第8 屋内タンク貯蔵所8-1第8 屋内タンク貯蔵所(危政令第12条)
1 技術基準の適用
屋内タンク貯蔵所は、貯蔵する危険物の種類、貯蔵形態等に応じ、技術上の基準の適用
が法令上、次のように区分される。
第7-1表 各種屋内タンク貯蔵所に適用される基準
区 分 危 政 令 危 省 令
平屋建の建築物に設置するもの 12I
アルキルアルミニウム等 12I+III 22の7・22の8
アセトアルデヒド等 12I+III 22の7・22の9
ヒドロキシルアミン等 12I+III 22の7・22の10
平屋建以外の建築物に設置するもの 12II
注 算用数字は条、ローマ数字は項を表している。
2 貯蔵量
屋内タンク貯蔵所の貯蔵最大数量とは、一のタンク専用室内にある容量の合計をいうも
のであること。したがって、指定数量未満の危険物を貯蔵するタンクが2以上ある場合で
あっても、その量の合計が指定数量以上である場合は、屋内タンク貯蔵所に該当するもの
であること。
3 位置、構造及び設備の基準
(1) 標識、掲示板
標識、掲示板の掲出位置、材質及び表示方法は、第4「製造所」4(3)の例によること。
(2) 外面塗装
ステンレス鋼板その他腐食し難い材料で造られているタンクについては、危政令第23
条を適用し、さびどめのための塗装をしないことができる。(平10.3.16 消防危第29号通知)
(3) 通気管
アルコール類を貯蔵するタンクの通気管にあっては、大気弁付通気管を設置してもよ
いものであること。(昭37.10.19 自消丙予発第108号質疑)
その他通気管は第4「製造所」5(20)5カの例によること。
第8 屋内タンク貯蔵所8-2(4) 自動表示装置等
1 危政令第12条第1項に規定する屋内タンク貯蔵所であって、第9号に規定する注入
口付近においてタンク内の危険物の量を自動的に覚知することができないものにあっ
ては、注入口付近にタンク内の危険物の量を容易に覚知することができる装置を設け
るよう指導する。(運用事項)
2 危政令第12条第2項第2号に規定する「危険物の量を容易に覚知することができる
装置」には自動的に危険物の量が表示される計量装置、注入される危険物の量が一定
量に達した場合に警報を発する装置、注入される危険物の量を連絡することができる
伝声装置等が該当する。(昭46.7.27 消防予第106号通知)
(5) ポンプ設備
屋内タンク貯蔵所のポンプ設備は、危政令第12条第1項第9号の2及び第2項第2号
の2の規定等(第8-2表参照)によるほか、次により指導する。
1 ポンプ設備の周囲には、点検・修理等のための適当な空間を保有すること。
2 ポンプ設備をタンク専用室に設ける場合で、タンク専用室にせきを設けたときは、
せきの内側
(屋内貯蔵タンクの存する側をいう。)には、
ポンプ設備を設けないこと。
3 ポンプ設備を屋外の場所に設ける場合は、ポンプ設備の周囲に1m以上の幅の空地
を設けるよう指導する。(運用事項)
ただし、開口部のない耐火構造又は不燃材料で造られた建物に面する側を除く。
4 タンク専用室の存する建築物以外の場所に設けるポンプ設備は、第7「屋外タンク
貯蔵所」基準3(1)16キの例によることができる。
(6) 危険物が浸透しない構造
危政令第12条第1項第16号に規定する
「危険物が浸透しない構造」
は、第4「製造所」
4(8)1の例によること。
(7) 貯留設備
危険物を取り扱う建築物の床等に設ける貯留設備とは、危険物を一時的に貯留する設
備をいうが、これにはためますのほか油分離装置等が該当する。(平元.5.10 消防危第44号質疑)なお、「ためます」を設ける場合は、縦、横及び深さがそれぞれ30cm以上のものを設
け、当該ためますに導く適当な傾斜をつけるよう指導する。
(8) 出入口のしきい等
1 危政令第12条第1項第17号の規定により設けるしきいで、貯蔵する危険物の全量を
収容することができないものにあっては、当該危険物の全量を収容できるしきいの高
