
山期は、登山道の巡視、防鹿柵の設置、シカの捕獲、ライチョ
ウの捕食者対策、登山基地であるインフォメーションセンター
の管理運営等のため、入山する機会が多くあります。冬の閉山
期には、上記業務のとりまとめ、各種会議への出席、次年度業
務に向けた検討・調整等のデスクワークを行います。また、1
年を通じて、開発行為に係る許認可業務があります。
日本を代表する自然の風景地として、山から海まで、亜寒帯
から亜熱帯まで指定されている国立公園に住み込み、魅力を堪
能すること。
その経験が、
国立公園を理解し、
管理するレンジャー
の業務に還元されます。
環境省の現場事務所は小規模で、広大な国立公園を管理する
ためには地方自治体、地権者、民間業者、ボランティア等との
協働が欠かせません。多様な地域関係者とやりとりするなかで、
自然に寄り添う文化や歴史について学ぶ機会が多くあります。
自然と、自然と共生する地域の人と対話し、国の施策に反映
させることが、この仕事の醍醐味です。日本全国の多様な自然
を活かした、持続可能な地域作りに携わってみませんか。1988年入省/II種行政関東地方環境事務所南アルプス自然保護官事務所 自然保護官雨宮俊2008年入省/II種林学環境省の職員は、若い時期から省外の様々な法人や団体、自治体、他省庁、企業に出向し幅広い経験を積んでいます。
そこで得た知見や人的ネットワークは、その後の職務に様々な形で活かされます。
長野県/新潟県/富山県/福井県/岐阜県/滋賀県/兵庫県/
長崎県/鹿児島県/横浜市/熊本市/北九州市/小笠原村/所
沢市/北海道/熊本県/ニセコ町/志摩市/水俣市/三重県/
小田原市/国頭村/北栄町/福島県/太宰府市/岩手県/那須
塩原市/竹富町/雲仙市/奈良県/新潟県
内閣府/内閣官房/宮内庁/警察庁/財務省/総務省/外務省
/厚生労働省/農林水産省/林野庁/経済産業省/資源エネル
ギー庁/国土交通省/気象庁/復興庁/原子力規制庁/衆議院
/公害等調整員会/観光庁
中間貯蔵・環境安全事業(株)
(日本環境安全事業(株))/(独)
環境
再生保全機構/
(独)
水資源機構/国立研究開発法人国立環境研
究所/日本下水道事業団/公益財団法人東京オリンピック・パラリ
ンピック競技大会組織委員会事務局/国立感染症研究所/独立行
政法人国立公文書館/
(独)
原子力安全基盤機構/
(独)
国際観光
振興機構
全日本空輸
(株)
/住友林業
(株)/(株)リコー リ
コー経済社会研究
所/DOWAエコシステム
(株)
/東京電力
(株)
環境部PCBソリューションセンター再資源化企画グループ
滋賀県立大学/上智大学/福岡女子大学/北海道大学/東北大
学/信州大学/京都大学/慶應義塾大学/久留米大学/東京大
学/千葉商科大学/鹿児島大学
*大学は研究休職
出向実績
地方公共団体 他省庁
独立行政法人等 企業・大学等
地方環境事務所
くろまる 事務所
くろまる 自然環境事務所
くろまる 国立公園管理事務所等
くろまる 国民公園等管理事務所
くろまる 施設等機関
西之島 北硫黄島
琉球諸島
小笠原諸島
硫黄島
南硫黄島
秩父多摩甲斐国立公園
日光国立公園
尾瀬国立公園
三陸復興
国立公園
支笏洞爺国立公園
上信越高原国立公園
妙高戸隠連山国立公園
中部山岳国立公園
白山国立公園
阿蘇くじゅう国立公園
霧島錦江湾国立公園
屋久島国立公園
西表石垣
国立公園
大雪山
国立公園
知床国立公園
釧路湿原
国立公園
阿寒摩周
国立公園
利尻礼文サロベツ
国立公園
十和田八幡平
国立公園
富士箱根伊豆
国立公園
南アルプス
国立公園
伊勢志摩
国立公園
吉野熊野
国立公園
慶良間諸島
国立公園
やんばる
国立公園
奄美群島
国立公園
小笠原
国立公園
山陰海岸
国立公園
瀬戸内海
国立公園
西海
国立公園 雲仙天草
国立公園
足摺宇和海
国立公園
大山隠岐
国立公園
磐梯朝日国立公園
生物多様性センター
環境調査研究所
国立水俣病
総合研究センター
新宿御苑管理事務所
皇居外苑管理事務所
千鳥ヶ淵戦没者墓苑管理事務所
京都御苑管理事務所
信越自然環境事務所
釧路自然環境事務所
沖縄奄美自然環境事務所
新潟事務所
横浜事務所
四国事務所
広島事務所
福岡事務所
北海道地方環境事務所
東北地方環境事務所
福島地方環境事務所
関東地方環境事務所
近畿地方環境事務所
中部地方環境事務所
中国四国地方環境事務所
九州地方環境事務所
経験者採用職員インタビュー
環境省入省前、私は民間企業である環境
コンサルタントに勤務していました。令
和元年5月、中部地方環境事務所任期付
職員として採用され、令和2年4月には
選考採用にて入省しました。
大学では自然系の研究室におり、指導教
