「総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備」に関するQ&A(令和7年8月29日更新)
取組全般
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A1: 我が国は、戦後最も厳しい安全保障環境の下に置かれています。この取組は、このような安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行うため
・平素から、必要に応じて自衛隊・海上保安庁が民間の空港・港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者(地方公共団体等)との間で「円滑な利用に関する枠組み」を設け、これらを「特定利用空港・港湾」とし
・その上で、それらの空港・港湾について、あくまで民生利用を主としつつも、自衛隊・海上保安庁の航空機・船舶の円滑な利用にも資するよう、必要な整備や既存事業の促進を図る。また、平素から円滑な自衛隊の人員・物資輸送等に資するよう、「特定利用空港・港湾」と自衛隊の駐屯地等とのアクセスの向上に向け、道路ネットワークの整備を図る
という取組です。 -
A1-2: 平素から自衛隊が「特定利用空港・港湾」を円滑に利用できるよう、令和7年度から、「特定利用空港・港湾」と自衛隊の駐屯地等とのアクセスの向上に向け、本取組の対象に「道路」を追加することにしました。
本取組の対象となる道路においては、民生利用を主としつつ、必要な道路ネットワークの整備を図ります。対象となる道路は、自衛隊のニーズやその整備状況等も踏まえて選定してまいります。
本取組に基づく道路ネットワークの整備により、平素における円滑な自衛隊の通行、ひいては災害対応等の効果的な実施が見込まれます。
また、自衛隊が道路を通行するに当たり、空港・港湾を利用する際のようなインフラ管理者との利用調整は生じないことから、本取組の対象となる道路については「円滑な利用に関する枠組み」は設けません。なお、本取組は道路を自衛隊が優先的に通行するためのものではなく、自衛隊は、これまでどおり道路法等の既存の法令に基づき通行します。
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A2: この取組は、特定の国や地域への対応を念頭に置いたものではありません。
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A3: この取組は、平素における空港・港湾の利用を対象としたもので、武力攻撃事態のような有事の利用を対象とするものではありません。
武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態における空港・港湾の利用調整については、平成16年に制定された武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律(特定公共施設利用法)等に基づき行われます。
また、その際、どの空港・港湾を利用することになるのかについては、「特定利用空港・港湾」であるか否かにかかわらず、その時々の状況に応じて必要な空港・港湾を利用することとなります。 -
A4: この取組において、空港・港湾の対象候補を選定するにあたっては、自衛隊・海上保安庁が、厳しい安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行うため、例えば、
・島しょが広い範囲にわたり存在する南西諸島や、
・部隊等の所在地の近傍
に所在するなど、それぞれの空港・港湾の重要な特性に着目し、その整備状況等も踏まえて選定しています。 -
A5: この取組によって、民間の空港・港湾に新たに自衛隊の基地や駐屯地を設置するといったことはありません。
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A6: 自衛隊・海上保安庁は、これまでも民間の空港・港湾を利用してきています。今回、更なる利用の円滑化を図ることを目的として、インフラ管理者との間で、「円滑な利用に関する枠組み」を設けることとなりますが、そのような枠組みが設けられた後も自衛隊・海上保安庁による平素の利用に大きな変化はなく、そのことのみによって、当該施設が攻撃目標とみなされる可能性が高まるとはいえません。
むしろ、自衛隊・海上保安庁の航空機・船舶が必要な空港・港湾を平素から円滑に利用できるように、政府全体として取り組むことは、我が国への攻撃を未然に防ぐための抑止力や実際に対応するための対処力を高め、我が国への攻撃の可能性を低下させるものであり、ひいては我が国国民の安全につながるものです。 -
A7: この取組において、空港・港湾の対象候補を選定するにあたっては、例えば、
・島しょが広い範囲にわたり存在する南西諸島や、
・部隊等の所在地の近傍の地域
に所在するなど、それぞれの空港・港湾の重要な特性に着目し、その整備状況等も踏まえて選定しています。
このため、自衛隊や海上保安庁がこれまで訓練で利用している空港・港湾であっても、現時点で対象候補となっていないものは存在しますが、今後、検討・調整を進める中で対象候補となる可能性はあります。 -
A8: まず、インフラ管理者との間で、以下の3つの項目を内容とする「円滑な利用に関する確認事項」を確認します。
・インフラ管理者は、平素において自衛隊・海上保安庁の運用や訓練等による施設の円滑な利用について、関係法令等を踏まえ、適切に対応する。
