報 道 資 料
令和3年1月5日
株式会社エネルギア・ソリューション・アンド・サービス
太陽光パネルの洗浄による発電効率回復について
当社,株式会社エネルギア・ソリューション・アンド・サービス(以下:ESSとい
う。
)は,ESS 太陽光発電所において,イツワ商事株式会社および株式会社 SSG と共同で
開発した手法を用いた鉄粉除去洗浄を 2020 年 5 月に完了,その後 9〜10 月でメンテナ
ンス洗浄を完了しました。また,玉島第1・第2発電所および水島発電所においてもメ
ンテナンス洗浄を実施しますので,お知らせします。
1.ESS 太陽光発電所のパネル洗浄効果のイメージ(図 1 参照)
1当初計画:経年劣化等により年間1%の発電効率の低下を見込んでいます。
2パネル洗浄を実施した場合:運転開始後4年目で70%まで低下した発電効率を鉄
粉除去洗浄により約30%回復させ,91%まで改善すると見込んでいます。
図 1 ESS 太陽光発電所におけるパネル汚損と洗浄効果イメージ
本件は,1 月 5 日に Web サイトの日経 BP メガソーラービジネスに記事が掲載されました
ので,是非ご覧ください。
《悩みの「鉄粉」をスッキリ除去,岡山の工業地帯のミドルソーラー》
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/feature/00001/00067/?ST=msb
(リンク先を Google Chrome にコピーして使用してください。) これは,今回開発した鉄粉除去洗浄およびメンテナンス洗浄によりパネルの発電
効率は一時的に95%まで回復するものの,現地では鉄粉による汚損が進行し,発
電効率が低下するため,年 3 回のメンテナンス洗浄を実施する前提で,年間5%程
度の発電効率の低下を見込んでいるためです。
よって,1の当初計画に対する発電効率の低下を約5%に維持できると考えてい
ます。
3パネル洗浄を実施しない場合:年間9%程度の発電効率が低下するため,20 年後に
は約17%まで低下すると見込んでいます。また,パネル汚損によるホットスポッ
トが多数発生し,火災が発生する可能性もあります。
これらのことから,パネル洗浄には洗浄費用がかかるものの,発電効率の回復による
発電量増加による効果が大きく,あわせてホットスポットによる火災発生の懸念も解消
されることから,洗浄するメリットは大きいと考えています。
また,パネルの洗浄方法には用途に応じて,強固に固着した鉄粉などは鉄粉除去洗
浄,軽微に固着した付着物にはメンテナンス洗浄,また,土・砂埃などの付着物には純
水洗浄を適用します。
(表 1 参照)
表 1.各種パネル洗浄方法
項目 鉄粉除去洗浄 メンテナンス洗浄 純水洗浄
用途 強固に固着した鉄粉 軽微な固着物 土埃などの付着物
特徴 ・強力な薬剤のた
め,廃液回収が必要
・手洗い
・界面活性剤を含まな
い環境に優しい溶剤の
ため,廃液の回収不要
・機械洗浄
・機械洗浄
洗浄枚数(注記)1 約 100 枚/日 約 800 枚/日 約 1,700 枚/日
(注記)1 作業員4名 1 班体制の場合
2.鉄粉除去洗浄による効果 (表 2・図 2 参照)
鉄粉除去洗浄による月間発電量の回復率(日射量補正後)は,11 月では前年比 122%
でしたが洗浄作業の進捗に伴い回復率も増加し,5 月と 6 月は 145%を達成しました。
28 月には鉄粉除去洗浄後に鉄粉汚損が進行したことと,前年 7 月から開始した洗浄
効果が織り込まれているため,
129%まで低下しました。
39 月と 10 月はメンテナン
ス洗浄により回復率が若干増加しています。411 月と 12 月は鉄粉汚損により回復
率が低下しますが,1 月と 2 月はメンテナンス洗浄により回復率が増加する見込み
です。
年間発電量は,目標の30%を上回る前年比134%を達成しました。
表 2.ESS 太陽光発電所における月間発電量と回復率
年 月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 合計2019発電量 412 432 728 824 951 861 757 798 784 594 550 407 8,096
日射量 82 83 132 155 187 166 143 151 148 111 103 74 1,5352020発電量 452 657 952 1187 1259 1123 912 1307 897 910 719 589 10,964