官が環境省と縁が深かったことも重なっ
て、レンジャーに憧れていた時期もあり
ました。卒業後民間企業に所属しました
が、ある時期から環境省の仕事を受注す
るようになり、接点が増えていきました。
2年前に任期付職員として働く機会を得
て、このことがきっかけで選考採用に応
募し現在に至っています。民間企業との
違いとして感じたのは、使うお金は税金
と直結しているということです。日常の
業務をこなすなかで、改めてそのことを
思い知らされます。
現在は、鳥獣法関係の事務手続きや、藤
前干潟や片野鴨池などの国指定鳥獣保護
区を保全するための事業発注等を担当し
ています。以前は受注者として、営業的
活動や国立公園内の自然環境調査や対策
検討会の資料づくり等に従事していまし
た。現在は立場が逆転し、発注者側とし
て企業のみなさんと新鮮な気持ちで業務
に取り組んでいます。民間の頃に携わっ
ていた事業の他にも幅広い業務に携わる
ことが必要で、新たな勉強もしつつ取り
組んでいます。
中部地方環境事務所野生生物課
鳥獣管理・感染症対策専門官、外来生物防除専門官
2020 年入省/選考
百瀬 剛
採用担当官対談
環境省の業務は、大きく「理工系」「事務系」「自然系」
の3つに分かれます。それぞれの採用担当官に、環境省の
特徴や業務の内容、求める人材を聞きました。
司会:環境省は、どういった人材を求
めていますか。
木野:環境省の原点は、よく水俣と福
島だと言われます。一度失われた環境
と地域社会の回復がいかに困難か、そ
うした教訓を胸に、人のため、将来の
日本のため、に仕事を頑張れる仲間に
ぜひ来ていただきたいですね。また、
今の経済社会システムが続く限り、脱
炭素社会も、持続可能な社会も実現で
きません。大臣もおっしゃっているよ
うに、環境省は社会変革省としてイノ
ベーションを先導し、実現する役割が
求められているので、自分なりのビ
ジョンをしっかり持ったうえで、関係
者の意識や行動を変えていく、説得力
のある対話、コミュニケーションがで
きる人材が必要だと思っています。
髙林:一面では、
「環境」というブレ
ることのない一本の筋が取った役所で
すが、一方で、具体的な業務として見
れば、その内容は幅広く、多種多様で
す。
「環境」に関する仕事を職業人と
しての軸にしつつも、いろんなことに
チャレンジしてみたいという好奇心と
柔軟性を持った方に、ぜひ来ていただ
きたいですね。
番匠:自然系は主として日本の自然環
境を守るグループになるのですが、現
場があっての自然ですので、地域や現
場に積極的に入っていける人に来てい
ただきたいですね。その上で、将来の
世代に環境を残すことを意識しつつ、
目の前の課題に真摯に取り組める人が
必要になると思います。
司会:職種(理工系・事務系・自然系)
ごとの特色を教えてください。
木野:環境行政は、さまざまな科学的
知見やファクトに基づいて議論を積み
上げていくので、事務系の職員と理工
系や自然系の職員が協働して政策立案
や制度づくり、プロジェクトの実施を
行っていくのが特徴です。そのため、
他省に比べても、理工系職員が省の業
務全般にわたり活躍することができま
す。理工系職員は、大学などで学んだ
科学的知識や思考をベースにしながら、
気候変動や資源循環政策をはじめとす
る環境問題を、科学的に根拠をもって、
将来にわたり持続的な解決に社会移行
を導いていくことが求められていると
思います。
髙林:職種ごとに「ここまで」と仕事
の幅を決めないほうがいいと思ってい
ます。事務系だから文系の知識があれ
ばそれでいいということではなく、理
工系・自然系の話も含めて、広く勉強
しながらやっていける人であってほし
いと思います。ただ、事務系の職員に
は、経済や社会など、世の中との接地
面を具体的にどうつくっていくかを考
えられるジェネラルな視点は、必ず
持っていて欲しいと思います。
番匠:日本の自然は北から南まで多様
で、その全国の自然を相手に自然環境
を守り、さらにそれを適切に利用して
もらう仕事をしていく、というのが自
然系の仕事の一番の特徴です。都会の
近くから離島まで広がる全国の国立公
園や野生生物の現場で、さまざまな取
組を実践したうえで、それを全国に展
開したり、制度化したりしていきます。
そういう意味で、各地での取組を進め
て地域の自然環境に貢献すること、さ
らにそれを国全体の制度と結びつけて
いくことが、非常に大事だと思います。
司会:人事担当から見ると、環境省は
どういう組織でしょうか。
木野:ほかの省庁と比べて比較的小規
模ですので、風通しがよい組織という
ことが挙げられます。若いうちから、
幹部と直接議論ができる、政策の企画
環境省が求める人材とは?