・自衛隊・海上保安庁とインフラ管理者は、国民の生命・財産を守る上で緊急性が高い場合又は航空機の飛行や船舶の航行の安全を確保する上で緊急性が高い場合(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態を除く)であって、当該施設を利用する合理的な理由があると認められるときには、民生利用に配慮しつつ、緊密に連携しながら、自衛隊・海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努める。
・上記の着実な実施に向けて、関係者間において連絡・調整体制を構築し、円滑な利用に関する具体的な運用のための意見交換を行う。
その上で、実際に防衛省・海上保安庁とインフラ管理者との間で必要な意見交換を行う連絡・調整体制を構築します。 -
A9: 「国民の生命・財産を守る上で緊急性が高い場合」としては、例えば、災害時において救援部隊の派遣が必要な場合や弾道ミサイル対処を想定しています。
「航空機の飛行や船舶の航行の安全を確保する上で緊急性が高い場合」としては、自衛隊・海上保安庁の航空機・船舶に不測事態が発生し、安全を確保する必要がある場合を想定しています。 -
A10: 「連絡・調整体制」は、インフラ管理者(コンセッション空港においては、インフラ管理者及び空港運営の民間委託会社を指す。)と、防衛省(地方防衛局、自衛隊の主要な部隊等)、海上保安庁(管区海上保安本部等)、国土交通省(空港:地方航空局等、港湾:地方整備局等)の担当者で構成され、円滑な利用のために必要な意見交換や情報共有を行います。
利用関係
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A11: 例えば、自衛隊の航空機については、輸送機による迅速な国民保護のための訓練、戦闘機や輸送機による離着陸訓練、離着陸に必要な各種資器材・人員等の空港への展開訓練等を想定しています。また、自衛隊の艦船については、輸送艦等による国民保護のための避難や部隊の搭載・卸下のための訓練、護衛艦による離岸・接岸の訓練等を想定しています。
海上保安庁については、国民保護のための訓練や災害対応、港湾施設等のテロ等警戒、捜索救難・人命救助等への対応に必要な訓練等を想定しています。 -
A12: 基本的にはそれぞれの空港・港湾につき、年数回程度を想定しています。一部の施設については、従来から自衛隊が訓練で頻繁に利用してきており、今後もこれまでと同様に利用させていただくことを想定しておりますが、いずれにせよ、「特定利用空港・港湾」となったことによって、常に自衛隊の部隊が訓練を行っているようなことにはなりません。
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A13: この枠組みは、自衛隊・海上保安庁による利用を対象として、あくまで関係省庁とインフラ管理者との間で設けられるものであり、米軍が本枠組みに参加することはありません。
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A14: 自衛隊では武器・弾薬等を含む物資輸送や部隊の展開のために、海上保安庁では海上保安業務(海難救助や領海警備等)に必要な火工品や弾薬の積卸しのために、「特定利用空港・港湾」を利用することはあります。その場合においても、関連する法令に則り、安全に十分配慮してまいります。
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A15: これまで、自衛隊・海上保安庁が、民間の空港・港湾を利用する際には、必要な時にその都度調整を行っていましたが、インフラ管理者との間であらかじめ利用調整の枠組みを設け、円滑に調整できるようにしておくことで、これまで以上に円滑な利用が可能となります。
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A16: 空港については、これまで災害派遣や防災訓練等でしか利用できていないものや、利用を断られた事例があるほか、港湾についても、入港に必要な調整を円滑に行うことができず、入港を断念した事例があります。
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A17: 「円滑な利用に関する枠組み」は、自衛隊・海上保安庁の優先利用のためのものではありません。あくまで港湾法や空港法等の既存の法令に基づき、関係者間で連携し、自衛隊・海上保安庁による柔軟かつ迅速な施設の利用について調整するための枠組みです。
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A18: 空港・港湾は、それぞれに異なる特性があり、例えば航空機の離着陸や船舶の離岸・接岸には、空港・港湾ごとの構造や気象などに大きな影響を受けます。このため、自衛隊・海上保安庁の航空機・船舶が、空港・港湾を安全に利用するためには、平素からそれぞれの特性に習熟しておくことが重要です。
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A19: 自衛隊・海上保安庁が利用する施設は、活動の内容や部隊等の特性、災害の発生地域等に応じて決めているため、「特定利用空港・港湾」以外の空港・港湾を利用することもあります。
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A20: これまでも自衛隊・海上保安庁の訓練の実施に当たっては、地域住民に及ぼす影響を考慮し、訓練内容や規模によっては、事前に訓練内容・実施日等をインフラ管理者や関係自治体へ説明しており、「特定利用空港・港湾」を利用する場合においても、同様に対応します。
