第4 製造所4-1第4 製造所(危政令第9条)
1 規制範囲
(1) 原則として、建物内に設置するものにあっては一棟、屋外に設置する場合にあっては
一連の工程をもって一の許可単位とする。
(昭 34.10.10 国消甲予発第 17 号通知、昭 37.4.6 自消丙
予発第 44 号)
なお、製造所の許可単位は、危険物の取扱いが客観的に一連の行為であること、他の
施設から独立性があること等を考慮し総合的に判断する。
(2) 公害防止設備等
製造所から排出される可燃性ガス、粉塵等を除去する公害防止設備等は、製造所の附
属設備として規制するものであること。
(昭 59.6.8 消防危第 54 号質疑)
なお、設置については資料編第1-6の例により指導する。
(運用事項)
2 許可数量の算定
算定方法は次によるほか、資料編第2-1.1によること。
(1) 1日を単位とする最大取扱数量をもって算定する。
(昭 34.10.10 国消甲予発第 17 号通知)
(2) 一工程を2日以上にわたって行う場合は、工程中、最大取扱数量となる日をもって算
定する。
(昭 40.4.15 自消丙予発第 71 号質疑)
(3) 油圧装置等、工程に附属して危険物を取り扱う設備については、各々一般取扱所の数
量算定方法により算定した数量を合算する。
3 技術基準の適用
製造所は取り扱う危険物の種類に応じ、技術上の基準の適用が法令上、次のように区分
される。
第4-1表 各種の製造所に適用される基準
区 分 危政令 危省令
製 造 所 9I
火薬類 9I+41 72
高引火点危険物 9I+II 13 の6
アルキルアルミニウム等 9I+III 13 の7・13 の8
アセトアルデヒド等 9I+III 13 の7・13 の9
ヒドロキシルアミン等 9I+III 13 の 10
注 算用数字は条、ローマ数字は項を表している。
第4 製造所4-24 位置、構造及び設備の基準
(1) 保安距離は、水平距離によるものとし、製造所と保安物件との両方の外壁又はこれに
相当する工作物の外側相互間の距離をいう。
(昭 37.4.6 自消丙予発第 44 号質疑)ただし、1m
を超えるひさし等の下において危険物を取り扱う場合には、保安物件からひさし等の先
端までを原則とする。
1 これに相当する工作物
危政令第9条第1項第1号に規定する「これに相当する工作物」とは、屋外の製造
所を構成しているプラント設備等をいうものであること。ただし、配管は含まれない
が、
保安物件との間に十分安全な距離を保つよう指導する。
(昭 57.3.31 消防危第 43 号質疑)
なお、屋外に設置される設備等で全く危険物の取扱いがなく、かつ、保安物件に影
響を及ぼすおそれのないものについては、これらによらないことができる。
2 保安距離の短縮
危政令第9条第1項第1号ただし書の適用は、
原則として製造所の設置後において、
当該製造所の周辺に新たに保安物件が設置されたことにより、保安距離を確保するこ
とが困難となった場合にのみ適用するものとし、第 16「認定保安距離」の例により指
導する。
(昭 37.4.6 自消丙予発第 44 号質疑)
3 その他の工作物等
ア 危政令第9条第1項第1号イに規定する「その他の工作物で住居の用に供するも
の」には、台船、廃車したバス等で住居に用いられるものが含まれ、門及び塀等は
含まれない。
イ 同号イに規定する「住居の用に供するもの」には、宿直室は含まれない。
(昭 37.4.
6 自消丙予発第 44 号質疑)
ウ 寄宿舎等で「製造所の存する敷地と同一の敷地内に存するもの」にあっては、保
安物件に該当しないものである。
4 学校等の多数の人を収容する施設
危政令第9条第1項第1号ロに規定する「学校、病院、劇場その他多数の人を収容
する施設」とは、直接その用途に供する建築物(例えば、学校の場合は教室のほか体
育館、講堂等、病院の場合は病室のほか手術室、診察室等)をいい、附属施設とみな
されるもので、独立しているものは含まないものとする。
なお、百貨店は、危政令第9条第1項第1号ロに規定する「学校、病院、劇場その
他多数の人を収容する施設」に含まれないものであるが(昭 51.9.22 消防危第 56 号質疑)、百貨店に映画館を含む場合は、当該危険物施設から映画館までの距離とする。
5 病院等
ア 危省令第 11 条第2号に規定する「医療法第1条の5第1項に定める病院」とは、
患者 20 人以上の入院施設を有するものをいう。
イ 危省令第 11 条第3号に規定する「その他これらに類する施設」とは、観覧場、集
会場等をいう。
第4 製造所4-36 保安距離に係る特例
製造所が危政令第9条第1項第1号ロからへまでの建築物等と同一敷地であり、か
つ、これらと不可分の工程又は取扱いに係わるもので、保安上支障のない場合は、そ
の距離について適用しないことができる。
7 製造所等と高圧ガス施設との保安距離については、敷地の内外に関わらず、原則と
して所要の距離を必要とする。ただし、高圧ガス施設と製造所等が不可分の工程にあ
る場合、又は危険物及び高圧ガスの種類、周囲の地形、取扱いの実態等の状況から判
断して、政令第 23 条を適用し、所要の距離をとらないことができる。
(昭 37.4.6 自消丙
予発第 44 号質疑、昭 38.10.3 自消丙予発第 62 号質疑)
(2) 保有空地
危政令第9条第1項第2号の表に掲げる空地については、次によること。
1 保有空地は、建築物の場合には外壁(ひさし等がある場合には、その先端からとす
る。
)又は工作物の外側、屋外の場合には工作物又は装置、設備等の外側からとする。
2 保有空地は、原則として所有者等が所有権、地上権、借地権等を有しているもので
あること。
(昭 37.4.6 自消丙予発第 44 号質疑)
3 保有空地は、消防活動の用に供される場所であることから、平坦で、かつ、軟弱で
ないものであること。
なお、
当該空地の地盤面及び上空の部分には、
物件等が介在しないものであること。
ただし、上空の部分については、延焼拡大、消防活動等に支障ない場合には、この限
りではない。
危険物を移送するための配管その他これらに準じる工作物(水系統の配管、非危険
物関係配管、電気関係のケーブル、配管のパイプラック等)は、他の施設に関連する
ものも含めて次のアからエのいずれにも適合している場合には、
危政令第 23 条を適用
し、当該危険物施設の空地内に設けることができる。
(平 13.3.29 消防危第 40 号通知参照)
ア 延焼防止、消防活動及び避難行動に支障がないと認められるものであること。