対話力、
チャ
レンジ精神
課題に真摯に取り組む姿勢
小さい組織だからこそ
大き
な仕事を任される土壌
立案などの第一線の場に参加できるこ
とが特徴です。その裏返しとして、ま
だ個々の頑張りに頼っている組織とも
いえますので、国民の期待に応えてい
くには、組織としてさらに成長も必要
かと感じています。
髙林:役所の中では比較的規模が小さ
くて新しいこともあり、1 人ひとりの
扱える仕事の幅が大きいことが特徴で
す。また、
「環境」という明確なコン
セプトを省の名前に背負っているの
で、価値観や目指すべきものがわりと
わかりやすいのかなとも思います。そ
れゆえ、職員の間で、目指すべき方向
性はかなりの程度、共有されている気
がしていて、そういう意味での一体感、
仕事のしやすさはありますね。
番匠:地方に行くとさらに職員数が少
なくなりますが、ほかの省庁より小規
模のプロジェクトも多いので、若い人
でもプロジェクトを任されたりするこ
ともあります。大規模の省庁だと大人
数のチームが組まれるので、
「自分の
担当部分しかわからない」ということ
がありますが、環境省だと、最初から
最後まで自分が携われることも多いで
すね。
一方、悪い点があるとすると、比較的
新しい役所なので、歴史のある省庁と
比べると、マニュアルのようなものが
きっちり整備されていない。他省庁か
ら出向に来られた方からは、
「マニュ
アルもないの?」と言われたりします。
行政は型にはめがちですけれど、そこ
は、いい面もあれば悪い面もあるのだ
と思います。
司会:環境省を志望する学生へ、メッ
セージをお願いします。
木野:いまの私たちだけではなく、将
来世代が持続的に、よりよい暮らしが
できるための日本を作っていく、そん
な思いをもった役所です。世の中を変
えていくには、自分たちも変わってい
かないといけません。型にはまらない、
悩むことも多い仕事も多いですが、そ
うしたことに自分が関わってチャレン
ジしたい学生に、ぜひ来ていただきた
いと思います。
髙林:
「環境」というのは、脚の長い
未来を考えないといけないことが多い
分野・領域だと思います。一方で、
「行
政」は、日々、答えを出していかなけ
ればならない。このため、
「環境行政」
というものは、宿命的に、時間軸につ
いてのジレンマを抱え込んでいるとい
う難しさがあります。しかし、諦める
ことなくその難しさに挑み、ジレンマ
の中での最適解を模索していこうとい
うチャレンジ精神を持った方に、ぜひ
来ていただきたいですね。
番匠:
「環境を守る」
「自然を守る」こ
とは、いいことだと単純に思いがちな
学生が多いかと思うのですが、キレイ
ごとだけでは済まないところがあっ
て、開発したい人との調整などの努力
を積み重ねて、なんとか守られている
ところがあります。自然を守りたい、
そしてその自然を多くの人に楽しんで
欲しい、という気持ちはもちろんです
が、それに加えてそれを実現するため
の努力をいとわない学生に、ぜひ志望
していただきたいですね。
大臣官房環境影響評価課
環境影響審査室 室長
木野 修宏
1996年入省/I種化学
髙林 祐也
2002年入省/I種経済
番匠 克二
1993年入省/I種造園
< 理工系 > 大臣官房総務課
課長補佐
< 事務系 > 自然環境局総務課
調査官
< 自然系 >
E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
3 6 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 3 7
女性職員の採用実績
総合職102030405060(%)0
H29年度 H30年度 令和元年度
一般職
33.3 37.5 53.8
30.0 31.5 35.0
職員の一日のスケジュール
(例)
ワークライ
フバラ
ンス対談
環境省の先輩子育て職員たちは、どのような制度を利用し、子育てと仕事を
両立させてきたのでしょうか。担当業務も家族構成も異なる男女2名ずつの
職員に、経験談を話してもらいました。
司会:みなさんが利用した制度を、教
えてください。
前田:僕は、平日の家事・育児もしっ
かりできる、仕事への関わりも維持で
きるかたちを希望していました。そこ
で、妻が育休から復帰するときに、僕
が「超過勤務免除」
「育児時間」(*)制度を使って、計2年ほど平日の家事・
育児担当をしました。育児休暇でなく
とも、
