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費用、その後の妊娠&出産率は?30代後半「卵子凍結」はまだ間に合うか

卵子凍結の最大の弱点とは

多くのメディアで取り上げられ、一般的な選択肢として広まっていくと予想するむきも強かったといいます。

「ところが、予想に反して卵子凍結はあまり広がりをみせませんでした。不妊治療専門クリニックのなかでも、実施の中止を決めたところも少なくありません。その大きな理由は、まだ技術の精度が高いとは言いがたいこと。若いうちに卵子を凍結しておいたから安心、と言えるほどのものではないんです」。

卵子凍結の最大の弱点は、融解する時の壊れやすさ。なんと40〜70%が変性し、使えなくなってしまうといいます。

「受精卵の場合は、凍結してもほぼ壊れることはないんです。でも、卵子だけだと、約半数は融解時にダメになってしまう。これは、卵子が受精卵に比べて構造的に弱いためで、採卵時の年齢は関係ありません。20歳の時の凍結卵子でも、40歳の時の凍結卵子でも、融解する時の変性リスクは変わらないのです。それに採卵時の年齢に応じた妊娠率が掛け合わさります」

10個凍結するのにかかる費用は......

そのため、卵子凍結をする際には、ある程度まとまった数を凍結しておく必要があります。月花先生は、10個以上の単位で保存しておくのが本来は望ましい、と語ります。

たくさんの卵をとるためには、何度か採卵が必要になることも。採卵に関する費用は施設によっても異なりますが、1回あたり20〜40万円ほどが一般的。

さらに、凍結保存の期間には、維持費もかかります。10個の卵子を保存する場合、維持費の目安は、1年間で約25万円。使うタイミングが延びれば、それだけ維持費もかかることになります。

「さらに融解時に生き残った卵子も、100%受精できるとは限りません。受精率はだいたい7割くらい。無事に着床したあとも、流産率は採卵した時の卵子の年齢相当です。10個凍結しても、赤ちゃんになるのは1〜2個、という計算になります」

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掲載: PRESIDENT WOMAN Online

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