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【総合職】宗像 晃

【総合職】宗像 晃

金融機構局 金融システム調査課 企画役補佐 (現 企画役)

2012年7月 金融機構局入行 2013年1月 大分支店 2014年4月 調査統計局 2016年8月 英国ロンドンスクールオブエコノミクス大学院留学 2017年6月 金融研究所 2019年6月 調査統計局 2021年6月 金融機構局

中央銀行における調査・分析の重要性

日本銀行が「物価の安定」と「金融システムの安定」を目標として政策を実施するにあたって、調査・分析なしで語ることが出来ない重要な論点は無数にあります。このため、日本銀行には、経済・金融の理論的な知識、実証分析に関する豊富な経験に基づき、的確な調査・分析を進めることができる人材が必要です。私自身のこれまでのキャリアを振り返ると、こうした理想の人材に少しでも近づけるよう、様々な部署で幅広い経験を積み重ねてきた、と感じています。

ゼロから多様なリサーチを経験して

新入行員時代、理系出身の私は、経済学や金融について無知な状態で、「金融システムの安定性」について調査・分析する部署に配属され、邦銀の海外貸出についてのデータ分析や、銀行との取引関係が企業の経済活動に及ぼす影響を取り入れたマクロ経済モデルの構築などに携わりました。経験豊富な上司が、私が大学院時代に培ったデータ分析力や計算能力などを活かせるように具体的に仕事を指示してくださり、その仕事に取り組む中で、金融に関する基礎的な知識を学ぶことができました。

その後に配属された大分支店や物価統計の作成部署では、企業への聞き取り調査などを通じて、経営判断の肌感覚を学ぶことができたほか、調査・分析の基礎となる統計分野について、理論・実務の両面における知見を深めることもできました。

その後、「物価の安定」の判断の基礎となる景気の分析を担う部署に配属され、失業率の動向や賃金の決定要因などについての調査・分析を経験しました。この部署では、若手が自分の分析を行内のエコノミストに直接プレゼンする機会が多く、仮説の提示や分析手法の選択、結果を効果的にプレゼンする方法など、様々なスキルを磨くことができました。

もっとも、このころまでは、体系立った経済学の知識を有していた訳ではなく、時に分析が独りよがりになってしまったこともありました。五年目に経験した大学院留学では、経済学の基礎を体系的・理論的に習得することができたほか、留学後は、国内外の経済学研究者と意見交換や議論をしながら、長期的な視点から経済・金融の問題を研究する機会を与えられ、アカデミックな世界における分析について理解を深めることができました。

その後、再び景気分析の部署に配属され、分析全体を取りまとめ、景気の全体像を把握する役割を担いました。新型コロナウイルス感染症の拡大局面という先行きの経済予測が非常に難しい時期に景気の全体像についてストーリーを作っていく仕事は、多くの困難がありましたが、流動的な情勢にチームとして迅速に対応する方法や、各メンバーの長所を活かした指示の仕方など、チームの運営における様々なノウハウを学びました。

一見異なる仕事の経験が活きる

現在は、一年目と同じ部署で、マクロ・ストレステストとよばれる枠組みで、計量モデルを用いて「金融システムの安定」を検証する仕事に携わっています。この仕事では、入行以来の全ての部署での経験が活きていると感じます。すなわち、金融についての基礎知識はもちろんのこと、ストレステストにおけるシナリオを作成する際は経済についての知見が非常に重要になりますし、アカデミックな議論を確りとフォローすることも必要です。当然ながら、効果的なプレゼンのスキルや、若手の分析担当者に助言・指導する能力なども求められます。多様な職場で異なる経験を積み重ね、それらすべての経験がつながっていくというのが、日本銀行での仕事における大きなやりがいのひとつです。これからも、一つ一つの仕事に確り向き合いながら、様々な分野で研鑽を積み、高度で幅広い調査・分析を進められる人材を目指したいと思います。

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