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決済機構局 決済システム課 デジタル通貨検証グループ
入行以来、私は国際局、大分支店、金融機構局、決済機構局で幅広い経験を積み、配属された全ての部署でやりがいを感じながら業務に励んできました。3年目に配属された金融機構局国際課では、FinTechやサイバーリスク分野における規制・監督の最前線に携わりました。G7金融当局による大規模なサイバーインシデントを想定した合同演習に参加した時は、臨場感あふれる現場とスピード感に圧倒されました。当時の私は、目の前の仕事を一生懸命こなすことで精一杯でしたが、国際課での経験は、海外の金融当局との関係構築や金融技術に関する検討に貢献するために、情報技術の知識を確りと身に着けたいと強く思うきっかけになりました。
その後、留学の機会を得て、カーネギーメロン大学の情報セキュリティ政策・管理修士課程に進学しました。留学先では、リスク管理、暗号技術、ペネトレーションテスト、フォレンジック調査といった情報セキュリティの理論と技術を学びました。深夜過ぎまでキャンパスに残り、同級生と課題やプロジェクトに取り組んだ日もありました。同級生と切磋琢磨した日々は、情報技術への理解を深め、人を説得して合意を得る力や勇気を出して前進する力を高めてくれました。
帰国後に配属された決済機構局では、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討に取り組んでいます。中央銀行デジタル通貨とは、民間銀行が中央銀行に保有する当座預金とは異なる、新たな形態の電子的な中央銀行マネーです。検討にあたっては、国際的な動向を踏まえつつ、多様な観点から業務を遂行することが求められます。これまでに配属された部署で培った経験や留学先で身に着けた情報セキュリティの知識、海外経験が現在の仕事に活きていると成長を実感しています。
「未来の決済システムをいかにデザインするか、社会的に実装する場合にはどのように実現しうるのか」に興味を持って、民間事業者との議論・検討の場であるCBDCフォーラムを運営しています。CBDCフォーラムの席上では高度な議論が繰り広げられることも少なくないため難しさを覚えることもありますが、決済システムの安全性、効率性、ユーザビリティ、相互運用性、将来性など多様な論点について民間事業者ならではのアイデアを伺う度に決済システムの新たな可能性を感じ、胸が高鳴ります。多様性に富んだ職場の仲間たちとエクスパティーズを結集させて未知の領域に挑んでいます。
大学時代に米国で機械工学を専攻していた私は、国際的な活躍、技術と金融の複合領域での貢献、公共への奉仕に憧れて、日本銀行に入行しました。入行後は、統計作成、地域経済調査、金融機関のオフサイト・モニタリング等の様々な業務を通じて中央銀行員としての経済・金融に対する理解を深めると共に、特に金融機関のサイバーリスクへの対応の検討や中央銀行デジタル通貨の検討において、海外経験や理系のバックグラウンドを活かしながらサイバーセキュリティやシステム設計の専門性を高めてきました。多様な部署で様々な中央銀行業務に従事することを通じて、幅を広げながら専門性を高められるところにやりがいを感じています。
日本銀行の政策効果を高めていくためには、国民の皆様からの理解と協力が重要となるので、常に誠実でありたいと思っています。誠意をもって日々の業務に励み、その結果を分かり易く社会に還元することを通じて、国民の皆様に信頼される存在になりたいです。決済・システム・金融規制・金融モニタリング等の幅広い分野において経験や知見を活かし、日本銀行を含む日本の金融システム全体が、デジタル技術の発展に伴う環境変化に確りと適応できるように貢献していきたいです。