PowerPoint プレゼンテーション


一般送配電事業者のインバランス収支に与
えるFIT特例1の影響について
平成30年5月29日(火)
資料6 2本日ご報告する内容
 一般送配電事業者のインバランス収支については、インバランス料金算定方法が変更さ
れた2017年10月以降も、全体としては赤字傾向が継続している。
 この主な要因は、インバランスが全国的に余剰傾向である中で、余剰時のインバランス料
金と調整力kWhコストの逆転が起きていること。(これについては次回議論する予定)
 これに加えて、FIT特例1のインバランス料金の特例も要因となっていると考えられる
ことから、今回、その影響額の分析を行った。
2017年4月〜2018年2月分インバランス収支
(注記)インバランス収支:一般送配電事業者による試算値であり、確定した値ではない。
単位:百万円 北海道 東北 東京 中部 北陸 関西 中国 四国 九州 沖縄 合計
4〜9月平均 -163 -141 -743 -283 -11 -840 -254 -141 -122 -8 -2,705
10〜2月平均 -126 -179 -584 431 30 -797 -249 -10 -117 -10 -1,611
4〜2月合計 -1,610 -1,739 -7,380 457 86 -9,024 -2,770 -900 -1,320 -100 -24,300
 一般送配電事業者のインバランス収支が赤字となる原因は、インバランスが全国的に余
剰傾向である中で、余剰時にインバランス料金と調整力コストの逆転が起きていること。
 加えて、FIT特例1のインバランス精算が特別な単価(回避可能費用)で行うこととされ
ていることが、さらにインバランス収支を悪化させる要因となっている可能性がある。3一般送配電のインバランス収支が赤字となる原因
調整力出力増への対価
@8.8円/kWh
調整力
提供者
系統利用者
(発電・小売)
一般送配電
事業者
不足インバランス発生の場合
(注記)ここで示した単価は以下から計算した概算値であり、一般送配電事業者による試算値とは一致しない。
・余剰買取・不足補給単価は、JEPX公表値(×ばつスポット・時間前平均価格、回避可能原価全国値(2017年4月1日〜2018年3月31日の平均値))より
・上げ調整・下げ調整単価は、電力・ガス取引監視等委員会公表値(一般送配電事業者が指令を出した調整力の電力量価格(2017年4月1日〜2018年3月31日の10社加重平均))より
調整力
提供者
一般送配電
事業者
余剰インバランス発生の場合
調整力出力減への対価
@6.5円/kWh
@11.1円/kWh
インバランス料金
FIT特例1は回避可能費用
@10.1円/kWh
kWhあたり2.3円の利益
(FIT特例1は1.3円)
kWhあたり2.2円の損失
(FIT特例1は3.1円)
インバランス料金
@8.7円/kWh
系統利用者
(発電・小売)
FIT特例1は回避可能費用
@9.6円/kWh
参考:計画値同時同量制度におけるFIT特例措置の仕組み
 FIT電源については、計画値同時同量制度において特例措置が導入されている。4(注記)1 2016年度認定分のみ。2012年度〜2015年度認定分については、一定の条件を満たせば、異なる回避可能費用単価の算定方法が2020年
度末まで維持可能な激変緩和措置あり。
(注記)2 買取義務者が特定送配電事業者の場合には、インバランス精算の対象となる。
(注記)3 2017年3月資源エネルギー庁公表資料より電力・ガス取引監視等委員会事務局作成
第25回 制度設計専門会合
(2017.12)事務局資料 一部改変
特例措置の
類 型
発電量を予測する者 インバランス精算主体
インバランス精算の
適 用 料 金
イン バ ラ ン ス リ ス ク 料
を 受 け 取 る 者
特 例 1 一般送配電事業者
小売電気事業者
(リスクなし)
回避可能費用(注記)1
(スポット市場価格+時間前市場価
格の加重平均)
一般送配電事業者
特 例 2 小売電気事業者
小売電気事業者
(リスクあり)
通常のインバランス料金 小売電気事業者
特 例 1 一般送配電事業者
小売電気事業者
(リスクなし)
回避可能費用
(スポット市場価格)
一般送配電事業者
特 例 2 小売電気事業者
小売電気事業者
(リスクあり)
通常のインバランス料金 小売電気事業者
特 例 3 送配電事業者 送配電事業者 (インバランス対象外)(注記)2 送配電事業者
小売買取
送配電買取 5インバランスリスク料による補填の仕組み
