南極観測船しらせ出発へ 地球環境の最前線は? 本紙記者が現地取材

中山由美 杉浦奈実
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南極観測船しらせは19日、神奈川県 横須賀市から出発する。67次観測隊は12月4日に成田空港から出発、豪州でしらせに乗船して南極を目指す。同隊には朝日新聞記者2人が同行して取材する。

観測隊は70年近い観測を絶やさずつなぐとともに、温暖化による気候変動や環境変化が深刻化する中、南極から将来の地球環境システムを探るのが重要な任務だ。

67次隊は越冬隊29人、夏隊65人、同行者19人の総勢113人。隊長兼夏隊長は青木茂・北大低温科学研究所教授(海洋物理学)、副隊長は女性初の越冬隊長となる江尻省(みつむ)・国立極地研究所准教授(超高層大気科学)が務める。

前66次隊に続き、67次隊は豪州と南極の間を2往復する「2レグ制」。近年、氷床の減少がみられるトッテン氷河周辺に注目し、その沖合で海洋観測をする。

昭和基地では、大型大気レーダーで大気の大循環を観測し、気象や大気、電離層などの定常観測を前次隊から引き継ぐ。新しい夏期宿舎の工事や発電機の交換も行う。

大陸沿岸ではペンギンや湿地生態系の調査、堆積(たいせき)物の掘削などを行う。

先遣隊(川村賢二副隊長)の21人は10月下旬に出国、空路で南アフリカを経由して南極入りした。大陸内陸に向かったチームは過去の気候変動を探るため、氷床を掘削する。また、海鷹丸に乗船する別動隊は来年1月に南極海を観測する。

中山由美記者

南極・北極専任記者。女性初の南極観測隊同行記者として45次隊(2003〜05年)で越冬、大陸内陸のドームふじ基地で氷床掘削も取材した。51次夏隊ではセールロンダーネ山地で隕石(いんせき)探査や地質調査を取材、61次越冬隊ではドローン空撮をした。今回は4回目の南極取材。北極はグリーンランドなど8回訪れている。

67次隊では、レグ1(12月〜来年2月)を担当。昭和基地のほか南極大陸沿岸でペンギン調査などを取材し、現地からリアルタイムの情報発信を目指す。

杉浦奈実記者

くらし科学医療部記者。豪州と南極の2往復目となる「レグ2」に同行する。2月下旬に豪州を出発し、4月に帰国する日程だ。

集中観測を取材するトッテン氷河沖は、南極最大級の氷河で、全て溶けると海面が4メートル上がるとされている。レグ2に参加するのは主に海の研究者で、融解のメカニズムや、生物との関係などを調べる予定だ。

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この記事を書いた人
中山由美
専任記者|南極・北極担当
専門・関心分野
南極・北極、地球環境、野生生物
杉浦奈実
くらし科学医療部|環境省担当
専門・関心分野
生物多様性、環境、科学

南極と気候変動

2025年12月、67次南極地域観測隊が日本を出発します。26年3月まで、二つの航路(レグ1、レグ2)で気候変動の影響などを調査する予定です。朝日新聞からは中山由美記者と杉浦奈実記者の2人がそれぞれの航路に同行取材します。記事や写真、動画で南極の今をお届けします。[もっと見る]