「超過勤務免除」や、テレワーク
を組み合わせて、仕事と家事・育児の
両立が可能です。もちろん、子どもが
熱を出したりすれば休暇をいただいて
いますが(笑)。豊村:僕は育休を取得する半年くらい
前から、上司や人事担当者に相談をし
ていました。男性職員の育休取得はも
う珍しくないようで、肩身の狭い思い
をすることはなかったです。
また、育児休暇を通じて、家庭円満に
は「パートナーの家事にケチをつけな
い」
「気付いたら自分がやる」ことが
必要と実感でき、いい反省の機会とな
りましたね。
山崎:1 人目を妊娠中は、周りの方に
も助けていただきつつ国内外の出張や
残業もこなしていました。出産後、育
休を 1 年 1 ヶ月ほどとりました。
育休中は育児を楽しんでいましたね。
いろいろな本を読んだり、夫の海外出
張に1ヶ月ほど子連れで同行したりと、
普段できないことを経験する機会に
なったと思います。
現在は、
「昼休み短縮制度」を利用して
いて、夫の都合が悪いときに私 1 人で保
育園の送迎ができるようにしています。
栗本:私は人事異動期である 4 月に合
わせて産前休暇をとるように計画した
ので、休暇には入りやすかったです。
ただ、妊娠していたのは約9年前です
が、仕事でタクシー帰りをせざるを得
なくなったことがあります。現在は定
時以降の会議設定禁止など、働き方が
かなり改善されていますので、当時は
特殊だったんだと思います。ただ、遠
慮せずに妊娠していることを周りに広
く知ってもらうことも大切だと思いま
した。
司会:ワークライフバランス(以下WLB)は、
どのようにとっていらっしゃ
いますか?
前田:妻も国家公務員で、
「子どもが3
人ほしい」
「自分も仕事はしっかりやり
たい」という考えをあらかじめ聞いて
いたので、僕も妻と同等といえるくら
いに家事をやらないといけないなと
思っていました。1、2年後のことを
妻と、またそれぞれの職場の人事担当
とよく相談しながら、バランスをとっ
ています。今は、週1日、僕がお迎え
以降の家事担当です。
豊村:以前は WLB について全く考え
ていませんでしたが、子どもが長期入
院をしたときに仕事が回らなくなり苦
労したことをきっかけに WLB を強く
意識するようになりました。業務を効
率的に進めることはもちろん、職場で
しかできない仕事、家でもできる仕事
を仕分けるように努めています。現在
は朝の子どもの送りと夜のお風呂や寝
かしつけを毎日担当するようにしてい
ます。
山崎:私は夫がコロナの影響で在宅勤
務のため、お互いの仕事に合わせて柔
軟に助け合っています。残業は週に2
回くらいにとどめていますが、夜は子
どもと一緒に就寝し、代わりに早朝に
起きて残業をすることもあります。休
日は、近所の自然公園で子どもと一緒
に遊んだり、国立公園に出かけて背負
子でハイキングをしたり、海で遊んだ
りすることもありますね。育児を通し
て、自然とふれあう楽しさを実感して
霞が関の多様な働き方
職員の育児環境に応じたさま
ざまな支援制度
います。私はレンジャーとして全国転
勤が必須(私としても現場の経験を積
みたい)なので、家族とどのように折
り合いをつけるかが、今後の課題です。
栗本:私が育児休業から復職したとき
は、作業の遅れが許されない業務、か
つ職場でしか作業できない環境だった
ため、
正直 WLB を考える余裕はなかっ
たです。今は子どもが小学生になり、
精神的な負担は和らいでいます。以前
は「時間までに保育園に迎えに行けな
かった!」という悪夢を見ることもあ
りました(笑)。出産前は仕事が忙しいほど、プライ
ベート(海外旅行など)を充実させる
タイプだったのですが、今年は新型コ
ロナの影響で海外に行けない日々が続
いています。一方、国内で日本のよさ
を再発見することも多く、家族と一緒
に季節に応じたアウトドアを楽しんで
いますね。
司会:テレワークの影響はいかがで
しょうか。
前田:通勤時間が片道1時間強なので、
この時間を業務や家事に充てられるの
は本当に大きい! 打合せへの Web
参加も難しくない環境が整いました
し、テレワークのハードルはぐんと下
がりました。オンライン参加者がいる
ことへの違和感もなくなりつつあるこ
とかなと思います。
豊村:同感です。一方で、会社員の妻
も在宅勤務が増えており、2人とも在宅
だった場合は、仕事のしやすいポジショ
ンの奪い合いをしています。仕事がし
やすい家庭内環境の構築が急務ですね。
