建物の耐震化・家具の固定(自助)
建物の耐震化・家具の固定の必要性
家財が飛び出した家
写真提供 新潟県小千谷市
市内中心地で総破壊の店舗住宅
大地震に対する備えで,最も重要なのが建物の耐震化です。
阪神・淡路大震災において,神戸市で亡くなった方のうち,地震から2週間以内に亡くなられた3,651人の死因については,兵庫県監察医の調べによると以下の表のとおりでした。
死者数 | % | % | ||
---|---|---|---|---|
窒息 | 1,967人 | 53.9% | 建物の倒壊・家具の転倒等によると思われる死亡 | 95.5% |
圧死 | 452人 | 12.4% | ||
打撲・捻挫傷 | 300人 | 8.2% | ||
頭部損傷 | 124人 | 3.4% | ||
外傷性ショック | 82人 | 2.2% | ||
頸部損傷 | 63人 | 1.7% | ||
内臓損傷 | 55人 | 1.5% | ||
焼死・全身火傷(一酸化炭素中毒を含む) | 444人 | 12.2% | ||
不詳及び不明(高度焼損死体含む) | 116人 | 3.2% | その他 | 4.5% |
臓器不全等 | 15人 | 0.4% | ||
衰弱・凍死 | 7人 | 0.2% | ||
その他 | 26人 | 0.7% |
窒息や圧死など,青字の建物の倒壊や家具の転倒が直接の原因と思われる死者で,全体の83.3%を占めています。また焼死・全身火傷及び不詳及び不明の焼死された方のうち,焼死・全身火傷による死者は,家屋倒壊や家具の転倒により動けなくなった状態で,延焼等により亡くなられました。
つまり95.5%の方が,家屋の倒壊や家具の転倒などにより亡くなられたのです。
また兵庫県監察医が直接行った死亡推定時刻の調査によると,神戸市内で亡くなった2,416人のうち,地震発生の5時46分から6時00分までの14分間で,約92%の方が亡くなられました。これは,仮に救急等が正常に機能していたとしても,ほとんどの方を救えなかったということをものがたっています。
さらに,灘区,長田区等建物全壊率が高い地区ほど,直後の出火率が高くなっています。
ようするに,大地震が起こった場合は,最初の揺れがおさまった後,建物の外に逃げ出せるだけの耐震強度のある建物において,なおかつ家具等を固定していないと,他の何を備えていても無駄になる可能性があるのです。
中越大地震においては,被災地が豪雪地帯であったため,雪国特有の頑丈な家のつくりと,軽い屋根により,建物の倒壊率はかなり低かったようです。(ただし,雪が積もった後に地震が起こっていたら,雪の重みで,瓦葺屋根のように重くなり,重心が高く不安定になっていたかもしれません。また,中越地震は強い余震が続きましたので,あとから倒壊した建物もありました。)
高床式住宅(雪国における特徴的住宅)1 高床式住宅(雪国における特徴的住宅)2
写真提供 新潟県小千谷市
建物の耐震化・家具の固定をしましょう
家屋倒壊
建物が倒壊するほどの強い揺れになると,歩いて家の外に逃げ出すことは不可能です。どんなに補強しても絶対に倒れないということはありませんが,最初の強い揺れがおさまった後で,外に避難する時間を稼ぐために,耐震強度の低い建物は耐震補強を行いましょう。
家の耐震強度がわからない場合は,簡易耐震診断をおこない,不安な場合は,プロの建築士等による耐震診断を受けてください。
- 香川県住宅耐震ポータルサイト <外部リンク>
何より大事なのは家族の,そしてあなたの命です。家族を守るための家が,家族を襲う凶器とならないよう,早めに備えておきましょう。
家具の固定1 家具の固定2
背の高い家具や,重い家具は,壁に固定するなど,倒れない工夫をしましょう。背の高い家具はセパレートタイプのものが多いので,金具等で上下をしっかり固定しましょう。
また食器棚は,扉が開かないように金具やチェーン等を取り付け,さらにガラスが割れても飛び散らないように,飛散防止フィルムを貼りましょう。
テレビの固定 家具の配置
テレビやレンジ等は,揺れが強いと横に飛び出しますので,バンドで固定する等の対策をとりましょう。
また,寝ているときに家具が倒れてこないよう,また倒れた家具が出入り口のドアをふさがないよう,家具の配置や寝る場所を工夫しましょう。
ピアノの転倒・移動防止 ピアノのような重い家具でも,強い揺れの時には簡単に動き出します。
阪神・淡路大震災では,グランドピアノが暴走し,壁を突き破って,室外に飛び出しましたし,ピアノの脚部が折れた例もありました。
アップライトピアノは約3秒で倒れたそうです。
アップライトピアノは転倒防止用の器具(ボード型や円形のものがあり,車輪をはめ込むため移動防止にもなります。)を取り付けましょう。
グランドピアノは,車輪に移動防止器具を取り付け,できたら脚部を補強しましょう。
強い縦揺れだと,跳ね上がったピアノが,移動防止器具から離れた場所に落下した例もありますので,対策をしているからといって必ずしも安全ではありません。
地震が発生したら,すぐにピアノから離れるようにし,グランドピアノの下に避難するようなことは絶対にしないでください。
ペンダントライト ガラス窓
つり下げ式の照明器具は,揺れて天井にあたり破損,落下して凶器になりますので,チェーンで3点止めするなどの対策をとりましょう。
窓ガラスはねじれに弱く,割れた場合は凶器となりますので,飛散防止フィルムを貼っておきましょう