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産総研マガジン
ホーム > 研究成果検索 > 研究ハイライト 長時間飛行できる固体酸化物形燃料電池ドローン
掲載日:2020年06月15日
電力負荷変動が大きいドローンに対して、液化石油ガス(LPG)で稼働する高出力で軽量な内部改質固体酸化物形燃料電池(SOFC)を開発し、これを電源として長時間飛行・作業できるドローンを世界で初めて実証した。 このシステムには、産総研が開発した内部改質SOFC技術が用いられており、市販のLPGカセットボンベを燃料ガスとして用いることができる。
ドローンの電源として一般的に搭載されているリチウムイオンポリマー(LiPo)二次電池は、単位重量あたりのエネルギー密度が小さいため、飛行・作業時間が15〜30分程度に留まっている。ドローンの消費電力は重量に比例するため、多くの二次電池を搭載することはできず、物流での荷物やインフラ点検での測定機器などの重量物を搭載する作業では、さらに飛行・作業時間が短くなってしまう問題がある。また、災害時には充電用電源の確保が困難な場合もあり、二次電池の使用ができなくなることも想定される。産総研は、持ち運び容易なLPGカセットボンベ(主成分はブタン)で発電できるSOFC「ハンディ燃料電池システム」を実証した(2013年)。さらに、(株)アツミテックと共同でSOFCの出力や耐久性を向上させた「コンパクトハイパワー燃料電池システム」を開発した(2017年)。
今回、NEDOの助成を受け、(株)プロドローンのドローンとLPGで駆動するSOFCシステムを組み合わせ、30 kgまでのペイロードに対応したドローンを開発した。(プロジェクト名「ロボット・ドローンが活躍する省エネ社会の実現プロジェクト」) SOFCスタックについて、平板型セルの採用による高出力化と、セパレーターの形状などの工夫による軽量化を行った結果、2017年に発表したSOFCシステムと比べて出力あたりの重量を60%低減でき、数kgオーダーの軽量化とそれに伴う省電力化を実現した。 また、SOFCとLiPo二次電池とをハイブリット電源としてシステム化し、出力制御を最適化することによって、1時間を超える長時間の飛行や作業が実現できる見通しを得た。
さらなるドローンの長時間飛行・作業を実現するため、SOFCシステムの高出力化・軽量化、ハイブリッド電源システムの最適化、ドローンの省電力化などの改良を進め、物流、インフラ点検、災害対応などの分野で活用できるSOFCドローンの早期商品化を目指す。
主任研究員 鷲見 裕史(すみ ひろふみ)
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