山崎:私はいま妊娠中なのですが、つ
わりで体調が悪い時期には、週に4日
ほどテレワークをすることができまし
た。また、海外との時差の関係で夜間
や早朝に会議が開催されることが多
く、そういった場合は自宅から参加す
ることで、育児と両立できています。
栗本:私は令和 2 年 4 月の緊急事態宣
言が出される前もテレワークを月1で
実施していました。事前の申請、当日
の報告などが義務付けられていて、か
なり煩雑でしたが、今はかなり改善さ
れたと思います。ただ、出勤したほう
が業務の効率がよいことがあります。
テレワーク一辺倒ではなく、個人のラ
イフスタイルに合わせて働き方を選択
できることが大事だと思います。
前田:コロナ禍でのテレワーク活用度
はかなり上がりましたけれども、これ
をコロナ後も継続していかなければな
らないですね。
テレワークができ
る環境を
当たり前のものに
ワークライフバランスをとって
家族との時間を大切に
豊村 紳一郎 山崎 麻里 栗本 明香里 昼休憩
書類作成 等
会議
(Web併用)
書類作成 等 メール確認、
返信
打合せ
(Web併用)
就寝18:0024:0012:006:00123:0045789:001011131415:001617192021:002223
2007年入省/I種農学III 2007年入省/II種行政
2005年入省/I種理工IV
大臣官房秘書課
課長補佐
前田 大輔
2005年入省/I種法律
E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
3 8 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 3 9(*)公務員の
「育児時間」
は、
小学校未満の育児
のため勤務時間を
2時間まで短縮でき
る制度で、
「育
児短時間勤務」
と違って、
勤務時間を延ばせる日に
は育児時間の取得を解除でき
る柔軟性があります。
大臣官房環境影響評価課
環境影響審査室 室長補佐
自然環境局自然環境計画課
生物多様性戦略推進室 室長補佐
大臣官房環境保健部
放射線健康管理担当参事官室 係長
朝食、
家事、
保育園への
送り
通勤、
登庁(9:
30〜10:00育児時間取得)
洗濯、
学童保育の書類確認 等
子どもの寝かしつけ
保育園お迎え、
夕飯、
お風呂、
家事、
子どもの勉強見る 等退庁、
通勤(16:
45〜18:15育児時間取得)
一日の
スケジュール
男女別の育児休業取得率
男性20406080100120(%)0
H29年度 H30年度 令和元年度
女性15.432.019.2100.0 100.0 100.0
自然環境局 国立公園課
課長補佐
2007 年入省/I種法律
九反田 悠妃
省内外の人材育成制度/留学制度
環境省では、1〜2年目職員を対象にメンター2名(同職種と異職種の先輩職員2名)が付き、
業務や職場環境、私生活に及ぶ事項まで相談できる体制が用意されています。
――メンター制度とは、どんな制度なのでしょうか。
私自身もそうでしたが、社会人として初めて仕事をする
とき、また、新たな場所で仕事をするときには、わから
ないことも多くさまざまな不安もありますし、自分が
どのように仕事をしていきたいかというイメージを持
つことも簡単ではないと思います。そのようなときに
は相談相手やロールモデルとなる先輩職員を自分自身
で見つける方法もありますが、制度として後輩職員と
先輩職員のマッチングを行い、後輩職員をサポートし
ていくのが、メンター制度です。
新しく環境省で一緒に働く方々が、環境省職員として
スムーズにスタートを切ることができるよう、また、
この制度を通じて、環境省がやりがいを持って仕事に
取り組める職場環境となるようにしたいと思いなが
ら、制度を運営しています。
――ご自身が仕事を行う中で、先輩や同僚の支え・サ
ポートを心強く感じるのはどのような場面でしょうか。
どの分野の仕事でもそうですが、課題への対策を考え
たり、新しい制度を立案したりするときには、その背
景や経緯、解決しようとする課題を取り巻く状況など、
さまざまな観点から分析を行った上で、対応について
検討を行う必要があります。私がこれまでに関わって
きた、大気汚染などの環境汚染の規制制度や公害によ
る被害への対応など、また、現在担当している国立公
園等の法制度に関する業務についても同様です。一方
