設計コンセプト
津山市郊外に建つ「林田の家」は、母屋の隣地に施主のご両親をお迎えする住まいを計画し、二棟をギャラリーで繋いだ住宅である。
母屋に接する敷地は、いびつな菱形である。また、母屋の南側への増築になるため、日影や圧迫感で母屋の住環境を悪くしないことに注意を要した。平面計画は、採光に有利な東西方向を軸線にしながら、敷地境界との余白部分を雁行させた外壁を基本にして全体を構成した。断面的には、前記の日陰や圧迫感の軽減の検討から、大屋根は敷地の形状に近い菱形に辿り着いた。雁行した外壁と菱形の勾配屋根のスカイラインがこの住宅の外観を創っている。
室内は、ご高齢のご両親が生活する場所であり、特に冬季のヒートショック対策に注意を要した。通路・天井裏の空気も含めて、室内の24時間の循環・全熱交換型換気システムを採用した。
施主とご両親の二世帯を繋ぐ「ギャラリー」にはたくさんのアートコレクションが並ぶ。二棟の住宅をダイレクトに結ぶスペースであるが、そこに置かれたお気に入りのアートが、時間の流れを少しだけ緩やかにしてくれるように思う。