イ 作業の工程上やむを得ないと認められるものであること。
ウ 同一事業所内の危険物施設に用いるものであること。
エ 危険物を取扱わない配管のパイプラックその他これらに類するものにあっては不
燃材料で造られていること。
4 設置場所が海、河川に面する等、外部の立地条件が防火上安全であって、公共危険
がきわめて少ない場合には、空地の幅を減ずることができる。
(昭 36.5.10 自消甲予発第 25
号通知)
5 同一敷地内に他の製造所等と隣接して設置する場合
同一敷地内に他の製造所等と隣接して設置する場合、その相互間の保有空地は、そ
れぞれがとるべき空地のうち大なる空地の幅を保有することをもって足りること。た
だし、屋外タンク貯蔵所が隣接する場合にあっては、当該タンクの防油堤が、保有空
地にかからないようにすること。
(第4-1図参照)
第4 製造所4-46 防火上有効な隔壁
危政令第9条第1項第2号ただし書の「防火上有効な隔壁」は、次によること。
ア 隔壁は、建基法第2条第7号の耐火構造とすること。
イ 隔壁には窓を設けないこと。
ウ 隔壁に設ける出入口等の開口部は作業工程上必要な必要最小限のものとし、随
時開けることができる自動閉鎖(以下「自閉式」という。
)の特定防火設備(危
政令第9条第1項第7号の特定防火設備をいう。以下同じ。
)を設けること。た
だし、自閉式とすることができないものにあっては温度ヒュ-ズ付又は感知器連
動とすることができる。
7 植栽等
製造所の周囲の保有空地内に植栽する場合は、次によること。
(平8.2.13 消防危第 27 号通知)
第4-1図 保有空地の例
第4-2図 防火上有効な隔壁図
製 造 所15m9m5m3m
防油堤は製造所の保有空地にかからない
ものであること
屋外タンク
貯蔵所
屋外貯蔵所
防火上有効な隔壁
自閉式特定防火設備
第4 製造所4-5ア 植栽できる植物
植栽できる植物は、延焼の媒体とならず、かつ、消防活動上支障とならない矮性
の草本類及び高さが 50 cm以下の樹木であること。また、延焼防止上有効な葉に多く
の水分を含み、かつ、冬季においてもその効果が期待できる常緑の植物(草本類に
ついては、植替え等を適切に行い絶えず延焼媒体とならない管理等を行う場合にあ
っては、常緑以外のものとすることができる。
)であること。
なお、防油堤内の植栽は、矮性の常緑草に限るものであること。
イ 植栽範囲
植栽する範囲は、次の各条件を満足するものであること。
ア 取扱い等の作業の障害とならない範囲であること。
イ 消防隊の進入、消火活動等に必要な空間が確保されること。
ウ 消防水利から取水等の障害とならないこと。
エ 防災用の標識等の視覚障害とならないこと。
オ 危険物施設の維持管理上支障とならないこと。
カ その他、事業所の形態等を考慮し火災予防上、延焼防止上及び消防活動上支障
とならないこと。
ウ 維持管理
枯れ木や落葉等が延焼媒体とならないよう、また、成長によりイの条件を満足し
なくなることがないよう適正に維持管理するものであること。
第4-2表 延焼防止上有効な植物の例
草木の区分 植 物 名
樹 木
マサキ、ジンチョウゲ、ナワシログミ、マルバシャリンバイ、チヤ、マン
リョウ、アオキ、サツキ、ヒサカキ、トベラ、イヌツゲ、クチナシ、キャ
ラボク、トキワサンザシ、ヒイラギナンテン、ツツジ類、ヤブコウジ等
草本類
(矮性に限る)
常緑の芝(ケンタッキーブルーグラスフリーダム類)
、ペチュニア、
(ホワ
イト)クローバー、アオイゴケ等
芝、レンゲ草等
注 樹木は、高さが 50 cm以下に維持管理できるものに限る。
(3) 標識、掲示板
危政令第9条第1項第3号に規定する標識、掲示板は、次によること。
1 標識、掲示板は、製造所ごとに出入口付近等の外部から見やすい箇所に設けるも
のであること。
2 材質は、耐候性、耐久性があるものとし、また、その文字は、雨水等により容易に
汚損したり消えることがないものであること。
3 施設の外壁等に直接記入することができるものであること。
第4 製造所4-6(4) 建築物の構造
1 鉄板及び亜鉛鉄板は不燃材料に含まれるが、木ずりにモルタル又はしっくいを塗布
したものや不燃材料でないパイプに鉄板を被覆したものは、不燃材料とはならい。
(昭 35.5.14 自消丙予発第 31 号質疑、昭 37.4.6 自消丙予発第 44 号質疑)
2 不燃材料と同等以上の効力があるものとして、次のものがある。
ア 厚さ 25 mmの木毛セメント板の両面に、
厚さ3mmのフレキシブルシートを張った合
計 31 mmのサンドイッチパネル。
(昭 43.4.10 消防予第 106 号質疑)
イ 厚さ4mmの石綿セメント板と 18 mmの木毛セメント板を張り合わせたもの。(昭47.10.31 消防予第 173 号質疑)
3 延焼のおそれのある外壁
危政令第9条第1項第5号に規定する「延焼のおそれのある外壁」は、次によるこ
と。
ア 延焼のおそれのある外壁は、隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の2以上の
建築物相互の外壁間の中心線から、1階にあっては3m(1階の高さが5m以上の
部分は2階相当部分とみなす。)、2階以上にあっては5m以内にある建築物の外壁
の部分をいう。ただし、防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面その他
これらに類するものに面する建築物の外壁を除く。
(平元.7.4 消防危第 64 号質疑)
イ 防火上有効なダンパー等を設ける場合は、延焼のおそれのある外壁に換気及び排
出設備を設けることができる。
(平元.7.4 消防危第 64 号質疑)
ウ 耐火構造の壁として
「高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート製パネル(ALC版)
」等を使用する場合は、それを支持する間柱、胴縁等の下地材についても、
耐火性能を有するものとすること。ただし、国土交通大臣の認定を受けた耐火パネ
ルについては、その仕様書による。
エ 外壁に広告看板を設けることは、不燃材料で造られたもので、標識、掲示板等の
障害とならないものであれば認めて差し支えない。
(5) 危険物を取り扱わない部分の構造規制
危険物を取り扱わない部分(関連する事務所等)については、危険物を取り扱う部分
と出入口(自閉式の特定防火設備に限る。
)以外の開口部を有しない耐火構造の壁又は床
