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【総合職】井上 眞希子

【総合職】井上 眞希子

金融機構局 金融第1課 企画役補佐

2013年4月 金融機構局入行 2014年1月 大分支店 2015年4月 金融市場局 2018年6月 国際局 2020年7月 企画局 2022年6月 金融機構局

日本銀行の影響力を実感した入行直後

私は2013年4月1日に日本銀行に入行しました。その3日後の4月4日、日本銀行は「量的・質的金融緩和(QQE)」を導入しました。QQEの導入は、社会人として一歩を踏み出したばかりの私にとって、自分の会社の影響力を実感させられるもので、今も鮮烈な記憶です。現在まで幅広い業務を経験してきましたが、ここでは金融政策に近い経験についてご紹介したいと思います。

様々な角度から金融政策に触れて

新入行員時代は、金融機構局で地域金融機関のオフサイト・モニタリングに携わり、QQE導入直後の地域金融機関のバランスシートの変化や、金融機関からみた地域企業の資金需要の動向などに触れました。その後異動した大分支店では産業調査を担当し、企業側の経営や資金調達に対する考え方などを把握・分析しました。入行から2年間で、地方の経済・金融環境について、金融機関と企業の両サイドからみることができたのはとても有意義な経験でした。

その後配属された金融市場局では、2016年1月のマイナス金利導入、同年9月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和(イールドカーブ・コントロール<YCC>)導入を経験しました。特に、YCC導入後の2017年6月から、市場調節課で国債市場のモニタリングを担当したことは印象深い経験です。市場調節課は、金融政策の実行部隊として、金融市場調節方針と整合的なイールドカーブになるよう、日々の国債買入れオペ等を行っています。その中で、債券担当者は、毎夕の金融機関への電話ヒアリングを通じて、その日の金利動向や債券需給、先行きの金融政策に対する見方など、幅広い観点で情報を収集し、時に議論することもあります。また、国内外の経済指標をはじめ、多方面にわたるニュースなどにも常にアンテナを張り、市場での受け止めを丁寧にフォローしていきます。こうした丹念な情報収集が、翌日以降の国債買入れオペの運営に直結します。そのオペを受けて市場金利が実際に動く様子は、生き生きとした躍動感があり、まさに中央銀行ならではの仕事でした。

また、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年には、企画局政策企画課に配属されました。私は、実体経済の担当として、感染症の状況とともに刻一刻と変化する国内外の経済をフォローしたほか、政策判断の材料となる資料や対外的な情報発信に関連する資料の作成、総裁の国会報告に関する事務などに携わりました。企画局での経験は、実体経済への理解を深める機会であったと同時に、市場調節課時代にマーケット参加者の目線で見つめた金融政策を、政策・立案部署の内側から見つめる貴重な機会でした。

10年ぶりにみる金融機関経営と自らの成長

現在は、約10年ぶりに金融機構局に戻り、大手金融機関のオフサイト・モニタリングに携わっています。担当する金融機関と日常的に電話ヒアリングや面談を行い、経営戦略や市場運用動向など、幅広い観点でモニタリングしています。また、担当先を含む大手金融機関全体の預金・貸出動向をフォローし、時々の問題意識に合わせた分析も行っています。久しぶりのオフサイト・モニタリングですが、新入行員時代と比べても、金融機関経営は大きく発展し、より高度化していることを感じます。私自身は、金融政策に近い部署での経験を重ねたことで、それが金融機関経営に与える効果と副作用の両面を意識しながら、業務にあたることができるようになりました。入行から幅広い経験を積ませてもらったお陰で、格段に視野が広がったことを感じています。

日本銀行に入行してからの全ての経験は、ここでしかできないものばかりでした。これからも、中央銀行員に求められる専門性を一層磨くとともに、金融政策以外の幅広い業務にも従事し、ジェネラリストとしての素養も磨いていきたいと思います。

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