第 16 認定保安距離16-1第16 認定保安距離
1 保安距離の短縮条件
危険物製造所等の設置後、周辺に新たに危政令第9条第1項第1号イ、ロ、ハの保安対
象物件が設置された場合に限り、認定保安距離を適用する。ただし、次の場合には、危政
令第9条第1項第1号に規定する距離を短縮することはできない。
(1) 危険物製造所等の保有空地が9m以上のもの
(2) 危険物製造所等の貯蔵又は取扱最大数量に基づく指定数量の倍数が、次表に示す数値
のもの
用途地域
区 分
第 1 種 住 居 地 域
第 2 種 住 居 地 域
準 住 居 地 域
近 隣 商 業 地 域
商 業 地 域
準 工 業 地 域
工 業 地 域
製造所
一般取扱所
30 を超える数量 35 を超える数量 50 を超える数量
屋内貯蔵所 120 を超える数量 150 を超える数量 200 を超える数量
屋外タンク貯蔵所 600 を超える数量 700 を超える数量 1,000 を超える数量
屋外貯蔵所 10 を超える数量 15 を超える数量 20 を超える数量
第 16 認定保安距離16-22 保安距離の短縮限界
防火上有効な塀を設けることにより短縮できる限界距離は、次の各表によること。
(1) 貯蔵所区分
危険物の
倍数
住居・学校・
文化財等の
危険度
短縮できる最短の距離(m)
住居に対するもの学校等に対する
もの
文化財等に対す
るもの
X Y X Y X Y屋内貯蔵所5未満
A 6.5 5.0 20.0 16.0 35.0 29.0
B 5.0 4.0 16.0 12.0 29.0 23.0
C 4.5 3.0 14.0 10.0 26.0 20.0
5以上
10 未満
A 7.0 6.0 20.0 16.0 35.0 29.0
B 6.0 4.5 16.0 12.0 29.0 23.0
C 5.0 4.0 14.0 10.0 26.0 20.0
10 以上
20 未満
A 8.0 6.5 22.0 18.0 38.0 32.0
B 6.5 5.0 18.0 14.0 32.0 26.0
C 5.0 4.5 16.0 12.0 29.0 23.0
20 以上
50 未満
A 8.5 7.0 26.0 22.0 44.0 38.0
B 7.0 6.0 22.0 18.0 38.0 32.0
C 6.5 5.0 20.0 16.0 35.0 29.0
50 以上
200 以下
A 10.0 8.5 30.0 26.0 50.0 44.0
B 8.5 7.0 26.0 22.0 44.0 38.0
C 8.0 6.5 24.0 20.0 41.0 35.0屋外タンク貯蔵所
500 未満
A 8.5 7.0 26.0 22.0 44.0 38.0
B 7.0 6.0 22.0 18.0 38.0 32.0
C 6.5 5.0 20.0 16.0 35.0 29.0
500 以上
1,000 以下
A 10.0 8.5 30.0 26.0 50.0 44.0
B 8.5 7.0 26.0 22.0 44.0 38.0
C 8.0 6.5 24.0 20.0 41.0 35.0屋外貯蔵所10 未満
A 8.5 7.0 26.0 22.0 44.0 38.0
B 7.0 6.0 22.0 18.0 38.0 32.0
C 6.5 5.0 20.0 16.0 35.0 29.0
10 以上
20 以下
A 10.0 10.0 30.0 30.0 50.0 50.0
B 10.0 8.5 30.0 26.0 50.0 44.0
C 9.0 8.0 28.0 24.0 47.0 41.0
第 16 認定保安距離16-3(2) 製造所、一般取扱所区分
危険物
の倍数
住居・学校・
文化財等の
危険度作業危険度短縮できる最短の距離(m)
住居に対するもの学校に対するもの文化財等に対す
るもの
X Y X Y X Y製造所・一般取扱所10 未満Aa 9.5 8.0 28.0 24.0 47.0 41.0
b 8.0 6.5 24.0 20.0 41.0 35.0Ba 8.0 6.5 24.0 20.0 41.0 35.0
b 6.5 5.0 20.0 16.0 35.0 29.0Ca 7.0 6.0 22.0 18.0 38.0 32.0
b 6.0 4.5 18.0 14.0 32.0 26.0
10 以上
50 以下Aa 10.0 8.5 30.0 26.0 50.0 44.0
b 8.5 7.0 26.0 22.0 44.0 38.0Ba 8.5 7.0 26.0 22.0 44.0 38.0