で防火上安全に区画した場合は、部分規制ではなく構造規制の緩和とし、政令第 23 条を
適用し次の例によることができる。
(第4-3図参照)
1 間仕切壁は、準不燃材料(建基政令第1条第5号に規定する準不燃材料をいう。以
下同じ。
)とすることができる。
2 外壁に設ける窓又は出入口は、網入りガラス以外とすることができるが、甲種防火
戸又は乙種防火戸でなければならない。
第4 製造所4-7第4-3図 危険物を取り扱わない部分のある製造所の例
(6) 屋根の構造
1 階層を有する建築物で、
上階の床の構造により放爆構造にできないものについては、
周囲の状況及び取り扱う危険物の種類、数量、取扱い方法等を総合的に判断し、窓等
の開口部を大きくとることで、代替とすることもできる。
2 屋根の上には、設備を設けないこと(粉状、引火性固体以外の第 2 類の危険物のみ
を取り扱う建築物を除く)
。ただし、避雷設備、蒸気排出設備のモーター等当該施設に
必要な設備で、放爆構造の妨げとならないものについては、設置することができる。
(7) 窓及び出入り口
1 防火シャッターでスラットの厚さが 0.8 mm以上のものは防火戸に含まれる。
2 自動ドアであっても認められる。ただし、停電時には、自動的に閉鎖するもの、又
は手動で閉鎖できるものであること。
(常時閉鎖式のものは、停電時であっても自動
的に閉鎖すること。)3 製造所等の設置場所が海、
河川に面する等、
外部の立地条件が防火上安全であって、
公共危険がきわめて少ない場合には、窓及び出入り口に関する規定を適用しないこと
ができる。
(昭 36.5.10 自消甲予発第 25 号通知)
4 鉄線入りガラスのパララインを使用した窓又は出入り口は、
防火設備に該当しない。
(昭 58.8.1 消防危第 72 号通知)
(8) 液状の危険物を取り扱う建築物の床
1 危険物が浸透しない構造
危政令第9条第1項第9号に規定する「危険物が浸透しない構造」には、コンクリ
ート、金属板等で造られたものがある。
2 漏れた危険物を一時的に貯留する設備
危政令第9条第1項第9号に規定する
「漏れた危険物を一時的に貯留する設備(以下
「貯留設備」という。)」には、例としてためますのほか油分離装置等がある。
3 排水溝の有効断面は、幅及び深さが 0.1m以上を標準とし、ためます等に向かっ
て滞水しないよう水勾配をつけること。
区画(耐火構造、自閉式の特定防火設備)
危険物を取扱う部分
危険物を取扱わない部分
間仕切壁(準不燃材料)
窓(普通ガラス)
外壁
窓(防火設備以外のもの)
窓及び出入口は甲種又は
乙種防火戸(普通ガラス
可能)
第4 製造所4-84 ためますは、原則として排水口のない集水ますとし、その大きさは 0.3m平方以上
で深さ 0.3m以上を標準とし、危険物が浸透しない構造とすること。
(平元.5.10 消防危第
44 号質疑)
5 油分離槽の容量は、当該装置に流入することが予想される油量によって決定し、槽
数は原則として3槽以上(砂留槽を除く)とすること。
(昭 37.4.6 自消丙予発第 44 号質疑)
(9) 採光及び照明
1 危政令第9条第1項第 10 号に規定する「必要な採光、照明設備」については、照
明設備が設置されている場合で、危険物を取り扱う場合において十分な照度が確保さ
れていれば採光は設けないことができるものである。
(平元.5.10 消防危第 44 号質疑)
2 「必要な採光」
を屋根面にとる場合は、
延焼のおそれの少ない場所にあって、
かつ、
採光面積を最小限度にとどめた場合に限り、網入ガラス又は網入プラスチック等の難
燃性の材料を使用することができるものである。
(10) 換気及び排出設備
危政令第9条第1項第 10 号に規定する「換気設備」及び同条同項第 11 号に規定する
「排出設備」については、第 18「換気設備等」の例によること。
(11) 屋外の危険物取扱設備周囲の危険物流出防止措置
危政令第9条第1項第 12 号に規定する危険物の流出防止に
「これと同等以上の効果が
あると認められる総務省令で定める措置」は、次によるものとする。
(昭 36.5.10 自消甲予発
第 25 号通知)
1 危険物取扱設備の周囲の地盤面に有効な排水溝等を設ける場合
2 危険物取扱設備の架台等に有効なせき又は囲いを設ける場合
(12) 水に溶けない危険物
危政令第9条第1項第 12 号に規定されている「水に溶けないもの」とは、温度 20°C
の水 100gに溶解する量が1g未満であるものをいい、令別表第3備考第9号に規定す
る「非水溶性液体」とは異なるものである。
(平元.7.4 消防危第 64 号質疑)
(13) 危険物のもれ、あふれ等の飛散防止構造等
1 指定数量の1/5未満の危険物を取り扱う屋外又は屋内のタンクは、危政令第9条
第1項第 13 号に規定する「危険物を取り扱う機械器具その他の設備」として取り扱う
こと。
なお、当該タンクのうち、金属製以外のタンクについては、強度、耐熱性、耐薬品
性等を有しているものであること。
2 危政令第9条第1項第 13 号に規定する「危険物のもれ、あふれ又は飛散を防止する
ことができる構造」とは、当該機械器具その他の設備が、それぞれの通常の条件に対
し、十分余裕をもった容量、強度、性能等を有するように設計されているもの等をい
う。
3 危政令第9条第1項第 13 号ただし書きの「危険物のもれ、あふれ又は飛散による災
害を防止するための附帯設備」とは、二重配管、戻り管、波返し、覆い、フロートスイ
第4 製造所4-9ッチ、ブース、受皿等の設備をいう。
なお、自然流下による戻り管の口径は、給油管のおおむね 1.5 倍以上とし、かつ、
弁を設けないこと。
(14) 温度測定装置
危政令第9条第1項第 14 号に規定する温度測定装置については、
危険物を取り扱う設
備の種類、危険物の物性、測定温度範囲等を十分に考慮し、安全で、かつ、温度変化を
正確に把握できるものを設置すること。
(15) 加熱乾燥設備
危政令第9条第1項第 15 号に規定する加熱乾燥設備の設置にあたっては、
資料編第1
-7の例により指導する。
(16) 圧力計・安全装置
1 危政令第9条第1項第 16 号に規定する圧力計については、
危険物を取り扱う設備の
種類、危険物の物性、取扱い圧力範囲等を十分に考慮し、安全で、かつ、圧力変化を
正確に把握できるものを設置すること。
2 危政令第9条第1項第 16 号に規定する安全装置については、
危険物を取り扱う設備
の種類、危険物の物性、取扱い圧力範囲等を十分に考慮し、すみやかに安全な圧力と
