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日本初の友情結婚相談所はこうして生まれた異性との性行為は難しいが結婚と子どもが欲しい...「世間体の壁」が厚い日本ならではのオンリーワンビジネス

性行為を伴わない「友情結婚」とは何か。日本で初めての友情結婚相談所を立ち上げた中村光沙さんは「おおやけにされていないニーズが確実にあった。同性愛者の人たちも普通に家庭を築きたいのは変わらない」という――。
親と子が手をつないで、日当たりの良い緑地を歩く
写真=iStock.com/maruco
(注記)写真はイメージです

セクシャルマイノリティのための結婚相談所

「そもそも、"友情結婚"のための結婚相談所をやろうという、私のような変な"ノンケ"がいなかった」

「ノンケ」とは、同性愛者から見た異性愛者を指す隠語だ。中村光沙ありささん(39歳)は実にサバサバと、気持ちよく笑う。スラリとした上背のある痩身に、ショートカットがよく似合う。丸みを帯びた穏やかな声、からからとあっけらからんと笑うさまは、まるで太陽のようだと私には思える。

中村さんは日本で初めて、LGBTQを含むセクシャルマイノリティの人のために、恋愛を伴わない新しい結婚を提案する「友情結婚相談所カラーズ」を立ち上げた女性だ。

設立は2015年3月、今年で10年目となるが、「カラーズ」は今でも、「友情結婚」を限定とする、日本で唯一の結婚相談所であり、中村さんは代表として一貫して、「カラーズ」の前面に立ち続けている。

「友情結婚」の誕生はいつ、どこかはわからない。

2000年にはすでにセクシャルマイノリティの人たちが、ネットの掲示板などを通して性行為を伴わない結婚を行い、普通の夫婦として家庭生活を送る手段として行われていたと言われる。同性婚として認められるより、周囲に波風を立てず社会に溶け込んで生きていきたい人たちが望むものが、「友情結婚」だったのだ。

当事者ではない起業者の始まり

それにしても"ノンケ"であり、身体的性と性自認が一致する「ストレート」の中村さんが、「友情結婚」のど真ん中にいることが、改めて不思議でたまらない。

なぜ、当事者ではない中村さんが、自らセクシャルマイノリティの世界に身を投じ、そこに根を張り、友情結婚専門の結婚相談所を起業したのか。しかもその事業は今や、社会的意義云々のレベルにとどまらず、成婚カップル280組超という実績を積み上げ、7年連続過去最高の成婚数を更新する有望なビジネスとなっている。

新たな世界の先駆者でもある中村さんの、稀有けうと言っていい人生の"始まり"はどこなのか。

中村さんは地方都市で、両親と年の離れた2人の姉がいる家庭に育ち、中学卒業と同時に、父の仕事の都合でアメリカのカリフォルニアへ渡った。

「高校は暗黒期。急に決まったので、英語が話せなくて。勉強は数学以外はなかなか追いつかず高校時代は辛かったです。人と喋るのが好きなのに、全く喋れないということが」

大学受験は英語で勝負をする気力が湧かず、サラリーマン的人生に興味が持てなかったこともあり、ニューヨークにある美大に進学、ファッションデザインを専攻した。

「卒業後はパタンナーに憧れて2年、ニューヨークで働いたけれど、上司が天才すぎて、『私、この道でトップになれないな』って、すぐに気づいた。やるならトップを目指したい、稼ぎたいと思ったので、ずっと憧れがあった日本へ行くことにしました。日本って、若いほうが有利とわかっていたので、まずは母が住んでいた神戸で就職しました」

掲載: PRESIDENT WOMAN Online

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