「水の中をくるくる転がった」

南海地震(昭和21年12月)

水の中をくるくる転がった

(徳島県海部郡 70代 女性)

大きな揺れのあと、家の中まで波が押し寄せてきたので、家族4人が、「早う、早う」と言いあって、逃げました。でも、横からも後ろからも来る波で足をとられ、なかなか歩けませんでした。

そうしているうちに、4人ともあっという間に大きな波にさらわれてしまったのです。私は、まるで洗濯機の中にいるように水の中をくるくる転がって、潮を何回も飲みました。

息苦しくて、どうにかして頭だけでも波の上へ出さなかったら、死んでしまう。私の命ももう終わりだと、そんなことばかり頭にありました。

それが、どうしたものか、頭を波の上へ出すことができたのです。「ああ、よかった、生きとる。これで息ができる」と思いました。

しばらくして、何か木のようなものが手にさわったので、それをパッとつかみました。足が地面についていないものだから、手が痛くてね。でも、これを放したら、またどっかへ流される。そうしたら今度は命がないと思って、必死でした。

少しあたりが明るくなってきて、一体どこまで流されたんだろうとあたりを見回すと、おどろいたことに、私は裏の家の入り口の敷居につかまっていたんです。

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