大規模災害の発生は、全ての人の生活を脅かしますが、中でも、人口の51.3%を占める女性の声が災害対応に反映されないようでは、子供や若者、高齢者、障害者等の多様な方々の声に応えることは到底できません。要配慮者対応においても女性と男性で受ける影響やニーズへのきめ細かな対応が重要です。
防災・減災、災害に強い社会の実現には、女性が防災の意思決定過程や現場に主体的に参画し、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分に配慮された災害対応が行われることが必要です。災害から全ての人を守る第一歩として、女性の視点をしっかり踏まえた防災・減災を、覚悟をもって進めていかなければなりません。
女性の視点からの防災・復興の取組を促進するため、昨年12月に内閣府の政策統括官(防災担当)付と男女共同参画局の女性職員により「防災女子の会」が結成され、5月17日、「防災女子の会からの提言」が取りまとめられました。
提言では、避難所等における性暴力・DVの防止や、意思決定の場への女性の参画等、女性の視点に立った被災者支援の推進に加え、災害対策に女性の視点を組み込むための国及び地方公共団体の防災担当部局の体制強化が重要とされております。
我々は、提言を受け、女性の視点からの防災・減災に、これまで以上に力を入れて取り組まなければならないという決意を新たにし、国における取組を強化してまいりました。
具体的には、内閣総理大臣を会長とする中央防災会議において女性委員の割合を高めるとともに、先月25日に開催された同会議において、提言を踏まえ、防災基本計画を修正しました。また、内閣府男女共同参画局長を、中央防災会議の幹事や災害対策本部の構成員に追加しました。近く策定する「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」においては、地方防災会議における女性登用の加速や、地方公共団体の防災・危機管理担当部局への女性の参画拡大、政府の防災関係業務への女性の参画を促進するための環境整備について盛り込むことにしています。
女性が防災・復興における「主体」であることは、我が国が主導した第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組2015-2030」でも打ち出されています。
災害対応に当たっては、現場を担う地方公共団体の役割が大変重要であり、全ての地方公共団体において、女性の視点からの取組が進められることが不可欠です。国としても、しっかりと支援してまいります。
都道府県知事・市町村長の皆様におかれましては、避難生活における女性の安全・安心の確保、女性と男性が災害から受ける影響や男女のニーズの違いへの配慮、地方防災会議の委員への女性の登用、被災者支援などの災害対応の現場への女性の参画、男女別データの作成・活用などに、一層のリーダーシップを発揮していただくことを、心からお願い申し上げます。
令和3年6月11日
内閣府特命担当大臣(男女共同参画)・女性活躍担当大臣 丸川 珠代
内閣府特命担当大臣(防災) 小此木 八郎
各都道府県知事 殿
各市町村長 殿