日射量 74 100 136 164 171 149 121 191 128 124 104 93 1,555比率
前年比 110 152 131 144 132 130 121 164 114 153 131 145 135
補正後 122 126 127 136 145 145 142 129 132 137 131 115 134
図 2 ESS 太陽光発電所における月間発電量と回復率
3.メンテナンス洗浄の事前確認および洗浄効果の確認(図 3 参照)
パネル洗浄の効果を確認するため,出力特性を測定しました。
まず,
ESS 太陽光発電所における出力測定結果から,
運転開始後約4年が経過し,
出力
が59%
(出荷時の出力 100%)
まで低下したパネルを鉄粉除去洗浄により,
95%まで
回復することを確認しました。
(前回測定分)
鉄粉除去洗浄後約4ケ月経過したパネルは,88%まで出力が低下していますが,メ
ンテナンス洗浄により,94%まで回復(回復率107%)したことを確認しました。
これは,鉄粉除去洗浄後の状態にほぼ回復したことを示しており,メンテナンス洗浄が
有効であることを確認しました。
ESS 太陽光発電所においては,約4ケ月間隔で年間 3 回を実施する計画です。メンテ
ナンス洗浄は,界面活性剤を含まない環境に優しい溶剤を使用するため,廃液の回収も
不要で,
機械洗浄で毎日 800 枚の洗浄が可能です。
9 月からメンテナンス洗浄を開始し,
約2ケ月で約 35,000 枚を洗浄しました。ESS 太陽光発電所では今後も継続してメンテナ
ンス洗浄を実施するため,大量の純水が必要になりますが,コスト低減のため隣接地に
純水製造装置を設置しました。
4.水島・玉島第1・第2発電所における洗浄方法の検討(図 3 参照)
当社の太陽光発電所において,ESS 太陽光の次に発電効率の低下が顕在化している水
島および玉島第1・第2発電所において,洗浄効果を考察し洗浄方法を選定しました。
洗浄効果は,出力特性の測定結果を確認しました。
水島発電所においては,年間発電量が年間 3.5%低下しており,付着物に鉄粉が含有
しているため,鉄粉除去洗浄とメンテナンス洗浄を比較しました。昨年3月に純水洗浄
を実施したため,
洗浄前の出力が約90%から洗浄後93%
(回復率103%)
であり,
洗浄効果にほとんど差がありませんでした。ただし,メンテナンス洗浄が鉄粉除去洗浄
と同等の効果が得られることが確認できたため,水島発電所においては,より安価なメ
ンテナンス洗浄を採用しました。
玉島第 1 発電所においては,メンテナンス洗浄で洗浄前88%から洗浄後94%(回
復率107%)に回復しました。純水洗浄の洗浄前87%から洗浄後93%(回復率1
06%)と洗浄効果に大きな差はありませんでしたが,洗浄効果がより期待できるメン
テナンス洗浄を採用しました。
玉島第2発電所においては,鉄粉等による付着物が軽微に固着していたため,メンテ
ナンス洗浄で84%から94%(回復率112%)に大きく回復した一方,純水洗浄で
は84%から89%(回復率106%)に留まりました。純水洗浄は洗浄効果が限定的
なたため,洗浄効果が大きいメンテナンス洗浄を採用しました。
玉島第1・第2発電所を 12 月に,水島発電所を 3 月にメンテナンス洗浄を実施し,そ
の後は年 1 回の洗浄を実施する計画です。
表 3.パネル出力測定による洗浄効果の比較
発電所名 洗浄前 洗浄後 回復率 測定対象パネル 年間低下率ESS太陽光
鉄粉除去 59.3% 95.3% 161% 運転開始後4年 9%
メンテナンス 88.3% 94.3% 107% 鉄粉除去後4ケ月
水島
太陽光
鉄粉除去 90.1% 92.7% 103% 運転開始後4年
純水洗浄 1 年半3.4%メンテナンス 89.3% 92.7% 104%
玉島第1
太陽光
メンテナンス 87.5% 93.9% 107% 運転開始後4年 2.6%
純水 87.2% 92.5% 106%
玉島第2
太陽光
メンテナンス 83.9% 93.6% 112% 運転開始後4年 3.0%
純水 84.0% 89.4% 106%
(注記)出荷時のパネル出力を 100%とする。
以 上
図 3 .パネル出力測定による洗浄効果の比較

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