することができるものを設置すること。
なお、
破壊板は、
安全弁の作動が困難である加圧設備に限り設置することができる。
(17) 電気設備の基準
電気設備の技術基準については、第 19「電気設備」の例によること。
(18) 静電気除去装置
1 危政令第9条第1項第 18 号に規定する
「静電気が発生するおそれのある設備」
とは、
原則として導電率が 10-8S/m以下の危険物を取扱う設備又は液体の危険物のうち第
4類特殊引火物、第1石油類、アルコール類、第2石油類を貯蔵し、又は取扱うもの
をいう。
2 静電気対策
ア 遠心分離機等で静電気が発生しやすい物質(資料編第1-5参照)を分離する装
置は、導電性のものとするとともに、接地すること。
イ 静電気対策としては、取り扱う物質及び作業形態によって第4-4図の方法を単
独あるいは組み合わせて用いること。
なお、接地により有効に静電気を除去できないものにあっては、不活性ガスでシ
ールする方法等によること。
ウ アース線等の接地抵抗値は、1,000Ω以下となるように設ける。
エ 接地端子及び接地極板は、銅など通電性及び耐食性のある金属を用いること。
第4 製造所4-10(19) 避雷設備
危政令第9条第1項第 19 号に規定する「避雷設備」について、JIS A4201-2003
「建築物等の避雷設備(避雷針)
」によること。また、従来のJIS A4201-1992 によ
る場合は、同規格の 3.5 により設けるほか、次の点に留意すること。
なお、この場合、危政令第 23 条の規定を適用することを要するものであること。
1 避雷設備については、製造所の建築物の他、屋外の 20 号タンク、塔槽類その他の工
作物も対象とするものであること。
2 「周囲の状況によって安全上支障がない場合」には、周囲に自己所有の煙突等(適法
に避雷設備が設置されているものに限る。
)があり、その保護角(45 ゚)の範囲内にあ
る場合で安全上支障がない場合等をいうものである。
第4-4図 静電気除去装置の設置例
第4-5-1図 避雷針の設置例
第4 製造所4-11第4-5-2図 独立避雷針を2基設ける場合の設置例
被保護物
被保護物
被保護物
被保護物
第4 製造所4-12第4-5-3図 独立架空地線を設ける場合の設置例
(20) 20 号タンク
1 20 号タンクの定義(平 10.3.16 消防危第 29 号通知)
危政令第9条第1項第 20 号に規定する危険物を取扱うタンク
(以下
「20 号タンク」
という。
)とは、危険物を一時的に貯蔵し、又は滞留させるタンクであって、屋外又は
屋内にある指定数量の1/5以上のもの、
及び容量に関係なく地下にあるものをいう。
製造所及び一般取
扱所の危険物を取
扱うタンク
屋外又は屋内にあ
る危険物を取扱う
タンク
地下にある危険物
を 取 扱 う タ ン ク
(20 号タンク)
容量が指定数量の
倍数の1/5 未満
(13 号設備)
容量が指定数量の
倍数の1/5 以上
(20 号タンク)
第4 製造所4-132 20 号タンクの容量算定
危険物を取り扱うタンクは、危政令第5条第2項又は第3項及び平成 13 年3月 30
日消防危第 42 号により算定すること。
ア 製造所に設ける屋内タンクの容量については、制限がないものであること。
イ 特殊の構造又は設備を用いる一定量の算定は、算定量の少ない方の量とし、次に
よること。
ア 戻り配管による方法のもの
側板に戻り配管を設ける場合には、配管の下端部を一定量とする。ただし、配
管形状等により液面を特定できる場合には、
この量を一定量とすることができる。
(第4-6図参照)
イ 液面感知センサーによるもの
複数の液面感知センサーを設ける場合には、容量の少ない位置にあるセンサー
の液面を一定量とする。
(第4-7図参照)また、上々限センサー(S2)と上限
センサー(S1)とは、適当な間隔を取るよう指導する。
なお、
上限センサー(S1)の液面が指定数量の倍数の1/5未満の場合には、
20 号タンクに該当しないものであるが、上々限センサー(S2)を取り外すこと
はできないものであること。
第4-6図
第4-7図
第4 製造所4-14ウ 液量計、重量計等によるもの
使用する定量を液量計、重量計等で計測する場合には、その定量を一定量とす
る。
エ 閉鎖系内で危険物を取り扱うもの
油圧装置、潤滑油循環装置等の許可数量を瞬間最大停滞量により算定してい
る場合には、タンクの一定量は瞬間最大停滞量とする。
3 20 号タンクは、次に掲げるものであること。
(昭.58.3.9 消防危第 21 号通知)
ア 危険物の物理量の調整を行うタンク
イ 物理的操作を行うタンク
ウ 単純な化学的処理を行うタンク
なお、上記の適用にあたっては、次の点に留意すること。
ア 20 号タンクに該当するものであるか否かの判断は、
一義的には、
タンクの名称、
形状又は附属設備(かくはん機、ジャケット等)の有無は関係しない。
また、タンクの設置位置が地上又は架構の上部等にあるか否かで判断するもの
ではない。
イ 危険物を一時的に貯蔵し、又は滞留させるタンクとは、工程中において危険物
の貯蔵又は滞留の状態に着目した場合に、屋外貯蔵タンク、屋内貯蔵タンク等と
類似の形態を有し、かつ、類似の危険性を有するものをいう。したがって、滞留
があっても、危険物の沸点を超えるような高温状態で危険物を取り扱うものは、
一般的には 20 号タンクには含まれない。
ウ 物理量の調整を行うタンクとは、量、流速、圧力等の調整を目的としたものを
いい、回収タンク、計量タンク、サービスタンク、油圧タンク(工作機械等と一
体とした構造のものを除く。
)等がこれに該当する。
エ 物理的操作を行うタンクとは、混合、分離等の操作を目的とするものをいい、
混合(溶解を含む)タンク、静置分離タンク等がこれに該当する。
図4-8図 油圧装置の危険物フロー
A:配管や油圧機器等の危険物をすべてタンクに戻した時の液面
(瞬間最大停滞量)
B:使用時に変位する液面の幅ABPオイルタンク
オイルクーラー 油圧機器等
油圧機器等
油圧機器等
第4 製造所4-15オ 単純な化学的処理を行うタンクとは、中和、熟成等の目的のため貯蔵又は滞留
状態において、著しい発熱を伴わない処理を行うものをいい、中和タンク、熟成
タンク等がこれに該当する。
4 20 号タンクに該当しない設備
ア 20 号タンクに該当しない設備等の例
ア 蒸留塔、精留塔、分留塔、吸収塔、抽出塔
イ 反応槽
ウ 分離器、ろ過器、脱水器、熱交換器、蒸発器、凝縮器
