ページの先頭です。
金融機構局 金融第1課 企画役 (現 業務局 総務課 営業・国債業務企画グループ)
大学では法律を専攻し、机上でなく活きた法律を駆使して社会を支える基盤づくりに貢献したいと考え、日本銀行に入行しました。
私の中央銀行員としての歩みは業務局から始まりました。日本銀行は、国の委託を受け国債に関する業務を担っており、その企画立案に携わりました。国債のペーパーレス化、個人向け国債の発行、プライマリーディーラー制導入等、今では当たり前の制度が次々と導入された時期で、官庁等との調整、金融機関との約定やルール作りに奮闘しました。日本銀行への信認は、日々の堅確な事務によって支えられており、その実現に向け、利害の異なる多くの関係者の間で、細部に至るまで手を抜かずに、検討を重ねて制度を築き上げる経験は、今も変わらぬ仕事の原点です。自分が設計した制度に従って、全国の金融機関で巨額の資金や国債が動くため、責任の重さに正直辛く感じることもありましたが、同僚達と知恵を結集し、一丸となって作り上げたものが無事にスタートしたときの達成感は、とても大きなもので、現在に至るまで私の仕事への原動力になっています。
「物価の安定」を担う金融市場局では、金融政策手段に関する制度設計を担当し、貸出支援基金の創設、量的・質的金融緩和やマイナス金利政策の導入と、今も続く大きな政策に携わることができました。金融政策決定会合での決定から短期間で実現するため、限られた時間の中で様々な角度から多くの検討を要し、関係者と精力的な調整も求められる非常に緊張感の高い仕事でしたが、金融「政策」を「実務」に落とし込む過程に直に関わる貴重な経験でした。このとき、国債の企画立案の中で得た様々な知見が大変役に立ちました。一見関係のなさそうなことでも、違う形で次の礎になるのが私達の仕事の特徴だと思います。中央銀行の仕事も様々ですが、最終的には全て国民のためであり、それを取引先の金融機関等を通じて実現することが求められます。常に、何のため、誰のためにというゴールを念頭に取り組むなかで、自ずとそれまでの経験が様々な角度から活き有機的に結びついていることを知り、また、自身の成長も実感できる奥深い組織だと感じます。
そして現在は、「金融システムの安定」の実現に向けプルーデンス政策を担う金融機構局で働いています。取引先選定基準や「最後の貸し手」としての貸付に関する検討を担当した後、大手行等のモニタリングを担う部署で気候変動対応オペレーションの導入に携わっています。これまでどちらかと言えば政策実現のためマクロ的観点からの検討が多かったのですが、金融機関の実情を確りと認識して政策を考えるというミクロの視点から仕事に取り組むことを通じ、改めて多くの気付きを得ています。我が国の気候変動対応を後押しするとの政策目的実現のため、金融機関の生の声を丁寧に汲み上げ、それを活かしながら、実効的かつ持続的な制度作りに取り組んでいます。
法律を使って仕事がしたいと入行した当時には想像もつかないほど、多様な部署で様々な業務に携わる機会を得るなかで、仕事はやはり、あくまでも「人」だと強く感じています。今や私も管理職となり、後輩達を束ねることが求められる立場です。自分自身が更に知見を深め、より柔軟かつ多角的に物事を捉える力をつけていくだけでなく、後輩にも仕事を通じ影響を与え、また一緒に働きたいと思われるような存在になることが、チーム力の底上げに繋がると考えています。そして、様々な経験や専門知識を有する個の力を結集し、目の前の仕事に真摯に取り組む日々の積み重ねこそが、中央銀行の信認を一段と高め、よりよい社会の実現に貢献するものと信じています。そんな信念を胸に抱きつつ、大好きな旅行に出かけたり(コロナ禍では難しいですが...)、家族と過ごす時間でリフレッシュすることも大切に、これからも中央銀行員としての日々を楽しみながら歩んでいきたいと思います。