b 7.0 6.0 22.0 18.0 38.0 32.0Ca 8.0 6.5 24.0 20.0 41.0 35.0
b 6.5 5.0 20.0 16.0 35.0 29.0
注1 住居とは、危政令第9条第1項第1号イに規定するものをいう。
学校等とは、危政令第9条第1項第1号ロに規定するものをいう。
文化財等とは、危政令第9条第1項第1号ハに規定するものをいう。
注2 A、B、C、及びa、bは(3)、(4)の表に示すものとする。
注3 Xとは、次に該当するものをいう。
第一類の危険物のうち第1種酸化性固体、第三類の危険物のうちカリウム、ナト
リウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、第1種自然発火性物質及び禁
水性物質、
黄りん、
第四類の危険物のうち特殊引火物、
第1石油類、
アルコール類、
第2石油類、第五類及び第六類の危険物Yとは、X以外の危険物をいう。
第 16 認定保安距離16-4(3) 住居、学校、文化財等の危険度住居等の別危険度
条件 備考住居A1 保安距離に抵触する住宅等のうち、寄宿舎、共
同住宅、下宿、寮又はこれらに類するもので延べ
面積が 150 m2以上である場合
2 前1以外のもので、住宅等の床面積が、300 m2
以上である場合
3 保安距離内の地域が、危険度判定の結果、予想
焼失面積 500 m2以上である場合
1 危険度(A,B,C)
の判定は、
当該条件の一
に該当する場合とする。
2 保安距離内に存する
建築物の床面積の算定
は、
建築物の一部が存す
る場合であっても当該
部分の床面積の合計で
はなく、
建築物全体の床
面積の合計とする。
B A及びC以外の場合C保安距離内の地域が、危険度判定の結果、予想焼失
面積 150 m2以下であって、保安距離内に存する住宅
等の延べ面積の合計が 60 m2以下である場合学校等A
学校等の存する地域が、危険度判定の結果、予想焼
失面積 500 m2以上である場合
B A及びC以外の場合C学校等の存する地域が、危険度判定の結果、予想焼
失面積 150 m2以下である場合文化財等A1 文化財等の床面積の合計が 300 m2以上の場合
2 文化財等の外壁の高さが7m以上の場合
3 文化財等の建築物の屋根が可燃材料でふかれて
いる場合
4 文化財等の存する地域が、危険度判定の結果予
想焼失面積 500 m2以上である場合
B A及びC以外の場合C文化財等の存する地域が、危険度判定の結果、予想
焼失面積 150 m2以下であって、かつ、建築物が平屋
建にして床面積 60 m2以下である場合
第 16 認定保安距離16-5(4) 作業危険度
危険度 条 件a1 危政令第 25 条第 1 項の「危険物の類ごとに共通する危険物の貯蔵又は取
扱いの基準」に抵触する作業を行うもの(第四類の危険物のうち(2)注3にお
けるYに該当するもので、燃焼の用に供するものを除く。)例 アセチレンガス発生工場、混合火薬又は花火製造工場
2 通常の作業状態で引火性蒸気(引火点 40°C以下の液体の蒸気とする。)又は可燃性微粉を著しく発散するもの
例 吹付塗装工場、金属粉又は硫黄製造工場、ドライクリーニング工場、
開放形容器で危険物の混合かくはんする作業、
引火性蒸気を発散させる
乾燥場等
3 引火性蒸気が発生し、かつ、著しく静電気の蓄積が予想されるもの
例 機械的糊引作業所、グラビア印刷工場等
4 発火点又は分解点まで危険物を加熱するもの
例 ボイル油製造工場、セルロイドの加熱加工場、石油ガス発生工場、焼
入れ油を使用した工場等
b a 以外の場合
3 塀の高さ
塀の高さは、延焼限界曲線を利用し、保安距離に抵触する危政令第9条第1項第1号
イ、ロ、ハの建築物を延焼限界外の安全な位置に置き換えようとするもので、その算定方
法は、次によること。
第16-1図
第 16 認定保安距離16-6本図において
製造所等と隣接建物との間隔.............................................D
隣接建物の軒高...............................................................H
製造所等の原点の高さ......................................................a
製造所等と防火塀との間隔................................................dとすると