エ 工作機械等と一体(内蔵された)とした構造の油圧用タンク、切削油タンク及
び作動油タンク〔放電加工機と一体とした構造である場合又は気密に造られてい
ない構造である加工液タンクを含む。〕(昭 58.11.7 消防危第 107 号質疑)
オ 機能上、常時開放して使用する設備(昭 58.11.29 消防危第 123 号質疑)
カ 機能上移動する目的で使用する設備
イ 20 号タンクに該当しない設備等については、当該設備の使用圧力、使用温度等を
考慮し、材質、板厚、安全装置等の安全対策について指導する。
5 20 号タンクの位置、構造及び設備は、危政令及び危省令の規定によるほか、次によ
ること。
(平 10.3.16 消防危第 29 号通知)
ア コの戻り配管等の例による過剰給油防止構造を有するものは、特殊の構造又は設
備を用いる 20 号タンクに該当する。
なお、液面の設定値を容易に変更できる液面感知装置には、設定値を当該装置又
はその付近に表示するか、
若しくは、
操作マニュアル等に記載するように指導する。
イ サイトグラス
ア サイトグラスは、保安管理や品質管理などタンク内部を確認する必要がある場
合に設けるものであり、
直接目視するもの、
テレビカメラで監視するもののほか、
目視等のため内部照明に用いるものも該当する。
次のaからfまでのすべてに適合する場合には、危政令 23 条の規定を適用し、
タンクの一部にサイトグラスを設けることができること。
a 外部からの衝撃により容易に破損しない構造であること。
〈例〉
・ サイトグラスの外側に網や蓋を設け、
外部からの衝撃を直接受けない構造の
もの
・ 想定される外部からの衝撃に対して安全な構造を有する強化ガラス等が用
いられているもの
b 外部からの火災等の熱により破損しない構造のもの、又は外部からの火災等
の熱を受けにくい位置に設けられているものであること。
〈例〉
・ 使用時以外には、閉鎖される鋼製等の蓋が設けられているもの
第4 製造所4-16・ タンクの屋根板部分に設けられているもの
c 大きさは、必要最小限度のものであること。
d サイトグラス及びパッキン等の材質は、取扱う危険物に侵されないものであ
ること。
e サイトグラスの取付け部は、サイトグラスの熱変位を吸収することができる
ものであること。
〈例〉
・ サイトグラスの両面にパッキンを挟んでボルトにより取り付けられている
もの
f サイトグラス取付け部の漏れ又は変形の確認は、タンクの気相部に設けられ
ているサイトグラスにあっては気密試験によりタンクの接液部に設けられてい
るサイトグラスにあっては水張試験等により行われるものであること。
イ サイトグラスに強化ガラス等を使用する場合には、キズや鋭角な切り欠きがな
く、応力集中のない形状とすること。
ウ 支柱の耐火性能
支柱の周囲で発生した火災を有効に消火することができる第3種消火設備が設け
られている場合には、支柱を耐火構造としないことができる。
なお、
「支柱の周囲で発生した火災を有効に消火することができる」とは、火災時
の熱等による支柱の変形を防止できるよう第3種消火設備の放射範囲内にある場合
をいう。
エ 放爆構造
屋外の 20 号タンクは放爆構造とされているが、
第二類又は第四類の危険物を取り
扱う 20 号タンクについては、次のアからウまでのすべてに適合する場合に限り、危
政令第 23 条の規定を適用し、放爆構造としないことができる。
ア タンク内における取扱いは、危険物等の異常な化学反応等によりタンクの圧力
が異常に上昇し得ないものであること。
a 異常な化学反応等によりタンクの圧力が異常に上昇し得ないものには、安全
弁等の安全装置や圧力を常時監視し、必要に応じて非常用通気口等を開放でき
る構造や設備が取り付けてあるもの、又はアルコールの水希釈、塗料の混合等
明らかに化学反応を起こさないものがある。
b タンク内の危険物が異常に上昇し得ないものには、温度計測により冷却装置
や加熱装置の停止が常時監視・制御されているものがある。
イ タンク気相部に不活性ガスが注入されている(不活性ガスの供給装置等が故障
した場合においても気相部の不活性ガスの濃度が低下しないもの。
)など、気相部
で、可燃性混合気体を形成し得ない構造又は設備を有すること。
ウ フォームヘッド方式の第3種固定泡消火設備又は第3種水噴霧消火設備が設け
られているなど、タンク周囲で火災が発生した場合にタンクを冷却することがで
第4 製造所4-17きる設備が設けられていること。
オ さび止め塗装
ステンレス鋼板その他の腐食し難い材料で造られている屋外又は屋内のタンクに
ついては、さび止め塗装をしないことができる。
カ 通気管
メタノール等のアルコール類を貯蔵し、又は取り扱うタンクに設ける通気管の引
火防止装置は、
クリンプトメタル方式のものとすること。
(平6.3.5 消防危第 28 号通知)
キ 自動表示装置
ア 自動表示装置は、第7「屋外タンク貯蔵所」3(1)14の例により設けること。
なお、高粘度の危険物等を取り扱うもので、自動表示装置を設けることが困難
なものにあっては、自動表示装置に代えてタンクに収納されている危険物の量が
確認できる他の方法をとることができる。
イ 危険物が過剰に注入されることによる危険物の漏えいを防止することができる
構造又は設備を有するタンクについては、
自動表示装置を設けないことができる。
構造例としては、次のものがある。
a 一定量以上の量の危険物が当該タンクに注入されるおそれがない構造をする
20 号タンクの例(自然流下配管が設けられているもの)
20 号タンクに一定量以上の危険物が注入された場合、無弁の自然流下配管を
通じて滞ることなく主タンク(供給元タンク)に危険物が返油され、20 号タン
クの最高液面が自然流下配管の設置位置を越えることのない構造のもの。
(第4
-9図参照)
第4-9図
第4 製造所4-18b 一定量以上の量の危険物が当該タンクに注入されることを防止することがで
きる複数の構造又は設備を有する 20 号タンクの例
(a) 液面感知センサーを複数設定し、各センサーから発せられる信号により一
定量を超えて危険物が注入されることを防止するもの。
(第4-10 図参照)
〇 危険物注入用ポンプを停止させる設備が複数設けられているもの
第4-10 図
〇 危険物注入用ポンプを停止させる設備と主タンク(供給元タンク)の元
弁を閉止する設備がそれぞれ設けられているもの(第4-11 図参照)
第4-11 図
