「おばあさんを背負って山の中腹へ」

南海地震(昭和21年12月)

おばあさんを背負って山の中腹へ
〜津波を見に行って、危機一髪〜

(徳島県海部郡 80代 男性)

ものすごく家が揺れてね。2階に寝よったから階段をはうようにしておりて、隣の空き地へ行ったのよ。で、一たん揺れがおさまってから、このままではいかん、こういう格好では何もできないと、服を着替えに2階へ上がっていった。そしたら、隣のおばさんが「井戸の水が引いたぞー、津波が来るぞー」言うて、どなっとるんよ。

すぐに逃げなきゃいけないのに、その頃は全く津波や地震の知識がなくてね。津波が来る、こら面白いなということで、海の見える土手まで見に行ったんです。すると、水がドーっと上がってきとる。これはいかんわと、あわてて家へ帰りました。

家では、84歳のおばあさんが寝ていたのですが、布団のそばまで津波の潮が来ていました。それからアッという間に部屋の畳が浮き出したんです。

水はもう腰ぐらい。私は、「おばあさんを死なせちゃならない」と背負って、藻やらが浮く水の中をかき分け、かき分け、150mぐらい先の山の中腹に住む知人宅へかつぎ込みました。気がつけば、浴衣1枚でしょう。寒うてねえ。枯れ枝を集めてきて、さあ火をつけよう思うて、マッチをなんぼすっても火がつかんのじゃ、手が震えて。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /