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石破内閣のメンバーはけっきょく「派閥」で選ばれた電撃的な石破首相誕生劇はいつもの手口に過ぎない...女性総理誕生かと思われた総裁選に見えた「派閥の論理」

自民党総裁選は決選投票で石破茂候補と高市早苗候補の一騎打ちになり、石破茂が選ばれた。憲政史家の倉山満さんは「今回の総裁選は結果が読みにくく、石破総理の誕生は驚きを持って受け止められたが、結局は麻生太郎、菅義偉、岸田文雄という新旧の総理がキングメーカーとなって、派閥の論理が働いただけだ」という――。
国会議事堂
写真=iStock.com/CHUNYIP WONG
(注記)写真はイメージです

総理の首のすげ替えで、クリーンなイメージを出す自民党

政治とカネの問題の大逆風で、岸田文雄前首相は追い詰められた。どう追い詰められたか?

「どうせ、総理大臣の首のすげ替えで、国民の眼を欺くんでしょ?」と見透かされていた。だから岸田前首相は、その手は使えないと目されていた。また岸田前首相は一歩も引かず、総裁選を戦い抜くと目されていた。

総理総裁の首のすげ替え――。

歴史を知る者は、田中角栄から三木武夫への交代が、即座に思い出されるだろう。金権政治の田中から、クリーン三木へ。史上最初の「自民党結党以来の危機」を乗り切った。

平成初頭も、リクルート事件で竹下登内閣が退陣、後継の宇野宗佑が予想外の女性スキャンダルで短命に終わるや、クリーン三木の愛弟子の海部俊樹を繰り出した。宇野内閣の参議院選挙で過半数割れを起こし政権交代も噂されていたが、自民党は延命した。

森喜朗内閣が組閣の時から「談合で総理大臣を決めた」と批判され、不人気のまま退陣表明した後には、小泉純一郎が街頭で「自民党をぶっ壊す」と絶叫。小泉フィーバーで長期政権を築いた。その森内閣を支えた森派会長が、小泉純一郎その人だったのに。

古くは、安保闘争で岸信介が退陣した時に、池田勇人が登場したのも同じだろう。昨日まで「岸を殺せ!」とデモ隊が国会議事堂を取り囲み自衛隊の出動寸前だったのに、池田が「皆さんが一生懸命に働けば月給は10年で2倍にします!」と訴えると、大多数の国民は直後の総選挙で池田自民党に空前の議席を与えた。

こんな「いつもの手口」に国民が幻惑されて、すっかり岸田内閣の時に何が起きたかを忘れかけているのが嘆かわしい。

野党第一党である立憲民主党の惨状

もっとも、立憲民主党が野田佳彦代表を出してくるようでは、野党に政権を渡したくなくなる。野田氏は身勝手な政権運営で民主党政権を終わらせた「A級戦犯」のはず。首相時代は北朝鮮がミサイルを打ち上げるかどうかの6カ国協議(人工衛星と主張された事実上の長距離弾道ミサイル発射中止を求める協議)で、日米韓と中露北がつばぜり合いをしている真っ最中に、「国に帰って増税しなきゃいけないんで」と本当に中座して帰ってきてしまった。北朝鮮など、顎を外したのではないだろうか。

その後、無警告のミサイル発射が常態化し、日本海を飛行機が飛べなくなった。これで安全保障に理解がある保守派とかいう評価、日本人は健忘症にも程がある。

そして当時の野田首相は、デフレ下の消費増税法案を断行。当時の勝栄二郎財務事務次官の名から「直勝内閣」と揶揄されたが、官僚の言いなり政権だった。あげく、「僕は小学校の通信簿でも正直者と書かれた。嘘つきなんて言われたくない」と驚愕の理由で、幹部全員が止めるのも聞かず、衆議院を解散。言われた野党の安倍晋三自民党総裁の方が、驚きで声が裏返っていた。

掲載: PRESIDENT WOMAN Online

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