共同研究
名古屋学院大学リハビリテーション学部 ×ばつ NSSA
高齢者の体力向上を目的とした
継続的なダンス運動についての共同研究
- 高齢者の体力向上を目的とした継続的なダンス運動
- 高齢者の体力向上を目的とした継続的なダンス運動
公益社団法人日本ストリートダンススタジオ協会(NSSA)と名古屋学院大学リハビリテーション学部は、アクティブシニアの皆さまを対象に、高齢者の体力向上を目的とした継続的なダンス運動についての共同研究を行っております。
NSSA年7月から9月までの3か月間、60歳代から80歳代の健康なアクティブシニアの皆さん50名を対象に、大阪市住之江区のATCエイジレスセンターにて、NSSAと名古屋学院大学リハビリテーション学部との共同研究のために作られた高齢者の運動に適していると考えられる20の技を基本としてダンスの振り付けを構成し、そのプログラムにてダンス教室を行っております。
ダンスは、音楽に合わせてステップや上肢の動きなどを組み合わせて行う有酸素運動であるため、音楽によって気分が高揚されること、また、リズミカルで多様な動きが楽しめ、飽きずに集中できるなどのメリットがあり、高齢者の健康運動として適していると考えられています。
今回の健康ダンス教室では、ロコモ予防を目的として、全身の柔軟性、バランス能力を改善させるために開発された技を活用し、全8回の健康ダンス教室を実施することで、これらの能力の改善を目指しています。
ダンスレッスンの実施について
全8回の「はじめての健康ダンス教室」として、大阪市住之江区のATCエイジレスセンターにて実施を致しました。
| 実施期間 | 平成29年7月27日〜9月14日(全8回) |
|---|---|
| 主催 | ATCエイジレスセンター実行委員会(大阪市、アジア太平洋トレードセンター株式会社) |
| 共催 | 名古屋学院大学リハビリテーション学部、公益社団法人日本ストリートダンススタジオ協会 |
| 企画協力 | BCC株式会社スマイルプラスカンパニー |
測定項目一覧
効果を測定するために、ダンス教室の1回目と8回目に以下の体力測定を実施します。
| 1足の筋力 | 膝関節伸展筋力・股関節外転筋力 |
|---|---|
| 2足腰の柔軟性 | 長座体前屈 |
| 3肩の柔軟性 | 背中手つなぎテスト |
| 4静的バランステスト | 開眼片脚起立時間 |
| 5動的バランステスト | Timed Up and Go Test(※(注記)1)・Cross test(※(注記)2) |
| 6活動性の指標 | Elderly Status Assessment Set(※(注記)3) |
- ※(注記)1 Timed Up and Go Test
開眼片脚起立時間とともに運動器不安定症の指標の一つ。
椅子から立ちあがり、3m先の目標物の周りをまわって再び椅子に座るまでの時間を測定する。 - ※(注記)2 Cross test
立位で、前後左右それぞれの方向に最大限重心を移動させ、その際の重心動揺を測定する。 - ※(注記)3 Elderly Status Assessment Set
アンケート様式。活動的な地域生活の営みを獲得できたか、という視点から評価する。
体力測定結果について
今回の測定の対象となった方は42名(全員女性、年齢73.9±4.8歳)でした。測定により得られた結果を、対応のあるt検定で統計処理を実施しました。
体力の結果
全身柔軟性を測る長座体前屈については1%水準(99%の人が該当)で有意に機能の向上が見られ、また片足立位バランスにおいても1%水準(99%の人が該当)でバランス能力の向上傾向が見られました。
共同研究結果についての学術論文
共同研究者:名古屋学院大学リハビリテーション学部 佐藤先生からのコメント
名古屋学院大学リハビリテーション学部
准教授 博士(教育学) 佐藤菜穂子 氏
ストリートダンスは、音楽とリズミカルで多様な動きが楽しめ、飽きずに継続できるなどのメリットがあり、高齢者の健康運動として注目されています。
この研究で高齢者の体力の維持・増進に及ぼす効果を明らかにし、幅広い世代でストリートダンスが広がっていくことを期待します。
介入研究の測定結果を踏まえての所見
今回の測定では足の筋力にあまり変化はないのにバランス能力が向上しました。ストリートダンスでは自分が足で支えている範囲内(支持基底面)で重心をいろいろな方向に移動させるなどの普段あまり行わない動作が多く含まれています。そのことが筋力があまり変わらなくても、バランス能力の向上に繋がった一番の要因だと考えられます。バランス能力は密接に転倒率と関係があるので、ロコモ予防にはとても効果的であると言うことができます。