6旧広瀬座
国指定重要文化財
旧広瀬座は伊達郡梁川町の広瀬川川岸に当時の唯一の大衆娯楽施設として、明治20年(推定)に町内の有志によって建てられた芝居小屋です。
舞台中央は回り舞台でその床下には奈落があり、花道・ぶどう棚・ちょぼ席など芝居小屋として必要なものはひと通り備えています。
外観も全般にわりあい簡素で古い形式ですが、小屋組には明治中期の建築を反映して、梁の長い洋風な造り(真束小屋)が採用されました。
舞台の裏手は楽屋になっており、板壁には当時来演した役者たちの落書きが多数残されています。
このような芝居小屋は全国的にみても数棟しか現存していません。
明治の終わりから大正にかけて、次第に芝居の間に映像を入れる連鎖劇が上演され、昭和になると活動写真(映画)の人気が高まっていきました。
昭和24年にはついに、映画館として改装され新たな娯楽施設となりましたが、テレビの登場で次第にすたれてしまいました。
広瀬川のたび重なる氾濫で被害を受け、昭和61年の洪水のあと、川幅を広げるため取り壊されることが決まりましたが、貴重な芝居小屋を残すため民家園で復原されました。
なお、周防正行監督映画「カツベン」やNHK朝ドラ「エール」の撮影ロケ地にもなりました。