で、自分で資料をどんなに読み込んでもそこから得ら
れる情報には限界がありますし、なかなか自分自身が
自信を持って選択できる対応策が出てこないこともあ
ります。そのようなときには、直接自分の目で確認す
るほか、過去に同じ分野を担当していた先輩方に当時
の経験を伺ったり、率直なアドバイスをもらったりし
ています。先輩職員や同僚職員のサポートの中、一人
で悩まず、日々の仕事に取り組んでいます。
――環境省を目指す学生へのメッセージをお願いいた
します。
「環境」の問題は、特別な分野の問題ではなく様々な
形で私たちの生活につながっており、あらゆる分野で
環境に関係する仕事を行うことは可能だと思います。
そのような中で、
「環境」に軸足を置いて制度面から
アプローチをしていくのが環境省であり、未来に大き
な責任を負う役所だと思っています。環境の視点から
未来を描く仕事に関わりたいという思いを持った皆さ
ん、一緒に環境行政に取り組めることを楽しみにして
います。
2013 年入省/総合職経済
水野 紗也
――留学を決意した理由を教えてください。
私は企業や自治体の方と一緒になって新たな環境技術
を世の中に送り出していくという仕事に携わった際、
いくら良い技術を開発・実証しても、そこにお金が流
れるような仕組みを最終的には作らなければいけない
ということを痛感しました。Duke 大学は、環境課題・
社会課題の解決に投資をし、ポジティブなインパクト
を生み出す「インパクト投資」という分野を切り開い
てきた第一人者の教授がおり、仕事をする中で感じた
課題をどう解決するかその環境の中で深堀りをしたい
と考え、留学を決意しました。
――大学での生活について、教えてください。
私がいる Duke 大学経営大学院はインパクト投資をは
じめとした Social Impact の分野で知られており、卒
業後に社会課題や環境課題の解決につながる分野での
就職を目指す学生が多くいるのが特徴です。その様な
仲間に日々刺激を受けながら学びを深めているほか、
企業研修の機会も多くあり、実際に興味分野であるイ
ンパクト投資機関で実務経験を積む機会にも恵まれま
した。研究分野であるインパクト投資の知見が深めら
れているのはもちろんですが、企業研修や学校のプロ
ジェクトを通し、アメリカのみならず、ヨーロッパ、
アフリカ、インドなど、世界各国に人脈が広がりま
した。
――本省に戻ってから、どんなことをしたいですか。
日本では今インパクト投資がちょうど政府としても推
進しているところです。今も日本の金融機関の方々と
日々やりとりをしているところですが、帰国後、今ま
さに学んでいることを業務の中で生かして、環境金融
の分野の政策を推進していくのが今から楽しみです。
メンター・メンティー制度
国内外の大学院・研究機関への留学制度が
あります。
人事院留学制度
[アメリカ]
[フランス]
パリ第7大学
[オランダ]
アムステルダム自由大学 フローニンゲン大学
[イギリス]イェール大学
インディ
アナ大学
エモリ
ー大学ロリ
ンズ公衆衛生大学院
カーネギーメ
ロン大学工学・公共政策学科カリフォルニア大学サンディ
エゴ校カリフォルニア大学バーク
レー校カリフォルニア大学バーバラ校カリフォルニア大学ロサンゼルス校
コーネル大学
コロンビア大学ジョ
ージタウン大学ジョ
ージワシントン大学
シラキュース大学
スタンフ
ォー
ド大学
ダー
トマス大学
タフツ大学
チューレイン大学
デューク大学
ニューヨーク大学
ハーバー
ド大学
ペース大学
ポートラン
ド州立大学
マサチューセッツ工科大学ミシガン大学メリ
ーラン
ド大学
ワシントン大学
イース
トアングリア大学
エジンバラ大学オッ
クスフ
ォー
ド゙大学
ギル
ドホール大学
ケンブリッジ大学
コロンビア大学
サセッ
クス大学
ブリストル大学
ヨーク大学
ラフラバー大学
レディ
ング大学
ロン
ドン大学
主な留学先一覧
[スウェーデン]
ルン
ド大学
E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
3 6 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 3 7
環境省入省後、
地球環境局にて環境・エネルギー技術の開発実証
事業の企画・運営に携わった後、
関東地方環境事務所を経て、
大臣官房総合政策課企画評価・政策プロモーション室にて、
成長
戦略・骨太の方針の環境分野や、