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A21: これまで、自衛隊・海上保安庁が民間の空港・港湾を利用する際には、必要な時にその都度、インフラ管理者等と調整を行っていたところです。「連絡・調整体制」においては、自衛隊・海上保安庁が計画している、民間の空港・港湾を利用した主要な訓練等の情報を、可能な限りインフラ管理者にあらかじめお示しし、意見交換を行うことで、早い段階で、空港・港湾の利用において生じ得る課題を把握・解決し、円滑な利用が可能になるものと考えています。
また、「連絡・調整体制」の構築により、平素から担当者間で連携することで、緊急性が高い場合の利用調整も円滑に行うことが可能になるものと考えています。 -
A22: 本取組における「円滑な利用に関する枠組み」は、自衛隊・海上保安庁の運用や訓練等における「特定利用空港・港湾」の利用を対象とするものです。ここでいう「訓練」には、日米共同訓練も含んでおり、日米共同訓練における自衛隊による空港・港湾の利用については、この枠組みにおける調整の対象となります。
本枠組みは、あくまで関係省庁とインフラ管理者との間で設けられるものであり、日米共同訓練における米軍による空港・港湾の利用について、この枠組みで調整することはありません。
整備関係
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A23: 「特定利用空港・港湾」においては、民生利用を主としつつ、自衛隊・海上保安庁による円滑な利用にも資するよう、空港の滑走路延長やエプロン整備、港湾の岸壁整備や航路整備などに加え、それぞれの既存事業を促進することによって、空港・港湾の利便性の確保や機能を強化することとなります。
なお、自衛隊や海上保安庁専用の施設を整備するものではありません。 -
A24: 自衛隊や海上保安庁のニーズのみの場合には、自衛隊や海上保安庁の事業として行います。
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A25: 「特定利用空港・港湾」においても、他の公共事業と同様に、まずはコスト・ベネフィット分析等を行い、民生利用の必要性をしっかり確認します。その上で、自衛隊・海上保安庁のニーズも考慮して、整備の実施について判断していきます。
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A26: 現在継続中の事業についても、「特定利用空港・港湾」となった後は、民生利用の必要性に加え、安全保障上の観点からの重要性も加味されることになります。
予算関係
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A27: 「特定利用空港・港湾」における整備や既存事業の促進は、民生利用を主とするものであるため、他の公共事業と同様に公共事業予算によって行われます。
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A28: 「特定利用空港・港湾」に係る予算額については、他の公共事業と併せて年度末を目処に公表することとしています。
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A29: 「特定利用空港・港湾」における整備や既存事業の促進は、民生利用を主とするものであるため、空港整備事業・港湾整備事業の既存の制度に基づくこととしています。このため、整備費等についても、既存の制度に基づいて、これまでどおり国とインフラ管理者等がそれぞれ必要な費用を負担することとなります。
地域への影響
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A30: 「円滑な利用に関する枠組み」を通じ、平素から担当者間で連携することで、災害時の対応などの緊急性が高い場合においても利用調整を円滑に行うことが可能になります。
また、平素の訓練等を通じて自衛隊・海上保安庁が空港・港湾のそれぞれの特性を習熟することで、災害時の対応などにおいてもより迅速、かつ、安全に部隊や物資を展開・輸送することができるようになります。
さらに、「特定利用空港・港湾」については、民生利用を主としつつ、自衛隊・海上保安庁のニーズも考慮し、安全保障上の観点からの重要性も加味しながら当該整備の重要性を検討し、必要となる予算の確保及びそれに基づく事業のより着実な推進に努めます。
このように、自衛隊・海上保安庁が円滑に空港・港湾を利用できるようになること、また、必要な整備が促進されることは、これまで以上に、自衛隊・海上保安庁による災害等の効果的な対応につながり、ひいては地元の皆様の安全に資するものであり、地元の皆様にもメリットになるものと考えています。 -
A31: 訓練等の実施に当たっては、自衛隊機による利用が空港周辺の方々に及ぼす影響が最小限となるよう、努めてまいります。
内閣官房国家安全保障局 Tel:03-5253-2111
国土交通省大臣官房危機管理室 Tel:03-5253-8111
防衛省防衛政策局運用基盤課 Tel:03-3268-3111
内閣府沖縄振興局総務課 Tel:03-5253-2111
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