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発券局 総務課 総合企画グループ (現 発券局 総務課 需給管理グループ)
私は、入行後、発券局に配属され、日本橋本店や戸田発券センターで、金融機関や個人のお客様を相手に直接現金を取り扱う事務に携わりました。具体的には、銀行券について自動鑑査機等を用いて真偽鑑定を行う鑑査事務や、傷んだ銀行券や貨幣の引換事務、窓口での現金受払を行う出納事務などです。その後、これら現場の事務を背後で支えるシステムや設備・機器の運行、維持管理を統括する部署を経験し、現在は、職員が身の回りで日常業務に利用している端末や機器の維持管理、これらを結んだネットワークも含めた発券局の情報セキュリティ全体を統括する事務に携わっています。
今振り返って、自分の成長を実感したのは、引換事務に携わっていたときです。現金の取扱いにも慣れてきた頃、火災に遭われた個人のお客さまの銀行券の引換を行いました。焼けた銀行券の状態が悪く、真偽鑑定や面積の判定に時間を要しましたが、その対応結果について目の前にいるお客さまから「ありがとう」といわれたときの感動は今でも忘れられません。それまで、日々、大量の現金が目の前を流れていくなかで、間違いなく現金を取り扱うことに精一杯でしたが、その一言で、自分が担当している事務の先にある「つながり」が分かり、日本銀行の銀行券供給という大事な役割がストンと理解できました。現金を安心して国民のみなさんに使っていただくために、自分が最前線で事務を遂行していることを実感しました。
現在携わっている情報セキュリティについて、興味を持って取り組んでいます。セキュリティと聞くと、日本銀行本支店において、現金を保管する金庫あるいは窓口の防犯など物理的なセキュリティを思い浮かべると思いますが、私たちが業務で利用しているシステムや端末・機器のシステムセキュリティ確保は、同じように重要です。
企業におけるウイルス感染や情報漏洩などのニュースは、最近頻繁に見聞きするようになりました。日本銀行は、日本経済の中枢を担う公的な機関の一つであり、情報セキュリティの確保についても万全の備えを期待されています。職場の一人でも対応を誤り、職員が身の回りで利用している端末やシステムのセキュリティが侵害された場合、日常業務の遂行に支障が生じるのみならず、日本銀行の信用を毀損するおそれもあると考えています。自身の業務に興味や関心を持つことで、自分の業務と直接には関係がないようにみえる出来事やニュースに対しても今までとは異なる視点で目を向けることができ、緊張感は高いですが、自分自身の成長にもつながっていると実感しています。
入行直後の部署では発券銀行としての重要な役割を果たしている業務に携わることができ、発券銀行の業務の根幹を学ぶことができました。一方で、現在は、職場の人が滞りなく業務を行うことができるように、身の回りの業務やシステムインフラを整備し、サポートする部署に所属しています。発券局という同じ局においても業務は多岐に亘り、仕事内容はもちろん、働き方や業務への取組み方が異なることを実感し、入行当時と比べ仕事の幅が広がったことに対して充実感を覚えています。
発券局においては、2024年度上期に、新日本銀行券の発行(改刷)というビッグプロジェクトを控えており、今後、本支店の関連部署が一丸となって、日々の業務を遂行しつつ、取り組んでいくことになります。自分が携わる業務を一つずつ着実にこなし、より広い視野を持って、自分が担当している事務の先にある「つながり」を意識しながら、業務に取り組んでいきたいと考えています。