環境技術・ESG等の気候変動
対策プロジェク
トのPR戦略立案・実施等に携わる。
現在はDuke
大学経営大学院に留学中。
[中国]
清華大学ウォータールー大学
オタワ大学
ゲルフ大学
ダルハウジー大学
トロン
ト大学
ブリティッシュコロンビア大学
[ドイツ]
エアフル
ト大学
ハレヴィ
ッテンベルグ大学
フライ
ブルク大学
ベルリ
ン自由大学
[カナダ]
[オーストラリア]
オーストラ
リア国立大学
ニューサウスウエールズ大学
メルボルン大学
[シンガポール]
シンガポール国立大学
[ニュージーランド]
ヴィク
トリア大学ウェリントン校
E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l
4 0 E a f a k l j q  g ^  l ` ]  = f n a j g f e ] f l 4 1
M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t
4 2 M i n i s t r y o f t h e E n v i r o n m e n t 4 3
採用実績データ
採用職種
環境省では、大きく事務系・理工系・自然系の3職種があります。 過去7年間の採用実績を、職種・試験区分別にデータにしています。
幅広い学部・学科・専攻の人材を採用しており、入省後は各々適所で活躍しています。
[各職種連絡先] 採用に関するご相談・質問は、
各職種の担当までお気軽にお問い
合わせ下さい。
事務系
(総合職)
▶ saiyo@env.go.jp
事務系
(一般職)▶理工系
(総合職・一般職共通)
▶ saiyo2@env.go.jp
自然系
(総合職・一般職共通)
▶ saiyo3@env.go.jp
理工系の仕事
自然系の仕事
事務系の仕事
総合職 一般職
[環境省ホームページ] 採用に関する基礎的情報や説明会・スケジュールなどを掲載しています。
[環境省採用・キャ
リア形成支援Facebook]
各種イベントの開催情報や職員紹介な
ど、
環境省をより深く
知っていただくための情報を発信中です!政策立案やその具体化に向けた法令改正、
制度設計等が主な仕事です。
法律
や経済分野の知識を活用し、
有識者や他省庁、
国外等との意見調整を行い、環境行政を推進しています。
事業や政策を持つポス
トに加え、
組織と
しての意思決
定を行う総括的なポス
トも多く、
幅広い知見を得るために、
留学や国際機関・地
方自治体・他省庁等への出向の機会も用意されています。
庶務・会計・人事・国会等の実務的な業務に多く携わるこ
とになります。こう
した仕
事は、
環境省の組織運営や政策を実施する土台となるため、
環境行政を円滑に
遂行していく上で一般職事務系職員の存在は欠かせません。
また、
このような庶務・
会計業務の経験は、
一般職職員が政策の企画・立案業務を行うことになった
際に活かさ
れ、
費用対効果の観点か
ら効率よく仕事を進め
られるよ
うになります。
総合職は、
環境省本省において、
法律や経済分野の専門的知見を有する事務系
職員ら
と協働で、
政策立案・制度改正を担当するこ
とが多くあり
ます。
また、
本人の
希望、
適性や能力にあわせて、
他省庁、
地方自治体、さらには国際機関等への出
向や留学の機会も用意さ
れています。
環境問題を理解し解決に導く
ためには、
多く
の場合、
科学の知見が不可欠です。
理工系職員は、
様々な分野の科学的知見を背景に、
法律や経済分野の知見を有する
事務系職員ら
と協働しながら、
環境政策の立案や制度づく
り、
プロジェクトの実施を担います。
環境省の中では、
事務系職員が総括的な業務、
自然系職員が自然環境保
護に関する業務に携わるこ
とが多い一方、
理工系職員は、
自然環境保護以外のあ
らゆる分野における個別の政策
(例えば、
気候変動や資源循環政策など)
を担当すること
となり
ます。
環境省の自然系職員
(省内では
「レンジャー」
とよばれています)
の仕事は、
国立公園など保護地域の指定や管理、
絶滅のおそれのある野生生物への対応、
野生鳥獣の
管理、
自然環境に関する全国調査、
失われた自然の再生事業、
自然とふれあうための施設の整備、
など幅広い分野にわたり、
活動の場は、
国内はもちろん国外にも及び
ます。
現場の最前線の事務所
(自然保護官事務所等)