第4 製造所4-19〇 危険物注入用ポンプを停止させる設備と三方弁を制御することにより一定
量以上の危険物の注入を防止する設備がそれぞれ設けられているもの。
(第4
-12 図参照)
(b) 20 号タンクへの注入量と当該タンクからの払出量をそれぞれ計量し、これ
らのタンク内にある危険物の量を算出し、算出量が一定以上になった場合、
タンクへの注入ポンプを停止させる設備と液面センサーが発する信号により
主タンク(供給元タンク)の元弁を閉止する設備がそれぞれ設けられている
もの。
(第4-13 図参照)
第4-12 図
第4-13 図
第4 製造所4-20(c) 20 号タンクへの危険物の注入が当該タンクが空である場合にのみ行われる
タンクで、タンクへの注入量を一定以上に制御する設備と液面センサーが発
する信号により主タンク(供給元タンク)の元弁を閉止する設備がそれぞれ
設けられているもの(第4-14 図参照)
・空タンクに注入時、Fにより積算流量を検出
・Fの故障等により過剰注入されたとき、S1が感知し、元弁が閉止
ウ 特殊の構造又は設備により危険物を取扱うタンクであって、一定量を保持でき
るものは、特殊の構造又は設備を自動表示装置と同等とみなすことができる。
なお、熱媒体油循環装置等で危険物の量が減少することにより危険性を伴うも
のは、減少側のも作動させる構造又は設備を有していること。
エ 次の場合には、自動表示装置の設置を免除することができる。
a バッチ方式で計量槽等により予め計量した危険物を注入するもので注入時に
液量が確認されない限り注入できない構造又は設備を有するタンク
b 油圧タンク等で使用している油の全量を収容できるタンク
ク 弁は、第7「屋外タンク貯蔵所」1(1)17の例によること。
ケ 20 号防油堤及びタンクの防油措置
タンクについては、次により 20 号防油堤及び防油措置を講ずるよう指導する。
ア 屋外にあるタンクの防油堤
20 号防油堤の容量は、危省令第 13 条の3第2項第1号の規定により設ける防
油堤の容量が実際にタンクに収納する危険物の量
(1の 20 号防油堤に2以上のタ
ンクがある場合は当該タンクのうち実際に収納する危険物の量が最大となるタン
クの量)に満たないものにあっては、その全量を収納できるものとし、構造につ
いては、資料編第3-2に準ずるよう指導すること。
イ 屋内にあるタンクの防油措置
屋内にあるタンクの周囲等には、危険物が漏れた場合にその流出を防止するた
め前アに準じた措置を講じるよう指導する。ただし、防油措置を設けることが著
しく困難な場合は、出入口等の嵩上げにより部屋全体で措置することができるも
のであること。
第4-14 図
第4 製造所4-21ウ 20 号防油堤の特例措置
a 屋外の 20 号防油堤については、
製造プラント等にある 20 号タンクであって、
当該タンクの側板から下表のタンク容量の区分に応じそれぞれ同表に定める距
離以上の距離を有する 20 号防油堤の部分については、高さを 15 cm以上とする
ことができる。
タンク容量
の区分
10 kl未満
10 kl以上
50 kl未満
50 kl以上
100 kl未満
100 kl以上
200 kl未満
200 kl以上
300 kl未満
距 離 0.5m 5.0m 8.0m 12.0m 15.0m
b タンク容量の区分に応じた距離を確保できない部分については、漏えい時の
飛散・いつ流を防止する必要から a の特例措置の適用はできないものであるこ
と。
(第4-15 図参照)
c 危険物を取り扱わないプラント等の設備は、20 号防油堤で極力囲まないよう
指導する。
d 漏えいの極限化を図る目的から、
同一の 20 号防油堤に含まれるタンク容量堤
内面積に応じて当該防油堤より低いせき等により堤内を仕切るなどの方策を講
じるよう指導する。
エ 20 号防油堤と屋外危険物取扱設備の流出防止設備
屋外の危険物取扱設備の周囲には、
高さ 15 cm以上の囲いを設けることとされて
いるが、当該設備の周囲に 20 号防油堤が設けられ、さらに、次の a 及び b に適合
する場合、又は当該設備が 20 号タンク(配管を含む。
)に限られ、その周囲に 20
号防油堤が設けられている場合には、屋外の危険物取扱設備に囲いを設けないこ
とができる。
a 20 号防油堤の内部の地盤面が、
コンクリートその他危険物が浸透しない材料
で覆われていること。
b 20 号防油堤の内部の地盤面には、適当な傾斜、ためますが設けられているこ
と。
第4-15 図
第4 製造所4-22〈例1〉
20 号防油堤内にタンク以外の危険物を取り扱う屋外設備が設けられている
場合
a及びbを満足している場合には、
危政令第9条第1項第 12 号の流出防止
措置を設けないことができる。
(20 号防油堤の兼用)
(第4-16 図参照)
〈例2〉
20 号防油堤内にタンクのみの危険物を取り扱う屋外設備が設けられている
場合A及びBの部分については、
危政令第9条第1項第 12 号の流出防止措置
を設けないことができる。
(屋外流出防止措置の免除)
(第4-17 図参照)
A及びC:危政令第9条第1項第 12 号の流出防止措置を免除する区域
B:危政令第9条第1項第 12 号の流出防止措置の必要な区域
D:B区域内に 20 号防油堤を設置したもの
第4-17 図
第4-16 図 20 号防油堤により流出防止措置を兼ねる例ABDC
20 号防油堤
20 号タンク
危険物取扱タンク
保有空地
流出防止措置
第4 製造所4-23オ 20 号防油堤に設ける水抜弁等
a 20 号防油堤には、水抜口及びこれを開閉する弁(以下「水抜口等」という。)を設けることとされているが、次の(a)及び(b)に適合する場合には、水抜口等を
設けないことができる。
(a) 20 号防油堤の内部で第四類の危険物
(水に溶けないものに限る。)以外の危
険物が取り扱われないものであること。
(b) 20 号防油堤内の 20 号タンクのうち、その容量が最大であるタンク容量以
上の危険物を分離する能力を有する油分離装置が設けられていること。
なお、
油分離装置には、
油回収装置や油収容槽、
油処理施設等が含まれる。
b 複数の 20 号防油堤を有している場合には、a、(a)及び(b)に適合すれば、一の
油分離装置を兼用することができる。
c 4連又は3連の油分離槽を設ける場合にあっては、水より比重の軽い危険物
のみが流入しても油分離槽からいつ流しない十分な深さを持った構造とするこ
と。
(資料編第1-4参照)
コ 戻り配管等