さとするか、又は、これに代わるせきを設けるよう指導する。この場合、せきは鉄筋
コンクリート造又は、鉄筋コンクリートブロック造とするほか、当該せきと屋内貯蔵
タンクとの間に0.5m以上の間隔を保つよう指導する。(第8-1図参照)(運用事項)
第8 屋内タンク貯蔵所8-32 危政令第12条第2項第8号に規定される屋内貯蔵タンクから漏れた危険物がタンク
専用室以外の部分に流出しないような構造とは、出入口のしきいの高さを高くするか
又はタンク専用室内にせきを設ける等の方法で、タンク専用室内に貯蔵されている危
険物の全容量が収容できるものであること。(昭46.7.27 消防予第106号通知)
(9) タンクの固定
タンクは、堅固な基礎の上にアンカーボルト等で固定するよう指導する。(運用事項)
4 危険物から除外される動植物油類の屋内貯蔵タンク
危省令第1条の3第7項第1号に規定する「常温で貯蔵保管」については、第7「屋
外タンク貯蔵所」3(5)の例によること。(平元.7.4 消防危第64号質擬)
第8-1図
第8 屋内タンク貯蔵所8-4第8-2 屋内タンク貯蔵所におけるポンプ設備の設置基準
ポンプ設備の設置種別
ポンプ室等の構造 ポンプ室等の設備
壁、柱、床
及びはり
屋根の
構造
窓・
出入口
流出防止措置
ポンプ設備
の固定方法
採光・
照明
換気・
排出
タンク専用室の
存する建築物以
外の場所に設け
るポンプ設備
ポンプ室
内設置
不燃材料 不燃材
料とし、
軽量な
金属等
の不燃
材料で
ふく
窓は網入
りガラス、
出入口は
防火設備
20cm以上の不燃
材の囲い、不浸
透(コンクリー
ト等)、傾斜・
ためますを設けるアンカーボ
ルト等によ
り堅固な基
礎の上に固
定する
採光は照
明により
代替もで
きる
第18「換
気設備
等」によるポンプ室
外設置
ポンプ設備直下
の地盤の周囲
15cm以上の囲
い、不浸透(コ
ンクリート等)
傾斜・ためま
す・油分離装置
同上(屋内設備)タンク屋内専用室の存する建築物に設けるポンプ設備
平屋建
ての建
築物内
に設け
る屋内
貯蔵タ
ンクの
ポンプ
設備
タンク専
用室以外
の場所に
設置
不燃材料 不燃材
料とし、
軽量な
金属等
の不燃
材料で
ふく
窓は網入
りガラス、
出入口は
防火設備
20cm以上の不燃
材の囲い、不浸
透(コンクリー
ト等)、傾斜・
ためますを設置
する
同上 採光は照
明により
代替もで
きる
第18「換
気設備
等」によるタンク専
用室内に
設置
耐火構造、
はりは不
燃材料(引
火点70°C
以上の第
4類は壁、
柱、床を不
燃材料と
できる)
不燃材
料とし、
天井を
設けな
いこと
窓は網入
りガラス、
出入口は
防火設備、
延焼のお
それのあ
る部分は、
自閉式の
特定防火
設備、壁に
窓は設け
られない。
出入口のしきい
の高さ(20cm)
以上の不燃材料
で囲うかポンプ
の基礎の高さを
しきい以上の高
さとする。不浸
透(コンクリー
ト等)、傾斜・た
めますを設置する同上 同上 同上
平屋建
て以外
の建築
物に設
ける屋
内貯蔵
タンク
(引火
点40°C
未満の第4類)の
ポンプ
設備
タンク専
用室以外
の場所に
設置
耐火構造 上階の
床は耐
火構造、
屋根は
不燃材
料(天井
は不可)
窓は設け
ない。自閉
式の特定
防火設備
20cm以上の不燃
材料の囲い、不
浸透(コンクリ
ート等)、傾斜・
ためますを設置
する
同上 同上 第18「換
気設備
等」によ
る。ダン
パーを
設置す
る。
タンク専
用室内に
設置
同上 同上 同上 20cm以上の不燃
材の囲い等によ
る危険物の流出
防止措置をする
同上 同上 同上
(注記) 引火点21°C未満の第4類の危険物を取扱うポンプ設備には、見やすい位置に掲示板を設
けること。

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