に配属される機会があるのも特徴で、
レンジャーは自
ら現地を歩き、
地域関係者との調整などにあたり
ます。
一般職は、
2016年度から採用を始めた試験区分であ
り、
まだ多く
の実績はないの
ですが、
本人の希望、
適性や能力にあわせて、
特定の分野の専門家と
して活躍すること
が期待さ
れます。
このため、
環境省本省で制度の実施・運用を担う
ポス
トや、より
現場に近い地方環境事務所における勤務の機会が多く
なる可能性があります。
総合職 一般職
総合職 一般職
総合職の職員は本省で勤務する機会が多いです。
本省では、
自然環境の保全
に関する制度づく
り、
施策に必要な予算の要求、
国会への対応など自然環境行
政を推し進める大枠の仕事に携わり
ます。
一般職の職員は地方環境事務所で勤務する機会が多いです。
地方環境事務
所では、
現場の第一線で保護地域の管理や希少種の保護などの業務を行って
います。
環境省新卒採用チーム
saiyo1@env.go.jp( )内は女性数
職種 試験区分 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 平成31年度 令和2年度
総合職事務系
法律 6
(3) 7
(3) 2
(1) 2
(0) 1
(0) 2
(0) 4(2)経済 1
(0) 3
(1) 1
(0) 2
(1) 3
(0) 1
(0) 1(1)教養 1
(0) 0 1
(0) 0 0 3
(1) 1(1)政治・国際 0 0 0 1
(1) 1
(0) 0 3(1)行政 2
(0) 2
(0) 2
(2) 0 2
(2) 2
(2) 3(1)法務 0 0 0 0 0 0 0
合計 10
(3) 12
(4) 6
(3) 5
(2) 7
(2) 8
(3) 12(6)総合職理工系
工学
(理工I) 6
(1) 7
(3) 5
(1) 6
(0) 5
(2) 6
(1) 7(2)数理科学・物理・地球科学
(理工III) 2
(0) 1
(0) 2
(1) 1
(1) 0 0 1(0)化学・生物・薬学
(理工IV) 0 4
(3) 1
(0) 0 1
(0) 0 1(0)農業科学・水産 ― ― ― ― ― ― 1(1)合計 8
(1) 12
(6) 8
(2) 7
(1) 6
(2) 6
(1) 10(3)総合職自然系
森林・自然環境
(農学III) 8
(3) 9
(5) 8
(5) 5
(4) 6
(2) 6
(2) 7(2)化学・生物・薬学 0 0 0 1
(0) 1
(0) 1
(1) 1(0)合計 8
(3) 9
(5) 8
(5) 6
(4) 7
(2) 7
(3) 8(2)総合職合計 26
(7) 33
(15) 22
(10) 18
(7) 20
(6) 21
(7) 30(11)一般職事務系
大卒程度・行政 12
(5) 11
(3) 10
(4) 6
(4) 4
(1) 3
(2) 13(6)高卒程度・事務関東甲信越 12
(7) 4
(1) 9
(3) 9
(3) 5
(2) 7
(4) 2(0)合計 24
(12) 15
(4) 19
(7) 15
(7) 9
(3) 10
(6) 15(6)一般職理工系
土木 ― ― 0 1
(0) 0 1
(0) 0
物理 ― ― 1
(0) 0 2
(0) 1
(0) 1(1)建築 ― ― 0 0 0 0 0
機械 ― ― 0 0 0 0 0
化学 ― ― 0 1
(0) 0 2
(0) 1(1)電気・電子情報 ― ― 2
(1) 0 0 0 0
合計 ― ― 3
(1) 2
(0) 2
(0) 4
(0) 2(2)一般職自然系
土木 0 1
(0) 0 0 3
(0) 1
(0) 0
建築 ― ― ― ― ― 0 0
農学 2
(0) 2
(2) 2
(1) 0 0 0 0
農業農村工学 2
(1) 1
(0) 0 0 0 0 0
林学 11
(5) 11
(3) 6
(3) 5
(3) 4
(3) 5
(3) 11(3)合計 15
(6) 15
(5) 8
(4) 5
(3) 7
(3) 6
(3) 11(3)一般職合計 39
(18) 30
(9) 30
(12) 22
(10) 18
(6) 20
(9) 28(11)合計 65
(25) 63
(24) 52
(22) 42
(17) 38
(12) 41
(16) 58(22)

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