サービスタンクについては、過剰給油を有効に戻すことができる戻り専用管(自
然流下による管にあっては、給油管の2倍以上の径を有するものとし、かつ、弁を
設けないこと。
)等の設置を次の例により指導する。
(第4-18 図から第4-21 図まで参照)
(運用事項)
第4-18 図 分岐装置Pサービスタンク
配線
主タンク
ポンプ
ブザー 三方コック
分岐戻り管
液面が定量以上になると
分岐戻り管の方へへ開く
第4 製造所4-24第4-19 図 二重フロートスイッチによるしゃ断弁
第4-20 図 二重フロートスイッチによるポンプ停止装置
第4-21 図 強制戻し専用管及び緊急しゃ断弁Pサービスタンク
主タンク
ブザー
自動しゃ断弁
配線Pブザー
サービスタンク
配線
主タンク
ポンプ
ポンプ
主タンク 緊急しゃ断弁PSP配線
ブザー
サービスタンク
強制戻し専用管
緊急しゃ断弁の操作スイッチ
(ボイラー室内用)
供給用ポンプ
戻し用ポンプ
第4 製造所4-25サ 配管系統の安全措置
主タンクと供給先タンク、設備等に高低差がある場合には、供給先配管系統と主
タンクとの結合部の直近、又は第1継手(溶接継手を除く。
)の一次側に元弁を設け
るよう指導する。
(第4-22 図参照)
なお、当該元弁にあっては、次によること。
ア 手動で閉鎖する機能を有すること。
イ 電動、空気圧により閉鎖する機能を有する場合にあっては、停電時等に自動的
に弁を閉鎖する機能を有するか、又は、予備動力源により弁が閉鎖する機能を有
すること。
(21) 開放槽のいつ流防止措置
焼入れ、浸漬槽、部品洗浄槽等危険物を取り扱う設備で、かつ、当該設備に収納す
る危険物の一部若しくは全部をふたによって覆う構造のもの又はふたを有しない構造
のもの(以下「開放槽」という。
)で、地震動により当該危険物が容易にいつ流するお
それのあるものは、収納する危険物の液面高を低くするか、又は開放槽を高くする等
いつ流防止措置を講ずるとともに、せき等の流出拡散防止措置を講ずることを併せて
指導する。
図4-22 図 配管系統の安全措置の例PP
サービスタンク
元弁
(第1継手等の1次側)
元弁
(タンク直近)
強制戻し専用配管
電磁弁等
供給用ポンプ
戻し用ポンプGL 第4 製造所4-26(22) 危険物を取り扱う配管等
1 危省令第 13 条の5第2号ただし書きに規定する「火災によって当該支持物が変
形するおそれのない場合」には、次のものが該当するものであること。
(平元.7.4 消
防危第 64 号質疑)
ア 支持物の高さが 1.5m以下で、不燃材料で造られたものである場合。
イ 支持物が製造所等の存する事業所の敷地内に設置された不燃材料で造られたも
ので、次のいずれかである場合。
(平元.7.4 消防危第 64 号質疑)
ア 支持する配管のすべてが高引火点危険物を 100°C未満の温度で取扱うもの
イ 支持する配管のすべてが引火点 40°C以上の危険物を取扱う配管であって、周
囲に火気等を取り扱う設備の存しないもの
ウ 周囲に危険物を貯蔵し、又は取り扱う設備及び火気等を取扱う設備がしない
もの
ウ 建築物が耐火構造又は不燃材料で造られ、開口部に防火設備が設けられている
外壁部分を通過するもの
エ 火災による配管の支持物である支柱等の一部が変形したときに、支持物の当該
支柱等以外の部分により配管の支持機能が維持される場合。
(平元.12.21 消防危 114 号、
平4.2.6 消防危第 13 号質疑)
オ 火災時における配管の支持物の変形を防止するため、有効な散水設備を設けた
場合。
(平2.5.22 消防危第 57 号質疑)
例として、配管の支持物付近に屋外消火栓があり、当該消火栓の有効放射範囲
内に配管支持物がある場合等
2 危省令第 13 条の5第2号に規定する支持物の耐火性等の基準の適用については、
製造所の建築物内及び防油堤内に設置されているものについては適用しないことが
できる。
3 危政令第9条第1項第 21 号イに規定する配管の基準において「その設置される
条件及び使用される状況に照らして十分な強度を有するもの」のうち、金属製のも
のには、次の規格に適合する配管材料があること。
第4 製造所4-27配 管 材 料
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材 SS
3103 ボイラー及び圧力容器用 SB
炭素鋼及びモリブデン鋼鋼板
3106 溶接構造用圧延鋼材 SM
3452 配管用炭素鋼鋼管 SGP
3454 圧力配管用炭素鋼鋼管 STGP
3455 高圧配管用炭素鋼鋼管 STS
3456 高温配管用炭素鋼鋼管 STPT
3457 配管用アーク溶接炭素鋼鋼管 STPY
3458 配管用合金鋼鋼管 STPA
JIS G 3459 配管用ステンレス鋼管 SUS-TP
3460 低温配管用鋼管 STPL
4304 熱間圧延ステンレス鋼板 SUS-HP
4305 冷間圧延ステンレス鋼板 SUS-CP
4312 耐熱鋼板 SUH-P
JIS H 3300 銅及び銅合金継目無管 C-TC-TS3320 銅及び銅合金溶接管 C-TW
C-TWS
4080 アルミニウム及びアルミニウム A-TES
合金継目無管 A-TD
A-TDS
4090 アルミニウム及びアルミニウム A-TW
合金溶接管 A-TWS
4630 配管用チタン管 TTP
4 可動部分に高圧ゴムホースを使用することについては、使用場所周囲の温度又は火
気の状況、ゴムホースの耐油、耐圧性能、点検の頻度等を総合的に判断し、安全性が
確認できる場合に限って認めることができる。
5 フランジは、常用の圧力に応じ、JIS B2201「鉄鋼製管フランジの圧力段階」に
適合するものを用いるよう指導する。
(運用事項)
6 ピット内の配管等で常時点検することができないものの接続は、金属製配管にあっ
ては溶接継手、FRP配管にあっては重ね合わせ接合とし、それ以外の接続にあって
は、点検ボックスで確認できるよう指導する。
(運用事項)
7 製品の品質管理等に伴い、配管の洗浄を頻繁に行うために継手を用いる場合は、常
時点検できる場所に設ける場合に限り、サニタリー結合金具、くいこみ金具(LAカ
第4 製造所4-28ップリング、パワーロック等)によることができる。
8 危政令第9条第1項第 21 号イに規定する配管の水圧試験等については、
次によるこ
と。
ア 当該試験は、原則として配管をタンク等に接続した状態で行うこと。ただし、タ
ンク等へ圧力をかけることができない場合にあっては、その接続部直近で閉鎖して
行うこと。
