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"アナログ老舗企業"で味わった店舗撤退の悔しさ「もっと原価を下げられないか」グミッツェルブームの立役者が今も袋1枚のコストにこだわるワケ

奮起のきっかけになった社長の一言

緊急事態宣言が発出され、2020年4月から2カ月ほど店舗の休業が決まる。「ヒトツブカンロ」は東京駅、大阪、新宿と3店に増えていたが、すべての店舗で商品を販売できないまま、賞味期限だけが刻一刻と近づいていった。「店舗だけでなく、工場にも製造途中のものがたくさんあって在庫は増えるばかり。どうしたらいいのかと目の前が真っ暗になって......」。

会社としての判断はどうなるのだろうと参加した役員会。在庫の量と廃棄になる金額を報告したところ、社長から言われた言葉にガツンと頭を叩かれたような気がした。

「で、その商品はどうするの?」

思いつくままに「コロナ禍でも稼働している工場勤務の皆さんにエールを込めて配布する」「医療従事者の方々に差し入れをする」など、しどろもどろに答えながら、自分の甘さを見透かされているのを感じた。今の今までは「未曽有の事態なのだからしょうがない」と正直諦めかけていた自分を恥じた。

だからといって店舗は開けるわけにはいかない。悶々とした日々が続くなかで突破口になったのが、顧客の問い合わせだった。

「グミッツェルが買えなくて悲しい」

カスタマーセンターやSNSを通じて、「グミッツェルが買えなくて悲しい」「どこか買えるところはありますか?」と多くの声が寄せられていたのだ。「こんなにお客さまに求められているなら」と、オンラインショップの立ち上げにつなげていく。当時はアナログな販売経路のみで、オンラインでの販売を手掛けている部署はひとつもなかったという。

見よう見まねでゼロからの立ち上げだったが、過去にオンラインショップを担当していた他部署の社員にも手伝ってもらい、約1か月後の5月中旬にオープン。当初は決済方法も銀行振り込みのみ。社員の出社制限もある中、わずかなスタッフで入金の確認から発送まで手作業でこなしていた。

「ヒトツブカンロにはデザイナーや工場のみなさんなど、いろんな人が関わっていて、熱い思いが詰まっている。一箱一箱大事にしながら、喜んでくださる人たちに届けたいという気持ちでやっていました」

掲載: PRESIDENT WOMAN Online

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