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【特定職(業務分野特定タイプ)】長尾 昌幸

【特定職(業務分野特定タイプ)】長尾 昌幸

神戸支店 発券課長 (現 発券局 総務課 改刷グループ 企画役)

2004年4月 松山支店入行 発券課 業務課 総務課 2008年7月 発券局 2012年7月 財務省出向 2014年7月 発券局 2017年6月 高松支店 2019年5月 発券局 2021年5月 神戸支店

安心して銀行券を使える環境の整備が使命

現在、日本銀行神戸支店で発券課長として勤務しています。日本銀行は我が国唯一の発券銀行として日本銀行券を独占的に発行し、その銀行券は法貨として無制限に通用しています。銀行券はいわば日本銀行の商品ですが、貴金属等とは異なりそれ自体の価値(製造単価)を超える価値(額面金額)が人々の信用によって成立している特殊な商品です。この商品を安心して「当たり前」に使っていただくためには、商品自体に対する信頼と日本銀行への信用を得る必要があります。発券課では、金融機関との間での銀行券の払出・受入(発行・還収)、鑑査(銀行券の真偽鑑定、汚損度に応じた再流通の適否の確認)、損傷銀行券の引換等に関する事務を堅確かつ円滑に取扱っています。

仕事を通じたやりがいと成長

大学では経済学を専攻しました。経済とは「経国(経世)済民」(国を治め人民を救う)の略語のようです。私一人では大それたことはできませんが、就職活動等を通じて「通貨価値の安定」と「金融システムの安定」を目的とする日本銀行の公共的使命に強い魅力を感じました。

入行後は発券・業務・文書・営業の4つの系統を経験する中で色々な学部経験や知見を持った同僚と様々な意見交換を行いスキルアップに努め、共通の目的に向かって業務を遂行しました。最初の支店で銀行券の20年振りの改刷に関する業務(旧券の還収と新券の発行等)に携わり、発券業務の重要性を再認識し発券銀行としての責任感とやりがいを感じ発券系統を選択しました。発券局に異動し、実務部署で専門的知識を習得した後、総務課で発券業務を支える機械設備の導入や安定稼動に向けたサポート業務を担当しました。また、東日本大震災の際には、日本銀行が盛岡市に開設した臨時引換窓口に出張し、津波や火災で傷んだ銀行券の引換事務に従事しました。泥塗れになった銀行券を水で洗い、乾かしながら鑑査を行い、綺麗な銀行券に引換えるには、かなりの時間を要しましたが、少しでも被災した方々の力になろうと精一杯取組みました。神戸支店には、阪神淡路大震災で傷んだ銀行券の引換えや被災した金融機関の臨時窓口の設置場所となったという歴史があり、未だに震災で損傷した通貨が持ち込まれることもあって、改めて発券業務の重要性を肌で感じています。

入行9年目、人事交流の一環で特定職として初めて財務省に出向し、発券業務の根拠法令を担当しつつ偽造通貨対応(外国政府機関との間で各国の偽造防止技術や偽造対策に関する情報交換等)や改良五千円券(券種の識別性の向上)の発行開始に向けた諸準備(仕様決定にかかる調整や国会答弁書の作成等)に関する事務も担当しました。国家的プロジェクトの一員として異なるバックボーンの方々と同じ目的に向かい様々な議論や意見交換等を通じて視野の拡がりを得られるなど貴重な経験となりました。縁あって、現在の神戸支店への赴任前にも、日本銀行券の改刷(2024年度上期予定)に関する業務に携わり、市中に約150億枚流通している銀行券の新旧入れ替えに向けた需給予測等を行っていました。

変わりゆく環境の中で変わらぬ使命を果たすために

このところ内外の様々な領域でデジタル化が進むなど、外部環境が大きく変化しています。日本銀行では、こうした環境変化に的確に対応すべく様々な準備を進めています。こうした中にあっても、当面、銀行券の流通量が大きく減少する可能性が高くない中、日本銀行における発券業務は、1885年の大黒札(拾圓券)の発行から130年を超える歴史と伝統のある業務であり、今も昔も「国民のみなさんが安心して銀行券を使える環境を整備する」という点に変わりありません。今後とも、「発券業務のエキスパート」として更なる自己研鑽に努めるとともに、管理職として、外部環境の変化への対応や堅確性の確保に資する事務処理基盤の構築を図りつつ、チーム力を高めるべく、これまでの出向経験や先輩から得た知見等を活かし、後輩や部下の育成にも注力していきたいと考えています。

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