 一般送配電事業者は、FIT特例1の回避可能費用によるインバランス精算の影響分を
インバランスリスク料による収入により補填される仕組みとなっている。
第6回買取制度運用WG
事務局資料(2015.5) 6FIT特例1のインバランス精算による影響について
 FIT特例1のインバランス精算の特例について、一般送配電事業者への影響を試算し
たところ、以下のとおりであった。
 2016年度については、エリアによって、インバランスリスク料収入が負担増分を大きく上回
るところと、大きく下回るところがあった。
 2017年度については、インバランスリスク料収入は全エリア0円であり、FIT特例1の負
担増が全額、一般送配電事業者のインバランス収支の悪化に結びついている。
(注記)電力広域的運営推進機関からの提供情報より、電力・ガス取引監視等委員会事務局作成
<2016年度>
北海道 東北 東京 中部 北陸 関西 中国 四国 九州 沖縄 合計
負担増分 -2.7億円 13.8億円 20.4億円 14.9億円 2.9億円 0.7億円 4.9億円 5.6億円 -10.3億円 0.5億円 51億円
リスク料収入 2.8億円 7.7億円 16.2億円 10.2億円 1.4億円 6.4億円 5.8億円 3.5億円 13.5億円 0.6億円 68億円
<2017年度>
北海道 東北 東京 中部 北陸 関西 中国 四国 九州 沖縄 合計
負担増分 10.8億円 3.7億円 14.7億円 1.9億円 0.8億円 11.8億円 4.0億円 5.3億円 7.4億円 -0.0億円 60億円
リスク料収入 0円 0円 0円 0円 0円 0円 0円 0円 0円 0円 0円 7参考:FIT特例1の影響額の試算方法
 前頁の影響額の試算は、以下の方法によりエリア・コマごとに計算した。
各コマの負担増額 =
(通常のインバランス単価 - 回避可能費用)×ばつ FIT特例1インバランス量(不足が正)
<算定例:東京エリア>
月 日 コマ インバランス単価
回避可能費用
(エリアプライス)
FIT特例1の
インバランス量
負担増額
4月 1日 1 ( 7.80 円 - 11.79 円 ) ×ばつ -9,476 kWh = 37,809 円
4月 1日 2 ( 8.35 円 - 10.31 円 ) ×ばつ -7,283 kWh = 14,275 円
4月 1日 3 ( 8.78 円 - 10.16 円 ) ×ばつ -5,009 kWh = 6,912 円
4月 1日 4 ( 8.81 円 - 10.00 円 ) ×ばつ -3,069 kWh = 3,652 円
4月 1日 5 ( 8.92 円 - 9.33 円 ) ×ばつ -1,687 kWh = 692 円
4月 1日 6 ( 8.76 円 - 8.73 円 ) ×ばつ 379 kWh = 11 円
4月 1日 7 ( 8.63 円 - 8.70 円 ) ×ばつ 3,292 kWh = -230 円
4月 1日 8 ( 8.43 円 - 8.57 円 ) ×ばつ 6,231 kWh = -872 円
くろまる
くろまる
くろまる
3月 31日 46 ( 6.80 円 - 8.51 円 ) ×ばつ -15,977 kWh = 27,321 円
3月 31日 47 ( 6.69 円 - 8.46 円 ) ×ばつ -15,444 kWh = 27,336 円
3月 31日 48 ( 6.43 円 - 8.20 円 ) ×ばつ -15,276 kWh = 27,039 円
合計 1,470,139 千円 8インバランスリスク単価について
 本来は30分ごと・エリアごとに算定されるインバランスリスク単価が、現在は簡易な方法で
年度ごとに定められており、これがインバランスリスク料が一般送配電事業者における負
担増を適切に補填する額になっていない理由と考えられる。
変動性発電設備
(太陽光・風力)
非変動性発電設備
(地熱・バイオマス・水力)
2016年度 0.16円/kWh 0.01円/kWh
2017年度 0円/kWh 0円/kWh
2018年度 0.04円/kWh 0.01円/kWh
しかしながら、現在は、一般送配電事業者のシステム改修が間に合っていないことから、暫定的に過去1年
間のインバランス料金及び回避可能費用の平均値を参照して、年度ごとに、告示により以下のように定め
られている。
インバランスリスク単価(経済産業大臣告示) (注記)各エリア共通
本来、インバランスリスク単価は、エリアごと・コマごとに算定することとされている。(次ページ参照)
(注)現行のインバランスリスク単価については、自ら再エネの発電量を予測する特例2の小売電気事業者にとっても本来