H≦PD2+aの関係にあるときは、隣接建物が延焼限界外にあるため、塀は2mの高さとする。
H>PD2+aの関係にあるときは、隣接建物が延焼限界内にあるため、延焼限界外となるように、塀
は2mを超える高さとする。
この場合における必要な塀の高さ(h)は、次式により求めること。
h=H-P(D2-d2)
注1 式中のPは次のとおりとする。
区 分 Pの数値
にじゅうまる 住居、学校、文化財等の建築物が裸木造のもの
にじゅうまる 住居、
学校、
文化財等の建築物が防火構造又は耐火構造で製造所等に面
する部分の開口部に防火設備を設けていないもの0.04にじゅうまる 住居、
学校、
文化財等の建築物が防火構造で製造所などに面する部分の
開口部に防火設備を設けているもの
にじゅうまる 住居、
学校、
文化財等の建築物が耐火構造で製造所などに面する部分の
開口部に防火設備を設けているもの0.15にじゅうまる 住居、
学校、
文化財等の建築物が耐火構造で製造所などに面する部分の
開口部に特定防火設備を設けているもの∞ 第 16 認定保安距離16-7注2 式中のa(製造所等の原点の高さ)は次のとおりとする。
区 分 原 点 の 高 さ 備 考製造所・一般取扱所壁体が耐火構造で造られ隣接建物
に面する側に開口部のないもの又
は開口部に特定防火設備があるもの壁体が耐火構造で造られ開口部に
特定防火設備がないもの
壁体が耐火構造以外のもので造ら
れているもの
詰替え場その他の工作物
屋外にある取扱タンク
(縦型のもの)
屋外にある取扱タンク
(横置型のも
の)原点位置は、防油堤の上部とす
る。ただし、タンク内の蒸気を上部
に放出する構造のものはタンク頂
部とする。aaa=0aaa
第 16 認定保安距離16-8区 分 原 点 の 高 さ 備 考屋内貯蔵所壁体が耐火構造で造られ隣接建物
に面する側に開口部のないもの又
は開口部に特定防火設備があるもの壁体が耐火構造で造られ開口部に
特定防火設備がないもの
壁体が耐火構造以外のもので造ら
れているもの屋外タンク貯蔵所
縦型のもの
横置型のもの
原点位置は、防油堤の上部とする。
ただし、
タンク内の蒸気を上部に放
出する構造のものはタンク頂部と
する。屋外所蔵所注3 塀の高さの算定結果が2m未満のときは、塀の高さは、2m以上とすること。
注4 塀の高さの算定結果が4m以上のときは、塀の最大高さは4mとし、次のいずれか
によること。aa=0aaaa=0
第 16 認定保安距離16-91 当該製造所等が第5種消火設備を必要とする場合には、第4種消火設備を1個以上
増設すること。
2 当該製造所等が第4種消火設備を必要とする場合には、第1種又は第2種若しくは
第3種消火設備(以下「固定消火設備」という。)のうち、当該製造所等の火災の消
火に適応する固定消火設備を設けること。
3 当該製造所等が固定消火設備を必要とする場合には、第4種消火設備を当該製造所
等全てを包含するように半径30mの円の範囲内に1個以上増設すること。
4 壁体と防火塀の共用
製造所等の保安距離に関し、壁を高くすることにより、防火塀を設けた場合と同様の効
果が得られる場合には、製造所等の壁をもって塀を兼ねることができる。
この場合、塀の高さの算定式中、製造所等と防火塀との間隔はdは0とすること。
第16-2図
延焼限界曲線
延焼危険範囲
壁を高くして
塀にかえた場合
防火塀を設けた場合の塀の高さ製造所(裸木造)二階建て住居
壁を高くして塀にかえた場合
第 16 認定保安距離
16-10
5 塀の幅
塀の幅については、製造所等から保安距離の範囲にある該当建築物の部分が塀により延
焼阻止することができる所要の幅から算定するものとする。
塀の幅の算定方法は、第16-3図のように製造所等の外壁の両端O1、O2から10m(住
居に対する場合)の円を描き、保安距離に抵触する隣接建物の角P、弧との交点Q、Rを
求め、O1とP、O2とQ及びRをそれぞれ直線で結び、隣接建物の構造に対応する防火塀
の幅L1、L2を求める。
6 塀等の構造
(1) 製造所等から5m以内に設置する塀は、耐火構造とすること。
(2) 製造所等の壁を高くする場合は、その壁を耐火構造とし、開口部は設けないこと。
(3) 塀等は、地震及び風圧力に耐える構造とすること。製造所二階部分第16-3図O1O2L1L2二階部分に対応する高さ一階部分に対応する高さ10m10mQR平屋部分防火塀10mP

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