イ 自然流下により危険物を送る配管にあっては、最大背圧を最大常用圧力とみなし
て行うこと。
ウ 当該試験は、配管の継手の種類にかかわりなく、危険物が通過し、又は滞留する
すべての配管について行うこと。
9 地上配管の防食措置
危省令第 13 条の4に規定する地上配管の防食塗装とは、
一般には防錆塗料等を用い
塗装することをいうが、亜鉛メッキ鋼管及びステンレス鋼管等腐食のおそれが著しく
少ないものにあっては、同条で規定する「外面の腐食を防止するための塗装」を行わ
ないことができる。
(平元.12.21 消防危第 114 号質疑)
10 地下配管の防食措置
ア 危省令第 13 条の4の規定による防食
(資料編第1-3 参照)
が必要であること。
ただし、地下室内の架空配管及び容易に点検できるピット内の配管(ピット内に流
入する土砂、水、湿気等により腐食するおそれのある場合を除く。
)については、同
条に規定する地上配管の防食措置とすることができる。また、腐食性のない材質で
造った気密構造の管内に金属配管を通す二重配管方式のものについても、同条に規
定する地上配管の防食措置とすることができる。
(昭 53.5.25 消防危第 69 号質疑、
昭 54.3.12
消防危第 27 号質疑、昭 55.4.10 消防危第 49 号質疑、昭 58.11.4 消防危第 115 号質疑)
なお、廃止された JIS G3491「水道用鋼管アスファルト塗覆装方法」に適合する塗
覆装材及び塗覆装の方法により施工される配管の塗覆装は告示第3条第1号及び第
2号の規定並びに告示第 22 条第1号及び第2号に適合するものとして認められる。
(平 23.12.21 消防危第 302 号通知)
イ 危省令第 13 条の 4 に規定する「電気的腐食のおそれのある場所」には、次に掲
げる場所が該当するものである。ただし、第 17「電気的腐食のおそれのある場所」
の例により、当該場所についての対地電位又は地表面電位勾配の測定をした結果、
当該測定値が判定基準値未満である場所を除く。
(昭 53.11.7 消防危第 147 号質疑)
ア 直流電気鉄道の軌道又はその変電所から1kmの範囲内にある場所
イ 直流電気設備(電解設備その他これらに類する直流電気設備をいう。)の周辺
なお、直流電気設備による腐食電流の及ぼす範囲は、対地電位を測定して判断
すること。
ウ 危告示第4条第1号に規定する「過防食による悪影響を生じない範囲内」とは、
配管(鋼管)の対地電位平均値が-2.0Vより負とならない範囲をいう。
第4 製造所4-2911 緩衝装置
液体の危険物を移送するためのタンクの配管は、地震等により当該配管とタンクと
の結合部分に損傷を与えないように緩衝装置を設けるよう指導すること。
なお、可撓管継手は昭和 56 年3月9日消防危第 20 号通知及び昭和 57 年5月 18 日
消防危第 59 号通知に適合するものとすること。
12 壁等の貫通部分にはモルタル等の不燃材料で埋め戻すとともに、配管の貫通部分に
は、さびどめ塗装及び防食テープ(電気的に絶縁性があるもの)により防食措置を施
すよう指導すること。
13 地上から屋上設置の危険物施設及び設備等に送油する縦配管については、次に掲げ
る施工とするよう指導すること。
ア 地上から屋上まで一の配管としないこと。
イ 配管は各階ごとに界床にて結合し、当該部分には緩衝装置を設け、貫通部分は上
記12の措置を施すこと。また、貫通部分は目視にて確認できるようにすること。
ウ パイプシャフト内に設ける場合は、電線及びガス管等と同一の場所とならないよ
うにすること。
14 FRP配管
強化プラスチック配管を用いる場合は、
平成 21 年8月4日消防危第 144 号通知によ
ること。
15 サイトグラス
配管の一部にサイトグラスを用いる場合は、
平成 13 年2月 28 日消防危第 28 号通知
によること。
(23) 電動機の設置位置等は、危政令第9条第1項第 22 号に規定する電動機を設ける場
合には、点検に支障がなく、かつ、危険物等の漏えいにより埋没しない位置とするよ
う指導する。
(運用事項)
(24) 地震対策等
1 危険物を取り扱う設備には、危険物が漏えいした場合に漏えい範囲をできる限り
局限化できる措置を講ずるよう指導する。
2 ステージ、
塔槽類及び 20 号タンク等は、
耐震性を有する構造とするよう指導する。
(運用事項)
3 危険物を取り扱う金属製配管は、溶接又はフランジによる接続とし、地震動によ
る変位を屈曲、可撓管継手等により十分吸収できる構造とするよう指導する。
(25) 蒸留設備、反応槽等の保安設備
蒸留設備
(爆発範囲内で操作するもの又は加熱する熱媒等の温度が蒸留する危険物
の分解温度若しくは発火点より高いもの)
、反応槽等については、異常反応等を防止
する装置として次に掲げるものを設けるよう指導する。
(運用事項)
1 自動警報装置
2 緊急しゃ断装置、不活性ガス、冷却用水、反応抑制剤等を供給するための装置及
第4 製造所4-30びブローダウン等の装置(不活性ガス、冷却用水、反応抑制剤にあっては通常の生
産に用いられるものを除く。)3 かくはん機、冷却ポンプ等に係る予備動力源
注1 自動警報装置とは、温度、圧力、PH 濃度、流量等が設定条件範囲を外れたとき
に自動的に警報を発するものをいう。
注2 予備動力源とは、通常の動力源の異常の場合、かくはん機、冷却ポンプ等の電
源を確保できるものをいう。
〈例〉自家用発電設備、蓄電池設備、専用受電設備等
5 特殊な製造所等
(1) 高引火点危険物施設
危政令第9条第2項の規定により高引火点危険物を取り扱う製造所については、高引
火点危険物以外の危険物を取扱うことができないものであること。
ただし、製造工程上、不可欠な場合にあっては、高引火点危険物以外の危険物を微量
の範囲内で取り扱うこともできる。
(2) アルキルアルミニウム等の危険物
危省令第 13 条の8第2号に規定する「不活性の気体を封入する装置」又は同令第 13
条の9第2号に規定する「不活性の気体又は水蒸気を封入する装置」とは、危険物の取
扱い又は設備の整備に際し、爆発性混合気体が生じた場合に自動覚知装置により覚知
し、自動又は手動により、危険物の性質を考慮した不活性ガス又は水蒸気を封入するこ
とができる装置をいうものであること。ただし、常時封入する場合の圧力は、危険物を
取扱う設備の常用圧力以下とすること。

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