結婚できない男性が増えた現状を変えるにはどうするのか
どうすれば解決するのか。企業が非正規雇用をやめてすべて正規雇用にすればいいのでしょうが、これはそう簡単に実現するとは思えません。であれば発想を転換して、非正規同士でも結婚して子育てできるような環境をつくればいいのではないでしょうか。
そのために今すぐできる打ち手は割と簡単で、最低賃金を大幅に引き上げればいいのです。先般、最低賃金が引き上げられ、全国平均の時給が1055円となりましたが、私はさらなる引き上げが必要だと思っています。
例えば最低賃金を1500円にすれば、年間1600時間働いたとすると年収は240万円ほど。フリーターやパートを含む非正規雇用者同士で結婚しても世帯年収は480万円ほどとなります。これは専業主婦のいる労働者階級世帯の平均世帯年収とほとんど変わりません。
最低賃金を1500円にすれば非正規の夫婦でも世帯年収480万
共働きが難しい出産・育児期間に世帯年収が減るという制約はありますが、少なくとも「非正規だから結婚も子どもも無理」という問題は解消に向かうのではないかと思います。効果もすぐに出やすいので、その意味では結婚や子育てをする人を増やすための即効薬と言えるでしょう。
ただ、企業からすれば単に最低賃金を引き上げるだけではメリットがありません。そのため、上がった賃金に見合うだけの仕事をしてもらおうと、非正規雇用者の教育や育成に力を入れ始めるかもしれません。
こうした取り組みが進めば、企業の考え方が「非正規でもしっかり仕事をしているのだから正社員と区別する必要はない」という方向に変わっていくかもしれない。それが最も望ましい道筋だと思います。
最低賃金の大幅引き上げは、夫と離死別した専業主婦やパート主婦の生活を守る上でも有効です。こうした女性たちは離死別後の再就職が難しく、非正規雇用者として低賃金かつ単純作業の職に就くことが少なくありません。