の精緻なインバランスリスク補填が実現できていないことが、資源エネルギー庁の審議会で指摘されている。 9参考:本来のインバランスリスク料の計算方法について
 インバランスリスク単価は、本来、30分ごと・エリアごとに算定することとされている。
一般送配電事業者が受け取るインバランスリスク料は、以下で計算される。
インバランスリスク料 = インバランスリスク単価 ×ばつ FITの発電電力量
ここで、インバランスリスク単価は、本来は、以下の式によりエリアごと・コマごとに計算されることとされている。
インバランスリスク単価
=(そのコマのインバランス料金 ー そのコマの回避可能費用)×ばつ そのコマのFITのインバランス発生率[全国平均] 10回避可能費用単価等を定める告示(平成二十四年六月十八日経済産業省告示第百四十四号)
(特定契約電気事業者がインバランス料金又はこれに準ずるものを追加的に負担する費用)
第三条 施行規則第二十一条第二号に規定する経済産業大臣が定める額は、第一号に掲げる額に第二号に掲げる電気
の量を乗じて得た額(その額が零を下回る場合には、零)とする。
一 変動性発電設備(太陽光発電設備及び風力発電設備をいう。以下この条において同じ。)及び非変動性発電設
備(水力発電設備、地熱発電設備及びバイオマス発電設備をいう。以下この条において同じ。)ごとにイに掲げ
る額にロに掲げる値を乗じて得た額(以下「インバランスリスク単価」という。)
イ 当該認定発電設備に係るインバランス料金(一般送配電事業託送供給等約款料金算定規則(平成二十八年経
済産業省令二十二号)第一条第二項第二号に規定するインバランス料金をいう。)から施行規則第二十二条に
定める回避可能費用単価を控除した額
ロ 全国の一般送配電事業者が発電用の電気工作物(特定契約に基づき調達した変動性発電設備又は非変動性発
電設備に限る。)を維持し、及び運用する他の者から受電した当該発電用の電気工作物の発電に係る電気の量
と当該他の者があらかじめ当該一般送配電事業者に申し出た電気の量との三十分を単位とした差の量の合計を
当該発電用の電気工作物の発電に係る電気の量で除して得た値
二 当該電気事業者が調達した再生可能エネルギー電気の量
2 略
3 前二項の規定にかかわらず、特定契約に基づき平成二十八年四月一日から平成二十九年三月三十一日までに調達
した電気に係るインバランスリスク単価は、変動性発電設備にあっては十六銭、非変動性発電設備にあっては一銭
とする。
4 前三項の規定にかかわらず、特定契約に基づき平成二十九年四月一日から平成三十年三月三十一日までに調達し
た電気に係るインバランスリスク単価は、変動性発電設備及び非変動性発電設備のいずれも零とする。
5 前四項の規定にかかわらず、特定契約に基づき平成三十年四月一日から平成三十一年三月三十一日までに調達し
た電気に係るインバランスリスク単価は、変動性発電設備にあっては四銭、非変動性発電設備にあっては一銭とす
る。
(参考)インバランスリスク単価の算定方法 11参考:第9回電力・ガス基本政策小委員会事務局資料(2018.5)【抜粋】
インバランスリスクの精算について
暫定的な算定方法により、かならずしも本来の精緻なインバランスリスク補填が実現できていないが、
本来の精算方法の実現に向けてどのように対応を進めていくか。
インバランスリスクの精算(詳細)
現行のインバランスリスク単価は、FIT制度の下で「インバランス調整を担うことに伴うコスト」を補填するものとして、
インバランス料金と回避可能費用(市場価格)との差分に、全国大でのFIT電源のインバランス発生率(インバ
ランス量/実績発電量)を乗じた価格としているが、一般送配電事業者のシステム改修の準備が整うまでの間は、
本来はこれら諸元を30分コマごとに算定する単価について、暫定的に過去1年の平均値を参照して算定を行って
いる。
その結果、2017年度のインバランスリスク単価は年間を通じて一律ゼロ円/kWhとなるなど、自ら発電計画を策
定し調整を行うFITインバランス特例2の事業者にとっても、本来の精緻なインバランスリスク補填が実現できてい
ない状況。 12今後の対応について
 一般送配電事業者は、本来あるべきインバランスリスク料を算定できるようシステム改修
を速やかに進めるべきではないか。(次回の本会合において、事業者におけるシステム改
修の状況などを確認して報告することとしたい。)

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